
採用コストの削減や組織変革の実現など、新卒採用にはさまざまなメリットがあります。しかし、中小企業のなかには求める人材を集められず、苦労している企業も少なくないでしょう。
この記事では、新卒採用における中小企業の課題から新卒者に選ばれるコツまで、中小企業が新卒採用を実施するうえで押さえておきたいポイントを詳しく解説します。
中小企業が新卒採用を実施するメリット
まずは、中小企業における新卒採用のメリットを紹介します。採用コストをはじめとするメリットを3つ挙げたので、それぞれ見ていきましょう。
1.採用コストを抑えられる
中小企業が新卒採用を行う大きなメリットは、採用コストを抑えられることです。採用活動中の求人広告や入社後の研修などにコストがかかりますが、新卒採用は複数人をまとめて採用できるため、1人あたりの採用単価を抑えやすいでしょう。
また、優秀な人材を中途採用で探すとなると、大手企業に取られたり、採用コストが高くなったりしがちです。就職みらい研究所の「就職白書2020」によると、2020年卒の新卒採用にかかった1人あたりの平均コストが93.6万円であるのに対し、中途採用の1人あたりの平均コストは103.3万円と差があります。
このように、新卒採用なら高いポテンシャルを持った人材を低コストで採用できるので、長期的に見ると企業にとってメリットが大きいといえるでしょう。
2.企業文化を継承しやすい
新卒採用を経て入社した新卒社員は、中途社員に比べて企業独自の規範や価値観を受け入れやすい傾向にあります。企業文化は企業の成長や事業の拡大に大きな影響を与える重要な要素であるため、きちんと継承していかなければなりません。
新卒社員のほとんどは、企業の方針に共感したうえで入社を決定しています。企業文化に違和感を抱いたまま入社する新卒社員は少ないため、企業文化を効率的に継承することが可能です。
3.組織の変革を実現できる
新卒社員が入社すると、組織の年齢層に変化が生じます。また、新たな考え方や価値観がもたらされることによって、組織の変革を実現できるでしょう。
近年、社会はめまぐるしく変化しています。特に働き方や労働環境の変化は大きく、状況に応じた組織の変革が求められており、従来のやり方を維持しているだけでは企業の成長は見込めません。新卒採用を実施して新卒社員が入社すれば、新たな視点から斬新なアイデアが生まれる可能性があります。
新卒採用における中小企業の課題
さまざまなメリットがある新卒採用ですが、中小企業による新卒採用の実施にはいくつかの課題があります。新卒採用において中小企業が抱える主な課題は、以下の5つです。
1.母集団が集まらない
母集団とは、調査対象となる要素の集まりを指す言葉です。新卒採用における母集団とは、「自社に応募してくれる応募者の集団」を示します。
中小企業は大企業や有名企業とは異なり、知名度が低いため母集団の形成が難しく、人材の選択肢が少なくなりがちです。母集団が形成できなければ、自社に合う人材を見つけにくくなったり、そもそも採用したい人数が集まらなかったりとさまざまな悩みが出てきます。ただ多くの人数を集めればいいというわけではありませんが、母集団が極端に少ない場合は対策が必要です。
2.採用コストをかけられない
中小企業の大きな課題は、新卒採用にかけられるコストが限られていることです。マイナビが公表した「新卒採用の予算について」によると、上場企業の採用費総額が約771.9万円であるのに対し、非上場企業の採用費総額は約267.4万円と大きな差があることがわかります。
新卒採用を行うには、求人広告への掲載料や採用担当者の人件費など、外部コストと内部コストが必要です。大企業のように採用コストをかけられない中小企業は、母集団を形成できず、自社にマッチした人材を確保できない恐れがあります。
参考:マイナビ HUMAN CAPITAL サポネット | 新卒採用の予算について
https://career-research.mynavi.jp/wp-content/uploads/2024/11/s-kigyonaitei-25-3.pdf
3.採用活動に十分な時間と人員を割けない
新卒採用を実施するとなると、書類選考から面接、入社手続きに至るまで時間も手間もかかります。中小企業の場合、採用活動と通常業務を兼任している採用担当者が多く、採用活動にも通常業務にも悪影響が及ぶことも少なくありません。
新卒者の採用にあたって重要なことは、選考プロセスのスピード化です。できるだけ早く面接を行い、結果を伝えることで優秀な人材を囲い込めます。採用活動に十分な時間と人員を割けない中小企業は、選考プロセスが遅くなりがちなため、求める人材を採用しづらくなります。
4.給与や福利厚生などの条件面が整っていない
大企業と中小企業を比べると、給与や福利厚生などの条件面に大きな差があります。新卒者の多くは条件面を重視する傾向にあるため、中小企業より条件の整った大企業を選ぶのも無理はないでしょう。
マイナビ キャリアリサーチLabの「2025年卒大学生活動実態調査 (4月)」によると、大手企業の選考に参加した理由として、51.5%の学生が「福利厚生が手厚い」と回答しています。続いて、42.6%の学生が「給料が高い」ことを挙げました。この結果から、中小企業も働くうえでの条件面を整える必要があることがわかります。
参考:マイナビ キャリアリサーチLab | 2025年卒大学生活動実態調査 (4月)
https://career-research.mynavi.jp/reserch/20240510_76471/
5.内定辞退者が多い
新卒採用における中小企業の切実な悩みは、内定辞退者が多いことです。内定辞退者が出ること自体は仕方のないことですが、内定辞退が多発すると人材確保が困難になるだけでなく、採用コストが無駄になったり、さらなる採用コストを投じる必要が出てきたりします。
新卒者が内定を辞退する理由は多岐にわたりますが、内定辞退の理由として特に多いものをまとめました。
- より志望度の高い企業から内定が出た
- 条件面に納得がいかなかった
- 思い描いていた企業のイメージとギャップがあった
- 内定から入社までの期間が長すぎた
- 採用担当者の印象が悪かった
新卒者の内定辞退を避け、求める人材を確保するコツは次の章で解説します。
中小企業が新卒採用で選ばれるコツ7つ
ここからは、中小企業が新卒者に選んでもらうために意識するべきコツを紹介します。激化する新卒採用市場を勝ち抜くために、以下の7つのコツを押さえましょう。
1.求める人物像を明確にする
中小企業が新卒採用で選ばれるために重要なのは、求める人物像を明確にすることです。母集団を形成するために一人でも多くの新卒者を集めたいという採用担当者の本音もわかりますが、どのような人材を求めているのかわからなければ、新卒者は応募を躊躇ってしまいます。
また、どれだけ多くの新卒者が集まったとしても、自社にマッチした新卒者がいなければ意味がありません。自社に合う新卒者の興味を引くためにも、求める人物像の明確化が求められます。
2.就業規則を整備する
新卒採用における中小企業の課題の章でも述べましたが、新卒者の大半は給与や福利厚生などの条件面を重視しています。つまり新卒者に選んでもらうためには、就業規則の整備が必要不可欠です。
就業規則とは、給与や福利厚生をはじめとする労働条件や職場内の規律を指します。この機会に就業規則を見直し、必要に応じて変更・追加するなど、新卒者に選んでもらえるような取り組みを進めましょう。就業規則の整備は、他の企業との差別化を図るうえで重要な作業です。新卒者へのアピールになるだけでなく、社員の働きやすさにもつながるので、新卒採用を機に内容の見直しをおすすめします。
就業規則に記載するべき事項には、「絶対的必要記載事項」と「相対的必要記載事項」の2種類があり、絶対的必要記載事項に不備があると労働基準法違反になるため注意が必要です。以下に就業規則に記載するべき事項をまとめたので、それぞれ確認してみましょう。
- 労働時間や休日に関する事項(始業および終業の時刻・休憩時間・休日・休暇など)
- 賃金に関する事項(基本給・各種手当・通勤交通費など)
- 退職に関する事項(解雇の事由や契約期間の満了について)
- 退職手当に関する事項
- 賞与に関する事項
- 従業員が負担する費用に関する事項
- 安全衛生に関する事項
- 職業訓練に関する事項
- 災害補償や業務外の傷病扶助に関する事項
- 表彰や制裁に関する事項
- その他の事項(福利厚生をはじめとする全労働者に適用される事項)
参考:厚生労働省 | 就業規則に記載する事項
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/dl/140811-4.pdf
3.採用のスタート時期を早める
新卒採用のスタート時期を早めて、大企業や他の中小企業に優秀な新卒者を囲い込まれないようにする手法を採用している中小企業も増えてきています。就活に前向きな学生は早い時期から動き出していることもあり、採用活動の開始時期を早く設定すれば、その分意欲的な学生と出会える可能性を増やすことが可能です。
中小企業のなかには、大企業が内定を出し終わったタイミングで採用活動をスタートする企業もありますが、それは効率的な手法とはいえません。大企業の採用活動と自社の採用活動の時期をずらすことで新卒採用の成功を実現したいのであれば、大企業より早く採用活動をスタートすることも検討しましょう。
4.採用エリア・ターゲットを広げる
採用エリアや採用ターゲットを限定してしまうと、その分出会える学生の数が少なくなります。求める人材が見つからないと悩んでいる中小企業の多くは、知らず知らずのうちに視野が狭まり、採用エリアや採用ターゲットを絞り込みがちです。一度エリアやターゲットを拡大してみることで、これまで出会えなかった新卒者との出会いを増やせるでしょう。
マイナビ キャリアリサーチLabの「2025年卒大学生就職意識調査」によると、中堅・中小企業の志望者は四国や東海に多いことがわかります。関東や関西では大手企業を志望する新卒者が多いため、中小企業は四国や東海の新卒者を対象にしてみるのも一つの手です。
参考:マイナビ キャリアリサーチLab | 2025年卒大学生就職意識調査
https://career-research.mynavi.jp/reserch/20240416_74092/
5.自社の魅力を伝える
中小企業に限った話ではありませんが、新卒者に選んでもらうには「この企業で働きたい」と思ってもらうことが大切です。自社の魅力をアピールできなければ、応募者を増やすことは難しいでしょう。
自社の魅力を伝える具体的な方法として、求人の掲載情報の再確認が挙げられます。以下に掲載しておきたい情報をまとめたので、チェックリストを参考により企業の魅力が伝わる企業説明ページを作成しましょう。
・企業の歴史
・経営方針や事業戦略
・就業規則(給与や福利厚生など)
・具体的な業務内容
・実際に働いている社員の写真や動画
・社員の1日のスケジュール
・研修制度やキャリアアップ例
・オフィス環境や設備
特に、実際に働いている社員の写真や動画を掲載すると、新卒者に自分が働いているイメージを抱いてもらいやすくなるのでおすすめです。文章で伝えきれない社内の雰囲気は、ビジュアル情報として訴求しましょう。
6.学生との関係性を構築する
就活がスタートする前から大学や学生と関係性を構築しておけば、自社に興味をもってもらえます。例えば、自社にOB・OGがいる場合は社員経由でアプローチしたり、インターンシップや説明会などを通して学生と接触する機会を設けたりするといいでしょう。
学生との早期接触を実現できれば、その分自社の魅力をアピールする機会が増え、この企業で働いてみたいと思ってもらえる可能性が広がります。また、企業側も入社後のミスマッチを避けられるので、学生との関係づくりは大切です。
7.新たな採用手法を取り入れる
新卒採用ではさまざまな採用手法が用いられますが、「新卒採用が上手くいかない」と嘆く中小企業の多くは自社に合わない採用手法をとっています。また、新たな採用手法を取り入れようとせず、限定された採用手法のみ用いている中小企業も少なくありません。
次の章では、中小企業が取り入れるべき新卒採用における手法を紹介します。まだ取り入れていない採用手法があれば、ぜひ導入を検討してみてください。
中小企業が取り入れるべき新卒採用手法
ここからは、中小企業におすすめの新卒採用の手法を見ていきましょう。
1.ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングとは、求める人材に企業から直接アプローチする採用手法です。学生のプロフィールやアピールポイントなどをチェックし、自社に合っていると判断した学生のみにアプローチすることで、企業側も学生側も効率的な就活を実現できます。
ダイレクトリクルーティングの特徴は、「量より質」を重視することです。母集団を形成しづらい中小企業にとって、自社に適した人材を選べるダイレクトリクルーティングは理にかなった採用手法といえるでしょう。
ダイレクトリクルーティングサービスは複数ありますが、新卒採用に活用するなら「キミスカ」がおすすめです。新卒採用に特化したダイレクトリクルーティングサービスで、3,000社以上の企業で導入されており、新卒者の3人に1人が利用する知名度の高さが魅力です。自社にマッチした人材を出会いたいと考えている中小企業は、ぜひ活用してみてください。
2.求人広告
求人媒体に掲載料金を支払い、求人情報を載せる手法も中小企業におすすめです。求人広告は昔からある採用手法で、母集団の形成には欠かせません。求人広告の種類は多岐にわたり、紙媒体からインターネット、SNSまでさまざまです。企業に合う求人広告の種類を選んだり、使い分けたりすることで、よりマッチ度の高い人材に出会えるでしょう。
ただし、求人広告の種類によっては専門的なノウハウが必要になります。例えば、InstagramやX、LINEなどのSNSを用いたSNS採用広告を活用する場合、正しく運用しなければ効果を得られません。求人広告で新卒採用を行うなら、費用対効果をしっかり考える必要があります。
3.人材紹介
人材紹介とは、専門のエージェントが企業と求職者の仲介を行う手法です。企業が求める人物像にマッチした新卒者を紹介してもらえるので、新卒採用にかかる手間や時間を削減できます。
人材紹介は成功報酬型の料金体系が基本です。企業への内定が決定した時点で料金が発生し、新卒者が内定を辞退した場合は返金されるケースもあります。新卒採用に多くのコストをかけられない中小企業にとって、成功報酬型というリスクの少ない料金体系を採用している人材紹介はメリットの多い採用手法といえるでしょう。
4.リファラル採用
リファラル採用とは、自社で働いている社員から大学の後輩を紹介してもらう採用手法です。「リファラル」とは紹介や委託を意味する英単語で、リファラル採用は別名リファラルリクルーティングとも呼ばれています。
リファラル採用は採用コストを極力抑えたい中小企業に適した採用手法であり、自社に合う人材を確保しやすいことが特長です。企業によっては紹介してくれた社員にインセンティブを付与する場合もありますが、他の採用手法に比べて大幅にコストを抑えた新卒採用を実現できます。
新卒採用における中小企業の課題解決には「キミスカ」がおすすめ
中小企業が新卒採用を行う場合は、母集団形成や採用コストの確保など解決しなければならない課題がいくつかあります。なかでも採用活動に割く時間と人員の確保は、多くの中小企業を悩ませる課題の一つです。
新卒採用を行う中小企業にとって、採用活動の効率化は欠かせません。そこで活用したいのが、新卒採用に特化した国内最大級のダイレクトリクルーティング「キミスカ」です。キミスカはスタートアップから大企業まで3,000社以上の企業で導入されており、「会いたい学生と出会える」と高く評価されています。
キミスカの特徴は、ダイレクトリクルーティングサービスで唯一のスカウトに種類を設けていることです。ノーマルスカウト・シルバースカウト・ゴールドスカウトの3種類があり、送信できるメッセージ数が異なります。スカウトの種類をはじめ、キミスカの詳細はこちらのページからご確認ください。