
『優秀な学生からの応募が集まらない』『内定を出しても辞退されてしまう‥』
新卒採用の難易度は年々上がっており、多くの人事担当者様が頭を悩ませています。その原因は、社会構造の変化と学生の価値観の多様化にあります。この記事では、新卒採用が難しい根本的な理由と、明日からでも実践できる具体的な対策をご紹介します。
中小企業の採用動向・課題
近年、中小企業における新卒採用は、以下のような課題に直面しています。
「新卒採用は厳しくなる」と、多くの企業が不安を抱えている
「新卒採用は厳しくなる」と不安を抱えている企業は、全体の76.6%を占めています。母集団の「量」の確保と、ターゲット学生を集める「質」の担保、その両面で難易度が上がっており、結果的に採用目標人数に届かない‥ということも考えられるでしょう。

参考:マイナビ「76.6%の企業が25年卒の新卒採用は「厳しくなる」と予想/2025年卒企業新卒採用予定調査」
自社の新卒採用が難しくなっている要因として「新卒学生全体の数が減っていること」「新卒採用をする企業が増えていること」が上位を占めています。限られた学生の母集団に対して、多くの企業がアプローチし合っている構図となっていることが、採用難易度が上がっている大きな要因と考えられます。

慢性的な人手不足
多くの中小企業が慢性的な人材不足を感じており、採用に意欲的です。日本人材ニュースの調査によると、企業の人材採用数は新卒採用、中途採用、アルバイト・パート、派遣のいずれも「増加・やや増加」が大きな割合を占めていることが分かります。ほぼ全ての職種でコロナ禍以前の水準を超えて活況しているため、幅広い職種で即戦力人材も求められていることが予想できます。

また、特に新卒採用では学生優位の売り手市場が続いています。リクルートワークスの調査によると、大卒求人倍率は『1.75倍』と求人数の増加に対して学生数が不足していることが分かります。そのため、慢性的な人手不足を解消するためには、今後も続く売り手市場の中で勝ち抜く対策を講じなければなりません。

新卒採用が難しい理由
中小企業が新卒採用を難しいと感じる理由は、大きく分けて以下の3つが挙げられます。
大企業との人材獲得競争の激化
学生は企業選びにおいて、知名度やブランド力を重視する傾向があります。特に、就職活動を始めたばかりの学生にとって、知名度の低い中小企業は選択肢に入りにくいのが現状です。
マイナビの調査によると、就活生が企業選びで重視する項目について「給料が良い」「自分の夢ややりたいことに近い業界」「業績が安定している」が上位を占める結果となりました。知名度や待遇面で大企業に劣る中小企業は、優秀な人材の確保に苦労しています。そのため、中小企業は自社の魅力を明確にし、効果的なアピールを行う必要があります。

参照:25卒就活生が企業選びで最も重視するポイント、「給料」を抑えた1位は?
採用コストが不足している
中小企業は使える予算と工数が少なく、限られた資源を効率的に活用する必要があります。マイナビの調査によると、マンパワー不足を感じている採用担当者の割合は7割を超えていることが分かります。

また、人事担当者の人数も限られているため、新卒採用担当部門の人数は「1~2人で担当している」と回答した人が、全体の50%以上となっています。そのため、採用広報活動や学生対応に追われ、採用業務全体の振り返りや改善に充てる時間が確保できない、という状況が予想されます。

新卒採用を成功させるための対策3選
厳しい採用環境が続く中、中小企業が新卒採用を成功させるためには以下のポイントを押さえることが重要です。
自社の魅力を明確にする
給与や福利厚生だけでなく、仕事のやりがいや成長機会、職場の雰囲気など、自社ならではの魅力を明確にし、学生にアピールしましょう。給与や福利厚生だけで勝負すると、大企業と比較した際に負けてしまう可能性が高いためです。
ジェイックの調査によると、内定承諾の決め手として「社風がいいと感じた、社員の雰囲気がいい」という理由が7割を超える結果となりました。そのため、選考中に自社の社風をリアルに伝えることで、企業に対する信頼度が増して内定承諾へ繋がることが予想できます。

さらに自社の魅力を打ち出すためには、活躍している若手社員のインタビュー記事や社内行事などを積極的に発信することもおすすめです。モデルとなる社員のキャリアステージを知ることで、実際に自分が働く姿がイメージしやすくなるためです。
自社の魅力を訴求するためには「採用メッセージ」として打ち出すことが有効です。詳しくはこちらの記事『採用メッセージとは?Z世代に刺さる新卒採用メッセージの作り方と効果を解説!』をご覧ください。
ターゲット学生を明確にする
自社の求める人物像を明確にし、ターゲット学生を絞り込むことが重要です。ターゲット像はスキルや経験だけでなく、価値観や性格も含め具体的に定義しましょう。
例えば、活躍している若手社員に適性検査を受検してもらい、共通項目を抽出することで、似た傾向を持つ学生へアプローチしやすくなります。一見似ているところが見えなくても、適性検査の結果が近しい場合、業務の進め方や志向性の親和性が高いことが期待できます。
ターゲット学生を明確にするためには「採用基準」の設定が不可欠です。具体的な作り方については、こちらの記事『採用基準でミスマッチを防ぐ!評価のブレをなくす具体的な作り方を解説』をご覧ください。
採用手法・プロセスの見直し
ターゲット像がある程度固まったら、ターゲット学生が多く利用している媒体(例:SNS、就職サイト、ダイレクトリクルーティングシステム、イベントなど)を選び、母集団の質を上げることが大切です。採用手法を見直すことで、より効率的にマッチする学生にアプローチしやすくなります。
選考途中での歩留まりを改善したり、自社への興味関心を引き上げる材料にもなるため、ぜひ検討してみてください。
- 選考期間を短縮する:学生の負担を軽減し、早期に内定を出すことで、優秀な人材を確保しやすくなります。
- オンライン面接を導入する:遠方の学生や学業・部活動が忙しい学生も応募しやすくし、応募者層を広げましょう。
- 現場社員との座談会を実施する:最終選考前に社員面談を入れることが、相互理解が深まり、学生の不安も解消することができます。
- フィードバックを充実させる:選考結果だけでなく、今後のキャリアに役立つフィードバックを提供しましょう。
主な新卒採用向けサービス【比較表付き】
近年、さまざまな新卒採用サービスが登場しています。メリット・デメリットと合わせてご紹介します。
就職情報サイト
企業の求人情報を掲載し、学生からの応募を募る手法です。大手ナビサイトとしてリクナビやマイナビなどが挙げられます。近年は、学生の口コミや企業評価なども掲載されており、情報収集の場としても活用されています。
メリット:利用学生・企業が最も多いため、母集団形成や認知度アップに期待できます。また、掲載プランやオプションが豊富で、企業のニーズに合わせて選択可能です。
デメリット:多数の企業が掲載するため、差別化を図る工夫が必要です。学生からの応募を待つ手法のため、採用ターゲット学生と必ず会えるとは限りません。
媒体名 | 特徴・メリット | 料金プラン |
---|---|---|
1.マイナビ | 業界最大級の掲載数と会員数。全国の学生を網羅。 多様なイベントやセミナーも開催。 | インターンシップ:30万円~ 3月以降(本サイト):80万円~ |
2.リクナビ | 豊富な企業情報とインターンシップ情報。 独自のスカウト機能も搭載。 | インターンシップ:50万円~ 3月以降(本サイト):120万円~ |
3.あさがくナビ | 少数精鋭の学生に特化。地方大学の学生にも強い。 手厚いサポートが特徴。 | 12週間:35万円~ 通年:70万円~ |
4.キャリタス就活 | 経団連加盟企業を中心とした掲載。 グローバル展開を目指す企業にも対応。 | インターンシップ:60万円~ 3月以降(本サイト):50万円~ |
5.ONE CAREER(ワンキャリア) | 質の高い情報が集まるクチコミサイト。 企業選びに慎重な学生に支持。 | 初期費用:30万 月額利用:10万/月~ |
就職方法サイトとダイレクトリクルーティングの比較、選び方については、こちらの記事『新卒採用成功の鍵!就職ナビサイトとスカウト型の徹底比較&選び方のポイントとは?』でも解説しておりますので、ぜひご覧ください。
ダイレクトリクルーティング
企業が学生に直接アプローチする手法のため、「攻め」の採用とも言われています。学生のプロフィールやスキルを見て、自社に合う人材にスカウトを送ることができます。
メリット:自社の魅力を伝えやすく、ターゲット学生に効率的にアプローチできます。 時期にとらわれないアプローチができるため、早期・通年採用で活用することが可能です。
デメリット:スカウトを送付する工数確保が必要です。また、ターゲット条件の設定・スカウト文章の作成など、学生に魅力を感じてもらうための工夫が重要です。
媒体名 | 特徴・メリット | 料金プラン |
---|---|---|
キミスカ | 3種類のスカウトで効率的なアプローチが可能。 活躍社員の傾向を分析しマッチング精度が高い。 | 3名枠~:75万円~ |
OfferBox | 利用企業・学生が最も多い。 オファーの流通制限を設けているため反応率の高さを維持している。 | 3名枠~:75万円~ 成果報酬:38万円 |
dodaキャンパス | 大学1~2年生向けにもイベントやインターンシップのオファーが可能。 低学年層への認知拡大、採用ブランディングにも活用できる。 | 3名枠~:60万円~ 成果報酬:30万円 |
キャリア チケット | 学生の個性や能力を重視したスカウト機能が特徴。 求める人物像に合致した学生に効率的にアプローチできる。 | 初期費用:30万円 6名枠~:150万円~ 成果報酬:40万円 |
Lab Base | 理系・情報系の学生に特化。研究内容やスキルなど、 専門性の高い情報を登録している学生が多い。 | 12か月:120万~ |
Cheer Career | 都市部の学生だけでなく、地方で活躍したい学生や、 地域に根差した企業で働きたい学生とのマッチングを支援。 | 月額:3万~×12か月 |
詳しくはこちらの記事『逆求人サイトのデメリットとは?知らないと損する7つの注意点と成功のコツを解説!』でも解説しておりますので、合わせてご覧ください。
新卒採用を成功させるなら「キミスカ」
弊社が運営している「キミスカ」は、就活生の3人に1人が活用するダイレクトリクルーティングシステムです。
特徴は「3種類のスカウトで効率的にアプローチ可能」「活躍社員の傾向を分析して、マッチングの精度を上げる」などがあります。ターゲット学生がどのくらいいるのか、デモ画面で学生の動きなどご覧いただけますので、お気軽にこちらからご相談お待ちしております。

※お問い合わせはこちら
新卒紹介
人材紹介会社が、企業の求める人物像に合った学生を紹介するサービスです。専門のアドバイザーが、学生の適性や希望を考慮してマッチングを行います。
メリット:採用活動の工数を削減し、効率的に優秀な人材を獲得できます。また、初期費用が発生しないことが多いため、リスクを最小限にしてスタート可能です。
デメリット:紹介手数料が発生するため、採用コストが高くなる傾向があります。文理や学歴によって差はありますが、平均的な採用単価は「学生1人あたり50万円前後~数百万円程度」と言われています。
イベント
合同企業説明会やインターンシップなど、学生と直接交流する機会を設ける手法です。
メリット:大人数の学生に対して自社の情報を伝えられるため、企業のPRやブランディングにも有効です。また、オンラインイベントも増加しており、場所や時間の制約を受けずに参加することもできます。
デメリット:準備や運営に時間と手間がかかるため、効率的な企画・運営が重要です。イベントは半日~1日拘束されるため、採用担当が1人の場合、他業務を考慮しながら進める必要があります。
採用アウトソーシング
採用活動の一部または全部を、外部の専門企業に委託するサービスです。採用戦略の立案から選考、内定者フォローまで、幅広い業務を委託できます。
メリット:採用活動の工数を大幅に削減し、コア業務に集中できます。また、採用のプロフェッショナルにノウハウを教えてもらうこともできます。
デメリット:委託費用が発生するため、費用対効果を慎重に検討する必要があります。コミュニケーションが取りやすいか、自社の状況に合わせて柔軟な対応を取ってくれるか見極めも重要です。
まとめ
本記事では、新卒採用の課題と対策を解説しました。最後に、重要なポイントを振り返ります。
■ 新卒採用が難しい3つの理由
- 大企業との人材獲得競争の激化
- 採用にかけられるコスト・リソースの不足
- 学生の価値観の多様化と、仕事選びの基準の変化
■ 採用を成功させるための3つの対策
- 社風や働きがいなど、自社独自の魅力を明確化する
- 求める人物像(ターゲット)を具体的に絞り込む
- ダイレクトリクルーティングなど、ターゲットに会える採用手法に見直す
厳しい環境だからこそ、戦略的なアプローチが不可欠です。これらの対策を実践し、貴社にマッチする優秀な人材の獲得を目指しましょう。