【新卒採用】母集団形成の方法とは?よくある課題と効果的なやり方を説明

母集団形成とは、求人への応募者を獲得するための活動全般のことです。人手不足による人材獲得競争が熾烈化する近年、どれほど良質な母集団を形成できるかが、新卒採用の成功を大きく左右するといっても過言ではありません。

この記事では、母集団形成の流れや具体的な手法について説明します。「自社に合った人材をより多く採用したい」「優秀な学生に興味を持ってもらいたい」という企業は、ぜひ実践してみてください。

母集団形成とは?

母集団とは、「自社の求人に応募する求職者」のことを指します。母集団形成は、求人に応募してくれる人を獲得する活動全般を意味します。

母集団形成は、新卒・中途にかかわらず、採用活動において非常に重要な取り組みです。まずは、母集団形成の基礎知識について見ていきましょう。

母集団の定義とは

先述したように、母集団は自社求人に応募してくれた求職者を意味しますが、詳細な定義は企業によって異なります。

母集団の定義の一例を挙げると、次のとおりです。

・プレエントリーした人
・本エントリーした人
・説明会に参加した人 など

母集団の範囲を広くするほど人材を取りこぼしにくくなるため、「数」を重視したい企業に向いています。一方で、母集団の範囲を狭くすると数は減りますが、より志望度が高い「質」のよい母集団を形成しやすくなります。

大切なのは、やみくもに数を増やすことではなく、質も重視しながら母集団形成を進めていくことです。

母集団形成が重要な理由

母集団形成は、近年の採用活動において重要度が高まっている取り組みです。その理由として、以下の3つが挙げられます。

  1. 人材獲得競争が激しくなったから
  2. 企業と学生のミスマッチを防ぐ必要があるから
  3. 戦略的な採用活動が必要になったから

どのようなことなのか、詳細を解説します。

人材獲得競争が激しくなったから

厚生労働省と文部科学省の発表によると、令和6年3月大学卒業者の就職率は98.1%であることがわかりました。この水準は調査開始以降同時期において過去最高であり、現在は「売り手市場」であることを表しています。

多くの企業が人材確保に力を入れている今、ただ応募を待つだけのスタンスでは、自社が求める人材の採用は困難になりつつあります。優秀な人材を集めるには、積極的に認知拡大に取り組み、企業自らが応募者を獲得しに行く姿勢が重要だと考えられているのです。

※出典:厚生労働省|令和6年3月大学等卒業者の就職状況(4月1日現在)を公表します

企業と学生のミスマッチを防ぐ必要があるから

公益社団法人全国求人情報協会によると、新卒者の5人に1人は転職志向を持って入社していることがわかっています。また、その後に勤続志向に転じている割合はわずか4割であることも判明しました。

転職志向を持っている新卒者の早期離職を防ぐには、入社後に業務内容やキャリアパスとのミスマッチが起きないように対策する必要があります。そのため、母集団形成の段階では、ただ就活生を集めるのではなく、自社でずっと働いてくれる人材をどれだけ集められるかを重要視することが大切なのです。

※出典:公益社団法人全国求人情報協会|2020年卒新卒者の入社後追跡調査

戦略的な採用活動が必要になったから

近年は単に人員を補充するだけではなく、事業戦略や企業としての成長を実現するために、戦略的に採用活動をする企業が増えています。そのため、採用要件にマッチする人材の明確化と、それに応じた母集団形成が重要になってきているのです。

例えば、採用したい学生の人数が20人の場合は、最終選考に30人、二次選考に50人、一次選考に80人の学生を集めなければいけないと考えられます。このように計画を立てて目標値を算出しておけば、より希望に近い採用活動を実現しやすくなるのです。

この際、十分な母集団を形成できなかったり形成した母集団の質が低かったりすれば、計画通りに採用活動を進めることはできません。採用活動を成功させるには、企業が主体となって良質な母集団を形成することが不可欠です。

母集団形成のメリット

新卒採用で母集団形成に取り組むと、次のようなメリットが得られます。

  • 採用活動を効率化できる
  • 入社後のミスマッチを防げる
  • 企業成長に直結する

各メリットの詳細を紹介します。

採用活動を効率化できる

募集の段階からターゲットを定めておくと、その後の選考における通過率を高めることができます。自社と相性のよい学生や志望度の高い学生に絞って選考を行えるようになるので、採用活動を効率化できるというメリットがあります。

短期間でスムーズな人材確保が可能になれば、採用担当者の業務負担軽減やコスト削減効果も得られるでしょう。

入社後のミスマッチを防げる

ターゲットを意識して母集団を形成できれば、ミスマッチを防いで定着率の向上につなげられます。

先述したように、近年は転職や独立を前提に就活する学生が増えてきました。せっかく採用した人材を早期に失うことがないよう、入社前からミスマッチを防ぐために取り組むことが大切です。

企業成長に直結する

自社にフィットする人材を採用できれば、業務の効率化や生産性向上につながります。また、定着率が向上すれば教育に割くリソースを抑えられるので、より収益に直結するコア業務に集中しやすくなるでしょう。

このように、良質な母集団を形成することには、企業成長を加速する効果もあるのです。

母集団形成の課題と解決策

母集団形成によくある課題として、以下の2つが挙げられます。

1.母集団形成が増えない
2.母集団形成の質が低い

母集団形成を成功させるには、自社が抱える課題を理解して、それに適した対処を行う必要があります。ここでは、各課題の詳細を確認していきましょう。

【母集団形成の課題】1.母集団が増えない

1つ目の課題は、母集団が増えないことです。十分な数の母集団を形成できなければ、優秀な人材の採用はおろか、応募者の獲得すら難しくなる可能性が高まります。

母集団が増えない場合は、「求人情報が認知されない」「認知されていても企業の魅力が伝わっていない」ことが原因であると考えられます。積極的に学生へアプローチして認知拡大するか、ターゲットに適した訴求への見直しが必要になるでしょう。

【母集団形成の課題】2.母集団の質が低い

2つ目の課題は、母集団の質が低いことです。応募数が多くても途中で辞退されてしまう、求める人材にマッチしない学生からの応募が多い場合は、このケースに該当します。

母集団の質を高めるには、「求める人物像の明確化」「訴求メッセージの統一」が重要となります。応募してほしいターゲットを整理したうえで、ターゲットの思考や行動に適したアプローチやメッセージの発信を行いましょう。

新卒採用における母集団形成の方法

母集団形成を行うときは、以下のプロセスで準備やアプローチを進めていきましょう。

1,新卒採用の目的を明確にする
2,母集団形成のターゲットを定める
3,採用計画を立てる
4,採用活動を実施する

ここでは、各プロセスのポイントを紹介します。

1.新卒採用の目的を明確にする

はじめに、新卒採用を行う目的を明確にしましょう。

とにかく若手を増やしたい
将来の幹部候補を採用したい
・営業部の人員を確保したい
・専門知識を持つ人材が欲しい

上記のように、具体的な目的を設定することが重要です。

このときに、分野・領域ごとにどのような人材を抱えているのかを整理する「人材マッピング」を活用することがおすすめです。自社に足りない人材を洗い出し、将来的にどのような人材が必要になるのかを予測できれば、新卒採用の目的を明確化しやすくなります。

2.母集団形成のターゲットを定める

次に、母集団形成のターゲットを定めていきましょう。

ターゲットを特定するには、次の2つの方法が有効です。

・演繹的アプローチ:未来の事業や理想の組織から逆算する
・帰納的アプローチ:今活躍している人材をもとにする

どちらのアプローチを採用するにしても、人事や経営者だけではなく、現場の声を反映することが大切です。実際に新卒社員と働くことになる現場の意見を取り入れることで、より実態に即したターゲット設定が可能になります。

3.採用計画を立てる

目的とターゲットが明確になったら、採用計画の詳細を決めていきましょう。

まずは、「どのようなポジションに何名必要なのか」「各ポジションに求めるスキルや経験は何なのか」を整理します。年齢・職種・雇用形態ごとに人員構成を整理し、将来どのように変わるかを予測しながら、採用すべき学生の数を逆算しましょう。

そこから、準備期間や選考期間、採用方法、予算などの詳細な採用計画を整理します。

なお、採用計画を立てる際には、「求める人物像」を明確にすることが重要です。求める人物像の作り方については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

4.採用活動を実施する

ここまでの準備が完了したら、採用活動を開始しましょう。具体的な採用活動の手法については、のちほど詳しく説明します。

重要なのは、「求職者は企業が発信する情報をもとに判断する」ということです。そのため、積極的な情報発信と自発的なコミュニケーションを心がける必要があります。

企業の魅力や仕事の内容、キャリアパスなどを丁寧に伝えて、質の高い母集団形成につなげましょう。

5.採用活動を振り返り、改善する

採用活動が終わったあとは、振り返りと改善を繰り返しましょう。

具体的には、以下のような点を振り返ることがおすすめです。

・どれくらいの母集団を形成できたか
形成された母集団の質はどうだったか
・どの採用チャネルが効果的だったか
・選考プロセスは適切だったか

上記の項目を評価して継続的な改善を行うことで、より効果的な母集団形成ができるようになっていきます。

母集団形成の具体的な手法

母集団を形成するときは、さまざまな手法が活用できます。

以下で紹介する手法を参考にして、自社のターゲットに適した採用活動を行っていきましょう。

ダイレクトリクルーティング

良質な母集団形成を目指す企業に最もおすすめなのが、企業自らターゲットにアプローチする「ダイレクトリクルーティング」という手法です。近年注目を浴びているスカウトサービスが一例として挙げられます。

ダイレクトリクルーティングでは、企業が自社にマッチする人材を探して、積極的に接点を創出します。そのため、ターゲット学生を狙い撃ちして、効率的に採用活動を進められるのです。

ダイレクトリクルーティングを行うときは、専用のサービスを活用しましょう。採用人数に応じた料金プランになっているためコストを抑えられる点、中小企業でも学生に知ってもらいやすい点が大きなメリットです。

新卒採用向けのダイレクトリクルーティングサービス「キミスカ」には、活躍社員と類似している学生を検索できる機能が搭載されています。効率的に良質な母集団を形成したい企業は、ぜひ活用してみてください。

キミスカの概要については、こちらの資料でご確認いただけます。

求人ポータルサイト

求人ポータルサイトは、新卒採用におけるメインの手法です。多くの学生が利用するため、母集団を形成しやすい点がメリットです。サイト上で連絡や選考を行える点も、うれしいポイントでしょう。

一方で、大手企業に注目が集まるため中小企業は見つけてもらいにくい点、求人掲載費用が高額な点、母集団の質を担保できない点がデメリットです。中小企業の場合は、求人ポータルサイトだけに頼りきるのではなく、他の手法と組み合わせることをおすすめします。

求人ポータルサイトとダイレクトリクルーティングサービスを併用するときのポイントは、こちらからご覧いただけます。

人材紹介

人材紹介は、いわゆる「転職エージェント」や「就活エージェント」を指します。

自社が求める人材を紹介してもらえるので、良質な母集団を形成しやすいというメリットがあります。採用担当者の工数を削減したい場合は、非常に有用性が高いといえるでしょう。

ただし、採用時の手数料が高額な点、自社に採用のノウハウが蓄積されない点がデメリットとして挙げられます。また、大量に母集団を形成したいときには不向きです。

ハローワーク

厚生労働省が運営するハローワークも、母集団形成には有効です。中途採用向けのイメージを抱かれやすい手法ですが、「新卒応援ハローワーク」というサービスも提供されているので、新卒採用の際も活用できます。

ハローワークのメリットは、無料で掲載から採用までできる点、助成金の対象になる点です。

その一方で、自社の採用基準に満たない人材からの応募も多くなりやすい点に注意が必要です。質の高い母集団形成は難しい傾向にあります。

合同説明会・就活イベント

合同説明会や就活イベントへの積極的な出展も、母集団形成にはおすすめです。

幅広い層の学生からの認知を獲得でき、直接アプローチすることもできる点は大きなメリットです。新しい層の母集団形成を希望しているときは、非常に効果的でしょう。

ただし、一人ひとりと丁寧にコミュニケーションを取ることは難しく、イベントによっては参加者自体が少ないことも多いという懸念点があります。また、短時間で企業の魅力を伝える必要があるので、念入りにブースや資料、プレゼンテーションの準備をしなければいけない点にも注意しましょう。

企業説明会

自社が開催するオンライン・オフラインの企業説明会で母集団を形成することも可能です。

求人に掲載できない情報を詳細に伝えたり、一人ひとりと十分にコミュニケーションを取ったりすることができます。そのため、良質な母集団形成が可能です。

ただし、知名度が低い企業の場合は、そもそも十分な参加者を集めることが難しい点に注意しましょう。さらに、内容によっては応募意欲低下につながるおそれもあるため、準備や実施に十分なリソースを投入しなければいけません。

インターンシップ

実際に自社で働いてもらうインターンシップは、意欲の高い学生の母集団形成に有効です。学生の能力や適性を直接確認できて、学生にも自社の業務内容や雰囲気を深く理解してもらえるので、ミスマッチの防止に効果的です。

インターンシップには多くのメリットがありますが、学生の負担にならないよう、開催時期に気をつける必要があります。また、受け入れる企業側の負担が大きくなりやすい点にも注意しましょう。

カジュアル面談

カジュアル面談とは、採用担当者や先輩社員と学生が気軽に行う面談です。お互いの情報交換を目的としており、履歴書を用意してもらったり合否の判定を下したりすることはありません。

相互理解を促進できるカジュアル面談では、学生のことを深く理解することができます。また、有意義な情報を提供することで、学生の志望度を高められるというメリットもあります。そのため、質のよい母集団形成に効果的なのです。

ただし、学生一人ひとりに時間を割く必要があるので、大幅に工数が増加する点に注意しましょう。さらに、面談の内容によっては企業イメージが低下するリスクもあります。

キャンパス内セミナー

キャンパス内セミナーは、大学や専門学校を会場として実施する企業説明会です。

校内で開催できるため、セミナー参加のハードルを下げられます。また、開催校での母集団形成に有効なので、重点的に人材を採用したい大学がある場合はおすすめです。

ただし、形成できる母集団の大きさが限られてしまうという注意点もあります。大学との調整が必要になるので、必ずしも希望を叶えられるわけではありません。

メディア・SNS

自社の採用サイトでの情報発信や、SNSを活用したPR活動は、数を重視して母集団を形成したい企業に適しています。

今の学生は求人サイトだけではなく、さまざまな方法を組み合わせて企業の情報を収集しています。もちろん、SNSや企業メディアからも情報を集めているので、企業が自社の魅力について自発的に発信することが大切です。

社風や仕事内容を自然な形で知ってもらえれば、ミスマッチの防止に効果を発揮してくれます。ただし、運用の費用と工数がかかる点に注意が必要です。

リファラル採用

リファラル採用とは、従業員の紹介を通じて人材を採用する手法です。新卒採用では、先輩社員が後輩を紹介するケースが該当します。

お互いによく知ったうえで選考に進めるため、社風や文化にフィットする人材を獲得しやすいというメリットがあります。その一方で、大きな母集団形成には適していないというデメリットに注意が必要です。

母集団形成を成功させるポイント

母集団形成を成功させるには、「ターゲットへの深い理解」と「客観的な視点」が欠かせません。

ここでは、必ず意識しておきたい2つのポイントを詳しく説明します。

ターゲット分析を行う

質の高い母集団形成には、ターゲット分析が不可欠です。

・ターゲットが閲覧する媒体は?
・参加するイベントは?
・競合と比較するポイントは?
・アンテナを張っている情報は?

上記のような分析を通じて、ターゲットへの理解を深めていきましょう。そうすることで、タッチポイントや訴求内容の見極められるようになり、母集団形成の効率化・低コスト化を実現しやすくなります。

学生理解を深めたい企業は、ぜひこちらの資料を参考にしてみてください。

客観的な視点で取り組む

母集団形成の際は、企業の主観で情報提供してしまわないように注意しましょう。「ターゲットはきっとこの情報を求めている」「こんな人材がいれば企業が成長する気がする」などの思い込みは排除して、根拠にもとづいて取り組むことが大切です。

・競合や市場の状況
業界全体の動向
・応募者のニーズ
・自社の状況

上記について客観的な視点で調査して、採用戦略に反映しましょう。

ただし、市場の状況や応募者のニーズは常に移り変わるので、一度の調査で終わりにしてはいけません。再調査や効果測定を繰り返し、その時々に応じた対応を心がけてみてください。

良質な母集団形成ならキミスカをご活用ください!

新卒採用で求める人材を獲得するには、良質な母集団形成が不可欠です。優秀な学生からの応募を一件でも多く獲得するためにも、この記事で紹介した母集団形成の手法を実践してみてください。

コストを抑えつつ効率的に良質な母集団形成を目指すなら、ダイレクトリクルーティングサービスの活用がおすすめです。

キミスカは、企業の知名度やブランドイメージにかかわらず、質の高い母集団形成に効果的なダイレクトリクルーティングサービスです。企業数とのバランスを考慮しながら学生登録数を調整しているので、数と質の両方を重視して母集団形成をしたい企業に適しています。

さらに、サポートを受けながら採用活動を進められるので、自社に採用のノウハウを蓄積しやすい点もメリットです。採用活動や母集団形成に課題を抱えている企業は、ぜひ「キミスカ」までご相談ください。

キミスカのサービス概要は、こちらからご覧いただけます。