新卒採用の難易度が高まっている中、採用メッセージの重要性が増しています。
学生数の減少、売り手市場、そしてZ世代の多様な価値観に対応するため、従来の採用手法では限界があるためです。本記事では、なぜ今、採用メッセージが企業にとって不可欠なのか、その背景から具体的な作成・発信方法、成功事例まで、採用担当者が知っておくべき全てを解説します。
効果的な採用メッセージで、貴社に最適な人材を惹きつけましょう。
採用メッセージとは？定義と企業にもたらす3つの効果
まずは、採用メッセージの定義や効果について見ていきましょう。
採用メッセージの定義：単なる会社説明ではない学生への約束
採用メッセージとは、企業が採用候補者（特に新卒学生）に対して、自社の魅力、ビジョン、文化、働く環境、求める人物像などを伝え、興味喚起や応募促進、入社意欲の向上を目的として発信するコミュニケーション全般を指します。これは、単に事業内容や待遇を説明するだけの「会社説明」とは異なります。
採用メッセージは、学生に対して「この会社で働くことで、あなたはどのような経験を得られ、どのように成長できるのか」「私たちはあなたに何を提供できるのか」といった、いわば企業から学生への約束を伝えるものです。そこには、学生の心に響き、感情を動かし、行動を促すための戦略的な意図が込められていなければなりません。
採用メッセージがもたらす3つの主要な効果
適切に設計・発信された採用メッセージは、企業に主に以下の3つの大きな効果をもたらします。
- 認知度の向上と興味喚起
ターゲットとする学生層に対して、自社の存在や魅力を効果的に伝え、まずは「知ってもらう」きっかけを作ります。そして、彼らが「この会社についてもっと知りたい」と感じるような興味や関心を喚起します。 - 企業理解の深化と魅力付け：
企業の理念や事業内容、社風、働く環境、キャリアパスといった多角的な情報を提供することで、学生の企業理解を深めます。同時に、自社ならではの強みや働くことの意義を具体的に伝えることで、学生にとっての魅力を高め、応募意欲を醸成します。 - 応募者の質の向上とミスマッチの低減：
自社が本当に求める人物像や価値観を明確に発信することで、それに合致する学生からの応募が増加し、応募者の質的向上に繋がります。また、入社前に企業のリアルな姿を伝えることで、入社後のギャップを減らし、早期離職といったミスマッチを大幅に低減させる効果が期待できます。
これらの効果は、採用コストの最適化や採用担当者の負担軽減、さらには入社後の社員の活躍と定着にも繋がり、企業全体の成長に貢献します。
採用メッセージ作成における企業の心構え
効果的な採用メッセージを作成するためには、企業側にいくつかの重要な心構えが必要です。
まず第一に、「学生視点」を徹底することです。企業が伝えたいことだけを一方的に発信するのではなく、学生が何を知りたいのか、何に不安を感じ、何に期待しているのかを深く理解し、そのニーズに応える形でメッセージを構築する必要があります。
次に、「正直であること」そして「具体的に伝えること」です。実態とかけ離れた情報を発信したりすることは、かえって学生の不信感を招き、ミスマッチの原因となります。企業の強みも弱みも誠実に、そして具体的なエピソードやデータを用いて伝えることが、信頼関係構築の第一歩です。
最後に、「一貫性を保つこと」です。採用サイト、説明会、SNS、面接など、あらゆる接点において発信するメッセージに一貫性を持たせることで、企業のブランドイメージが明確になり、学生の混乱を防ぐことができます。これらの心構えを持つことが、真に学生の心に響き、企業の採用成功に繋がるメッセージを生み出すための土台となるのです。
採用メッセージを作成する具体的なステップとは
学生の心に響き、採用成果に繋がる採用メッセージは、決して思いつきや場当たり的な作業から生まれるものではありません。
ここでは、効果的な採用メッセージを作成するための具体的なステップを、順を追って詳しく解説していきます。
1：採用メッセージの核を作る！自社の強み（EVP）徹底分析
採用メッセージ作成の出発点は、「自社が学生に提供できる独自の価値は何か？」を徹底的に掘り下げ、明確にすることです。これを「EVP（Employee Value Proposition：従業員価値提案）」と呼びます。
EVPは、給与や福利厚生といった有形の報酬だけでなく、仕事のやりがい、成長機会、良好な人間関係、企業文化、社会貢献といった無形の価値も包みます。まずは、以下の問いについて、社内で多角的な視点から議論し、情報を収集・整理しましょう。
2：具体的な言葉選びのコツ：学生目線で分かりやすく、魅力的に
採用メッセージの言葉選びは、学生に与える印象を大きく左右します。専門用語や業界用語、社内用語の多用は避け、学生にも理解しやすい平易な言葉で、具体的かつ魅力的に伝えることを心がけましょう。 以下に、言葉選びの具体的なコツをいくつかご紹介します。
学生の言葉に翻訳する
企業が当たり前のように使っている言葉も、学生にとっては馴染みがない場合があります。「当社のコアコンピタンスは～」ではなく、「私たちが他社に負けない一番の強みは～」のように、学生の視点に立った言葉遣いを意識しましょう。
具体性を持たせる
「成長できます」「やりがいがあります」といった抽象的な言葉だけでは、学生には何も伝わりません。
「入社1年目で〇〇のプロジェクトに参加し、△△のスキルを習得することで、顧客から直接感謝される経験を通じて成長を実感できます」のように、具体的な状況や行動、結果を示すことで、メッセージに説得力とリアリティが生まれます。
五感を刺激する言葉を使う
五感を刺激する言葉を使うことで、より会社の雰囲気がイメージしやすくなります。
例えば、「活気のあるオフィス」「風通しの良い社風」といった表現も、「若手社員の笑い声が絶えない、明るく開放的なオフィス」「役職に関わらず、誰もが自由に意見を言い合える、オープンな雰囲気の会議」のように、視覚や聴覚に訴えかける言葉を使うことで、学生はより鮮明にイメージしやすくなります。
問いかける言葉を使う
学生に問いかける言葉を入れることで、当事者意識を喚起し、メッセージへの関与度を高めることができます。
例えば、「あなたなら、この課題にどう取り組みますか？」「5年後、どんな自分になっていたいですか？」という問いかけを、学生目線で丁寧に質問することが重要です。また、作成したメッセージは、実際にターゲットに近い学生や若手社員に読んでもらい、分かりにくい点や伝わりにくい点がないかフィードバックをもらうのも有効です。
3. ポジティブな情報だけでなく、誠実さも伝えるバランス感覚
企業の魅力を最大限に伝えたいという思いから、採用メッセージではついポジティブな情報ばかりを強調してしまいがちです。しかし、あまりにも良いことずくめのアピールは、かえって学生に「本当だろうか？」「何か隠しているのではないか？」といった疑念を抱かせる可能性があります。特に情報リテラシーの高い現代の学生は、企業が発信する情報を鵜呑みにせず、SNSや口コミサイトなどで多角的に情報を収集する傾向があります。
そこで重要になるのが、ポジティブな情報とネガティブな情報（あるいは課題や困難な側面）をバランス良く、誠実に伝える姿勢です。
- 仕事のやりがいや達成感を語ると同時に、そこに至るまでの厳しさや乗り越えるべき壁、プレッシャーなども率直に伝える。
- 華やかな成果だけでなく、地道な努力や失敗から学んだ経験も共有する。
- 自社の強みだけでなく、現在抱えている課題や、それに対してどのように取り組んでいるのかをオープンにする。
こうした誠実な情報開示は、学生からの信頼感を高め、「この会社は正直だ」「ありのままを見せてくれている」というポジティブな印象に繋がります。また、入社前に企業のリアルな姿を理解することで、入社後の「こんなはずではなかった」というミスマッチを減らし、早期離職の防止にも効果的です。
媒体別に最適化！効果を最大化する採用メッセージの発信戦略
どれだけ素晴らしい採用メッセージを作成しても、それが適切な場所で、適切な方法で発信されなければ、ターゲットとする学生に届き、その心を動かすことはできません。
本セクションでは、主要な採用媒体別に、効果的なメッセージ発信戦略のポイントを解説します。
自社採用サイト・会社説明資料
自社採用サイトや会社説明資料は、学生が企業の詳細な情報を得るための最も基本的な情報源であり、いわば企業の「採用の顔」となる重要なメディアです。
採用サイトでは、トップページに最も伝えたい企業の核心的なメッセージや採用コンセプトを配置し、各詳細ページでそれぞれの情報を補強していく構造が一般的です。社員インタビュー、プロジェクトストーリー、動画コンテンツ、ブログ記事などを組み合わせることで、多角的で魅力的な情報発信が可能です。図やグラフ、写真を多用し、文字情報ばかりにならないよう注意が必要です。
これらの媒体では、一貫したブランドイメージとトーン＆マナーを保ちつつ、学生が知りたい情報を過不足なく、かつ魅力的に提供することが求められます。コンテンツは定期的に更新し、常に最新の情報を提供することも忘れずに行いましょう。
求人広告・ナビサイト
求人広告や就職ナビサイトは、多くの学生が企業を探す際の入り口となる媒体ですが、掲載できる情報量には限りがあり、数多くの競合企業の情報の中に埋もれてしまいがちという特性があります。そのため、これらの媒体では、瞬時に学生の目を引き、興味を持たせ、詳細情報（採用サイトなど）へ誘導するための、強力なキャッチコピーや短いリード文が極めて重要になります。
まず、ターゲットとする学生（ペルソナ）がどのようなキーワードで企業を検索し、どのような言葉に反応するのかを徹底的に分析します。その上で、自社のEVPや採用コンセプトを凝縮し、学生のベネフィット（その企業で働くことで何が得られるのか）を明確に打ち出した、具体的で魅力的なキャッチコピーを作成します。
例えば、「未経験からプロへ！充実研修でIT業界の未来を創る」「年間休日125日以上！ワークライフバランスを大切に成長できる環境」のように、具体的な数字やメリットを盛り込むのも効果的です。
ダイレクトリクルーティングシステム
ダイレクトリクルーティングにおけるスカウトメールは、企業が「欲しい」と考える学生に対して、直接アプローチできる非常に有効な手段です。しかし、多くの学生は複数の企業からスカウトメールを受け取っており、ありきたりな内容や一斉送信のような文面では、開封すらされずに埋もれてしまう可能性が高くなります。
スカウトメールで学生の心を掴むためには、「なぜあなたに興味を持ったのか」「自社であなたがどのように活躍できると期待しているのか」といった、個別最適化された「あなただけの特別感」を演出するメッセージが不可欠です。本文では、なぜその学生にスカウトを送ったのかという理由を具体的に述べ、その学生の経験やスキルが自社でどのように活かせるのか、どのようなキャリアを歩める可能性があるのかを提示しましょう。
ダイレクトリクルーティングシステムの1つで、弊社が運営している「キミスカ」は、活躍人材の特徴を分析しマーケティング思考を活かした採用支援を行っています。こちらからお気軽にお問い合わせください！
会社説明会・選考（面接）
会社説明会や選考（面接）は、企業と学生が直接顔を合わせ、リアルタイムでコミュニケーションを取る貴重な機会です。これらの場では、事前に準備した採用メッセージを言葉で伝えるだけでなく、話し方、表情、態度といった非言語的なメッセージも、学生に与える印象を大きく左右します。
例えば、会社説明会では、企業の理念やビジョン、事業内容、仕事の魅力などを、熱意を持って、かつ分かりやすく伝えることが求められます。一方的な説明に終始せず、質疑応答の時間を十分に設けたり、若手社員との座談会を実施したりすることで、学生の疑問や不安を解消し、企業への親近感を高めることができます。
選考（特に面接）は、企業が学生を見極める場であると同時に、学生が企業を見極める場でもあります。面接官は、高圧的な態度や否定的な言葉遣いを避け、学生の個性や能力を引き出すような、傾聴と対話の姿勢を心がけましょう。
※面接の際に知っておくべきタブーや質問例については、こちらの記事『採用面接で「聞いてはいけないこと」とは？採用担当者が知っておくべきタブーと質問例について解説します！』で詳しく解説しておりますので、あわせてご覧ください。
SNS（X, Instagram, TikTok, YouTube等）
現代の学生にとって、SNSは日常的な情報収集・コミュニケーションツールであり、採用活動においてもその活用は不可欠です。
例えば、X（旧Twitter）、Instagram、TikTok、YouTube、LINEなど、各SNSプラットフォームはそれぞれ異なる特性やユーザー層を持っているため、それぞれの特性を理解し、ターゲットとする学生層や発信したいメッセージの内容に合わせて、戦略的に使い分けることが重要です。
SNSで採用メッセージを発信する際のポイントは、一方的な情報発信だけでなく、学生からのコメントや質問には積極的に返信し、双方向のコミュニケーションを心がけることです。また、社員が個人アカウントで自社の魅力を発信したり、公式アカウントの投稿をシェアしたりすることも効果的です（ただし、炎上リスクには十分注意が必要です）。
【事例で学ぶ】すぐに使える採用メッセージの型とシーン別例文集
理論や戦略を理解しても、いざ実際に採用メッセージを作成するとなると、どのような言葉で表現すれば良いのか悩んでしまう採用担当者様も多いのではないでしょうか。
このセクションでは、より具体的にイメージしていただけるよう、様々なシーンで活用できる採用メッセージの「型」と、それを基にした「例文」をいくつかご紹介します。
キャッチコピー編：企業や職種の魅力を一言で伝える例文
キャッチコピーは、採用サイトのトップページ、求人広告のタイトル、説明会の冒頭など、学生が最初に目にする重要なメッセージです。そのため、短い言葉で企業や職種の核心的な魅力を伝え、学生の興味を一瞬で引きつける必要があります。
以下、採用キャッチコピー例を3つご紹介します。
型1：【ベネフィット提示型】「〇〇で、△△な未来を。」
→学生がその企業で働くことで得られる具体的なメリットや将来像を提示する型
例：「最先端技術で、不可能を可能にする未来を。」（IT・テクノロジー系企業）
例：「地域と共に、笑顔あふれる豊かな未来を。」（地域密着型企業）
型2：【問いかけ共感型】「〇〇なあなたへ。△△しませんか？」
→学生の特性や志向に問いかけ、共感を呼び起こし、行動を促す型
例：「挑戦を恐れないあなたへ。世界を変える第一歩を、ここで踏み出しませんか？」（ベンチャー企業）
例：「誰かの役に立ちたいあなたへ。その想いを私たちの仕事で形にしませんか？」（社会貢献性の高い企業）
型3：【独自性強調型】「〇〇こそ、私たちの強み。」
→企業の最も特徴的な強みや独自性をストレートに打ち出す型
例：「若手が主役。成長スピードこそ、私たちの強み。」（成長企業）
例：「100年の伝統と革新。歴史を力に変えることこそ、私たちの強み。」（老舗企業）
企業理念・ビジョン編：共感を呼ぶストーリー調の例文
企業の理念やビジョンは、抽象的な言葉だけでなく、共感を呼ぶストーリーとして語りかけることが効果的です。
なぜこのビジネスをやっているのか・今後どうなっていきたいかを盛り込みながら、感情に訴えるストーリーを作ってみましょう。以下、例をご紹介します。
「私たちが〇〇（事業・サービス）を始めたのは、△△という強い想いがあったからです。□□な社会を実現するために、私たちは挑戦し続けます。」
例：「私たちがこの教育サービスを始めたのは、『すべての子どもたちに、学ぶ喜びと未来への希望を届けたい』という強い想いがあったからです。家計や地域に関わらず、誰もが質の高い教育を受けられる社会を実現するために、私たちは革新的な学びの形を追求し続けます。未来を担う子どもたちの可能性を最大限に引き出すこと、それが私たちの使命です。」
仕事の魅力編：具体的な業務内容とやりがいを伝える例文
学生が最も知りたい情報の一つが、具体的な仕事内容とそのやりがいです。どのような業務に携わり、どのようなスキルが身につき、どのような達成感が得られるのかを具体的に伝えましょう。以下、例をご紹介します。
「あなたにお任せしたいのは、〇〇（具体的な業務）です。この仕事を通じて、あなたは△△というスキルを磨き、□□といった大きなやりがいを感じることができるでしょう。」
例文：「あなたに最初にお任せしたいのは、クライアント企業の課題をヒアリングし、最適なソリューションを企画・提案するコンサルティング業務です。この仕事を通じて、あなたは高度な分析力やプレゼンテーション能力を磨き、クライアントから『ありがとう、君のおかげで課題が解決できたよ』と直接感謝される、大きなやりがいを感じることができるでしょう。企業の成長を最前線で支援する、ダイナミックな仕事です。」
求める人物像編：学生への期待を込めたメッセージ例文
どのような学生に来てほしいのか、企業からの期待を伝えるメッセージです。単にスキルや能力を列挙するだけでなく、共に成長していきたいという想いを込めることが大切です。以下、例をご紹介します。
型：【現状のスキル不問＋ポテンシャル期待型】
「現時点での知識やスキルは問いません。私たちが求めているのは、〇〇な姿勢と△△な意欲を持った方です。私たちと一緒に、□□な未来を創造していきませんか。」
例文：「現時点でのプログラミング経験や専門知識は一切問いません。私たちが求めているのは、新しいことを学ぶことへの好奇心と、チームで協力して目標を達成しようとする協調性、そして社会をより良くしたいという熱い情熱を持った方です。入社後の充実した研修とOJTで、あなたは着実に成長できます。私たちと一緒に、テクノロジーの力で、より快適で便利な未来を創造していきませんか。あなたの無限の可能性に期待しています。」
採用メッセージ作成で陥りがちな失敗例と注意点
ここでは、採用メッセージ作成において企業が陥りがちな失敗例と、事前に知っておくべき注意点を解説します。
ターゲット設定の曖昧さが招く失敗
「万人受け」を狙うのではなく、「特定の層に深く響く」メッセージを目指すことが重要です。例えば、「成長したい人、集まれ！」「アットホームな職場です！」といったメッセージは、具体性に欠け、どの企業でも言えそうな内容です。このようなメッセージでは、ターゲット学生の心に響かず、その他大勢の企業情報の中に埋もれてしまいます。
解決策として、採用メッセージ作成の初期段階で、自社が本当に求める人物像（ペルソナ）を具体的かつ明確に設定することが有効です。ペルソナの価値観、興味関心、キャリア観などを深く理解し、そのペルソナに「刺さる」言葉や訴求ポイントを絞り込みましょう。
自社本位で一方的なメッセージになってしまうケース
企業の歴史や実績、事業規模の自慢ばかりを前面に出し、学生側のメリットや視点が欠如している訴求は逆効果です。例えば、「当社は創業〇年の歴史を持ち、業界シェアNo.1を誇ります。素晴らしい実績を持つ当社で、あなたも活躍しませんか？」といったメッセージは、学生にとっては「だから何？」と感じさせてしまう可能性があります。
解決策として、常に「学生が何を知りたいのか」「学生にとってどのようなメリットがあるのか」という視点を持ち、学生目線での情報提供を心がける必要があります。企業の強みや実績を伝える際も、それが学生の成長やキャリアにどう繋がるのか、社会にどのような価値を提供しているのか、といった観点から語ることが重要です。学生との対話を意識し、一方的なアピールにならないよう注意しましょう。
発信するメッセージと実態の乖離が引き起こす問題
発信するメッセージと実態が乖離している場合、ミスマッチを引き起こす要因となってしまいます。例えば、採用メッセージで「残業なし」「自由な社風」を謳っているが、実際には長時間労働が常態化していたりするケースです。
これは最も避けるべき失敗であり、学生の信頼を著しく損ないます。入社後に実態を知った学生は早期離職する可能性が高く、企業の評判低下にも繋がります。
解決策として、採用メッセージは、必ず企業の「ありのままの姿」に基づいて作成することを徹底しましょう。社内でメッセージ内容と実態に齟齬がないか、複数の視点から確認するプロセスを設けることも重要です。
【事例】人気企業の採用メッセージ
人気企業の採用メッセージ例をご紹介します。目を惹くトップページやメッセージを参考に、自社でも取り入れられる要素が無いか見ていきましょう。
株式会社リクルートホールディングス
株式会社リクルートホールディングスでは「機会」という採用メッセージにクローズアップして訴求しています。
「雨に打たれる（＝昨今の社会情勢や困難な場面）ことがあっても、前向きに自分の成長機会を捉え、変化を楽しめる人を求めている」ということが想像できるのではないでしょうか。大企業とはいえ、まだまだベンチャー精神を持つ学生を採用していきたいことも予想できます。
伊藤忠商事株式会社
伊藤忠商事株式会社では、「情熱」という採用メッセージをシンプルに伝えています。
情報社会で育ち、効率化を求めるZ世代に対して、少し古いかもしれませんが「昭和を感じさせる情熱を持って働こう」という訴求にも感じられます。目に入りやすい赤い炎ではなく、内なる闘志で燃えたぎる「アオい炎（情熱）」を持つ学生を探しているのではないでしょうか。
まとめ
本記事では、「採用メッセージ」をテーマに、その重要性から基本的な考え方、戦略的な作成ステップ、具体的な表現方法、媒体別の発信戦略、そして効果を高めるための＋αの施策や注意点に至るまで、網羅的に解説してきました。
近年の新卒採用市場では、学生数の減少や価値観の多様化により、採用メッセージが極めて重要になっています。学生視点を徹底し、正直かつ具体的に、一貫性のあるメッセージを発信することが成功の鍵です。
自社採用サイト、求人広告、SNSなど、媒体ごとに最適化した戦略で効果を最大化し、企業の魅力と求める人物像を明確に伝える採用メッセージを打ち出していきましょう！
