
求める人物像は、採用企業にとっても学生にとっても指針となる重要なものです。求める人物像を適切に設定することで、企業と学生のミスマッチを減らし、より自社の業務や文化に合致する人材を採用することができます。
この記事では、新卒採用における「求める人物像」の重要性や作り方、採用活動のポイントを詳しく解説します。新卒採用戦略の基盤となる知識を、しっかりと学んでいきましょう。
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採用活動で重要な「求める人物像」とは?
求める人物像とは、企業が発展を目指すうえで必要となる人物の素質・要件を具体的に言語化したものです。わかりやすく言い換えると、「企業の抱える課題を解決する素質を持った、一緒に働きたい人材のプロフィール」ということになります。
求める人物像は、企業にとっては採用の軸となり、就活生にとっては企業との相性を見極める判断材料となります。適切に設定された求める人物像は、採用活動全体の指針として、優秀な人材獲得に役立ってくれるでしょう。
求める人物像を構成する2つの要素
求める人物像は、外面的な要素である「ハード面」と、内面的な要素である「ソフト面」で構成されます。
それぞれの違いと具体的な内容は、表のとおりです。
ハード面 | 学歴資格語学力専門知識・スキル など |
ソフト面 | 性格価値観コミュニケーション能力リーダーシップ など |
ハード面とソフト面の両方をバランスよく組み合わせることで、より具体的で効果的な「求める人物像」を策定しやすくなります。
採用活動で求める人物像を設定すべき理由
採用活動を行うときは、必ず求める人物像を設定すべきです。なぜなら、次のようなメリットが得られるためです。
・採用活動の方向性を決められる
・現場と経営層のミスマッチを防げる
・自社と相性のよい学生を採用しやすくなる
求める人物像の設定は、採用におけるミスマッチの解消に役立ちます。学生は求める人物像を知ったうえで企業の選考を受けるので、自社の価値観や文化に合う学生を引き付けやすくなるでしょう。
さらに、企業が必要としている人材が明確になっていれば、選考のときにひとつの基準となってくれます。採用にかかわるすべての人が共通した基準を持っていれば、一貫性のある採用活動が可能になるでしょう。
求める人物像と関連用語の違い
「求める人物像」と混同されやすい用語として、「採用基準」と「採用ペルソナ」が挙げられます。
ここでは、それぞれの違いを確認していきましょう。
求める人物像と「採用基準」の違い
採用基準は、採用するかどうかを判断するための具体的な条件を定めたものです。例えば、「TOEIC 700点以上」「簿記2級以上」などの条件が該当します。
一方で、求める人物像はより広範な能力や行動特性を含む概念として活用されます。まずは求める人物像を策定して、具体的な採用基準に落とし込んでいくことが一般的です。
つまり求める人物像は、採用基準を決めるための基礎となる要素であると言い換えられます。
求める人物像と「採用ペルソナ」の違い
ペルソナとは、典型的な顧客モデルのプロフィールやライフスタイルを設定した、具体的な人物像を意味するマーケティング用語です。「人材要件」といわれることもあります。
これを採用活動に当てはめたものが「採用ペルソナ」で、採用したい人材の詳細な情報を定めている点が特徴的です。例えば「中堅国立大卒で経済学部の学生。東京23区在住で、ライフスタイルは…」と、実在する人物のように具体的に設定していきます。
どちらも採用したい人材を言語化したものですが、ペルソナのほうがより詳しい情報を盛り込んでいる点が異なります。
調査からみる「求める人物像」
実際に採用活動を行っている企業は、どのように求める人物像を設定しているのでしょうか。
ここでは、求める人物像に関する他社の傾向を見てみましょう。
企業が「求める人物像」の一覧
帝国データバンクの調査によると、求める人物像の上位10項目は次のとおりであることがわかっています。
1.コミュニケーション能力が高い
2.意欲的である
3.素直である
4.真面目、または誠実な人柄である
5.明るい性格である
6.専門的なスキルを持っている
7.前向きな考え方ができる
8.行動力がある
9.精神的にたくましい
10.主体性がある/忍耐力がある
特に、新卒採用では「コミュニケーション能力が高い」「精神的にたくましい」の割合が高く、中途採用では「真面目、または誠実な人柄である」「専門的なスキルを持っている」の割合が高い傾向にありました。
このことから、新卒採用と中途採用では求める人物像が大きく異なることがわかります。
業界・職種別の「求める人物像」
求める人物像は、業界・職種によっても変わってきます。
例えば、営業職では「積極性」や「外向性」、販売・サービス系では「配慮・サービス性」、金融系や専門職系では「緻密性」や「機敏性」が重要視されます。
ポイントは、業務や企業カルチャーをしっかりと把握して、そこにフィットする人物像を描くことです。求める人物像は各企業によって異なってよいので、まずは自社について理解を深めることが大切です。
採用活動を成功させる「求める人物像」の作り方
採用活動を左右する求める人物像は、以下のように適切なプロセスで作る必要があります。
1.人材を採用する目的を明確にする
2.現場の意見を反映する
3.社風や企業風土を整理する
4.「求める人物像」をまとめる
ここでは、各プロセスの詳細を見ていきましょう。
1. 人材を採用する目的を明確にする
人材を採用することで、何を実現したいのかを明確にしましょう。
・どこに配属するのか
・どのような業務を任せるのか
・どのような成果を得たいのか
上記のような要素を整理して、そのために必要な能力や経験、性格などを逆算していきます。大切なのは、実際の業務環境に照らし合わせることです。理想像ではなく、現実的な人物像を描くことを意識してみてください。
2. 現場の意見を反映する
人事や経営層だけでは、各現場で求めている人物像を正確に把握することは難しいものです。そのため、現場にヒアリングしながら求める人物像をより深掘りしていく必要があります。
また、現場で活躍している社員をモデルに、求める人物像の要素を洗い出すことも有効です。このときにリストアップした要素には、優先順位をつけておきましょう。
3. 社風や企業風土を整理する
自社について理解することは、学生との相性を見極めるうえで重要なプロセスです。企業カルチャーや働き方の特徴、社員の属性などを整理して、自社がどのような企業なのかを言語化しておきましょう。
自社にとって当たり前のことも、就活生にとっては目新しく貴重な情報になります。自分たちで気づけないことがありそうな場合は、家族や取引先といった第三者から意見を募ってみることもおすすめです。
4. 「求める人物像」をまとめる
ここまでに整理した情報をもとに、求める人物像についてまとめていきましょう。まずは、以下のように箇条書きで要素をリストアップしてみてください。
・論理的思考力がある
・チームワークを重視する
・新しい技術に興味がある
・顧客志向の姿勢を持っている
・TOEIC○○点以上
このように大まかな要素が抽出できたら、実際の採用活動に即して内容をブラッシュアップしていきましょう。経営陣に確認してもらったり配属予定の部署に意見を聴いたりしながら、求める人物像を仕上げます。
この際、非現実的な内容になっていないかを確認しておくことが大切です。「求めるレベルが高すぎる」「ターゲットが少なすぎる」など、新卒採用の市場に合わない人物像を設定することがないように注意しましょう。
「求める人物像」を効果的に活用するためのポイント
適切に求める人物像を作成して採用活動へ活かすために、次のようなポイントを意識してみてください。
1.具体性を追求する
2.実際の採用活動に反映する
3.関係者内で情報を共有する
4.書き方を工夫する
各項目の詳細を説明します。
1.具体性を追求する
求める人物像を作成するときは、具体性を意識しましょう。受け取り手によって解釈が変わってしまうことがないように、誰にでもわかりやすい人物像を描くことが重要です。
例えば、「コミュニケーション能力が高い人材」の基準は人によって異なります。この場合は「顧客のニーズに対して柔軟に対応できる人材」と表現することで、自社が求める人材や重要視しているポイントを的確に伝えやすくなるでしょう。
2.実際の採用活動に反映する
求める人物像を設定したら、その内容をもとに採用活動を設計していきましょう。例えば、「コミュニケーション能力が高い人材」を求めている場合は、採用面接で接客のロールプレイングを行ってみるとよいかもしれません。
他にも、会社説明会やエントリーシート、インターンシップの内容など、さまざまなシーンで活用しましょう。求める人物像を起点に採用戦略を立てていくことで、一貫性のある採用活動を実現しやすくなります。
3.関係者内で情報を共有する
求める人物像を作成したら、人事だけではなく経営層や現場など、採用や採用する人材にかかわるすべての関係者に共有しておきましょう。関係者全員が共通認識を持てると、選考基準や学生に対する対応に一貫性が生まれやすくなります。
また、採用活動を進めながら意見交換を行い、必要に応じて求める人物像の見直しをすることも大切です。
4.書き方を工夫する
求める人物像を学生に伝えるときは、書き方を工夫する必要があります。
例えば、「ITリテラシーが高く、やる気がある学生」では、どのような人材が求められているかわかりにくくなってしまいます。
・必須要件:(ソフト名)の使用歴〇年
・歓迎要件:○○ができる
・価値観:チャレンジへの意欲が強い
上記のように、項目分けや優先順位をつけてわかりやすく情報を伝えることを意識しましょう。
【テンプレート】「求める人物像」の記載例
どのように求める人物像を書けばよいかわからないときは、ぜひこちらのテンプレートを活用してみてください。
【必須要件】
大学卒以上
Word、Excel、PowerPointの簡単な操作が可能な方
普通自動車免許(AT限定可)
【歓迎要件】
○○学部を卒業した方
TOEIC○○点以上の方
【求める人物像】
自発的に考えて行動に移せる方
チームで協力した経験がある方
英語での業務に抵抗がない方
上記のように具体的に書くことで、自社と相性のよい学生に応募してもらいやすくなります。
「求める人物像」を採用するために企業が取るべき行動
求める人物像にマッチした人材を獲得するには、学生からの応募を待っているだけの「受け身の採用活動」では不十分です。
ここでは、人材獲得競争が激化するこれからの市場で、「求める人物像」を採用するために企業が取るべき行動について説明します。
早くから情報発信を開始する
自社に合った優秀な人材を獲得するためにも、情報発信は早くから開始しましょう。
内閣府の調査※1では、インターンシップが開始されるタイミングで「就活が始まった」と考える学生が多いことがわかっています。さらに、就活解禁前後で広報や選考活動がピークになるというデータ※2も出ています。
就活の解禁日は、政府の要請※3により3月1日以降(2025年時点)とされています。しかし、就活解禁以降に就活生へのアプローチを始めると出遅れてしまう可能性が高いため、それ以前から情報発信などを通じ、自社の存在を学生にアピールすることが大切です。
ただし、広報活動の開始日前に情報発信をする場合は、不特定多数へ向けた一般的なPRや、選考活動に影響を与えない広報活動にとどめることが大切です。自社製品や企業の取り組みなどに関する情報発信を通じて、ターゲットとなる学生とのエンゲージメントを高めておきましょう。
(※1)出典:内閣府|学生の就職・採用活動開始時期等に関する調査結果について(概要)
(※2)出典:内閣府|企業の採用活動に関する実態調査 調査結果報告書(概要版)
(※3)出典:内閣官房|就職・採用活動に関する要請
積極的にアプローチする
売り手市場の近年、求人を出して応募を待っているだけでは、学生に自社を知ってもらうことはできません。より求める人物像に合った人材を採用するには、自ら行動を起こして学生の選択肢に入れてもらう取り組みが不可欠です。
積極的に学生へアプローチする方法としては、次のようなものが有効です。
・就活イベントへの参加
・SNSを活用した学生とのコミュニケーション
・合同説明会などでの積極的な声掛け
・OB・OG訪問の積極的な受け入れ
・より多くの就活媒体への求人出稿
ターゲットとする学生の行動や自社のリソースに応じて、可能な範囲で学生との接点を増やしていくことが大切です。
インターンシップを実施する
求める人物像にマッチした学生を採用するには、インターンシップの実施が有効です。
2025年以降、企業は特定のインターンシップで取得した学生情報を、広報活動や採用選考活動に使用できるようになります。つまり、インターンシップを実施することで、より学生のスキルや価値観を知ったうえで採用活動を行いやすくなるのです。
学生にコミュニケーションの場を提供する
インターンシップを実施できない場合や、より可能性を広げたい場合は、学生にコミュニケーションの場を提供する手法が有効です。例えば、研究室訪問やオンライン座談会、体験型イベントの開催などが挙げられます。
学生と直接交流すれば、求める人物像について深く知ってもらうことができ、自社で働くメリットも伝えられます。より熱意の高い学生からの応募が期待できるようになるでしょう。
定期的に自社の魅力を伝える
採用活動では、定期的に学生へアプローチして自社の魅力を伝え続けることが重要です。一度の情報発信や接点の創出では、確実に応募につなげることが難しいためです。
「この企業いいかも」と思ってもらえても、時間が経過するごとに熱意が低下したり忘れられたりすることは珍しくありません。「ここで働きたい」という学生の意欲を維持するためにも、継続的に接点を持って自社の魅力を発信し続けましょう。
「求める人物像」の獲得に有効な採用方法
求める人物像にマッチする人材の獲得には、以下の採用方法が有効です。
1.ダイレクトリクルーティング
2.人材紹介
3.リファラル採用
ここでは、各手法の特徴について見ていきましょう。
1.ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングは、企業がターゲットとなる学生に直接アプローチする採用手法です。人材獲得競争が激化する近年注目を浴びはじめた手法で、自社を認知していない潜在層へのアプローチにも高い効果を発揮します。
ダイレクトリクルーティングは、企業が主体的かつ能動的に接点を創出する「攻め」の採用です。そのため、求める人物像に合った学生を狙い撃ちできるというメリットがあります。
なお、SNSや就活イベントを通じてターゲットにアプローチするだけではなく、ダイレクトリクルーティングサービスを活用して採用活動を行うことも可能です。
ダイレクトリクルーティングサービスは採用人数に応じた料金形態になっていることが多いため、採用コストを抑えつつ希望に沿った人材を採用しやすい点が特徴です。また、学生と直接やり取りをして選考を進めていくので、人材紹介に比べると自社にノウハウを蓄積しやすいという利点もあります。
ダイレクトリクルーティングサービスについては、こちらの資料で詳しく説明しています。あわせてご覧ください。
2.人材紹介
人材紹介は、いわゆる「転職エージェント」や「就活エージェント」を指します。人材を採用したい企業と求職者をマッチングする、有料の採用支援サービスです。
新卒向けの人材紹介サービスを利用すれば、自社の希望に近い人材の紹介を受けられるため、効率的に採用活動を進められます。また、応募者との日程調整や各種手続きの支援など、キャリアアドバイザーからサポートを受けられる点もうれしいポイントでしょう。
ただし、人材紹介は採用者一人あたりのコストが高く、自社に採用ノウハウを蓄積しにくいというデメリットがあります。大量採用を希望する企業や、採用活動の内製化を希望する場合は注意が必要です。
3.リファラル採用
リファラル採用は、従業員などから大学の後輩や知人を紹介してもらう手法です。人柄や能力をよく知る社員からの紹介なので、採用活動の精度を向上できるというメリットがあります。
その一方で、採用や入社に至らなかった場合、紹介した人とされた人の関係性に悪い影響が出てしまうリスクがある点に注意が必要です。リファラル採用を導入する際は、公平な選考プロセスの確立や紹介者・被紹介者への適切なフォローアップなど、トラブルを防ぐための準備が必要になります。
「求める人物像」に合った人材採用ならキミスカ
求める人物像は、新卒採用において、企業と学生の両方にとっての指針となる重要な情報です。自社にフィットする人材を獲得するためにも、業務内容や企業カルチャーをしっかりと整理したうえで、現場の意見を反映させながら求める人物像を策定していきましょう。
求める人物像に近い学生を採用するには、ただ求人情報を掲載して応募を待つ「受け身」の採用活動では不十分です。企業のほうからターゲットにアプローチする「攻め」の採用活動で、優秀な人材の獲得を目指すことが重要です。
求める人物像に合った人材採用を目指すなら、ぜひダイレクトリクルーティングサービスのキミスカをご活用ください。キミスカには、自社と相性のよい学生にスカウトメールを送ったり、活躍社員と類似している学生を検索したりする機能が実装されているので、効率的にターゲット学生へアプローチできます。
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キミスカの特徴や機能については、こちらの資料で詳しく紹介しています。