採用ファネルとは?フェーズごとの取り組み方や活用メリットを解説

人材獲得競争の激化によって、採用活動の進め方に悩む企業は少なくありません。そこで注目を浴びているのが、マーケティング分野で用いられてきた考え方をもとにした採用ファネルです。

本記事では、採用ファネルの意味や主な種類から活用方法まで詳しく解説します。採用ファネルの考え方や取り組み方を参考に、効率的な採用活動を実現しましょう。

採用ファネルとは

採用ファネルとは、採用活動のプロセスを可視化したフレームワークのことです。ファネルは元々マーケティング分野で用いられていた用語で、顧客が商品やサービスを認知してから、購入および申し込みに至るまでの流れを図式化したものを指します。

このファネルを採用活動に落とし込んだものこそ、近年注目を集めている採用ファネルです。就活生に認知してもらう段階から応募、内定、入社後に至るまでのプロセスをフェーズに分け、採用活動の効率化を狙います。

採用ファネルの活用によって就活生の動向を可視化できれば、採用活動の効率化を図ることが可能です。また、母集団の形成や、自社に適した人材確保に役立てる企業も少なくありません。

採用ファネルが注目されるようになった背景

採用ファネルが注目されるようになった理由の一つに、人材獲得競争の激化があります。近年、日本では少子化が加速しており、労働力人口の確保は多くの企業の悩みの種です。いかに母集団を形成し、より自社に適した優秀な人材を確保できるかが問われる今、商品やサービスのマーケティング戦略を採用活動に落とし込んだ採用ファネルに注目が集まりました。

採用ファネルを活用すれば、採用活動をフェーズごとに細かく分析できます。自社に足りていない要素や必要な対応を可視化することで、厳しい人材獲得競争を勝ち抜くための戦略を立てることが可能です。

採用ファネルは採用マーケティングの代表的なフレームワークであり、採用活動の効果を最大化するための鍵となります。必要に応じて調整したり、改善したりすることで長く活用できるモデルなので、この機会に活用を検討してみましょう。

採用ファネルの種類3つ

採用ファネルは大きく3種類に分類されます。それぞれの特徴やフェーズを解説しているので、自社に適した採用ファネルの導入を検討しましょう。

1. パーチェスファネル

パーチェスファネルとは、採用活動を5つのフェーズに分けたモデルのことです。パーチェスは「買う」を意味し、マーケティング分野でも採用活動でも認知から始まるモデルとなります。

パーチェスファネルの5つのフェーズは、以下の通りです。

1.認知
2.興味・関心
3.応募
4.選考
5.内定

パーチェスファネルを活用するメリットは、就活生に認知してもらってから応募、内定に至るまでのプロセスを可視化できることです。認知から興味・関心あるいは応募に至らなかった理由や課題を発見できるので、採用活動における自社の弱点を洗い出せます。

また、内定辞退者の続出に頭を悩ませている場合は、内定のフェーズを細かく分析することで内定辞退を避けられるようになるでしょう。

2. インフルエンスファネル

インフルエンスファネルとは、入社後の動きに注目したモデルのことです。内定までのプロセスを5つのフェーズに分けたパーチェスファネルとは異なり、インフルエンスファネルは入社から紹介・発信までを5つのフェーズに分類します。

以下に、インフルエンスファネルの5つのフェーズをまとめました。

1.入社
2.配属
3.活躍
4.愛着・継続
5,紹介・発信

インフルエンスファネルは、人材の定着に不安がある企業におすすめのモデルです。適切な配属先や、新入社員に活躍してもらうための対応について分析することで、自社に愛着を持ってもらうことを狙います。

また、自社の魅力の紹介・発信方法を見直し、より多くの就活生に情報を提供できれば、新たな応募者を集めることも可能です。

3. ダブルファネル

ダブルファネルとは、パーチェスファネルとインフルエンスファネルを組み合わせたモデルのことです。就活生が企業を認知するフェーズから入社後の動向まで、採用活動のプロセスをトータルでカバーできます。

ダブルファネルの10フェーズは、以下の通りです。

1.認知
2.興味・関心
3.応募
4.選考
5.内定
6.入社
7.配属
8.活躍
9.愛着・継続
10.紹介・発信

ダブルファネルを活用すれば、認知や応募のフェーズから入社後の定着、紹介・発信フェーズまでの総合的な改善を実現できます。採用活動の課題を見つけるだけでなく、入社後を見据えた採用活動を実現するためにも、ダブルファネルの活用は欠かせません。

採用ファネルのフェーズごとの取り組み方

ここからは、採用ファネルのフェーズごとの具体的な取り組みを見ていきましょう。ここではパーチェスファネルの取り組みを基本とし、入社後のフェーズはまとめて解説しています。

認知

採用ファネルの最初のフェーズは、就活生に企業を知ってもらう段階である「認知フェーズ」です。どれだけ魅力的な企業であっても、就活生に認知してもらわないことには魅力を伝えられません。認知フェーズでは一人でも多くの就活生に認知してもらうことを目標に、求人サイトはもちろんのこと、InstagramやXなどのSNSも駆使して企業の魅力や業務内容をアピールすることが大切です。

認知フェーズの具体的な取り組みは、以下の通りです。

・求人サイトに掲載する
・ダイレクトリクルーティングサービスを活用する
・SNSで情報発信する
・会社説明会を開催する
・インターンシップを実施する

なかでもダイレクトリクルーティングサービスの活用は、企業の認知度を高めるために効果的な取り組みです。ダイレクトリクルーティングサービスは従来の採用手法とは異なり、企業側から就活生にアプローチする手法を指します。就活生を待つのではなく、自ら就活生にコンタクトをとる攻めの採用手法であり、企業の認知度の向上や自社に適した人材の確保に最適です。

ダイレクトリクルーティングサービスのキミスカは、導入企業数2,100社※を突破しています。また、累計66.1万人※の就活生が登録しているため、より多くの就活生に認知してもらうことが可能です。
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興味・関心

採用ファネルの2つ目のフェーズは、「興味・関心フェーズ」です。このフェーズでは自社を認知した就活生のなかでも、とくに応募を検討している就活生に対して積極的なアプローチを行います。採用イベントやSNSを通じて自社の魅力や強みをアピールし、次のフェーズの応募へとつなげましょう。

・企業ホームページや求人サイトの情報を充実させる
・採用イベントや座談会を開催する
・SNSで情報発信する
・インターンシップを実施する

興味・関心フェーズのポイントは、自社のアピールポイントの具体化と明確化です。同業他社とは違う魅力をアピールすることで、より多くの就活生の興味・関心を引きましょう。

また、企業ホームページやSNSに新入社員インタビューをはじめとする画像や動画を掲載するのもおすすめです。何よりもわかりやすさを重視し、「雰囲気がよさそう」「この企業で働きたい」と感じてもらう必要があります。

応募

興味・関心フェーズを経て、「応募フェーズ」へと移行します。採用活動において、いかに多くの応募者を獲得できるかが重要です。なかなか応募者が増えない場合は、この前段階である認知フェーズと興味・関心フェーズを見直す必要があります。

応募フェーズの具体的な取り組みは、以下の通りです。

・応募手順を明確にする
・応募フォームの見直しを行う

応募フェーズでは、応募手順と応募フォームの見直しを行います。応募手順が複雑化している場合は、就活生がスムーズに応募できるように手順を明確にしましょう。あわせて応募フォームの形式を整えることで、応募のハードルを下げることが可能です。

選考・内定

応募フェーズに続いて、「選考・内定フェーズ」へと移ります。選考・内定フェーズは企業が就活生を評価するプロセスではありますが、高く評価した就活生に選んでもらえないことには採用活動の成功とはいえません。自社に適した人材を確保するために、丁寧な対応と適切なフォローを心がけましょう。

選考・内定フェーズの取り組みは、以下を参考にしてみてください。

・選考内容の見直しを行う
・面接時間の短縮を実現する
・面接担当者の研修を実施する
・就活生への丁寧な対応と迅速なレスポンスに努める
・内定者懇親会を開催する

タイムパフォーマンスを重視する世代の就活生に選んでもらうためには、選考内容および面接時間を見直す必要があります。人材の見極めにあまり効果のない選考を行っている場合や、面接時間が長すぎる場合は、徹底的に無駄を排除しましょう。また、面接担当者の研修を行い、タブー視されている質問や態度について確認することも重要です。質の高い面接を行うことで、優秀な人材に魅力を感じてもらいやすくなります。

内定者に対しては、内定者懇親会をはじめとする親睦会の開催がおすすめです。就活生は入社後の生活に不安を感じているため、入社前に同期となる人たちや先輩社員と顔を合わせておくことは安心材料となるでしょう。

入社後

採用ファネルの最後のフェーズは、新入社員の入社後の動向です。採用活動は就活生を採用したら終わるものではなく、入社後の適切なサポートまで求められます。新入社員に存分に能力を発揮し、できるだけ長く働いてもらうには、配属先の決定や悩みを共有する場の形成など、さまざまな場面に気を配らなければいけません。

以下に、入社後の具体的な取り組みをまとめました。

・新入社員研修を実施する
・新入社員へのフォロー体制を整える
・定期的に1on1ミーティングを行う
・人事評価制度を見直す
・スキルアップ制度を整える
・キャリアパスを共有する
・リファラル採用を導入する

社員の定着率を向上させるには、各種制度の見直しが必須です。なかでもスキルアップ制度は就活生へのアピールにもなるため、社員のスキルアップをサポートする制度を設けることをおすすめします。具体的には、必要な研修を実施したり、資格取得をサポートしたりするのが効果的です。

また、キャリアパスを明確にして共有することも検討しましょう。キャリアパスが曖昧なままでは、働くモチベーションが生まれず、離職を考える社員も出てくるかもしれません。採用した新入社員の定着を促すためにも、キャリアパスの共有は重要です。

採用ファネルを活用するメリット5つ

採用ファネルによって採用活動のプロセスを可視化できれば、採用活動における自社の課題が見つかり、効率的な採用活動を実現できるようになります。

以下に採用ファネルの主な活用メリットを5つ挙げたので、それぞれ見ていきましょう。

潜在層にアプローチできる

採用ファネルを活用する大きなメリットは、より多くの就活生にアプローチできることです。採用活動といえば、就活生が企業を検索して応募する流れが一般的ですが、採用ファネルの第一フェーズである認知フェーズを見直すことで、企業側から就活生へのアプローチが可能になります。これにより顕在層だけでなく、企業のことを知らない就活生や今すぐの応募を考えていない潜在層にもアプローチをかけることが可能です。

潜在層にアプローチするには、まず自社について知ってもらう必要があります。商品やサービス、企業そのものの認知度を高めたい企業は、採用ファネルの認知フェーズの取り組みを参考にしてみてください。

母集団を形成できる

母集団とは、調査対象となる要素の集団のことです。採用活動における母集団とは、自社に興味を持っている就活生の集まりを指します。採用活動では母集団の形成が重要な役割を担っており、母集団を形成できなければ、自社に合わない人材をも採用しなければならない状況に陥る場合も少なくありません。

採用ファネルを活用すれば、採用活動における課題を分析でき、母集団を形成しやすくなります。また、目標の採用人数に合わせた無理な採用活動を避けられるので、企業にとっても就活生にとっても有意義な採用活動を実現できるでしょう。

採用後のミスマッチを防止できる

採用後のミスマッチによって、早期離職を選択する新入社員は少なくありません。早期離職は企業にとっても新入社員にとってもデメリットが大きいため、選考の段階で採用後のミスマッチを避ける取り組みを行う必要があります。

採用ファネルの活用によって自社の魅力を最大限にアピールすることは、採用後のミスマッチ防止に効果的です。内定辞退者や早期離職者の続出に頭を悩ませている場合は、採用ファネルで対処法を分析することをおすすめします。

優秀な人材を確保できる

採用ファネルの活用は、優秀な人材の確保にも役立ちます。認知から内定、入社後までフェーズごとに適切な対応をとることは、採用活動の質の向上に効果的です。採用活動の質が高まると、応募者が増え、自社に合う優秀な人材も集まりやすくなります。

優秀な人材を確保するには、まず自社が求める人物像を明確にしなければなりません。そして、採用ファネルを活用して自社が求める人物像にアプローチをかけ、自社に魅力を感じてもらう必要があります。企業の魅力は社風や業務内容などさまざまですが、採用活動の質の高さも魅力の一つです。採用ファネルを活用して採用活動の質を向上させることは、優秀な人材を確保することにつながります。

採用コストを削減できる

採用した人材が早期離職してしまうと、新たな人材を確保するために一から採用活動を始めなければなりません。再度、採用コストも必要になり、早期離職した新入社員を採用するためにかけたコストが無駄になってしまいます。

その点、採用ファネルで採用活動における適切な対応について分析すれば、早期離職を避けられるため最低限のコストで採用活動を終わらせることが可能です。また、採用手法を見直すことで、求人広告にかかるコストも抑えられるでしょう。採用コストの削減方法を模索している場合は、採用ファネルで無駄なコストやかけるべきコストを分析してみてください。

採用ファネルの効果を最大限に得る方法

ここからは、採用ファネルの活用方法を解説します。採用ファネルの効果を高めるために、以下の3つの方法を試してみてください。

採用活動の目的を明確にする

採用ファネルの効果を最大化するポイントは、採用活動の目的を明確にすることです。採用活動を成功させるには、やみくもに就活生の人数を確保することは適切とはいえません。達成したい売上や解決したい課題、目指す企業の在り方などを洗い出し、どのような人材を求めているかを明確にしましょう。

採用活動の目的を明確にし、理想とする人物像が見えてきたら、ターゲットとなる就活生へのアプローチを始めます。自社にマッチした就活生を採用すれば、入社後のミスマッチを避けられるので、早期離職のリスクも低下するでしょう。

データを分析する

採用ファネルは採用活動をただ細かくフェーズ分けしたものではありません。フェーズごとに取り組むべきことを定めて、自社に足りていないものを分析しやすくするためのフレームワークです。フェーズごとにデータを分析し、課題解決を目指さなければ意味をなしません。

採用ファネルの活用でデータを収集したら、採用活動における自社の弱点や課題を洗い出します。さらに、「どこで就活生が離脱したのか」「なぜ応募に至らなかったのか」などを細かく分析し、採用活動の質を高めることが重要です。

新たな採用手法を検討する

採用ファネルの効果を高めるために、新たな採用手法を取り入れるのもおすすめです。近年、さまざまな採用手法が登場しており、求人サイトや人材紹介といった従来の採用手法以外にも効果的な手法が複数あります。

例えば、自社で働いている社員におすすめの人材を紹介してもらうリファラル採用や、交流会形式で行われるミートアップ、1対1で行うカジュアル面談などが有名です。また、SNSを駆使した採用手法も主流になりつつあります。

なかでも注目したいのが、企業側が就活生にアプローチするダイレクトリクルーティングサービスです。キミスカは新卒採用に特化したダイレクトリクルーティングサービスで、多額の広告費をかけずとも就活生に出会えると高評価を得ています。

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