採用代行(RPO)とは?メリットや特徴、サービスを徹底比較!


採用代行はRPO(Recruitment Process Outsourcing)とも呼ばれ、企業の採用活動全体または一部を外部の専門業者が代行するサービスのことを指します。採用プロセスの最適化や効率化を図ることができるため、採用代行の活用を検討する企業が増加しています。

今回は採用活動のコスト削減、効率化の手助けとなる「採用代行(RPO)」について解説します。特徴やメリット、おすすめサービスについてもご紹介しますので、ぜひ自社に合う手法を検討してみてください!

採用代行(RPO)が注目される背景

なぜ採用代行が注目されるようになったのか、要因を見ていきましょう。

売り手市場が続いている

新卒採用市場では、売り手市場が続いています。企業側の採用目標数が増えている一方で、新卒学生全体数は減少しているためです。採用難の要因として、少子化の影響で「新卒学生全体の学生が減っていること」がトップであることがマイナビの調査でも明らかになっています。

そのため、広報活動や説明会開催など、自社に興味を持ってもらうために多様な採用手法を取り入れる必要があります。売り手市場が今後も続いていく中で、採用担当者の業務量は増えていくことが予想されます。

参照:マイナビ2025年卒企業新卒採用予定調査

採用活動の通年化

採用の多様化が進んだことにより、通年で新卒採用を実施する企業が増えています。

採用活動を終了する時期について「11月以降も継続する予定の企業は55,5%」というマイナビの調査結果から、一括採用に代わり通年採用が注目を集めていることが分かります。タイミングにとらわれない人材確保ができるメリットがある一方で、採用充足までに時間がかかり採用担当者の工数増大につながるデメリットもあります。

参考:マイナビキャリアリサーチ2024年卒企業新卒内定状況調査

売り手市場と通年採用の影響で、採用難は今後も続いていくことが予想されるため、従来通りではない新たな観点から採用手法を検討する必要があります。そのため、採用代行を活用し、より効率的な採用の実現を目指す企業が増えています。

採用代行(RPO)のメリット

採用難が続く中で、採用代行を活用するメリットについて、以下解説します。

採用コストの削減

新卒採用活動には、求人広告掲載費、説明会会場費、面接官の人件費など、多くのコストがかかります。採用代行を利用することで、これらのコストを最適化し、削減することが可能です。

特に新卒採用においては、限られた期間で大量の応募者とやり取りする必要があります。そのため、採用代行を活用することで説明会運営、エントリー受付、書類選考といった煩雑な業務から解放され、学生への魅力付けや見極めといったコア業務に集中できるのが大きなメリットです。

採用成功率の向上

採用のプロフェッショナルに依頼してノウハウを活用することで、よりマッチする人材を獲得しやすくなります。

初期設計(ターゲット学生のすり合わせや戦略をコンサルティング)などをしてもらい、最適な採用手法を提案してもらえるため、採用コストを最小限に抑えながら、採用成功が期待できます。

また、採用代行会社は、同業他社事例や、効率的な採用プロセスを構築するためのノウハウを持っているため、採用コストを削減しながら、より効率的な採用活動が期待できます。

採用ノウハウの蓄積

採用代行を利用することで、自社に採用ノウハウを蓄積することができます。専門企業との連携を通じて、最新の採用トレンドや効果的な採用手法を学ぶことができるためです。

これらのノウハウは、今後の採用活動に活かすことができ、より質の高い採用体制を構築することに繋がります。

採用活動の柔軟な対応

企業のニーズに合わせて、柔軟に対応できる点もメリットの1つです。

例えば、特定の時期に採用活動を強化したい場合や、特定の職種に特化した採用活動を行いたい場合など、様々な要望に対応できます。また、採用代行に依頼したい業務と、自社でそのまま対応したいコア業務を棚卸しすることで、適材適所で効率的な採用が実現します。

そのため、採用代行を活用することで常に最適な採用体制を維持し、変化する採用市場に柔軟に対応することができます。

採用代行(RPO)に依頼するデメリット

では、採用代行を活用するデメリットとは何があるのでしょうか。以下解説します。

自社の文化理解の不足

外部の業者が採用を行うため、企業文化や社風とのマッチングが難しくなる可能性があります。そのため、RPOを導入する際には、最初に自社の価値観や求める人材像をしっかり伝えることが重要です。

採用代行会社との密なコミュニケーションを通じて、企業の理念やビジョン・職場の雰囲気を共有し、導入部分での認識ズレが起こらないようにしましょう。

初期費用が発生する

初期費用が発生するため、費用対効果を考慮する必要があります。ただし、長期的なコスト削減や採用成功率向上を考えれば、結果的に利益につながることが多いです。

採用業務の一部を代行してもらうことで、人事担当者の負担を軽減し、他の重要な業務に集中できる時間が増えます。さらに、採用代行の専門知識やノウハウを活用することで、採用活動全体の効率化や質の向上も期待できます。初期投資だけでなく、長期的な視点でのROI(投資対効果)をしっかりと見極めることが重要です。

情報管理のリスク

応募者情報の取り扱いに関して、適切な管理体制を敷く必要があります。個人情報の管理が甘く事故が起こった場合、サービスの信頼が失われ、大きな損害が発生するためです。

個人情報の流出リスクを回避するために、契約時には情報保護の対策をしっかり確認しましょう。採用代行会社がどのようなセキュリティ対策を講じているか、個人情報保護に関する認証を取得しているかなどを確認することが重要です。

また、情報共有の範囲や方法、データの保管期間など、具体的な取り扱いについて明確に定めておくことが不可欠です。万が一のリスクに備え、情報漏洩時の対応策についても事前に確認しておくことが大切です。

採用代行(RPO)の業務内容

採用代行に依頼できる業務内容について、代表的なものは下記の通りです。

採用計画の立案企業の採用課題を分析し、適切な採用戦略を設計
求人広告の作成と運用求人媒体の選定、効果測定を行いながら最適化
エージェントや求人媒体の選定・管理複数の採用チャネルを活用して、候補者の幅を広げる
書類選考・スクリーニングAIツールを活用して、応募者の適性を効率的に評価
面接日程調整・実施支援スムーズな採用プロセスの構築
内定通知とフォローアップ内定者の入社意欲を高める施策
採用データ分析と改善提案PDCAを回し、採用手法を常に最適化

依頼したい範囲についてはカスタマイズできるケースが多いため、採用業務のコア部分は自社で対応したい、など希望があれば、ハイブリッドにすることも可能です。例えば、母集団形成や面接の日程調整などは採用代行に依頼し、面接や選考通過判断は自社で継続するやり方もあります。

採用代行(RPO)の料金相場

採用代行サービスの料金は、契約形態や業務範囲によって異なります。自社に合う料金プランを検討してみてください。

基本的な料金相場
  • 成果報酬型:成功報酬として1人あたり30万円~100万円
  • 月額固定型:一定の業務範囲に応じて毎月20万円~100万円
  • プロジェクト型:短期的な採用支援で50万円〜300万円

採用代行を選ぶ際の注意点

採用代行を選ぶ際の注意点は以下の通りです。サービス選定の際に確認しておきましょう。

対応範囲を明らかにする

採用代行業者を選ぶ際、どこまでの業務を委託できるのか、対応範囲を明確にすることが重要です。母集団形成、説明会企画・運営、書類選考、面接代行、内定者フォローなど、自社の新卒採用においてどの部分を外部に委託したいのかを具体的に洗い出しましょう。

業者によって得意とする領域や提供範囲が異なるため、自社のニーズに合致しているか細かく確認する必要があります。曖昧なまま契約すると、後々「対応してもらえない」といったトラブルにつながる可能性があります。

情報セキュリティ対策の確認

新卒採用活動では、多くの学生の個人情報を取り扱います。そのため、採用代行業者における情報セキュリティ対策と個人情報保護体制は非常に重要な確認ポイントです。

個人情報の取り扱いに関する明確な規約や運用体制が整備されているかを確認し、学生からの信頼を損なわないためにも、安心して個人情報を預けられる業者を選ぶことが不可欠です。

柔軟に対応してくれるかどうか

単に業務を代行するだけでなく、自社の新卒採用戦略や企業文化を深く理解し、それに合わせた柔軟な対応をしてくれる業者を選びましょう。自社のニーズに合わせて提案内容をカスタマイズしてくれるか、状況の変化に臨機応変に対応してくれるかなどを確認することが大切です。事前の打ち合わせで、自社の採用方針や求める人物像をしっかりと伝え、共感してくれるパートナーを見つけましょう。

また、担当者とのコミュニケーションの質も非常に重要です。疑問点や要望に対して迅速かつ丁寧に対応してくれるか、進捗状況をこまめに報告してくれるかなどを確認し、信頼関係を築ける業者を選ぶことが、新卒採用成功の鍵となります。

実績と専門性があるか

採用代行業者を選ぶ際には、新卒採用における実績を必ず確認しましょう。特に、自社の業界や規模感に近い企業での成功事例があるか、ターゲットとする学生層へのアプローチに強みを持っているかなどを確認することが重要です。

新卒採用特有のスケジュール感や学生へのコミュニケーションノウハウを持つ業者を選ぶことで、スムーズで効果的な採用活動が期待できます。過去の事例や実績について、具体的な情報を積極的に開示してくれる業者を選びましょう。

採用代行(RPO)サービス提供会社10選

採用代行(RPO)サービスを提供する企業の中から、中小企業の採用活動に適したおすすめサービスを厳選しました。それぞれの特徴や強みを詳しく解説するので、自社に最適なサービスを比較検討してみてください。

マイナビ

マイナビは、新卒採用市場において圧倒的な知名度と登録者数を強みとしています。長年の実績とノウハウに基づいた多様なアウトソーシングプランを提供しており、企業の課題やニーズに合わせた柔軟な対応が可能です。

説明会や選考イベントの企画・運営代行、エントリー管理、適性検査やWeb面接システムの提供など、新卒採用プロセス全体を包括的にサポートする体制が整っています。さらに、マイナビが長年培ってきた採用ノウハウに基づいたコンサルティングやデータ分析支援により、採用戦略の立案から実行、効果測定までをトータルで最適化し、質の高い採用活動の実現が期待できます。

リクルート

リクルートRPOは、国内最大手の採用プラットフォーム「リクナビ」や求人検索エンジン「Indeed」を運営しているリクルートグループが提供しています。考え方なデータをもとにした採用戦略の設計から、採用業務の実行・運用までを一貫してサポートします。

採用計画の設計に関して、採用市場の動向や競合の動きを考慮した提案ができるため、競争の激しい業界でも優位性を確保しやすくなります。また、リクナビやIndeedを活用することで応募者の集客力が非常に高く、質の高い母集団形成が期待できます。

パーソルキャリア

パーソルキャリアは、国内最大級のサイト転職「doda」を運営していることから、豊富なデータベースと高度なマッチング技術を活用できるのが強みです。採用戦略の見極めから実行、採用後のフォローアップまでワンストップで対応できるため、特に採用ノウハウが不足している企業に最適です。

また、自社が持つ人材データを活用して、目標に合った採用戦略を立てることが可能です。応募者へのオーディションや選考スケジュール管理、内定フォロー後までをシステム化することで、採用担当者の負担を大幅に軽減できます。

ネオキャリア

ネオキャリアは、特に中小企業やベンチャー企業に特化した採用代行サービスを提供しています。採用活動に必要なプロセスを柔軟にカスタマイズできるため、自社に最適な採用プロセスを構築できます。

料金面では成果報酬型や従量や課金型など、企業の負担を軽減できる料金体系を用意しています。 さらに、リクナビナビのような大手求人メディアだけでなく、ダイレクトリクルーティング(スカウト型採用)にも対応しているため、母集団形成の選択肢が広がることも強みです。

採用代行を活用する際の流れ

採用代行を活用する際の具体的な流れについて解説します。

現状課題の洗い出し

新卒採用代行を検討する最初のステップは、自社の現状を深く理解し、具体的な課題と達成したい目標を採用代行会社と共有することです。

例えば、まずは「応募数が伸び悩んでいる」「特定の大学からの応募が少ない」「書類選考に時間がかかりすぎて他の業務に支障が出ている」といった具体的な課題を伝えましょう。そして、「〇〇職種で〇〇名の採用を成功させたい」「内定承諾率を〇〇%まで向上させたい」といった明確な目標を共有することで、採用代行会社は最適な支援プランを立案しやすくなります。

この初期段階での丁寧な情報共有が、その後のスムーズな連携と採用成功の鍵となります。

最適な代行プランの提案と契約

課題と目標を共有した後、複数の採用代行会社からそれぞれの強みや実績に基づいた具体的な代行プランが提示されます。提示されたプランの内容(委託範囲、料金体系、スケジュールなど)が、自社のニーズや予算と合致しているかを慎重に比較検討しましょう。

不明な点や疑問点は遠慮せずに質問し、納得いくまで確認することが大切です。契約内容をしっかりと理解し、後々のトラブルを避けるためにも、契約書は隅々まで確認してから締結するようにしましょう。

採用活動の実行と密なコミュニケーション

契約締結後、採用代行会社がいよいよ実際の採用活動をスタートさせます。求人広告の作成・掲載、応募者の受付・管理、書類選考、説明会の実施、面接日の調整など、委託した業務を代行会社が進めていきます。

この期間中は、採用代行会社との密なコミュニケーションが非常に重要です。進捗状況の定期的な報告を受け、必要に応じて意見交換や戦略修正を行うことで、より効果的な採用活動へと繋げることができます。疑問点や懸念点があれば、すぐに担当者に相談するようにしましょう。

内定後のフォローアップ

採用選考を通過した学生への内定出しとその後のフォローも、採用代行会社の重要な役割です。内定者への丁寧な連絡はもちろんのこと、内定辞退を防ぐための懇親会や研修の企画・運営を依頼することも可能です。

また、入社までの間に必要な手続きや書類の準備など、煩雑な事務作業をサポートしてもらうことで、内定者の不安を軽減し、スムーズな入社へと繋げることができます。内定者のエンゲージメントを高めるための施策についても、積極的に相談してみましょう。

効果測定と次期採用への改善

一連の採用活動が終了したら、採用代行会社と共にその効果を測定し、次期採用に向けた改善点を見つけることが重要です。応募数、選考通過率、内定承諾率といった定量的なデータだけでなく、採用した人材の入社後の活躍状況といった定性的な情報も参考に、今回の採用活動の成果を総合的に評価します。

効果測定の結果を踏まえ、成功した点や課題点を明確にし、次回の採用活動をより良いものにするための具体的な改善策を検討しましょう。

まとめ

新卒採用における採用代行(RPO)は、採用活動の効率化と質の向上を実現するための有効な手段です。特に、慢性的な工数・ノウハウ不足といった課題を抱える企業にとって、専門的な知識や豊富な経験を持つ外部の力を借りることは、採用成功の大きな鍵となります。

本記事で解説したように、採用代行の活用には「コスト削減、業務負担の軽減、採用成功率の向上」といった多くのメリットがあります。一方で「自社の文化理解の不足や情報管理のリスク」といった注意点も存在します。

最適な採用代行会社を選ぶためには自社の課題と目標を明確にし、業者の実績や専門性、提供範囲、料金体系などを慎重に比較検討することが不可欠です。信頼できるパートナーとともに、採用成功を実現させましょう!