
新卒採用活動において、どの媒体を活用するかは、求める人材の獲得と採用コストの最適化を左右する重要な要素です。近年の採用戦線においては、多様な情報収集チャネルを持つ学生に対して、最適なアプローチを選択する必要があります。
本記事では、新卒採用で主流となる就職ナビサイトとダイレクトリクルーティングシステムのメリット・デメリットに加え、媒体選びのポイントまで、新卒採用担当者の皆様が知っておくべき情報を網羅的に解説します。
主要就職ナビサイトの比較
まず、新卒採用で多くの企業が利用する主要な就職サイト5媒体の特徴を、一覧表で比較してみましょう。
就職ナビサイトは利用する企業・学生数が多く、掲載しているだけで会社への信頼感が得られます。具体的な特徴や料金については、次段落で解説します。
媒体名 | 特徴・メリット | 料金プラン |
---|---|---|
1.マイナビ | 業界最大級の掲載数と会員数。全国の学生を網羅。 多様なイベントやセミナーも開催。 | インターンシップ:30万円~ 3月以降(本サイト):80万円~ |
2.リクナビ | 豊富な企業情報とインターンシップ情報。 独自のスカウト機能も搭載。 | インターンシップ:50万円~ 3月以降(本サイト):120万円~ |
3.あさがくナビ | 少数精鋭の学生に特化。地方大学の学生にも強い。 手厚いサポートが特徴。 | 12週間:35万円~ 通年:70万円~ |
4.キャリタス就活 | 経団連加盟企業を中心とした掲載。 グローバル展開を目指す企業にも対応。 | インターンシップ:60万円~ 3月以降(本サイト):50万円~ |
5.ONE CAREER(ワンキャリア) | 質の高い情報が集まるクチコミサイト。 企業選びに慎重な学生に支持。 | 初期費用:30万 月額利用:10万/月~ |
就職ナビサイトの特徴
次に、それぞれの媒体について、詳細を見ていきましょう。
マイナビ
マイナビは、新卒採用媒体として国内トップクラスの掲載数と登録学生数を誇ります。全国のあらゆる大学・学部・学科の学生にリーチできるため、幅広い層からの応募を期待する企業におすすめです。
また、インターンシップ情報や企業説明会、就職活動に関するセミナーなど、多様なコンテンツを提供しており、学生の就職活動を総合的にサポートしています。企業向けにも、採用管理システムや適性検査など、豊富な採用支援ツールを提供しており、初めて新卒採用を行う企業から大規模な採用活動を行う企業まで、幅広く活用されています。
リクナビ
リクナビは、マイナビと並ぶ大手就職サイトの一つです。豊富な企業情報に加え、インターンシップ情報も充実しており、学生が早期から企業理解を深めるための情報を提供しています。
独自の適性診断ツールや、多様な検索機能が搭載されているため、検索の精度が高く使いやすいことも特徴です。また、特にIT・エンジニア系の学生の登録が多い傾向があり、これらの分野の人材採用に力を入れたい企業におすすめです。
あさがくナビ
あさがくナビは、「朝日新聞」が運営する就職情報サイトです。他の大手ナビサイトと比較して、掲載企業数はやや少ないものの、少数精鋭で熱意のある学生の登録が多いのが特徴です。
特に、地方大学の学生との接点を持ちたい企業や、中小企業向けに手厚いサポートを提供している点が強みです。特定の専門分野に特化した学生の採用にも強みを持っています。
キャリタス就活
キャリタス就活は、経団連に加盟している大手企業を中心に掲載されている就職情報サイトです。安定した経営基盤を持つ企業や、グローバル展開を目指す企業からの信頼が厚く、これらの企業への就職を希望する学生が多く登録しています。
さらに、グローバル人材向けのイベントやセミナーも積極的に開催しており、海外大学の学生や、語学力を持つ学生へのアプローチにも適しています。そのため、大手や外資系企業など、ブランド力を重視する企業におすすめです。
ONE CAREER(ワンキャリア)
ONE CAREERは、企業の採用選考やインターンシップのリアルなクチコミ情報が豊富に掲載されている就職情報サイトです。企業選びに慎重な学生や、実際に働いている社員の声を知りたい学生に支持されています。
早期選考に関する情報も多く、優秀な学生を早期に獲得したい企業にも有効です。学生の企業に対する評価やランキングなども掲載されており、自社のブランディング戦略にも役立てることができます。成長意欲の高い学生や、ベンチャー企業など、情報感度の高い学生をターゲットとする企業におすすめです。
主要ダイレクトリクルーティングシステムの比較
次に、ダイレクトリクルーティングシステムの媒体比較を見てみましょう。
媒体名 | 特徴・メリット | 料金プラン |
---|---|---|
キミスカ | 3種類のスカウトで効率的なアプローチが可能。 活躍社員の傾向を分析しマッチング精度が高い。 | 3名枠~:75万円~ |
OfferBox | 利用企業・学生が最も多い。 オファーの流通制限を設けているため反応率の高さを維持している。 | 3名枠~:75万円~ 成果報酬:38万円 |
dodaキャンパス | 大学1~2年生向けにもイベントやインターンシップのオファーが可能。 低学年層への認知拡大、採用ブランディングにも活用できる。 | 3名枠~:60万円~ 成果報酬:30万円 |
キャリア チケット | 学生の個性や能力を重視したスカウト機能が特徴。 求める人物像に合致した学生に効率的にアプローチできる。 | 初期費用:30万円 6名枠~:150万円~ 成果報酬:40万円 |
Lab Base | 理系・情報系の学生に特化。研究内容やスキルなど、 専門性の高い情報を登録している学生が多い。 | 12か月:120万~ |
Cheer Career | 都市部の学生だけでなく、地方で活躍したい学生や、 地域に根差した企業で働きたい学生とのマッチングを支援。 | 月額:3万~×12か月 |
ダイレクトリクルーティングサイトの特徴
近年、従来の就職ナビサイトに加えて、企業が学生に直接アプローチするダイレクトリクルーティングサイト(スカウト型サイト)も注目を集めています。
こちらも特徴と料金プランについて詳しく見ていきましょう。
キミスカ
弊社が運営している「キミスカ」は、就活生の3人に1人が活用するダイレクトリクルーティングシステムです。
ゴールド、シルバー、ノーマルスカウトの3種類スカウトがあるため、本当に会いたい学生に対してはゴールドスカウトで本気度を伝え、開封前に特別感を上乗せすることができます。一方、ノーマルスカウトは一括で自動送信ができるため、工数を削減しながら幅広い学生に対してアプローチすることが可能です。
OfferBox
OfferBoxは、利用企業・学生数が多く、オファー流通制限により高い反応率を維持しています。
インターンシップ時期からアプローチ可能な早期プランに加え、成果報酬プランもあるため、採用人数が少ない・初期費用を抑えて採用したい企業におすすめです。
dodaキャンパス
dodaキャンパスは、ベネッセが運営するダイレクトリクルーティングサイトです。
大学1年生からアプローチが可能で、学生の経験やスキルに加え、価値観や興味関心も考慮したマッチングが特徴です。そのため、企業の長期的な育成を見据えた採用活動を支援し、学生の個性や可能性に注目した採用ができます。
キャリアチケット
キャリアチケットは、レバレジーズ株式会社が運営するダイレクトリクルーティングサイトです。
学生の個性や能力を重視したスカウト機能が特徴で、企業は自社の求める人物像に合致した学生に効率的にアプローチできます。特に「価値観」によるマッチングを重視しているため、企業の知名度よりも、自身の価値観を大切にする学生が多く集まる傾向があります。
Lab Base
Lab Baseは、理系・情報系の学生に特化したダイレクトリクルーティングサイトです。
研究内容やスキルなど、専門性の高い情報を登録している学生が多く、これらの分野の人材採用に力を入れたい企業におすすめです。
Cheer Career
Cheer Careerは、地方の学生や中小企業に特化したダイレクトリクルーティングサイトです。
都市部の学生だけでなく、地方で活躍したい学生や、地域に根差した企業で働きたい学生とのマッチングを支援します。また、スカウト機能だけでなく、オプションで媒体掲載としての機能も持っているため、訴求の幅が広がります。
就職ナビサイトのメリット・デメリット
就職ナビサイトのメリット・デメリットについて、それぞれどのようなものがあるのでしょうか。
- 広範なリーチ力: 多くの学生が登録しているため、広範囲の学生に情報を届けられます。
特に知名度の低い企業でも、一定数の応募を集めやすいのが特徴です。 - 情報掲載の容易さ: 企業の基本情報、募集要項、説明会情報などを比較的簡単に掲載できます。
フォーマットが用意されているため、効率的に情報発信が可能です。 - イベント機能の活用: 合同説明会などのイベント機能を利用することで、多くの学生と直接接点を持つ機会を得られます。
- 選考管理機能: エントリー管理、応募者管理、選考状況の管理など、採用プロセス全体をサポートする機能が充実していることが多いです。
- 競争の激しさ: 多くの企業が掲載しているため、自社の情報が埋もれてしまう可能性があります。
- 費用: 掲載費用が高額になる場合があります。
特に大規模なプランやオプション機能を利用する場合は費用がかさみます。 - ミスマッチのリスク: 広範囲の学生にアプローチできる反面、自社の求める人物像と異なる学生からの応募も多くなる可能性があります。
- 学生の受け身な姿勢: 学生は多くの企業情報を比較検討するため、企業側から積極的にアプローチしにくい場合があります。
ダイレクトリクルーティングシステムのメリット・デメリット
次に、ダイレクトリクルーティングシステムのメリット・デメリットを見ていきましょう。
- ターゲット層へのアプローチ: 求める人物像に合致する学生をデータベースから検索し、直接スカウトできます。
- 早期接触と関係構築: インターンシップ参加者や特定のスキルを持つ学生など、早期に接点を持ち、関係性を構築できます。
- 潜在層へのアプローチ: 就職ナビサイトに登録していないような、潜在的な優秀な学生にもアプローチできます。
- 採用コストの抑制: 成功報酬型など、成果に応じて費用が発生するシステムが多く、無駄なコストを抑えられます。
- 採用ノウハウの必要性: 学生の検索、スカウト文面の作成、コミュニケーションなど、企業側に一定の採用ノウハウが求められます。
- 工数の増加: 学生一人ひとりに合わせたアプローチが必要となるため、工数が増加する可能性があります。
- 認知度の影響: 企業の認知度が低い場合、スカウトを送っても学生に興味を持ってもらえないことがあります。
- データベースの質: システムによって学生の登録情報や質にばらつきがある場合があります。
採用活動を実施する時期
新卒採用媒体を選定する上で、採用活動を実施する時期を考慮することも重要です。
採用活動の時期は、業界や職種、企業の規模によっても異なります。
それぞれの時期でどんな媒体を活用すべきか、検討してみてください。
早期選考
特に競争率の高い優秀な学生を確保したい場合、インターンシップと連動させた早期選考の実施は有効な戦略となります。下記、マイナビのデータからも、内々定保有時期は年々早まり、早期化が進んでいることが読み取れます。

参考:マイナビ 2024年度(2025年卒版)新卒採用・就職戦線総括
そのため、早期選考においては、時期を問わずアプローチできるダイレクトリクルーティングシステムを活用し、個別に学生に魅力的なオファーを提示するのが効果的です。学生の能力や適性を早期に見極め、本選考に有利なルートを用意することで、他社に先駆けて優秀な人材を囲い込むことが期待できるためです。
広報解禁後
政府が定める広報活動解禁日(3月1日)以降は、多くの企業が本格的に採用情報の公開を開始します。
この時期は、就職ナビサイトを活用して、自社の企業情報や募集要項を広範囲の学生に向けて発信するのに適しています。
多くの学生が就職活動を本格化させるタイミングであるため、最大限の露出を図り、エントリー数を増やすことが重要となります。魅力的な企業紹介や分かりやすい募集要項の作成が鍵となるでしょう。
新卒採用の募集要項について、設定すべき項目と注意点についてはこちらの記事で詳しく解説しています。合わせてご覧ください!
選考解禁後
採用選考活動解禁日(6月1日)以降は、筆記試験や面接といった本格的な選考プロセスがスタートします。
この時期には、就職ナビサイトに加えて、ダイレクトリクルーティングシステムを併用するなど、複数の媒体を組み合わせることで、より多様な学生層にアプローチすることが可能になります。
各媒体の特性を理解し、効果的に活用することで、自社の求める人物像に合致した学生との出会いを最大化しやすくなります。
採用ツールの選定ポイント
多様な新卒採用媒体の中から、自社に最適なツールを選定するためのポイントは以下の通りです。
一つの媒体に絞るのではなく、複数の媒体を組み合わせることで、効果的な採用活動を展開できる場合があります。
- 採用ターゲット:どのような学生を採用したいのか、ターゲット層を明確にしましょう。ターゲット層が主に利用している媒体を選ぶことが重要です。
- 採用目標人数:採用したい人数によって、適切な媒体は異なります。大人数を採用したい場合は就職ナビサイト、少数精鋭を採用したい場合はダイレクトリクルーティングシステムなどが考えられます。
- 採用コスト(予算・工数):各媒体の費用を比較検討し、自社の予算に合った媒体を選びましょう。また、採用活動にかけられる人員や時間などのリソースを考慮し、無理なく運用できる媒体かどうかも見極めましょう。
- 導入・運用サポート:各媒体の提供事業者のサポート体制を確認しましょう。特に初めて利用する媒体の場合は、手厚いサポートがあると安心です。加えて、媒体の効果測定機能を確認し、応募数、採用数、採用単価などを分析できるようにしましょう。
- 他社の導入事例:同業他社や類似企業がどのような媒体を利用し、どのような成果を上げているかを参考にしましょう。
まとめ
本記事では、就職ナビサイトとダイレクトリクルーティングシステムを中心に、それぞれのメリット・デメリット、採用活動を実施する時期、そして採用ツールを選定する際のポイントについて解説しました。
新卒採用を取り巻く環境は常に変化しており、採用媒体も多様化しています。自社の採用目標やターゲット層、予算、リソースなどを総合的に考慮し、最適な採用媒体を選定することが、新卒採用成功の鍵となります。
本記事が、貴社の媒体選定の一助となれば幸いです。
また、ダイレクトリクルーティングシステムについて、より詳細に知りたい場合はこちらからお問い合わせください!