ほとんどのエントリーシートで問われる「志望動機」。企業は志望動機から、就活生の入社意欲や企業研究ができているかを判断しています。
つまり志望動機の書き方によって、就活が有利に進むこともあるのです。
そこで本記事では、エントリーシートの志望動機の書き方を4ステップで詳しく解説します。業界別の例文もまとめたので、ぜひ参考にしてください。
企業がエントリーシートの志望動機で見ていることは?
エントリーシートや面接では、必ずと言っていいほど志望動機を聞かれます。つまり、志望動機を通して企業は就活生の重要な要素を審査しているのです。では、面接官はいったい何を見ているのでしょう?
【企業が志望動機を聞く目的1】入社意欲を測る
志望動機を通じて、就活生が業界および企業研究ができているかなど、企業に対してどれだけ調べ、関心を持っているかを知ることができます。これによって、就活生の入社意欲を測っています。志望動機に一貫性があり、具体的な目標が含まれている場合、企業はその候補者が長期的に企業に貢献できる可能性が高いと考えるでしょう。
【企業が志望動機を聞く目的2】企業のビジョンと一致しているかを調べる
企業としては、社員には長期的に働いてもらいたいと考えています。そのため、入社後のミスマッチは企業としても学生としても避けたい点です。そのため就活生の就活の軸が企業の社風や方針と合致しているかどうかが見極められています。
【企業が志望動機を聞く目的3】就活生が働く姿を想像する
新卒採用はポテンシャル採用と呼ばれるように、入社後に活躍できるかは若手時代の過ごし方に大きく依存します。だからこそ、職務経験ではなく、人柄や価値観からあなたの働く姿を思い描くしかありません。逆に言うと志望動機をきちんと練りさえすれば、自分らしく働き、高い成果を出す姿を示すことができます。
それでは業界・企業研究ができていることや、就活の軸を正しく示すためには、何をどう意識して志望動機をまとめたらいいのでしょうか?
エントリーシートの志望動機の書き方を4ステップで解説
【エントリーシートの志望動機の書き方ステップ1】自分の目標を明確にする
志望動機を書く際に企業のことばかり調べる学生がよくいらっしゃいます。もちろん、企業分析は重要です。しかし、その前に自分自身の強み、経験、価値観を理解する必要があります。自分の過去を振り返り、現在を把握したうえで、今後歩みたい未来について説得性を持たせましょう。
自己分析のやり方がいまいち良く分からない方は以下の記事を参考にしてください。5分で自分に適した職業が分かる簡易検査もあるので、時間がない方も是非。
【エントリーシートの志望動機の書き方ステップ2】企業研究を行う
目的としては、企業の価値観や求める人物像、ビジネスの方向性を理解することです。企業のウェブサイト、ニュース、採用ページ、インタビュー記事などを調査します。また、企業が力を入れているプロジェクトや製品、社会貢献活動まで確認できると良いでしょう。
【エントリーシートの志望動機の書き方ステップ3】 自分の経験と企業のニーズを結びつける
ステップ1とステップ2を合わせることで、自分の経験やスキルが、どのように企業に貢献できるかを明確にしましょう。例えば、学生時代のプロジェクトやインターンシップで得たスキルが、企業の特定の事業にどう役立つかを具体的に記述します。 これにより、企業に対して「この人材がどのように貢献できるか」を示します。
【エントリーシートの志望動機の書き方ステップ4】志望動機をまとめて書く
志望動機では、上記の分析と研究をもとに、簡潔で説得力のある志望動機を書くことが求められます。そのためには構成を意識して志望動機を伝えましょう。具体的な構成については、次の内容を参考に!
エントリーシートの志望動機の構成
企業が見ているポイントを意識した上で、エントリーシートの志望動機の書き方を4ステップで解説します。
就活の志望動機や自己PRには、Point(要点)、Reason(理由)、Example(例文)、Point(要点)の頭文字をとった「PREP法」を用いましょう。PREP法に則って文章を組み立てることで、簡潔で分かりやすい文章を作成できます。
【エントリーシートの志望動機の構成1】結論から始める
まずは「私が貴社を志望した理由は、○○だからです。」というように、相手に伝えたい要点を短く簡潔に示します。このように結論ファーストの文章を心がけることで、アピールポイントが明確になります。
【エントリーシートの志望動機の構成2】根拠を示す
次は「志望動機を抱いた理由」を示しましょう。根拠があることで信ぴょう性が高まるため、入社意欲の高さをアピールできます。
ここで重要になるのが「他社」ではなく「その企業」を志望した理由を伝えることです。そのためにもしっかりと企業研究を行い、同業他社ではなくその企業を選んだ理由を明確にしておきましょう。
【エントリーシートの志望動機の構成3】具体的なエピソードを記す
続いて、あなたにしか書けない具体的なエピソードを用意して、先に提示した結論や根拠の信頼度を高めましょう。そこから入社したら何を頑張りたいか、どのように活躍したいかにつなげます。
ここで示した具体的なエピソードは、結論や根拠の裏付けとなります。企業研究から導き出した企業のニーズに合わせた展望を伝え、入社後のあなたの姿をイメージさせましょう。
【エントリーシートの志望動機の構成4】再度、意欲をアピールする
改めて、最初に伝えた要点を伝えましょう。その後に「入社できた際には、自分の強みを活かして貴社に貢献していきたいと考えています」のような形で、あなたを採用することで企業側が得られるメリットを一言添えてもいいですね。
エントリーシートに書く志望動機が思い浮かばない時の対処法
エントリーシートで志望動機を聞かれた時に、なかなか思い浮かばないこともありますよね。第一志望の企業ならスラスラ書けても、何十社ものエントリーシートを書いていると内容が似たり寄ったりになってくることもあるでしょう。
そこでここからは、エントリーシートに書く志望動機が思い浮かばない時の対処法を解説します。
【エントリーシートの志望動機の考え方1】業界・企業研究をする
エントリーシートに書く志望動機が思い浮かばない時は、業界・企業研究をやり直しましょう。志望動機をまとめるには、自分が志望している業界の成長性や将来性を分析し、同業他社との違いを把握する必要があります。
この業界・企業研究はエントリーシートで役に立つだけでなく、面接対策にもなります。業界・企業研究のやり方が分からない就活生は、以下の記事を要チェック!
【エントリーシートの志望動機の考え方2】自己分析をする
業界・企業研究と併せて、自己分析もやり直しましょう。自己分析が足りていないと就活の軸がぶれたり、主張に一貫性がなくなったりしてしまいます。自己分析は志望動機に限らず、自己PRや学生時代に力を入れたこと(ガクチカ)にも役立つので、効率よく就活を進めるためにも必ず行いましょう。
自己分析のやり方や目的は、以下の記事で詳しく解説しています。
【エントリーシートの志望動機の考え方3】自分と企業との接点を見つける
業界・企業研究と自己分析をやり直しても、志望動機が思い浮かばないこともあります。その主な原因として、自分と企業との接点を見つけられていないことが挙げられます。
自分と企業との接点を見つけるには、その企業と同業他社を比べることが重要です。他の企業ではなく、その企業を選んだ理由を自問自答していると、自ずと志望動機が浮かび上がってきます。
エントリーシートに書く志望動機の例文8選【業界別】
エントリーシートに書く志望動機の例文を業界別に8つ紹介します。
以下の例文を参考に、オリジナリティ溢れる志望動機を作成してみてくださいね!
【エントリーシートの志望動機の例文1】金融業界
私が貴社を志望する理由は、成長段階にある企業を支援するという貴社の取引方針に強く共感しているからです。成長段階にある企業が発展することは、日本経済の未来を支える重要な要素だと考えています。Point(要点)
私の学びを通じて、成長企業に対する支援の意義を実感し、その知識と経験を活かす場を求めています。貴社が成長企業を中心に取引を行っていることに魅力を感じ、自分の専門性を活かして貴社と共に日本経済の発展に寄与できると確信しています。Reason(理由)
私は大学で経営学部の金融学科を専攻し、日本の経済について深く学びました。そこで、世界的に活躍する企業を増やすためには、成長段階にある企業をしっかりとサポートする必要があると痛感しました。そのため、成長企業を中心に取引を行う貴社に非常に魅力を感じました。Example(例文)
貴社でなら、私が学んだ金融の知識を活かし、日本経済の発展に寄与できると確信しています。そのため、貴社を志望いたしました。Point(要点)
一口に証券会社といっても、その実態は企業によって異なります。
その証券会社を志望した理由が分かりやすく明記されているので、しっかり業界・企業研究ができていることが伺えます。
【エントリーシートの志望動機の例文2】IT業界
私が貴社を志望する理由は、独自のソフトウェア開発力と高い技術力を持ちながら、働きやすい職場環境を提供している点に強く魅力を感じているからです。Point(要点)
教育や医療など多岐にわたる分野でソフトウェアを提供し、社会に大きな影響を与えています。また、従業員の働きやすさや成長を重視する企業文化も魅力的で、自分自身のスキルを高めながら、社会貢献を果たせる環境だと考えています。具体的には、教育や医療分野においてユーザーのニーズに即したソリューションを提案し、実現することに挑戦したいと考えています。Reason(理由)
学生時代には、教育支援システムの開発プロジェクトに参加し、ユーザーのニーズに応じた機能の実装に取り組みました。この経験を通じて、技術力だけでなく、ユーザー視点の重要性を学びました。貴社のミッションには、ユーザー中心のアプローチや社会貢献が掲げられており、私の学びと一致しています。貴社の企業文化が、従業員の働きやすさや成長を重視していることも、私にとって魅力的です。Example(例文)
貴社でなら、私が学んだ金融の知識を活かし、日本経済の発展に寄与できると確信しています。そのため、貴社を志望いたしました。Point(要点)
自分の過去の学びと志望動機が結びつけられていますね。
【エントリーシートの志望動機の例文3】コンサルティング業界
私が貴社を志望する理由は、その戦略的かつ革新的なアプローチに深く魅力を感じているからです。Point(要点)
同社は、クライアントのビジネス課題に対して、業界の深い知識と実践的な戦略を用いて効果的なソリューションを提供しています。また、デジタルトランスフォーメーションや業務改善などの最前線で活躍しており、企業の成長に貢献する姿勢に共感しています。このような環境であれば、自己のスキルを最大限に活かし、実際のビジネス課題に取り組む機会が得られると考えています。Reason(理由)
大学時代には、ビジネスプロセスの改善プロジェクトに参加し、データ分析や戦略立案を通じて業務の効率化を実現しました。この経験から、問題解決における戦略的思考と実行力の重要性を学び、実際のビジネス環境でも通用するスキルを養いました。Example(例文)
今後はさらに高度な戦略的スキルを身につけ、クライアントの成功を支援し、自らの成長を実現したいと考えています。また、多様なプロジェクトを通じて、革新的な解決策を提供する一員として貴社に貢献できるよう精進してまいります。Point(要点)
企業の強みが他社との差別化に繋がっていますね。
【エントリーシートの志望動機の例文4】商社業界
貴社はエネルギーや資源、化学品、食品など、多岐にわたる事業を展開し、グローバルなネットワークを活かして国際的なビジネスを推進しています。このような多様な事業領域と国際的な視点を持つ企業で、幅広い経験を積むことができると考えています。また、持続可能な社会の実現に向けた取り組みも評価しており、自分のキャリアと理念が一致する点に惹かれています。Reason(理由)
大学では、アジア市場向けの新製品導入戦略を策定するプロジェクトにおいて、各国の文化や市場特性を考慮しながら戦略を立案しました。このプロジェクトを通じて、異なる文化やビジネス環境に対する理解を深め、多様な視点からのアプローチの重要性を学びました。また、チーム内でのコミュニケーションスキルやリーダーシップスキルも大いに向上させることができました。Example(例文)
貴社での経験を通じて、多様な事業領域での知識とスキルを磨き、グローバルなビジネス環境で貢献できる一員として成長したいと考えています。特に、持続可能な社会の実現に向けて、企業の成長を支える役割を果たすことを目指しています。Point(要点)
自分が行った過去の出来事を上手にアピールできていますね。
【エントリーシートの志望動機の例文5】広告業界
広告は単なるデザインではなく、見る人に強い印象とメッセージを伝えるものであるべきだと考えています。特に貴社の広告には、そのような力があると感じました。Reason(理由)
私は幼い頃に貴社の○○の広告に深く感銘を受け、それがきっかけで大学でデザイン学科を専攻しました。そこでデザインの技術を磨くと同時に、メッセージ性を重視したコピーライティングを学びました。その成果として、○○の表紙デザインコンテストで最優秀賞を受賞することができました。Example(例文)
貴社に入社できましたら、大学で学んだ色彩の技術とコピーライティングを活かし、メッセージ性のある広告を生み出したいと考えております。Point(要点)
PREP法を用いて志望動機を組み立てることで、アピールポイントが明確になっています。
この企業を志望する理由も簡潔に、分かりやすく示されていますね。
【エントリーシートの志望動機の例文6】アパレル業界
幼い頃からファッションが好きな私は、大学で服飾学科を専攻し、ファッションを通じて人々に喜びをもたらしたいと考えていました。しかし、製造コストの削減が発展途上国の労働者や環境に負担をかけている現実を知り、この問題に対する解決策を模索するようになりました。Reason(理由)
その結果、フェアトレードに取り組む貴社の理念と実践に強く引かれ、貴社が展開する持続可能なファッションのあり方に深く共感しました。私の目標は、倫理的かつ環境に配慮した服作りを実現することで、ファッション業界の良い変革に貢献することです。貴社の店舗作りやプロセスに携わることで、自分の価値観と実践が一致する環境で成長したいと考えています。Example(例文)
貴社に入社できましたら、大学で学んだデザインやカラーコーディネートの知識を活かし、商品を手に取った人々に喜びを届けるだけでなく、服作りのプロセスに関わる全ての人々の笑顔も作り出したいと考えています。具体的には、フェアトレードの理念を体現した商品のデザインやプロモーションに貢献し、持続可能なファッションの普及に寄与したいと思っています。Point(要点)
大学で学んだことや、この企業を選んだ理由も明らかにされています。服への熱い思いが伝わってきますね。
【エントリーシートの志望動機の例文7】不動産(デベロッパー)業界
地域特性を活かし、住みやすく、持続可能な街づくりを推進している企業であり、その理念に強く共鳴しています。特に、地域コミュニティとの協働を重視し、環境に配慮した開発を行う姿勢は、自分が大切にしている価値観と一致します。また、長年にわたる実績と信頼性のあるプロジェクトが、地域社会に対してポジティブな影響を与えている点も、私が共感する要素です。Reason(理由)
大学では、地域資源を活用した都市開発プロジェクトに参加し、地域のニーズを反映させた提案を行いました。この経験を通じて、地域住民とのコミュニケーションや、ニーズに応じた設計の重要性を学びました。さらに、インターンシップでは、プロジェクトマネジメントや関係者との調整業務を経験し、実際のプロジェクト運営におけるスキルを磨きました。これらの経験から、地域密着型のプロジェクトの価値を深く理解しました。Example(例文)
貴社に入社できましたら、地域と共に未来を創造する一員として地域に貢献する街づくりの一翼を担い、持続可能な社会の実現に寄与したいと考えています。Point(要点)
「地域社会」というキーワードを基に、ストーリーが展開されているため、非常にわかりやすい内容ですね。
【エントリーシートの志望動機の例文8】人材業界
貴社は人材関連事業の革命家として、企業と求職者の最適なマッチングを実現するだけでなく、グローバルなビジネス展開やデジタルプラットフォームの活用によって、業界全体をリードしています。特に、貴社が推進するデジタルトランスフォーメーションや、テクノロジーを駆使した人材サービスの革新に大いに感銘を受けました。貴社のように、社会のニーズに応じた迅速かつ効果的なソリューションを提供する企業であれば、自分の成長とキャリア形成を加速できると確信しています。Reason(理由)
大学では、キャリア支援に関するプロジェクトに参加し、企業と求職者の橋渡しを行うイベントの企画・運営を担当しました。このプロジェクトでは、企業側の人材ニーズを正確に把握し、それに対応するためのプログラムを設計しました。また、インターンシップ先では、デジタルツールを用いた採用プロセスの最適化に取り組み、求人情報の分析やマッチング精度の向上を図りました。この経験から、データドリブンなアプローチが求職者と企業の双方にとって有益であることを学び、人材サービスの重要性とその社会的な影響を深く理解しました。Example(例文)
貴社に入社できましたら、人材開発やイノベーションに関する知識とスキルをさらに深め、社会に貢献するソリューションを提供できる一員として成長したいと考えています。特に、私も当サービスの利用者であったこともあり、新卒採用の方に注力したいと考えております。Point(要点)
自身が持つ経験から訴求されていますね。
エントリーシートの志望動機で入社意欲をアピールしよう!
エントリーシートの志望動機は業界・企業研究ができていること、そして入社意欲をアピールする場です。
PREP法を用いて簡潔で分かりやすい文章作りを心がけ、人事にあなたらしさを印象づけましょう。
もし志望動機が思い浮かばなかったら、業界・企業研究や自己分析をやり直してみてください。くれぐれも使い回しのないよう、企業ごとに志望動機を練り直してくださいね。