
中途採用における面接は、新卒採用とは異なり、応募者のこれまでの職務経験やスキル、実績を深く理解し、自社のニーズに合致する即戦力となる人材を見極めるための重要なプロセスです。適切な面接質問事項を用意し、効果的な面接を行うことで、採用成功につながる可能性は高まります。
本記事では、中途採用の面接の進め方から質問例集、避けるべきNG質問・NG行動、新卒採用との違いを詳しく解説します。面接官がするべき質問や注意点を知ることで、採用成功の一助になれば幸いです。
中途採用の面接の基本的な流れ
中途採用の面接は、企業や職種によって多少異なりますが、一般的には以下のような流れで進行します。
- 受付・待機:応募者を受付で迎え、待合室へ案内します。
- アイスブレイク:面接官が自己紹介をし、応募者の緊張をほぐすための簡単な会話をします。
- 企業説明(必要に応じて): 企業の概要や事業内容、募集職種について改めて説明します。
- 応募者の自己紹介・職務経歴説明:応募者に自己紹介と職務経歴、転職理由などを説明してもらいます。
- 面接官からの質問:事前に準備した質問事項に基づき、応募者の経験、スキル、適性などを確認していきます。
- 応募者からの質問(逆質問): 応募者から企業や職種に関する質問を受け付けます。
- 選考結果の説明・今後の流れ:選考結果の通知時期や今後のプロセスについて説明します。
- 終了・退出:応募者に感謝を伝え、退出を促します。
【質問例集】中途採用面接で応募者の能力を見抜く質問
中途採用の面接では、応募者が培ってきた経験や実績を具体的に把握することが不可欠です。
以下、様々な角度から応募者のスキルやポテンシャルを探るための質問例をご紹介します。
職務経歴に関する質問
応募者のこれまでの職務経験は、自社のニーズに合致するかどうかを判断する上で最も重要な要素の一つです。
具体的な業務内容や役割、実績について深く掘り下げ、即戦力となる経験を持っているかを見極めましょう。
- これまでの職務経歴について、具体的な業務内容、役割、実績を教えてください。
- 最も成果を上げられたプロジェクトや業務は何ですか?どのような役割を果たし、どのように貢献しましたか?
- これまでの職場で、最も困難だった課題は何ですか?どのように分析し、どのように解決しましたか?
- あなたの強みやスキルは、これまでの職務経験でどのように活かされてきましたか?
- 転職回数が多い場合、それぞれの転職理由と、今回の転職で重視していることは何ですか?
- 退職理由について詳しく教えてください。
志望動機に関する質問
応募者がなぜ当社を選んだのか、この職種にどのような魅力を感じているのかを理解することは、入社意欲や企業への適性を測る上で重要です。ミスマッチを防止するためにも、表面的な回答だけでなく本音を引き出すように質問しましょう。
- 数ある企業の中で、なぜ当社を選ばれたのですか?
- 当社のどのような点に魅力を感じていますか?
- これまでの経験をどのように活かして、当社に貢献できるとお考えですか?
- 当社について、どのような情報を事前に調べてきましたか?
- 入社後、どのようなことに挑戦したいですか?
- キャリアパスとして、将来的にどのような目標を持っていますか?
スキル・能力に関する質問
応募者が持つ具体的なスキルや能力が、募集職種の要件を満たしているかを確認します。
自己評価だけでなく、具体的な経験に基づいた説明を求めることで、客観的な判断に繋げましょう。
- あなたの専門スキルを自己評価してください。その理由も教えてください。
- この職種に必要なスキルの中で、最も自信のあるものは何ですか?
- 逆に、まだ成長が必要だと感じているスキルはありますか?
- 語学力やPCスキルについて、どの程度のレベルですか?具体的なエピソードがあれば教えてください。
- 新しい知識や技術を習得することに抵抗はありますか?どのように学習しますか?
人物像・適性に関する質問
応募者の性格や考え方、仕事への取り組み方などを把握することは、チームワークや企業文化への適合性を判断する上で重要です。具体的な行動や考え方について質問し、人物像を深く理解しましょう。
- あなたの長所と短所を教えてください。
- 周囲からはどのような人だと言われることが多いですか?
- ストレスを感じやすいタイプですか?どのようにストレスを解消しますか?
- プレッシャーの中で力を発揮できますか?具体的な経験があれば教えてください。
- チームワークをどのように考えていますか?
- キャリアにおいて、何を最も大切にしていますか?
企業文化・社風との適合性に関する質問
応募者が自社の企業文化や社風に馴染めるかどうかは、長期的な活躍を期待する上で重要な要素です。
応募者の価値観や働き方への希望などを確認し、ミスマッチを防ぎましょう。
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- どのような企業文化や社風の会社で働きたいですか?
- 当社の企業理念について、どのように共感しますか?
- これまでの職場で、どのような時にやりがいを感じましたか?
- どのような働き方を希望しますか?
逆質問の確認
応募者からの質問は、企業への関心度や入社意欲を知る良い機会です。
真摯に回答するとともに、質問の内容から応募者の視点や考え方を把握しましょう。
- この仕事のやりがいや難しさについて教えてください。
- 配属される部署の雰囲気について教えてください。
- 入社後のキャリアパスについて、より詳しく教えてください。
中途採用面接で避けるべきNG質問とNG行動
効果的な面接を行うためには、適切な質問をすることが重要ですが、避けるべきNG質問・行動も存在します。
プライベートな質問をする
候補者のプライベートを探るような質問は控えましょう。
例えば、家族構成、配偶者の有無、子供の有無、住宅状況などが該当します。
また、思想、信条、宗教、支持政党など、個人の自由に関わる質問もNGです。
威圧的な態度や高圧的な言動
面接官が一方的に話し続ける、応募者の話を最後まで聞かないなど、応募者の回答を頭ごなしに否定するような行為はNGです。
面接官1人の行動が企業のイメージを損ねてしまう可能性もあるため、会社の顔として面接をしている自覚を忘れずに持つことが大切です。
基本的なマナーを守らない
遅刻や準備不足など、面接官としての基本的なマナーは確実に守りましょう。
準備不足は候補者にも伝わってしまい、選考意欲の低下や企業イメージダウンに繋がりかねないためです。
あらかじめ前後の予定に余裕を持たせ、履歴書、職務経歴書は事前に目を通しておきましょう。
中途採用面接で応募者を見極めるための重要ポイント
応募者のスキルや経験はもちろん、適応力や、成長意欲なども総合的に見極める必要があります。
経験・スキル
職務経歴や実績を詳細に確認し、自社のニーズに合致する経験やスキルを持っているかどうかを見極めましょう。
例えば、過去の困難な課題に対する取り組み方や、その解決策・結果などを質問することで、問題解決能力の高さを確認することができます。具体的なプロジェクト経験や成功事例を深掘りし、自社の事業に貢献できる専門性を持っているかを判断しましょう。
コミュニケーション能力・適応力
面接中の受け答えや言葉遣い、態度などから、社内外の関係者と円滑な連携が取れるコミュニケーション能力があるかどうかを見極めましょう。
また、前職での経験に固執しすぎず、変化の激しい環境においても柔軟に対応できる適応力があるかどうかも確認しましょう。特に中小企業であれば、急な方針転換やミッション変更が短期間で起こる可能性が高いため、すぐに切り替えて対応できる力は非常に重要です。
成長意欲・入社意欲
新しい知識やスキルを積極的に学び、自身の市場価値を高めたいという成長意欲があるかどうかを見極めましょう。なぜ当社で働きたいのか、入社後どのようなことに貢献したいのかといった熱意を深く理解し、入社意欲の高さを確認しましょう。
また、自身のキャリアについて主体的に考え、積極的に行動してきたか、また入社後も主体的に業務に取り組む意欲があるかを見極めることも重要です。
企業文化への適合性(カルチャーフィット)
自社の理念や価値観、社風などを理解し、共感できるか、また既存の社員と良好なチームワークを築けるかを見極めましょう。
その際に、面接官一人ひとりが、それぞれの視点から応募者を見極めることが重要です。面接後には、面接官同士で情報を共有し、総合的に評価を行いましょう。
評価が属人的にならないように、あらかじめ「採用基準」を設定しておくことがポイントです。採用基準の重要性や具体的な設定方法については、こちらの記事『「採用基準」の重要性とは?具体的な設定方法とメリットを解説!』をご覧ください!
中途採用面接と新卒採用面接の違い
同じ採用でも、中途採用と新卒採用の面接には、明確な違いがいくつかあります。
中途採用の面接官は、新卒採用の面接とは異なる視点とスキルが求められることを理解しておきましょう。
実施目的・質問内容
新卒採用の目的は「将来性のある人材を発掘し、育成していくこと」であるのに対し、中途採用の目的は「特定のスキルや経験を持つ人材を迅速に確保し、即戦力として活躍してもらうこと」です。
そのため、新卒採用では、学生時代の経験や基本的な能力に関する質問が多いのに対し、中途採用では、具体的な職務経験や専門スキルに関する質問が中心となります。具体的には、今まで経験してきたプロジェクトの成果や、KPIの達成率、チームでの役割や成果を深堀りする質問が中心になります。
評価の重点
新卒採用では、ポテンシャルや将来性が重視されるのに対し、中途採用では、即戦力となる経験やスキル、実績がより重視されます。
新卒採用の面接官は、応募者の成長可能性を見極める役割が強い一方、中途採用の面接官は、応募者の経験やスキルが自社のニーズに合致するかどうかをシビアに評価する役割が求められます。
まとめ:中途採用面接を成功させ、優秀な人材を獲得するために
本記事では、面接の基本的な流れから、効果的な質問例、避けるべきNG行動、見極めのポイント、新卒採用との違いを解説しました。
中途採用の面接は、企業の成長に不可欠な即戦力となる人材を獲得するための重要なプロセスです。適切な質問事項を用意し、応募者の経験やスキル、ポテンシャルを的確に把握することで、採用の成功率を高めることができます。
中途採用を担当される皆様の面接スキル向上の一助となれば幸いです。