就活で提出を求められることが多いエントリーシート(ES)。これから就活を始める学生にとっては初めて触れる応募書類で、どうやって書いたら良いか分からない方も多いでしょう。
この記事では、これからエントリーシートを書く方に向けて、エントリーシートの書き方を解説していきます。
人事がエントリーシートで見ているポイントって?
そもそも、なぜ就活ではエントリーシートが必要なのでしょうか。
まずは、エントリーシートで重要視されているポイントについて知っておきましょう!
【エントリーシートで見られるポイント1】学生の実績や能力
エントリーシートではまず、学歴や資格、所属団体やインターン経験などの客観的事実が見られています。学歴や資格などである程度の能力を把握し、所属団体やインターン経験などから学生の考え方や適性を判断しています。
このようにして企業は、何百~何千通も来るエントリーシートの中から面接に呼ぶ学生をふるいにかけているのです。
【エントリーシートで見られるポイント2】思考やポテンシャル
客観的事実で学生を絞り込んだら、ガクチカや学生時代の経験から、その人の思考やポテンシャルを見ていきます。
- どんな思考を持っていてどう仕事に向き合うのか
- 性格は会社に合いそうか
このように、企業は今のスキルだけではなく「入社後の伸び代」を予想していきます。そのため、エントリーシートでは思考や性格が分かるエピソードを書くことが大切なのです。
【エントリーシートで見られるポイント3】熱意や志望度の高さ
人事は、エントリーシートの内容から学生の志望度も確認しています。印象が悪くなってしまうため、志望動機の使い回しは絶対にやってはいけません。
「企業に合った志望動機になっているか」「どれだけ業界や企業について調べているか」などを見て、本気度を確かめています。当たり障りない内容だと人事の印象には残らないため、一社一社本気で内容を考えるように心がけてくださいね。
エントリーシートを書く時の基本事項
エントリーシートの内容を磨き上げることも大切です。しかし、まずはエントリーシートを書く際に必ず守ってほしい基本事項につい知っておく必要があります。
以下の注意点は、ビジネスに関わる書類全般に共通して言えるものばかりです。一般常識なので、これを機に覚えておきましょう。
- 文字の上手下手を問わず、丁寧に書くことを心がける
- 黒のボールペンや万年筆ではっきり書く
- 消せるペンや修正テープは使わない
- 「?」や「!」などの記号は使わない(ESの場合のみ例外あり)
- 間違えないように下書きをしてから書く
- 提出前にコピーを取って面接前に確認しておく
- 「です・ます」「だ・である」など、文体を統一する
- 「バイト」や「コンビニ」などの略語は使わない
- 企業ごとに志望動機や自己PRを書き分ける
魅力的なエントリーシートの書き方のポイント4選
それでは、人事に見られているポイントを押さえた「通るエントリーシート」の書き方について具体的に見ていきましょう。
【エントリーシート書き方のポイント1】アピールしたいポイントを1つに絞る
企業へのアピールというと、自分の長所をたくさん盛り込みたくなってしまいますよね。しかし、たくさんのことを一気に伝えることは、就活ではあまり好ましくありません。なぜなら、多すぎる情報が詰め込まれたエントリーシートは、結局何が言いたいかが分かりにくくなるからです。
エントリーシートを書く際は、企業の求める人材に合わせてテーマをひとつ設定しておきましょう。その設定に沿った内容で自己PRや志望動機を書けば、一貫性のある魅力的なエントリーシートが作成できます。
【エントリーシート書き方のポイント2】具体的に書く
読んだ人がイメージしやすいように、エントリーシートに書くエピソードやアピールポイントには具体性を持たせましょう。
「ゼミの討論会で優秀賞をもらった」など、実績を得た事実だけではあなたの魅力は伝わりません。「いつ・何を・どうして・どのようにしたか」ということを盛り込み、実績を得た経緯も説明することを心がけてくださいね。
【エントリーシート書き方のポイント3】企業に合ったアピールをする
長所やスキルは、企業に求められているものを逆算してチョイスすると通過率がアップします。
たとえば、「時間が守れる」「コミュニケーション能力」があることをアピールした学生がいたとします。しかし、これらの内容は社会人にとって基本の資質で、このままではアピールとしては弱いです。
効果的にあなたの魅力を伝えるためには、「どんな工夫でタイムマネジメントをしているのか」「どうしてコミュニケーション能力が身についたか」「強みが入社後どう役立つのか」を具体的に説明する必要があります。
事務ならタイムマネジメント、営業ならコミュニケーション能力と、業種や職種に合わせてアピール内容を変えるのも忘れずに。
ただし、企業にアピールしたいからといって嘘をつくのは絶対にやめてください。背伸びをせず、ありのままのあなたの魅力を伝えましょう。
【エントリーシート書き方のポイント4】簡潔で分かりやすい文章にする
エントリーシートに文章力は必要ありませんが、誰が読んでも分かりやすい文章を書く必要はあります。一文が長いと伝えたい内容が分かりにくくなりますし、正しい日本語を書かないと意味を理解してもらえないこともあります。
エントリーシートでよく聞かれる質問
企業によってエントリーシートの質問内容は異なりますが、基本的な質問は共通していることが非常に多いです。
【エントリーシートでよく聞かれる質問1】基本情報
ご自身のプロフィールについて聞かれることが多いです。例えば、氏名、住所、電話番号、メールアドレス等々。長期休みの際に滞在する場所が普段と異なる場合は、別途の住所や連絡先を求められることも珍しくありません。
【エントリーシートでよく聞かれる質問2】志望業界など、就職活動に関する質問
企業研究に関する質問
- なぜこの会社に興味を持ったのですか?
- 当社のビジョンやミッションに共感する点は何ですか?
- 当社の競合他社と比較して、当社を選ぶ理由は何ですか?
- 会社の成長戦略において、あなたが貢献できる部分はどこだと思いますか?
職務内容に関する質問
- あなたが希望するポジションで、どのようなスキルが求められると思いますか?
- 職務における課題や困難な状況に、どのように対処する予定ですか?
- この職務に配属されなかったら、あなたはどうしますか?
- この職務での成功をどう定義しますか?
志望動機に関する質問
- なぜこの職種を選んだのですか?
- あなたのキャリアプランにおいて、この会社での経験はどのような役割を果たしますか?
- どのような理由でこの会社に貢献できると思いますか?
- 当社に入社することが、あなたの将来の目標にどのように繋がると考えていますか?
就職活動全般に関する質問
- 就職活動において、最も重視している条件は何ですか?
- 今までの就職活動で、最も困難だったことは何ですか?また、それをどう乗り越えましたか?
- 自分の価値観に合う企業を見つけるために、どのようなリサーチをしていますか?
- 就職活動の進捗状況や、応募している他の企業について教えてください。
【エントリーシートでよく聞かれる質問3】ガクチカなど、ご自身にまつわる質問
自己分析に関する質問
- あなたの強みや弱みは何ですか?
- 過去の経験から、どのようなスキルを身に付けましたか?
- あなたがチームで達成した成功事例を教えてください。
- 自己分析を通じて見つけたあなたの一面は?
自己PRに関する質問
- あなたが他の候補者と異なる点は何ですか?
- あなたの強みを活かして、具体的にどのように貢献するつもりですか?
- あなたの短所をどのように克服していますか?
- あなたの過去の成功体験を、当社でどのように応用しますか?
仕事と価値観に関する質問
- 仕事において最も重要だと考える価値観は何ですか?
- ワークライフバランスについてどのように考えていますか?
- あなたが働く上で、最もモチベーションを感じるのはどのような時ですか?
- どのような企業文化の中で働きたいですか?
【エントリーシートでよく聞かれる質問4】とある業界ならではの専門的な質問
1. 金融業界
- 最近の金利動向が市場に与える影響について、あなたの意見を教えてください。
- 最近気になった、金融にまつわるニュースは?
- フィンテックの進化が、今後の金融業界にどのような変化をもたらすと考えますか?
- リスクマネジメントの重要性について、具体的な例を挙げて説明してください。
2. 広告業界
- 最近見た広告の中で印象に残っているものを教えてください。
- もしあなたが○○を宣伝するとしたら、どのように宣伝する?
- 広告を作るうえで大切なことは何だと考えていますか。
3. 商社業界
- 日本が海外に誇れることを理由と共に教えてください。
- どの国や地域に興味がありますか?
- 文化や常識の異なる人々をまとめ上げるために、あなたはどのような取り組みが重要であると考えますか?
このように、業界特有の質問はいくつか存在します。志望業界が決まっている学生は、別途チェックしてみてください。
エントリーシートの基本的な書き方~プロフィール編~
日付・写真
エントリーシートに書く日付は、提出日か前日にしておきましょう。西暦と元号のどちらで記入しても構いませんが、必ず全体で統一するようにしてくださいね。
書き損じた時に写真を無駄にしないように、写真は最後に貼ることをおすすめします。写真を貼る際は、必ず裏側に学校名や氏名を記載しておきましょう。これは、万が一剥がれてしまっても誰のものかが分かるようにするためです。
エントリーシートで好印象を残せる写真の撮り方については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
基本情報
次に、基本情報を記入していきます。
氏名の欄でふりがなを書く際は、「ふりがな」とあれば平仮名、「フリガナ」ならカタカナで書きましょう。生年月日は西暦か元号を統一し、年齢は送付時点のものを記載します。
住所は都道府県から書き、「1-2-3」と省略せずに「1丁目2番3号」と正しく書いてください。マンション名なども、忘れずに書いてくださいね。
連絡先は、連絡が取りやすい番号を書いておきましょう。最近は固定電話がないご家庭も多いので、携帯電話の番号だけでも構いません。メールアドレスは、数字とアルファベットを間違えないように分かりやすく書きましょう。
学歴・職歴
一段目の欄に「学歴」と書いてから、中学入学からの学歴を記入していきます。「中学」や「高校」は略語にあたるので、「中学校」や「高等学校」と正しく書いてください。
次に、学歴の下に「職歴」と記載し、職歴を書いていきます。アルバイトは職歴に当たらないため、「なし」で構いません。過去に正社員で働いたことがある方のみ、会社名を記載してください。
すべて書き終えたら、職歴を書いた板の欄に右詰で「以上」と書きます。
印鑑・その他
押し間違えてしまう可能性がある印鑑は、できれば最初に押すようにします。シャチハタではなく、必ず朱肉を使った認印を使用してください。
エントリーシートの記入欄は、8割~9割程度埋めるのが理想的です。最後に全体を見渡し、記入量の足りない部分がないかを確認しておきましょう。
エントリーシートの基本的な書き方~志望動機編~
ここでは、就職活動に関する質問の中でもメジャーな「志望動機」について、書き方を解説します。志望動機はどの企業でも使用できるような無難なものではなく、業界・企業研究の成果を盛り込むことを心がけることが大切です。「他の企業ではダメな理由」「就職後のビジョン」などを、必ず具体的に盛り込んでください。志望動機では自分の長所ではなく、「企業への関心度の強さ」や「企業への貢献度」をアピールすることがポイントです。
エントリーシート・志望動機の書き方の流れ
志望動機では、企業の事だけでなく自分の事も同時に知る必要があります。
- 自分の目標を明確にする: 自分の強みや経験、価値観を理解し、将来の目標に説得力を持たせる。
- 企業研究を行う: 企業の価値観やビジネス方向性を調査し、求める人物像を理解する。
- 自分の経験と企業のニーズを結びつける: 自分の経験やスキルが企業にどのように貢献できるかを具体的に示す。
- 志望動機をまとめて書く: 分析をもとに、簡潔で説得力のある志望動機を構成し、伝える。
エントリーシート・志望動機の構成
就活の志望動機や自己PRには、Point(要点)、Reason(理由)、Example(例文)、Point(要点)の頭文字をとった「PREP法」を用いましょう。PREP法に則って文章を組み立てることで、簡潔で分かりやすい文章を作成できます。
- 結論から始める
「私が貴社を志望する理由は、○○だからです。」 - 根拠を示す
「この志望動機を抱いた理由は、○○という経験からです。具体的には、他社ではなく貴社を選んだのは、○○な点に惹かれたからです。」 - 具体的なエピソードを記す
「例えば、私が○○を行った経験があり、それによって○○を実現できたことがありました。これを貴社で活かし、○○として貢献したいと考えています。」 - 再度、意欲をアピールする
「このような経験と意欲を持って、入社後には○○として貴社に貢献したいと考えています。」
エントリーシート・志望動機の例文
今回は例として、商社業界を取り上げます。
貴社はエネルギーや資源、化学品、食品など、多岐にわたる事業を展開し、グローバルなネットワークを活かして国際的なビジネスを推進しています。このような多様な事業領域と国際的な視点を持つ企業で、幅広い経験を積むことができると考えています。また、持続可能な社会の実現に向けた取り組みも評価しており、自分のキャリアと理念が一致する点に惹かれています。Reason(理由)
大学では、アジア市場向けの新製品導入戦略を策定するプロジェクトにおいて、各国の文化や市場特性を考慮しながら戦略を立案しました。このプロジェクトを通じて、異なる文化やビジネス環境に対する理解を深め、多様な視点からのアプローチの重要性を学びました。また、チーム内でのコミュニケーションスキルやリーダーシップスキルも大いに向上させることができました。Example(例文)
貴社での経験を通じて、多様な事業領域での知識とスキルを磨き、グローバルなビジネス環境で貢献できる一員として成長したいと考えています。特に、持続可能な社会の実現に向けて、企業の成長を支える役割を果たすことを目指しています。Point(要点)
自分が行った過去の出来事を上手にアピールできていますね。他の業界での志望動機や、詳しい書き方を知りたい方は、以下の記事をチェックしてください。
エントリーシートの基本的な書き方~ガクチカ編~
ガクチカなど、ご自身にまつわる質問のなかでも特に聞かれる「ガクチカ」について解説します。ちなみにガクチカとは、「学生時代に力を入れていたこと」の略称です。
ガクチカでは、あなたの仕事への向き合い方や思考回路について見られています。そのため実績だけではなく、「どんな思考や行動で、いかに困難に立ち向かったか」を盛り込むことが大切になります。
具体的かつ簡潔に伝わるように、ガクチカもPREP法を用いて書きましょう。主に大学時代のエピソードを書き、「継続力」「真面目さ」などの面接でアピールしたいことをメインテーマに選んでください。
エントリーシート・ガクチカに使うエピソードの選び方
- 成果が明確なエピソードを選ぶ
成し遂げた結果や達成感がはっきりしているエピソードを選びます。具体的な数字や実績があるとより良いです。 - 自分の貢献が際立っているエピソード
自分が中心となって解決策を考えたり、行動したりしたエピソードを選びます。チームの中での自分の役割が明確であることが重要です。 - 課題解決の過程が具体的なエピソード
課題に直面し、それに対してどのようにアプローチして解決したかを具体的に説明できるエピソードを選びます。 - 企業にアピールできるエピソード
そのエピソードが応募先の企業の求めるスキルや価値観と関連性があることが望ましいです。企業のニーズに合致する経験を選びましょう。
この4つのポイントを基に、自分の経験からエピソードを選定することで、説得力のあるガクチカを作成できます。
エントリーシート・ガクチカの構成
今回紹介するフレームワークは、STAR法です。STAR法とは、「Situation」「Target&Task」「Action」「Result」の頭文字を取ったもので、この順番で論理的且つ明快に文章を展開するフレームワークです。
- Situation(状況)
学生時代に力を入れた活動やエピソードの概要を簡潔に述べます。
例: 「大学のバレーボール部でセッターとしてチームを率い、県大会優勝を目指しました。」 - Target&Task(目標と課題)
直面した課題や掲げた目標を具体的に示します。
例: 「3年生の夏の大会で5勝し県大会優勝を目指しましたが、前大会までの結果は2回戦敗退が続いていました。」 - Action(行動)
課題解決に向けた具体的な行動を説明します。
例: 「課題感をチーム全員で共有し、対戦チームの分析と練習メニューの再構築を行いました。」 - Result(結果)
行動の結果、達成した成果を定量的に示します。
例: 「練習試合を通じてチームが強化され、5戦中3ゲームをストレートで勝ち、県大会で優勝しました。この経験から分析と計画性の重要性を学びました。」
このフレームワークについて詳しく知りたい方は以下の記事を確認!
エントリーシート・ガクチカの例文
STAR法に則り、今回はラグビー部のとある部員のガクチカを紹介します。
- Situation(状況)
「大学のラグビー部で、私はフォワードとしてチームの強化に取り組みました。特に、部員の少ない状況で、競技力向上を図ることが求められていました。」 - Target&Task(目標と課題)
「私たちの目標は、県大会で上位進出することでしたが、部員不足と戦力の偏りから過去の大会では低迷していました。このままでは目標達成が難しいと感じていました。」 - Action(行動)
「まず、部員のスキルアップを図るため、個別トレーニングを導入しました。次に、他校の強豪チームとの練習試合を増やし、実戦経験を積ませました。また、チーム全員で戦略を練り直し、練習の重点を基礎体力と連携プレーに置きました。」 - Result(結果)
「これらの取り組みの結果、チーム全体の体力と連携が大幅に向上しました。県大会では、予選リーグを全勝で通過し、準決勝に進出することができました。チームの改善に貢献できたことから、リーダーシップと計画性の重要性を学びました。」
正しいエントリーシートの書き方で印象をアップしよう!
エントリーシートで最も大切なのは、もちろん内容です。しかし、それ以前に正しい書き方ができていないと、「基本的なマナーも分からない」と思われてしまうこともあります。
逆に、正しいマナー通りに書かれたエントリーシートは印象が良くなることがあるのも事実です。エントリーシートの内容やあなたらしさを最大限伝えるために、正しい書き方をマスターしておいてくださいね!