
将来は会社の中核を担う存在になりたいから、様々な部署を経験できる「総合職」を志望している。しかし、いざ志望動機を書こうとすると、「どんな仕事も頑張ります」「色々な部署で成長したい」といった、漠然とした内容しか思い浮かばず、悩んでいませんか?
総合職の志望動機は、特定のスキルを語る場ではありません。あなたの「将来性」と会社を背負う「覚悟」を示す場なのです。この記事ではライバルに差をつけ、将来の幹部候補として期待されるための、志望動機の作り方と具体的な例文を徹底解説します。
そもそも総合職とは?企業が志望動機で見ているポイント
具体的な書き方に入る前に、まず企業が「総合職」という採用区分に何を期待しているのかを正しく理解しましょう。
専門職採用との違いを理解することが的確なアピールへの第一歩です。
総合職は将来の幹部候補!「ポテンシャル」が見られている
総合職とは将来的に企業の経営を担う、中核的な人材(幹部候補)を育てるための採用コースです。入社後は、営業、企画、人事、経理など、様々な部署を数年ごとに異動(ジョブローテーション)しながら、会社全体の事業を理解するジェネラリストを育成します。
そのため企業は現時点での専門スキルよりも、未知の領域にも果敢に挑戦し、学び、成長し続けることができる「ポテンシャル」を最も重視しています。
「色々経験したい」はNG!具体性のない総合職の志望動機
総合職を志望する学生がつい言いがちなNGな志望動機があります。
良かれと思って言った言葉が、実は評価を下げているかもしれません。まずはその典型的な例を見てみましょう。
ありがちなNG志望動機

「私は、特定の仕事に絞るのではなく、様々な業務を経験することで、自分自身の可能性を広げたいと考えています。
貴社は多様な事業を展開されており、ジョブローテーション制度も充実しているため、色々な仕事を経験しながら成長できる点に魅力を感じました。」
なぜこの志望動機ではダメなのか
この志望動機は全ての視点が「自分」に向いており、「会社にどう貢献したいか」という視点が完全に欠けています。
「経験したい」「成長したい」という言葉は、裏を返せば「経験させてほしい」「成長させてほしい」という受け身な姿勢の表れです。
これでは採用担当者に「会社を成長の踏み台としか考えていないのでは?」という、自分本位な印象を与えてしまいます。
総合職の志望動機で評価される3つのポイントと作り方
では、どうすれば幹部候補として期待される魅力的な志望動機が作れるのでしょうか。
ここでは評価される志望動機に共通する3つの重要なポイントと、その作り方を解説します。

1. 会社全体を俯瞰する「経営者視点」を持つ
総合職の志望動機では一つの部署の仕事だけでなく、会社全体がどのように成り立っているのかを理解している、という「経営者視点」を示すことが重要です。
例えば、「営業部門でお客様の声を直接聞いた後、その経験を商品企画部門で活かし、より市場のニーズに合った製品を創りたい」のように、部署間の繋がりを意識した発言ができると視野の広さをアピールできます。
2. 部署を横断して活かせる「ポータブルスキル」を示す
特定の部署でしか通用しない専門スキルではなく、どんな部署に配属されても活かせる、持ち運び可能な「ポータブルスキル」をアピールしましょう。
例えば、「課題解決能力」「リーダーシップ」「コミュニケーション能力」などです。あなたの経験を基に、これらのスキルがどのように形成され、今後様々な業務でどう活かせるのかを具体的に語りましょう。
3. 長期的なキャリアプランと「将来性」を語る
総合職として、あなたがこの会社でどのように成長し、最終的にどう貢献したいのか、長期的なキャリアプランを語りましょう。
「最初の10年間で〇〇と△△の部署を経験し、専門知識を深め、将来的には海外拠点の責任者として、貴社のグローバル事業を牽引したい」のように、具体的な目標を語ることで、あなたの「将来性」と入社への本気度を伝えることができます。
【例文5選】総合職の志望動機で使えるアピール軸
ここからは総合職の志望動機で有効なアピール軸と、それに基づいた例文を5つ紹介します。
あなたの経験と照らし合わせ、自分ならどう語るかを考えてみてください。
1.「課題解決能力」を軸にする例文
私は複雑な課題の本質を特定し、周囲を巻き込みながら解決に導くプロセスに強みがあります。
大学のゼミで地域活性化に関する調査を行った際、当初は意見がまとまりませんでしたが、私が問題点を整理し、各メンバーの得意分野を活かした役割分担を提案したことで、最終的に教授から最高評価を得られました。
この経験で培った課題解決能力を、まずは営業の最前線で発揮し、将来的には経営企画部門で全社的な課題解決に貢献したいです。
2.「リーダーシップ」を軸にする例文
多様な価値観を持つメンバーを一つの目標に向かってまとめるリーダーシップが私の強みです。
所属していた〇〇部では主将として「全国大会出場」という目標を掲げ、学年や経験の異なる全部員の意見に耳を傾け、練習メニューの改善を重ねました。
結果、創部以来初の全国大会出場を果たせました。
貴社に入社後はこのリーダーシップを活かし、将来的には多くの部署を束ねるプロジェクトマネージャーとして、貴社の成長を牽引したいです。
3.「挑戦意欲」を軸にする例文
私は誰もやったことのない、困難な課題に挑戦することに最もやりがいを感じます。
大学時代、未経験ながらプログラミングを独学で習得し、地域の課題を解決するアプリを開発・リリースしました。この経験から主体的に学び、未知の領域に飛び込む楽しさを知りました。
常に業界の常識を覆す挑戦を続ける貴社でなら、この挑戦意欲を最大限に発揮できると確信しています。
どんな部署でも臆することなく挑戦し、会社の新たな価値創造に貢献したいです。
4.「多様な人との協働力」を軸にする例文
私の強みは文化や価値観の異なる人々の架け橋となり、一つの目標を達成する協働力です。
1年間の留学中、多国籍のメンバーとグループプロジェクトを進めた際、意見の対立もありましたが、私が中心となって対話を重ね、それぞれの文化を尊重した役割分担を行うことで、最高の成果を出すことができました。
世界中に拠点を持つ貴社で多様なバックグラウンドを持つ社員の方々と協働し、グローバルな舞台で新たなビジネスを創出したいです。
5.「学び続ける力(学習意欲)」を軸にする例文
私は自身の専門外の領域であっても常に知的好奇心を持ち、貪欲に学び続ける力があります。
法学部に所属しながらも、マーケティングの面白さに目覚め、独学で統計学を学び、データ分析のコンテストで入賞した経験があります。
貴社に入社後はジョブローテーションを通じて、未知の分野の知識やスキルを積極的に吸収し、それらを掛け合わせることで前例のないアイデアを生み出して事業の発展に貢献したいです。
総合職の志望動機に関するよくある質問
最後に総合職の志望動機について、多くの就活生が抱く疑問にお答えします。
ここで不安を解消し、自信を持って選考に臨みましょう。
Q1. やりたい仕事が明確に決まっていないのはマイナス?

A. いいえ、全くマイナスではありません。総合職は入社後に様々な仕事を経験する中で、自分の適性を見つけていくことを前提としています。
大切なのは、「やりたいことが決まっていない」と正直に言うのではなく、「会社全体の事業を理解した上で、最適な形で貢献したいので、様々な仕事に挑戦したい」という、前向きで主体的な姿勢を示すことです。
Q2. 文系でもメーカーの総合職を志望して良い?




A. もちろんです。メーカーは技術者だけで成り立っているわけではありません。優れた製品を世の中に広める営業、ブランド価値を高めるマーケティング、社員を支える人事や経理など、文系出身者が活躍できるフィールドは無数にあります。
あなたの専門分野とメーカーの事業をどう結びつけられるかを考え、自信を持ってアピールしましょう。
Q3. 総合職と一般職の志望動機はどう違う?




A. 最も大きな違いはアピールすべき視座の高さです。
一般職が主に配属された部署でのサポート業務や、正確な事務処理能力をアピールするのに対し、総合職では、将来的に会社全体を動かしていく「経営者視点」や、部署をまたいで会社に貢献したいという「長期的なビジョン」をアピールすることが求められます。
経営者視点を持ち、将来の幹部候補としての熱意を伝えよう
総合職の志望動機はあなたという人材の「将来性」を企業に売り込む、最初のプレゼンテーションです。目先の仕事だけでなく、5年後、10年後にあなたがこの会社でどんな存在になっていたいのか。会社全体の成長にどう貢献していきたいのか。
そんな未来の幹部候補としての熱意とビジョンを、あなた自身の言葉で語りきってください。その視座の高さがあなたをライバルから一歩抜きん出た存在にしてくれるはずです。