【例文付き】志望動機で「理念に共感」は薄っぺらい?ありきたりにならない方法を解説

企業研究を進める中で、心から「素敵だな」と思える企業理念に出会ったあなた。「この想いを志望動機で伝えたい!」と考えているものの、「『理念に共感しました』だけでは、ありきたりで具体性がないのでは…」と、どう伝えれば良いか悩んでいませんか?

企業理念への共感は志望度の高さを示す強力な武器になります。しかし、伝え方を間違えると一気に薄っぺらい印象になってしまう諸刃の剣でもあるのです。

この記事ではあなたの「共感」を誰、にも真似できない説得力のある志望動機に変えるための、具体的な伝え方と例文を解説します。

「理念に共感」だけの志望動機が“NG”な理由

まず、なぜ「貴社の理念に共感しました」と伝えるだけでは不十分なのでしょうか。その理由を知ることであなたの志望動機に何が足りないのかが見えてきます。

多くの就活生が陥りがちな、2つの大きな落とし穴を確認しておきましょう。

1. 誰でも言えるため、具体性・差別化ができない

企業のホームページを見れば、企業理念は誰でも知ることができます。そのため「理念に共感しました」という言葉だけでは、他の多くの就活生と同じになってしまい、あなたの個性や魅力が全く伝わりません。

「なぜ、あなたが、その理念に共感したのか」という、あなただけの物語がなければ、採用担当者の記憶には残らないのです。

2. 本当に理解しているか、深掘りされると弱い

「では、具体的に理念のどの部分に、どう共感したのですか?」面接でこう深掘りされた時に、言葉に詰まってしまう学生は少なくありません。

理念の表面的な言葉をなぞっているだけで、その背景にある企業の歴史や、実際の事業内容と結びつけて理解できていないと、すぐに見抜かれてしまいます。「付け焼き刃の知識だな」と思われたら、あなたの信頼は大きく損なわれてしまうでしょう。

「理念への共感」に説得力を持たせる3ステップ

ではどうすれば「理念への共感」に、あなただけの説得力を持たせることができるのでしょうか。

これから紹介する3つのステップに沿って考えれば、誰にも真似できない、血の通った志望動機が完成します。

ステップ1:企業の理念を「具体的な行動」に分解して理解する

まずは企業の理念が、実際のビジネスシーンで、どのような「具体的な行動」として現れているのかを徹底的に調べましょう。

例えば、「挑戦」という理念なら、他社がやらなかったどんな事業に挑戦しているのか。「社会貢献」という理念なら、どんなCSR活動や環境配慮型の製品開発を行っているのか。

理念を具体的な事実と結びつけることで、あなたの企業理解度は飛躍的に深まります。

ステップ2:理念と共通する、自分自身の「原体験」を掘り起こす

次にその企業の理念と同じ方向を向いている、あなた自身の「原体験」を探します。

「挑戦」が理念の会社なら、あなたが過去に何かに挑戦した経験。「顧客第一」が理念なら、あなたが誰かのために必死になった経験。アルバイトやサークル、学業など、どんな経験でも構いません。

あなたの価値観が形成された、具体的なエピソードこそが、志望動機に魂を吹き込みます。

ステップ3:「企業の行動」と「自分の行動」をリンクさせて語る

最後の仕上げです。ステップ1で見つけた「企業の具体的な行動」と、ステップ2で見つけた「あなたの具体的な行動」を、志望動機の中でリンクさせましょう。

貴社が〇〇という挑戦をされている点に、私が△△に挑戦した経験から強く共感しました」というように、両者を繋げて語ることで、「私は、貴社と同じ価値観を持ち、同じ方向を向いて行動できる人間です」という、何よりも強いメッセージになります。

【理念の種類別】「理念に共感」した志望動機の例文5選

ここからは企業が掲げる理念の種類別に、具体的な志望動機の例文を5つ紹介します。

あなたの志望する企業がどのタイプに近いか、考えながら読んでみてください。

1.「挑戦」を掲げる企業理念に共感した例文

例文1

業界の常識に捉われず、常に新しい価値創造に「挑戦」し続ける貴社の姿勢に強く共感し、志望いたしました。

私は大学時代、未経験ながら独学でプログラミングを学び、友人と共に地域の課題を解決するアプリを開発した経験があります。

困難な課題に直面しても、それを乗り越えた先の未来を信じて行動し続けることの重要性を学びました。

この挑戦する姿勢を、常に未来を切り拓き続ける貴社でなら最大限に発揮できると確信しております。

採用担当採用担当

【ポイント】
企業の「挑戦」という理念を、自身のアプリ開発という具体的な「挑戦」の経験とリンクさせています。

「困難を乗り越えた」という経験を語ることで、ただの憧れではない、行動力と粘り強さを兼ね備えた人材であることをアピールできています。

2.「顧客第一」を掲げる企業理念に共感した例文

例文2

徹底した「顧客第一」主義を貫き、お客様の期待を超えるサービスを追求する貴社の理念に感銘を受けました。

私はカフェのアルバイトでお客様一人ひとりの表情や会話から好みを察し、メニューにはない特別な一杯を提案することを心がけてきました。

お客様の「ありがとう」という言葉が、私の何よりの原動力でした。

この経験を活かし、常にお客様の立場に立って行動することで、貴社の顧客満足度向上に貢献し、多くのファンを創造していきたいです。

採用担当採用担当

【ポイント】
企業の「顧客第一」という理念を、アルバイトでの具体的な「お客様への行動」で体現していることを示しています。

自分のやりがいの源泉が企業の理念と一致していることを語ることで、高いマッチ度を印象付けています。

3.「社会貢献」を掲げる企業理念に共感した例文

例文3

事業を通じて「社会貢献」を実現するという貴社の理念に、私の想いが合致すると考え、志望いたしました。

大学のゼミで環境問題について研究する中で、次世代のためにより良い社会を残すことの重要性を痛感しました。

特に貴社が収益の一部を環境保護活動に充てているだけでなく、製品そのもので環境負荷を低減しようとされている点に感銘を受けています。

私もその一員として、社会をより良くするための事業に情熱を注ぎたいです。

採用担当採用担当

【ポイント】
企業の「社会貢献」を単なる慈善活動としてではなく、「事業そのもの」として捉えている点に、企業理解の深さが表れています。

自分の学び(ゼミ)と企業の行動を結びつけることで、知性と熱意を両立させています。

4.「誠実・信頼」を掲げる企業理念に共感した例文

例文4

お客様に対し、常に「誠実」であり、嘘のないサービスを提供することで「信頼」を得る、という貴社の理念に強く共感します。

私は所属していた部活動で会計係を務め、1円の誤差も許さないという責任感で、部員全員のお金を管理してきました。

当たり前のことを愚直に真面目に行うことこそが、信頼の礎であると学びました。

この誠実な姿勢を活かし、お客様の大切な資産を預かる一員として貴社の信頼をさらに高めることに貢献したいです。

採用担当採用担当

【ポイント】
「誠実」という目に見えない価値観を、部活動の「会計係」という具体的な役割と経験に落とし込んでいる点が秀逸です。

派手さはありませんが、堅実な人柄と仕事への責任感の強さが伝わる、信頼感のある志望動機です。

5.「チームワーク」を掲げる企業理念に共感した例文

例文5

多様な個性を尊重し、「チームワーク」で大きな成果を生み出すという貴社の理念に自身の経験が活かせると考え、志望しました。

大学の学園祭で私は実行委員として、意見が対立するメンバー間の調整役を担いました。

それぞれの想いに耳を傾け、共通のゴールを再設定することで最終的にチームを一つにまとめ、企画を成功に導きました。

この経験を活かし、貴社でも様々な専門性を持つ方々の架け橋となり、チームの力を最大化することで貢献したいです。

採用担当採用担当

【ポイント】
「チームワーク」という言葉を、具体的な「調整役」という自分の役割として語っているため説得力があります。

組織の中で自分がどう立ち振る舞い、貢献できるのかを明確に示せている点が高く評価されます。

面接での深掘り質問「うちの理念のどこに共感した?」への答え方

面接では「理念に共感した、とのことですが、具体的にどの部分ですか?」という深掘り質問が必ず来ると考えておきましょう。

この質問に自信を持って答えることが、あなたの本気度を証明する上で非常に重要です。

企業理念を体現した「事業・サービス・社員の言葉」を引用する

この質問に答える際は「貴社の〇〇という事業は、まさに△△という理念を体現されていると感じます」というように、理念と具体的な事業内容やサービスを結びつけて語りましょう。

また、OB訪問で聞いた社員の方の言葉を引用し、「〇〇様からお伺いした△△というお言葉に、貴社の理念が浸透していることを実感しました」と語るのも、非常に効果的です。

「理念に共感」の志望動機に関するよくある質問

最後に「理念に共感」という軸で志望動機を作る上で、多くの就活生が抱く疑問にお答えします。

ここで不安を解消し、自信を持ってあなたの想いを伝えましょう。

Q1. 抽象的な企業理念はどう解釈すればいい?

企業企業

A. 「豊かな社会の実現」のような抽象的な理念の場合は、その企業が発行しているIR情報(投資家向け資料)の中期経営計画や、社長メッセージを読み解くのがおすすめです。

そこには理念を達成するために、具体的にどのような事業戦略を立てているのかが書かれています。それを参考に自分なりに理念を具体的な言葉に変換してみましょう。

Q2. 中小企業やベンチャー企業でも理念は重要?

企業企業

A. はい、むしろ大企業以上に重要です。中小・ベンチャー企業は社長の想いや価値観が、そのまま企業理念になっているケースがほとんどです。

理念への共感は社長への共感とイコールであり、志望度の高さをアピールする上で最も効果的な方法の一つと言えます。社長のインタビュー記事なども必ずチェックしておきましょう。

Q3. 自分の経験と理念がうまく結びつかない場合は?

企業企業

A. 無理に結びつける必要はありません。それはあなたとその企業の価値観が少し違う方向を向いている、というサインかもしれません。

志望動機は自分を偽って企業に合わせるためのものではなく、自分に本当に合った企業を見つけるためのものです。その企業とはご縁がなかったと考え、あなたの経験と心から共感できる理念を持つ、別の企業を探すことをおすすめします。

「理念への共感」をあなただけの物語として語ろう

企業理念への共感は数ある志望動機の中でも、あなたの価値観と企業の価値観が一致していることを示す、最も強力なアピールの一つです。

大切なのはホームページの言葉をなぞるのではなく、あなた自身の経験というフィルターを通して、理念を「あなただけの物語」として語ること。その物語にこそ採用担当者の心を動かす力が宿っています。自信を持ってあなたの想いを伝えてください。