
この記事では、魅力的な自己PRを撮る方法や撮影前にしておきたい準備などを動画例付きで解説していきます。
エントリーシート(ES)に書く自己PRを作るだけでも大変なのに、それをさらに動画で撮影するなんて手間だと感じるでしょうが、この方法を採用している企業には意図があるのです。近年、自己PRを動画に撮って提出させる企業は、大手企業・ベンチャー企業問わず増えてきています。動画で自己PRする方法を身につけて、あなたの強みを人事に伝えていきましょう。以上のことを踏まえて、解説していきます。
企業が自己PR動画を求める理由
企業が自己PR動画をの提出を求める理由、それは「採用の効率化」です。実際人気企業ともなると年に数千通~数万通ものエントリーがあります。そこから面接に呼ぶ学生を決めるためにエントリーシートを読むことになりますが、書面だけでは伝わらないことが沢山あるのです。例えば「話し方」であったりその人が醸し出している「雰囲気」などは実際に動いて話しているところを見ないと判断できません。
つまり企業は書面だけでは探すことのできない魅力的な学生を自己PR動画で見つけ出し、一次面接を疑似的に行っているのです。これをすることで面接する学生を早い段階で絞ることができるため、大幅な時間短縮に繋がります。
では、企業の採用担当者は具体的に自己PR動画のどんな部分を見ているのでしょうか?
自己PR動画を通して企業が見ているポイント
自己PR動画を通して企業側が確認したいポイントは主に2つで、あなたの「人柄」と「考え方」になります。
人柄を見ているのはあなたの性格や雰囲気、話し方や身動きなどを確認して自社の社風にマッチしているかを見たいというのが理由です。そして考え方を見ているのはあなたの価値観や困難と対峙した時の考え方を確認し、企業方針や業務にマッチしているかや今後の将来性を見極めたいというのが理由です。
企業が何を見ているのかを理解したら、次は自己PRを魅力的に伝えるコツを伝授します。
印象に残る自己PR動画の撮り方
今回は自己PRを動画で魅力的に伝えるためのコツを2つご紹介致します。どちらも難しいものではなく、簡単に実践できるものになりますので是非覚えておいてください。魅力的な自己PR動画を作って選考を突破しましょう!それでは1つずつ解説をしていきます。
初めに結論を述べる
自己PRの出だしに困り、学生時代のエピソードを冒頭から話してしまう就活生をよく見かけますがそれはNGです。何を伝えたいのかが最後まで分からないと聞き手は頭の中で情報が整理できないため、あなたの魅力が伝わりづらい自己PRになってしまうのです。
実際に初めに結論を述べている自己PRと、最後に結論を述べている自己PRとを見比べてみましょう。
大学のゼミでグループ発表をすることになりましたが、なかなかメンバーの予定が合わず、このままでは発表に間に合わないと判断しました。そこで私は発表までの日数を逆算してスケジュール表を作成しましたが、なかなかスケジュール通りには進みませんでした。メンバーの士気が下がっている中、私が何度もスケジュールを立て直していると、次第にメンバーとの連携が取れるようになりました。その結果、ゼミ内で最も高く評価してもらうことができました。そのため、私の強みは計画通りにいかない時でも目標を見失わないポジティブさだと自負しています。
私の強みは、計画通りにいかない時でも目標を見失わないポジティブさです。大学のゼミでグループ発表をすることになりましたが、なかなかメンバーの予定が合わず、このままでは発表に間に合わないと判断しました。そこで私は発表までの日数を逆算してスケジュール表を作成しましたが、なかなかスケジュール通りには進みませんでした。メンバーの士気が下がっている中、私が何度もスケジュールを立て直していると、次第にメンバーとの連携が取れるようになりました。その結果、ゼミ内で最も高く評価してもらうことができました。
どちらも同じ内容ですが、最初に結論を述べているほうがスッと頭の中に入ってきてイメージしやすいと思います。このように「私の強みは○○です」と冒頭で宣言してしまう事で、自分が伝えたいことを相手に正確にイメージさせることができるのです。
以前とあるイベントでお会いした人事担当者の方は、

「自己PR動画ではスタートから大体15秒程度で印象が決まってしまう。受かる人と受からない人の違いは出だしにあることが多い」
伝えたいことを簡潔にまとめる
2つ目のコツは伝えたいことを簡潔にまとめるということです。自己PR動画は基本的に時間指定があり、30秒から1分程度の尺で提出を求められることが多いです。その限られた時間の中で自分が伝えたいことを伝えきるには、情報の取捨選択が重要になります。
まず、自己PRで伝える自身の強みは1つに絞ってください。短いアピールタイムの中に結論が複数あるとごちゃごちゃしてしまい、結局何が言いたいのかがぼんやりしてしまいます。また、「関係のない話をしない」や「エピソードは要点をまとめて話す」といった意識を持って作ると、まとまりのある分かりやすい自己PRを作ることができます。以上の2つを意識して自己PR動画を撮影すると、あなたの良さを最大限伝えることができますので実践してみてください。
次は撮影をする前の準備について解説をしていきます。「料理は下準備が大切」と言うのと同じように、自己PRを動画で撮影する時も入念な準備が必要なのです。自己PR動画で人事に好印象を与えるための準備方法を紹介していきますので、これを見て参考にしてください。
自己PR動画におもしろさは必要?
自己PR動画におもしろさを加えることは、視聴者の興味を引きつけ、記憶に残りやすくするために非常に有効です。しかし、ただ面白いだけではなく、自分の強みやスキルを効果的に伝える内容であることが重要です。
ユーモアや個性を取り入れつつ、自分らしさをアピールすることで、人事担当者に強い印象を与えることができます。ただし、過度にふざけることは避け、バランスを保つことが求められます。
【時間別】自己PR動画の重要なポイント
自己PR動画の長さによって、効果的に伝えるためのポイントが異なります。ここでは、15秒、30秒、1分、3分といった時間別に分けて、自己PR動画で意識すべき重要な要素を紹介します。これらを参考にして、視聴者に強い印象を与える自己PR動画を作成しましょう。
15秒の自己PR動画
15秒の自己PR動画では、簡潔でインパクトのあるメッセージが求められます。最初の数秒で自分の強みを明確に伝え、視聴者の興味を引きつけることが重要です。具体的な成果や特徴的なスキルを一言で表現し、強い印象を残しましょう。
こんにちは、〇〇大学△△学部の□□です。私は、目標達成に向けて粘り強く挑戦する力があります。大学では、ゼミの研究発表でチームをまとめ、意見を調整しながら成果を上げました。この強みを活かし、貴社でも貢献したいと考えています。よろしくお願いします。
30秒の自己PR動画
30秒の自己PR動画では、自分の強みやスキルに加えて、具体的なエピソードを交えることで説得力を増すことができます。重要なポイントを強調しつつ、視聴者に自分の価値を理解させる内容を盛り込みましょう。適度なテンポで話すことも大切です。
こんにちは、〇〇大学△△学部の□□です。私は、課題解決力が強みです。大学のゼミ活動で、地域活性化のプロジェクトに取り組んだ際、イベントの集客が伸び悩んでいました。そこで、SNSを活用したPR施策を提案・実施した結果、前年より参加者を30%増やすことができました。この経験を活かし、貴社でも課題解決に積極的に取り組み、貢献したいと考えています。よろしくお願いします!
1分の自己PR動画
1分の自己PR動画では、自己紹介と共に、具体的な成果やエピソードを詳細に語ることができます。自身のキャリアや経験を通じて培ったスキルを示し、視聴者に自分の能力を確信させる内容を伝えましょう。バランスの良い構成で、ポイントを明確にします。
こんにちは、〇〇大学△△学部の□□です。私は、継続して努力を重ねる力があります。大学では、未経験からプログラミングを学び、1年間の独学と実践を積み重ねました。最初はエラーばかりで、思い通りに動かせず悔しい思いをしましたが、毎日少しずつ理解を深めることで、着実にスキルを伸ばしました。
さらに、学んだことを活かすためにオンラインのプログラミングコンテストにも挑戦しました。最初の成績は振るいませんでしたが、原因を分析し、試行錯誤を繰り返した結果、全国規模の大会で入賞することができました。この経験から、どんなに難しい課題でも諦めずに努力を続けることで成果が出せることを実感しました。
貴社でもこの継続力を活かし、新しいことにも積極的に挑戦しながら成長し、貢献したいと考えています。どうぞよろしくお願いいたします!
3分の自己PR動画
3分の自己PR動画では、より深く自己を表現できる時間があります。これまでの経験や達成した成果を詳細に語り、自分の成長過程や学びを強調します。視聴者に対して、自分が企業にどのように貢献できるかを具体的に説明し、強い印象を残しましょう。
こんにちは、〇〇大学△△学部の□□です。私は、どんな困難な状況でも前向きに考え、最後までやり抜く力があります。これまでの経験の中で、特にこの力を発揮したのが、大学でのサークル運営です。
私は大学で映画研究サークルに所属し、2年生の時に代表を務めました。しかし、私が代表になった当初、サークルの活動は停滞しており、部員数も減少していました。前年の新入部員はわずか5名で、活動の継続すら危ぶまれる状況でした。そこで私は、この状況を打開しようと、新入部員を増やすことを最優先の目標に設定しました。
まず、原因を分析したところ、サークルの活動内容が新入生にうまく伝わっていないことが問題だと分かりました。そこで、サークル紹介の方法を見直すことにしました。従来のポスター掲示や説明会だけでなく、実際に制作した短編映画を活用して視覚的に魅力を伝えることを考えました。具体的には、大学構内での上映イベントを企画し、興味を持った新入生が気軽に参加できる環境を作りました。さらに、SNSを活用し、映画制作の裏側やメンバーのインタビュー動画を発信することで、サークルの雰囲気を伝えることにも注力しました。
もちろん、最初からうまくいったわけではありません。上映イベントの集客は予想よりも少なく、初回は10名程度しか来ませんでした。しかし、そこで諦めず、来場者の意見をもとに改善を重ねました。例えば、上映する映画のジャンルを幅広くすることで、より多くの人の関心を引くようにしました。また、SNSの発信内容も「映画研究」だけでなく、「初心者でも楽しめる映画の撮り方」など、新入生が興味を持ちやすいテーマに変更しました。
その結果、徐々に新入生の関心が高まり、翌年の新入部員は20名に増加。前年の4倍の成果を出すことができました。さらに、部員の増加により、映画制作のプロジェクトが活発化し、学内の映画コンテストでも賞を受賞するなど、サークル全体が活性化しました。
この経験から、私は「課題を冷静に分析し、試行錯誤を続けることで困難な状況でも打開できる」と学びました。社会人になっても、この粘り強さと前向きな姿勢を活かし、どんな課題にも挑戦していきたいと考えています。貴社でも、困難な状況に直面しても諦めず、試行錯誤しながら成果を出していけるよう努力を重ねていきます。
最後までお聞きいただき、ありがとうございました!
自己PR動画を撮る前にしてほしい準備
今回ご紹介する皆さんにやってほしい事前準備は全部で5つです。1つずつ丁寧に準備の仕方とポイントや注意点を解説していきますので確認していきましょう。
正しい姿勢の練習をする
まず初めにやってほしいことは、椅子に正しく座る練習です。せっかく良い内容の自己PRをしているのに、猫背であったり前のめりになっていたりすると非常にもったいないです。このようなことが本番で起きないよう、事前に鏡の前で姿勢のチェックをしておきましょう。
鏡に対して横を向いて椅子に座った時、横から見て耳と肩の位置が揃っている状態になっているかどうかを確認してください。どうしても猫背気味になってしまうという方は、両肩甲骨を真ん中に寄せるイメージで胸を張ると、ピシッと座ることができるので試してみてください。
身だしなみ・服装を確認する
動画を撮影する時は内容だけでなく、身だしなみにも注意しなければなりせまん。服装は何か特別な指定がない限りスーツを着用します。着用前にシワや汚れが無いことを入念に確認をし、着用後はネクタイや襟がズレたりしていないかなどを確認してください。
髪型は男女共に清潔感を意識するようにしましょう。就活の髪型についてはこちらの記事にまとめておりますので、おすすめのヘアースタイルや髪型を決める際のの注意点が気になる方は是非ご覧ください。
部屋を片付ける・背景を決める
自己PR動画を撮影する前に、まず部屋の片付けを行いましょう。背景が物であふれていたり、散らかっていたりすると「だらしない性格」と思われる可能性があります。また、余計なものが映り込むと、視聴者の注意がそれに引かれてしまい、自己PRの内容に集中できない恐れがあります。
さらに、背景も重要な要素です。シンプルで落ち着いた背景を選ぶことで、自分の話に視聴者の注意を集中させることができます。綺麗な部屋と適切な背景設定は、清潔感や誠実さをアピールする一助となります。
カメラを用意する
部屋を片付け終わったら、次はいよいよカメラの準備です。一眼レフやデジカメを使うべき?と質問を頂くことがありますが、その必要はありません。近年発売されているスマホのカメラは非常に画質が良いため、普段皆さんが使っている携帯電話で撮影をしていただければ十分です。
ただし、あまりにも昔の機種を使っていて顔が確認しずらい場合はデジカメ等、何か他の撮影手段をご用意ください。
カメラをセッティングする
最後の準備としてやってほしいことはカメラのセッティングです。この時のポイントとしては絶対に途中で動かないようにセットするということです。三脚を持っている方はそれを使って頂ければいいのですが、三脚が手元に無い方は机や窓縁などに上手く立てかけてセッティングをしましょう。
カメラをセットする時の高さは、自分が座った時の目の高さと同じ位置に来るようにしてください。目線より下だと見下してしまう構図になり高圧的な印象を与えてしまいますし、目線より上にカメラがあると頼りない弱々しい印象を与えてしまいます。
また、どちらかに傾いていないかも入念にチェックをしてください。傾いた動画を提出してしまうと、「細かい所に気づかないガサツな性格なのかな?」というマイナスなイメージを人事担当者に与えてしまいかねませんので注意してください。
自己PRの動画に関するよくある質問
ここからは自己PRの動画に関するよくある質問をまとめたQ&Aをご紹介していきます。
照明器具はあったほうが良いの?
- 照明器具はあったほうが良いですか?
- 持っている場合は使ってもいいですが、無いからと言って購入する必要はありません。照明器具を持っていない方は、自然光を有効的に使いましょう。太陽の光には人間の表情を明るく見せてくれる効果があります。
屋外で撮影しても良いの?
- 屋外で撮影しても良いですか?
- 結論から言うとダメではありません。ですが周囲の音や風の音を拾ってしまったり、明るさの調節が難しいためオススメはできません。できる限り自宅で撮影することを推奨します。
カメラは向きは縦横どちらが良いの?
- カメラの向きは縦横どちらが良いですか?
- 企業からの指定が無い限りはどちらでも構いません。撮影する環境に合わせて自分の好きなほうを選んでください。
内カメと外カメのどちらを使うべきか?
- スマホの内カメと外カメ、どちらで撮影するべきか?
- 基本的にどちらでも構いませんが、練習では内カメで本番は外カメを使用することをおすすめします。内カメで撮ると自分の動きが画面で見えるため練習には向いていますが、画面を見てしまうと目線が少しズレてしまうため本番は外カメを使うのが好ましいです。練習と本番で上手く使い分けて、より良い自己PR動画を目指していきましょう!
自己PR動画は編集してもいい?
- 動画はカットしたり編集したりしても大丈夫?
- はい、自己PR動画を編集しても構いません。編集を通じて不要な部分をカットし、視聴者に伝えたいポイントを効果的に強調できます。ただし、過度に編集することは避け、自然な流れを保つことが重要です。
カンペなど撮影に必要な小道具はありますか?
- カンペや小道具などを用意する必要はありますか?
- 自己PR動画を撮影する際には、カンペやメモを準備すると良いでしょう。これにより、重要なポイントを逃さず伝えられます。また、カメラの位置や照明、背景にも注意を払い、プロフェッショナルな印象を与えることが大切です。
自己PR動画を実際に撮影してみた【動画例付き】
就活生の皆様がイメージをしやすいように、我々キミスカ研究室の室員が実際に自己PR動画を撮影してみました。文面だけではイマイチ想像つきにくいなと感じた方はこちらの動画例を見て、撮影の仕方や自己PRの伝え方を自分の中に落とし込んでください。
自己PRの書き方が分からない場合の対処法
ここまで読んで自己PR動画の撮影方法は理解できたけど、肝心な自己PRの書き方が合っているのか分からなくて不安な方もいらっしゃることでしょう。そんな時は、キミスカが誇る就活のプロがまとめた「絶対に落ちない自己PRの書き方」という記事を読んでみてください。
この記事を読めば自己PRの作り方が簡単に理解でき、今よりもさらに魅力的な自己PRが完成することでしょう。お時間のある時に一度目を通して頂けたら幸いです。
自己PR動画は初めの15秒が大切!【まとめ】
伝えたいことを簡潔にまとめ、冒頭で結論を述べるのが自己PR動画を魅力的に撮るコツです。「自己PR動画ではスタートから15秒程度で印象が決まってしまう」と言われているくらい初めの15秒が重要になるので、出だしには注意して自己PRを構成していってください。
また、撮影する前の準備をすることを怠ってしまうと、もったいない部分で印象を落としてしまう可能性がありますのでこれでもかと思うくらい念入りに準備を行ってください。
ここまで拝読していただきありがとうございました。皆さんの就活が成功しますことを心より願っております。