就活生のほとんどが経験する適性検査ですが、どんな検査が実施されるのかを知らなければ、選考を通過するのは厳しいでしょう。また、適性検査にはSPIや玉手箱といった種類があるほか、オンラインで回答するものや記述が必要なものなど、実施形態も異なります。
この記事では“適性検査とはどういったものなのか”という基本情報をはじめ、対策方法や回答のコツを紹介します。
適性検査とは?就活生が押さえておきたい基礎知識
適性検査とは、“自社を志望する学生が一定の基準を満たしているかどうか”を判断するために行われるものです。
検査では、学力と人柄を把握するための問題・質問が出されますが、企業は検査を通じて3つのポイントを見ています。
- 能力:企業が求める基礎能力を持っているか
- 個性:どのような価値観や志望動機を持っているか
- 適性:仕事への適性や社風とのマッチ度合い
以下の表は、適性検査で押さえておきたい基本情報です。それぞれの項目は記事内で詳しく解説しますが、ここで主なポイントを把握しておきましょう。
適性検査の基本情報 | 概要 |
---|---|
実施時期 | ES提出後~面接の前までに行われることが多い。 |
目的 | 応募者の足切りや、面接で質問するときの参考にする。そのほか、配属先の決定や、学生の知識量を知るために行われる。 |
検査内容 | 一般常識や学力を見る「能力検査」と、応募者の個性や適性などを見る「性格検査」が実施される。 |
種類 | 「SPI」「玉手箱」「TG -WEB」「企業独自のテスト」などがあり、どれを採用しているかは企業ごとに異なる。 |
科目 | 国語力が必要な「言語分野」と、数学や論理的思考を問う「非言語」がメイン。企業によっては英語や作文を課すこともある。 |
受検方式 | 筆記かPCで回答するが、インハウスやテストセンター、自宅など受検する場所なども異なる。 |
就活の適性検査とは|実施時期
適性検査は、ESや履歴書などの書類選考が終わってから、面接までの期間に実施されることがほとんどです。
選考のスケジュールは業界や企業によって異なりますが、早いところでは大学3年の10月から始まることもあります。
周りのペースに合わせていると、志望したい企業の選考が終わっている可能性もあるため、就活解禁前にスケジュールを把握しておきましょう。
以下の記事では、就活解禁の時期や必要な準備についてまとめているので、ぜひ参考にしてください。
就活の適性検査とは|企業の目的
選考を通過するためにも、企業が適性検査を行う目的を把握することが肝心です。
ここでは、適性検査が実施される理由を3つご紹介します。
【就活の適性検査|企業の目的とは1】学力や一般常識を確認する
適性検査では、応募者の学力と人柄を知るための問題が出されます。学力を確認するための検査は、国語力を問う「言語」と数学力を問う「非言語」をはじめ、「英語」が受検科目に含まれていることもあります。
また、「一般常識」に関する問題が出されることも把握しておきましょう。政治や地理のほか、ニュースで取り上げられた出来事が時事問題として出されることもあります。
こうした検査を通じて、企業は「仕事のベースとなる学力や一般常識が学生にあるか」を見極めようとしているのです。
【就活の適性検査|企業の目的とは2】応募者の数を絞る
企業の中には、応募者の数を絞る“足切り”を目的に適性検査を実施するところもあります。とくにエントリーが集中する大手や人気の企業では、採用活動を効率的に行うために適性検査でふるいにかけているのです。
受検者の知識量や人柄が自社に合わないと判断されれば、適性検査の段階で落とされてしまうでしょう。
【就活の適性検査|企業の目的とは33】配属部署を決める参考にする
就活の選考で実施される適性検査ですが、学力の有無や足切り以外の目的に活用されることもあります。
とくに受検者の人間性やストレス耐性などが分かる性格検査を、配属する部署の参考にしている企業も少なくありません。
企業の社風と合わない学生が入社すると、ミスマッチから早期退職に繋がるリスクもあるため、企業は可視化された人柄を考慮しているのです。
面接時の印象なども加味されますが、適性検査を配属部署の参考にする企業は、より自社にマッチした人材を採用したいと考えているのでしょう。
就活の適性検査とは|検査内容
適性検査の内容は、学力を確認する「能力検査」と、個性を確認する「性格検査」の2つがあります。
ここでは、それぞれの特徴を見ていきましょう。
就活の適性検査|「能力検査」とは
能力検査で問われているのは、受検者の学力です。検査の種類や企業の意向によって科目数に違いがありますが、主に言語分野と非言語分野、英語が出題される傾向にあります。
また、検査方法の種類によって測定される能力が異なります。それぞれの検査方法と特徴は以下の通りです。
検査方法 | 特徴 |
---|---|
一般能力テスト | 中学・高校レベルの語彙や演算力といった問題が多い。回答数や正答率が重視されるため、素早く的確に答える力が求められる。 |
設問A.B形式 (α式・β式) |
「A式」は文章問題が用意されており、読解力や論理的思考が必要。「B式」は図形や記号を使った問題が出され、空間を素早く認識できるスキルなどが問われている。 |
パワー・スピードテスト | 問題数が少ない「パワーテスト」は、長文や難解な問題が出され、受験生の忍耐強さ・集中力を測定。問題数の多い「スピードテスト」は、素早く的確に答える力が見られている。 |
客観式・記述式 | 「客観式」は、マークシートなど択一方式の問題により客観的な採点が可能。小論文などを課す「記述式」は、文章力や表現力などを見ているが、正誤の判断が採点者によって異なる。 |
効果的な対策をするためにも、志望する会社の検査方法を事前に調べておきましょう。
就活の適性検査|「性格検査」とは
性格検査では、受検者の人間性を細かく分析するための設問が用意されています。
能力検査と同様に、性格検査でもいくつかの種類があるので、それぞれの特徴を把握しておきましょう。
検査方法 | 特徴 |
---|---|
質問紙法 | 受検者の情緒を問う設問に対して、直感的に“はい”か“いいえ”などの2択から選び回答していく。受験者が質問内容を誤解すると、正確な結果が出ないこともある。多くの企業が質問紙法で検査している。 |
投影法 | ある物事に対する被検者の反応・回答から、性格や人間性を把握する検査。とくに有名なロールシャッハテストでは、「インクのシミが何に見えるか」などの設問がある。検査にかかる時間が長く、専門家による分析が必要なため、実施する企業は少ない。 |
作業検査法 | 受検者に一定の作業を課し、その様子を観察することで考え方や適性などを測定する。代表的なものに「内田クレペリン検査」があり、ひと桁の数字を足し合わせていく作業が課される。 |
「質問紙法」や「投影法」などの性格検査では、直感的に答えることが大切です。
質問内容を誤解したまま回答すると、企業から「嘘をついている」と判断されるケースもあるので、検査に臨む際は十分に注意してください。
就活の適性検査とは|検査の種類
適性検査の対策を効果的に行うために、検査の種類を把握しておくことが重要です。
SPIや玉手箱といった検査ツールは企業ごとに異なり、以下に挙げた5種類に分けられます。
種類 | 概要 |
---|---|
SPI | 就活生が受けるのは、能力検査と性格検査。能力検査では英語も実施されることがある。難易度は中学・高校レベルで、幅広い業界で採用されている。 |
玉手箱 | 能力検査と性格検査が行われるが、SPIよりも難易度は高め。設問ごとに制限時間があるため、素早く解く必要がある。ハウスメーカーや医療メーカー、マスコミなどで実施されることが多い。 |
TG-WEB | 言語・非言語・英語の能力検査と性格検査が行われる。実施企業は少なく、適性検査の中でもとくに難しい。問題形式は“従来型”と“新型”の2パターンがあるため、事前に確認が必要。 |
企業独自テスト | 問題内容は企業によって異なるが、マスコミ業界で独自のテストを課す傾向にある。時事問題を記述式で回答するほか、小論文や作文といった文章力・表現力を問う問題も出される。 |
その他の試験 | 上記の検査を含め、適性検査は20種類以上ある。GPSテストやCAB、TAL、TAP、CUBIC、SCOA、CPAG、OPQ、など。 |
就活の適性検査とは|科目
適性検査では、言語分野と非言語分野の問題が出されることがほとんどです。しかし、試験の種類によって出題内容が異なる点に注意しましょう。
例えば、SPIの言語分野は熟語問題などが出る一方で、TG-WEBでは長文読解の問題が出されます。
以下の表では、科目ごとの出題頻度や全体的な問題の傾向をまとめました。志望企業が実施する適性検査の種類に合わせて、自分に必要な勉強しましょう。
科目 | 出題頻度 | 問題の傾向 |
---|---|---|
言語 | 高 | 長文読解、熟語、四字熟語、慣用句、類義語、対義語、空欄補充、文の並べ替えなど。 |
非言語 | 高 | 計算、推論、確率、図形、集合、表・資料の読み取りなど。 |
英語 | 中 | 単語、熟語、英文読解など。 |
一般常識・時事問題 | 中 | 中学・高校での学習範囲から出題されるほか、国内外のニュースや政治の問題も出される。 |
作文・論文 | 低 | 与えられたテーマに合わせて、作文あるいは小論文を書いていく。トレンドやニュースなどからテーマが選ばれる傾向にある。 |
就活の適性検査とは|受検方式
志望企業で実施される検査の種類や試験範囲が分かっても、十分な対策とは言えません。適性検査を受ける場所や回答方法など、受検方式についても把握しておきましょう。
受検方式 | 特徴 |
---|---|
ペーパー | 企業から指定した場所で受検し、マークシート用紙に回答していく。企業によっては作文などを実施することも。 |
テストセンター | 受検日時を予約したあと、指定の場所に用意されたPCを使って適性検査を受ける。 |
インハウス | 指定された場所で、企業が用意したPCを使って受検する。検査後、面接を行う企業もある。 |
WEB(自宅受検) | 自宅や学校などからPCを使って受検する。期限内であれば都合の良い時に受けられる。 |
受験方式によって回答方法が異なることも、就活生が知っておきたいポイントです。PCなどを使って回答する場合は、事前に操作の仕方を調べておきましょう。
就活の適性検査とは|対策方法
適性検査の種類は数多くありますが、いずれも回答スピードと正確さが求められています。試験対策として勉強する際は、本屋で売られている過去問などを使って問題に慣れておきましょう。
また、作文や小論文といった企業独自の問題は、各企業HPに過去問が掲載されていることもあります。テーマは毎年変わりますが、日頃から文章を書き慣れておけば柔軟に対応できるでしょう。自分で書いたものを友人や親に見てもらい、フィードバックをもらうのがおすすめです。
以下の記事では、SPIや玉手箱といった適性検査の種類ごとに対策の方法をまとめています。問題の例も掲載しているので、試験対策に役立ててください。
就活の適性検査|回答のコツとは
最後に、適性検査で回答していくためのコツを紹介します。
- 時間配分を意識する
- 分からない問題は消去法を使う
- 問題と回答方法に慣れておく
適性検査では回答率や正答率が測定されているため、1問に費やせる時間を決めておきましょう。答えが分からない場合は、割り切って次の問題に臨んだり、正答率を上げるために消去法を使ったりするのも一つの手です。
まったく同じ問題が出ることは滅多にありませんが、試験の種類ごとに問題の傾向は同じである場合がほとんどです。自分が受検する適性検査を確認し、解き方や回答方法に慣れておけば、本番もスムーズに答えられるでしょう。
就活では「適性検査とは」をどれだけ把握しているかが大事!
ひとくちに「適性検査」といっても、試験の内容や種類、受験方式などが異なるため、必要な情報を押さえていなければ、効果的な対策はできません。
これから対策を進めていく方は、自分が志望する企業が実施する検査の種類を確認したうえで、勉強をしていきましょう。
この適性検査を通過できれば、あとは面接が行われることがほとんどです。自分の魅力を伝えられるチャンスを得るためにも、適性検査をクリアしましょう。