
「私の強みは思いやりです」この一言で自己PRを終えてしまうと、面接官の印象に残るのは難しいでしょう。就活では、「思いやり」という言葉の背景にある具体的な行動や成果が求められます。なぜなら、企業が重視するのは、あなたがその思いやりをどう仕事に活かし、チームや会社にどのようなメリットをもたらせるかだからです。
本記事では、思いやりを自己PRとして効果的に伝えるためのコツを、例文や実際のエピソードとともに解説します。
思いやりを強みにするためには、深堀りと気配りがポイント。この記事を参考に、自信を持って企業にアピールできる自己PRを作り上げましょう。
【自己PR例文】思いやりで考える!企業へ強みの伝え方
思いやりという強みを企業に伝えるためにはどのようにするのが適切なのか、考えていきましょう。
大切なのは「長所と強みは違う」ということでしたね。そして、
- 自分を採用することで得られる企業側のメリット
- メリットになり得る特徴
をアピールするというのがポイントです。それでは、具体的に例文を見ていきましょう。
思いやりの例文1
私は他者を大学でサッカー部のマネージャーをしています。
選手は全国大会へ出場すべく、厳しい練習に取り組んでいました。
ただ、熱意あふれるキャプテンについていけない部員も出てきて、チーム内の雰囲気が悪くなってしまいました。
そこで私はどうにかしたいと思い、行動することにしました。
具体的には、部員とキャプテンの間に立ち意見を調整し、必要な目標達成に必要な練習量を日毎にバランスよく分配し、各部員のメニューを決めたりしました。
すると、次第にチームはまとまりを取り戻していき、部員の練習へのモチベーションが前以上に上がり、目標であった全国大会に出場することができました。
思いやりの例文2
私は、人材コンサル会社の事務としてアルバイトをしていました。
主な仕事は、電話対応と膨大な資料のファイリングでした。
電話対応など急ぎで入った仕事には柔軟に対応しつつ、業務を行っていきます。
急いでいるときに、ランダムに積んである中から欲しい資料を探し出すのには大変苦労しました。
そこで、私は資料を五十音順に並び替え、ナンバリングラベルを張りました。
私はこのようにして、求められる業務に一工夫を加えます。社員の方にとても見やすくなったと言っていただきました
「思いやり」と言っても、タイプ別に分けることができることに気づいていただけましたか?
・【他者の負担軽減】が得意
・【意見やメンタルの調整】が得意
このように、思いやりの中でもどういったタイプなのかを明確にすると伝わりやすいです。
例えば、サッカー部のマネージャーのエピソードでは意見やメンタルの調整が得意という思いやりをアピールしています。そして、人材コンサル会社の事務アルバイトのエピソードでは他者の負担軽減が得意という思いやりをアピールしています。
自分の強みである思いやりはどのようなタイプなのか考えつつ、自己PRをまとめていきましょう。エピソードを 具体的に話すと、面接官もイメージがしやすくなります。
思いやり例文3
私は飲食店で接客スタッフとして働いていました。
ある日、常連のお客様が体調を崩されている様子で来店されました。
普段と違う食事を希望されていることに気づき、厨房スタッフに相談して特別メニューを提案しました。
また、食事の際に席の温度や照明を調整するなど、快適に過ごしていただける環境を整えました。
後日、そのお客様から「あなたの気遣いが嬉しかった」と直接お言葉をいただき、やりがいを感じました。
この経験を通じて、相手の状況や感情に寄り添う思いやりが、自分の大きな強みだと実感しました。
思いやり例文4
私は大学のゼミでグループ研究を進める際、チーム内の意見の不一致が原因でプロジェクトが停滞することがありました。
そこで私は、メンバー一人ひとりと個別に話をし、それぞれの意見や不満を丁寧に聞き取りました。
その後、全員の意見をまとめた上で共通の目標を再確認し、スムーズに合意形成ができました。
結果として、プロジェクトは予定通りに完了し、ゼミ内で高い評価を受けました。
この経験を通じて、「調整力を伴う思いやり」が私の強みであると確信しました。
思いやり例文5
私は医療事務のアルバイトで、患者様の受付対応を担当していました。
ある時、予約時間に遅れて来院された高齢の患者様が、とても申し訳なさそうな表情をされていました。
そこで私は、状況を確認しつつスムーズに受付を進めるとともに、次回の予約が取りやすい時間帯をご提案しました。
患者様からは「気持ちが楽になった」と感謝され、私自身も心から嬉しく感じました。
この経験は、相手の気持ちを察し、安心感を提供する思いやりの大切さを改めて学ぶ機会となりました。
思いやりのエピソードの書き方
思いやりをアピールする上で、エピソードでどんなことを書こうか悩むことがあると思います。そんなときに指標にして欲しいのは、その「主体性」が伝わるかどうかです。主体性とは「物事に対して自分が主体となって自ら思考し、行動し、結果が現れるという一連の流れのこと」です。
例えば「サークルで賞をとった」のような一見派手なエピソードでも、その賞をとるに当たって自分がそのために何を考えてどう行動したのかが伝わらなければ全く意味がないのです。企業が見たいのは、あなたが物事に対してどのように考えるのかであったり、何を重要視しているのか、課題に対してどのように行動が取れるのかという部分です。いかにそれにアプローチするかという点において、自分の主体性をアピールできなきゃ意味がないのです。
エピソードを選ぶ際に、派手なインパクトこそが重要だと考えて「話を盛る」であったり「嘘をつく」学生が多々いますが、結局のところ見られているのは派手さではなく主体性からくる思考回路です。地味なエピソードでも、しっかりそこが伝わるようなものを選ぶことを意識しましょう。
自己PRで思いやりを表現するときのポイントは【深堀り】と【気配り】
例文を見ていただいて気づかれたかもしれませんが、大事なのは「思いやりに長けている」というそれ自体のアピールではありません。
・思いやりという強みをどのように仕事に活かすことができるのか
・どのような対応が得意なのか
・会社にとってどのようなメリットがあるのか
このようなことを具体的にイメージさせることがポイントです。しっかりと自分の長所を深掘りして、自信を持って文章化できるようにしましょう。そのためには自己分析も必要になってきます。
また、思いやりには気配りの力が伴うものです。それは面接の場でも同様です。例えば、
・面接官から貴重な時間をいただけていることに一言感謝を伝える
・相手に対して何らかの形で配慮する姿勢を見せる
といった行動に移すといいでしょう。丁寧なお辞儀も好印象を与えます。言葉だけではなく、態度で気配りの力をアピールしましょう。
思いやりを台無しにするNGな自己PR
次に、思いやりが強みであるというアピールを台無しにしてしまうNG例をまとめます。良いものと悪いものを理解して、どのような価値観を持ってアピールしていけば良いのか理解しましょう。
「私の強みは思いやりです」
意外とあるのが
- 「私の強みは思いやりです」という具体性のない表現で終わってしまう自己PR
また、印象にも残りづらいでしょう。人事は一日に何十人も面接していることもザラにあります。面接官の立場に立ってみると、固有名詞に終わるようなテンプレな自己PRでは印象が残らず、意識は別の就活生にいってしまうのが想像できるのではないでしょうか。どのようにアピールすれば面接官の印象に残るのか、ということを考えるのも大切です。
面接中の思いやり
思いやりが強みだとアピールする場合、その証拠はコミュニケーションの場である面接でも如実に表れます。面接中の態度が自己PRの内容に反するものだと、一気に信頼を失うでしょう。
例えば、前述した「貴重な時間をいただけていることに一言感謝を伝える」これは非常に多くの学生がノウハウ的にやっていることでもあります。相手の様子をうかがいながら、その言動をとるべきか判断する相手の気持ちの本質を見る力必要でしょう。そのようにして自己PRの一貫性を示します。
ニーズの不一致
ところで、企業ホームページに記載されている「求める人物像」はもちろん確認していますよね?そもそも企業が求めている能力と異なっていると、全く意味のない逆効果なPRになってしまいます。自己PRは、企業が求めるニーズに合致したものでなくてはあまり魅力的に思われないかもしれません。
思いやりを求めていない企業はあまりないと思われますが、それが一番ではない可能性は大いにあります。とはいえ、無理やり自分を取り繕う必要はありません。自分の思いやりという強みに合った企業選びをするといいでしょう。
思いやりがある人に見せる自己PRに関するよくある質問
思いやりがある人に見せる自己PRに関するよくある質問をまとめました。以下で詳しく解説します。
・そもそも思いやりとは?
・思いやりを自己PRにどう言い換えますか?
・大学やアルバイトでの思いやりエピソードは弱い?
・思いやりがあることは就活で長所になる?
そもそも思いやりとは?
思いやりとは、相手の立場に立ち、気持ちや状況を理解しようとする心遣いのことを指します。自己PRにおいては、単なる感情表現ではなく、具体的な行動や成果を通じてその価値を伝えることが重要です。
「他者をサポートする姿勢」や「問題解決力を活かした配慮」など、企業が求めるスキルにつながる表現を目指しましょう。
思いやりを自己PRにどう言い換えますか?
思いやりを自己PRに取り入れる際は、「配慮力」「調整力」「協調性」など、ビジネスで役立つスキルに言い換えると効果的です。
また、「他者への配慮を活かした問題解決」や「チームを円滑にまとめる力」といった具体的な成果やエピソードと結びつけることで、面接官にわかりやすく伝えることができます。
大学やアルバイトでの思いやりエピソードは弱い?
大学やアルバイトでのエピソードでも、具体的な行動や結果が伝わる場合、自己PRとして十分に強みになります。重要なのは、主体性を持って課題に向き合い、成果を出したプロセスを伝えることです。たとえ派手な実績ではなくても、日常の小さな思いやりがチームや業務にどのような影響を与えたかを明確に示しましょう。
思いやりがあることは就活で長所になる?
思いやりは、多くの企業が求める「チームワーク」や「信頼構築」に直結するため、就活で大きな長所として評価されます。ただし、漠然とした表現ではなく、具体的なエピソードや結果とセットで伝えることがポイントです。思いやりを活かして企業の利益にどう貢献できるかを意識して伝えましょう。
思いやりがある人に見せる自己PRの作り方まとめ
思いやりを自己PRに盛り込む際は、相手の立場や企業のニーズを理解し、具体的な行動や成果を通じてその価値を伝えることが重要です。単なる性格の良さではなく、職場でどのように役立つかを示しましょう。
また、「配慮力」や「協調性」といった言葉を用い、エピソードを論理的かつ明確に伝えると効果的です。就活では自分の思いやりが企業の成功にどう貢献できるかを具体的にアピールすることで、面接官の心に響く自己PRを作り上げましょう。