面接では「これまでの人生における成功体験は何ですか?」と質問されることがあります。あらかじめ準備しておけば答えやすい質問ですが、想定外の質問に答えが思い浮かばず困ってしまう学生は少なくありません。
そこで今回は、企業が面接で成功体験を聞く理由や質問への答え方を解説します。あわせて成功体験をアピールする際の注意点や例文も紹介しているので、ぜひ面接対策に役立ててください。
企業が面接で成功体験を聞く理由
企業が面接で学生の成功体験を質問する理由は、成功に対する価値観や考え方を知るためです。具体的には「どのような体験に価値を見出すのか」「何を目標に掲げて取り組んでいたのか」「成功するためにどのような努力や工夫をしたのか」の3点を把握することで、企業と学生がマッチしているか判断しています。
つまり成功体験をアピールする際に重要なのは、「成功した内容」ではなく「成功に対する考え方」や「成功に向けて行った努力や工夫」です。とくに目標を達成するための努力や工夫を見られているので、成功体験を聞かれた場合は成功までの過程を詳しく伝えましょう。
面接で答える成功体験の見つけ方
面接で答える成功体験が思いつかない人は、これまでの人生を振り返ってみましょう。以下に人生を振り返る上でポイントなるカテゴリをまとめました。
- 学業
- 部活動
- サークル活動
- アルバイト
- 習い事
- 趣味
- 家事
- 褒められたこと
面接で答える成功体験を見つけたあとは、その体験を深掘りしましょう。成功体験を深掘りし、一つのエピソードとしてまとめる際に必要になるのが自己分析です。自己分析をすると自分を客観視できるようになり、成功に向けて行った努力や工夫が明らかになります。
今から自己分析に取り組む学生は、キミスカの自己分析ツール「適性検査」を活用してみてください。
面接で成功体験を聞かれた時の答え方
面接で成功体験を質問された時は、ただ成功した体験を答えるだけでなく、具体的なエピソードや入社後の生かし方を伝えましょう。また、話す順番も意識することで主張が伝わりやすくなり、高評価を得やすくなります。
ここでは、面接で成功体験を聞かれた時の答え方を3ステップで解説します。成功体験をステップに沿ってエピソード化し、あなたの価値観やこれまでの努力を簡潔かつ具体的に伝えましょう。
【面接で成功体験を聞かれたら】結論から述べる
面接成功体験を質問されたら、まず結論を述べましょう。このように結論から述べる文章構成を「PREP法」といい、主張を分かりやすく伝えることが可能です。
私の成功体験は、大学2年生の時に出場した全日本剣道選手権大会で3位になったことです。
【面接で成功体験を聞かれたら】具体的なエピソードを話す
結論を述べた後に、具体的なエピソードを話します。成功体験を答える場合は、以下の順番で話すと伝わりやすくなります。
- 結論で述べたことの背景
- ぶつかった困難や課題
- 困難や課題をクリアするために行った努力や工夫
- 成功体験から得た学び
また、この構成を意識して書いた例文がこちらです。
私は剣道道場を営む父親の影響で、幼稚園の頃に剣道を始めました。当時からいつかは全日本剣道選手権大会で入賞したいと考えていましたが、大会では常にあと一歩のところで負けてしまいます。
そこで私はスポーツ心理学におけるメンタル強化に取り組むことで、緊張感や相手を負かすことの恐怖を乗り越えることができました。私は全日本剣道選手権大会で3位入賞という成功体験から、メンタルコントロールの重要性や勝負に対する考え方について学びました。
【面接で成功体験を聞かれたら】成功体験を入社後にどう生かすか伝える
最後に、仕事における成功体験の生かし方を伝えましょう。ここでは成功体験そのものの生かし方というよりは、得た学びの生かし方を伝えた方が好印象を与えられます。
貴社に入社できましたら、成功体験から得た学びを生かし、冷静沈着に業務に励みたいです。
面接で成功体験をアピールする際の注意点
面接で成功体験をアピールする際は、いくつか注意しなければいけないことがあります。あなたの魅力を最大限に伝えるために、以下の注意点を押さえておきましょう。
【面接で成功体験を答える注意点1】「成功体験はありません」は禁物
面接で成功体験を答える時に最も避けるべきなのは、「成功体験はありません」と質問をシャットダウンしてしまうことです。成功体験がないと答えてしまうと、「面接の準備不足」「入社意欲が低い」と判断されて面接通過は厳しくなります。
あなたの成功体験は、些細な出来事や昔の経験の中に隠れています。自分史を作成したり、自己分析を深めたりして成功体験を見つけましょう。
【面接で成功体験を答える注意点2】嘘は見抜かれる
成功体験を答える際に嘘をついたり、エピソードを過度に脚色したりしてはいけません。質問を深掘りされて嘘だとバレると、その他の回答の説得力もなくなり評価がいっきに下がります。
また嘘だとバレずに入社できたとしても、入社後の仕事ぶりや立ち振る舞いで嘘がバレたり、できない仕事を任されて辛くなったりするのは目に見えています。成功体験を捏造しようと考えている学生は、面接でついた一つの嘘が自分自身の首を絞めることになると覚えておきましょう。
【面接で成功体験を答える注意点3】企業や職種に適さない体験は避ける
面接の質問は一様に、企業と学生がマッチしているかどうかを確認するために用意されています。そのため企業や職種に適さない成功体験をアピールすると、「自社より適している企業があるはずだ」と思われてしまいます。
ちなみに以下のカテゴリに当てはまる体験は、企業や職種に関係なく成功体験として相応しくありません。
- ギャンブル
- 宗教に関するもの
- 犯罪をイメージさせるもの
【面接で成功体験を答える注意点4】成功体験と自慢を混同しない
成功体験というと、大それた体験や特別な体験をアピールしなければいけないと思い込んでいる学生もいますが、それは大きな間違いです。なぜなら成功体験の伝え方を間違えると、自慢や嫌味と捉えられることがあるからです。
面接で成功体験をアピールする際は、成功体験と自慢を混同しないように注意しましょう。
面接で成功体験を聞かれた時の回答例文
最後に、面接で成功体験を質問された時の回答例を2つ紹介します。例文を参考に、あなたの成功体験エピソードを作成してみましょう。
【面接における成功体験の回答例文】サークル
私の成功体験は、大学入学と同時に立ち上げたアウトドアサークルが存続していることです。
山歩きや町の散策が好きな私は、大学に入学したら登山部に入部しようと考えていました。しかし、入学前に登山部の活動が終了してしまったため、アウトドアサークルを立ち上げることに決めました。ただサークルの立ち上げには一定数の部員が必要だったため、部員集めに苦労しました。
そこで私はSNSを活用した集客に注力して部員を集め、アウトドアサークルは現在60人を超える部員が所属する大型サークルとなっています。この成功体験から、時代に応じた集客方法を駆使することの重要性を学びました。
入社後はSNSを活用した業務に取り組み、貴社に貢献したいと考えています。
【面接における成功体験の回答例文】アルバイト
私の成功体験は、アルバイト先の本屋で作ったPOPが評価され、アルバイト初の社内表彰を受けたことです。
私は大学入学と同時に本屋でアルバイトを始め、デザイン科を専攻していることからPOP作りを任されるようになりました。しかし、POPを作るにはデザイン技術だけでなく、小説や漫画の内容も熟知する必要があります。
そこで私はPOP作成の勉強と学業の気分転換を兼ね、1日1冊本を読むことを決めました。デザイン科で学んだ技術と本の内容の理解度があわさったPOPを作ることができるようになると、それがSNSで話題になり、私が働いている○○店の売上げは〇%アップしたそうです。この体験から、成功するには技術だけでなく地道な努力が必要不可欠なのだと学びました。
入社後は、デザイン科で得た技術と日々の努力で貴社に貢献したいです。
面接で成功体験を聞かれたら自身の考えや行動をアピールしよう
面接で成功体験を質問されたら、企業や職種に適した体験を答えるのがベストです。その際はただ成功体験を答えるだけでなく、具体的なエピソードや入社後の生かし方を伝えることであなたらしさを効果的にアピールできます。
なお、「成功体験はありません」と回答したり、嘘をついたりするのは禁物です。面接通過だけでなく、入社後の自分も見据えてありのままの回答をしましょう。