就活で必ず話題になるといってよい「学歴フィルター」の存在。
実際のところ、企業が大学名で採用を限定することは少ないものの、企業の約4割がターゲット大学を設定しているといわれています。学歴フィルターが適用される具体的な大学と、学歴フィルターを突破する方法を解説します。
学歴フィルターが適用されるボーダーラインは中堅校
学生に人気の大手企業は、足切りのために大学名を見ているといわれています。人気企業の応募者は数千人以上、多いところでは数万人になるところもあります。多数の採用活動を、効率的にするため学歴フィルターを導入しているのです。
一体、どのあたりが学歴フィルターのボーダーラインになるのでしょうか。ボーダーラインになるのは、入学試験時の偏差値が中堅以下の大学。中堅校とは、関東なら日東駒専(日本大学、東洋大学、駒沢大学、専修大学)、関西なら産近甲龍(京都産業大学、近畿大学、甲南大学、龍谷大学)あたりがひとつの基準となるとされています。
学歴フィルターが実際に問題になったことも
学歴フィルターが問題になったのは、ある中堅校以下の学生が会社説明会を申し込もうとしたときのこと。「満席」と表示されたにも関わらず、偏差値の高い有名大学で申し込もうとしたら問題なくエントリーできたということがありました。この事例はSNSで拡散され、大きな騒ぎになりました。
中堅校以下の学生が学歴フィルターを突破するには
学歴フィルターは確実に存在します。しかし、自分でコントロールできない部分について悩むのは時間の無駄です。採用担当者の数も時間も限られている状況では、人気企業が学歴で初期選考を行うのは 仕方のないことだとも言えるでしょう。ここでは、中堅以下の大学の学生が学歴フィルターを突破する方法を紹介します。
【学歴フィルターを突破するポイント1】エントリーシート(ES)を丁寧に書く
まずは、エントリーシート(ES)を丁寧に書きましょう。応募できる状況にあるのなら、やってみなければ分かりません。偏差値の高い大学の学生が書いた雑なESと、中堅以下の学生が書いた丁寧なESがあったら、どちらの方が印象がよいでしょうか。ESの書き方については、後でもう少し詳しく解説します。
【学歴フィルターを突破するポイント2】筆記試験対策を重視する
ESと同じくらい初期選考で重視される筆記試験は、早めに対策を始めましょう。難易度そのものはそれほど高くないものの、制限時間内で数多くの問題を正確に解く筆記試験の攻略には、ある程度の慣れやテクニックが必要です。
企業によって、問題のタイプが異なるケースも珍しくありません。志望企業の問題傾向や、時間配分や解き方のコツをつかんで早めに対策しておけば、高得点で学歴フィルターの突破もできるでしょう。
【学歴フィルターを突破するポイント3】OB・OG訪問する
ターゲット大学を設定していても、実際に採用を特定の大学に限定している企業は少数派。それなら最初に、ターゲット企業を設定している企業をはずして就活すれば、嫌な思いをせずに済むでしょう。ターゲット大学を設定している企業を調べるには、『就職四季報』を活用 がおすすめです。企業は過去の採用実績から、活躍している人材のデータを持っています。採用校の欄には採用校とその人数が掲載されているので、自分の大学名があれば、OBやOGに連絡をとって詳しい話を聞いてみるのもよいのではないでしょうか。
【学歴フィルターを突破するポイント4】就職塾を活用する
企業が学歴フィルターを選考の初期段階に導入するのは、学歴が学生の能力を判断する材料になりえると考えているからです。中堅校以下の学生は、筆記試験の点数やプレゼン力、相手の質問の意図を汲みそれに沿った回答をするなどのコミュニケーション能力が上位校の学生に比べて低い傾向にあります。
どんなに優れた能力があっても、それを客観的に示すことができなければ学歴フィルターを突破できません。人気企業を狙うなら、就活塾に通って就活で求められる能力を客観的に示すためのトレーニングをしてみるのもおすすめです。
【学歴フィルターを突破するポイント5】学内説明会に参加している企業を積極的に受ける
多くの企業の選考を受ければ、人物重視で選考する企業と出会える確率がアップします。特に学内説明会に参加している企業は狙い目。大学に説明会に来ているということは、採用する意思を示しているということでもあります。そのため、学内説明会に参加している企業を受ければ、確実に学歴フィルターでふるい落とされることはないと考えられます。
なかなか内定を得られない学生の特徴のひとつは、みんなが知っている有名企業ばかりを受けているということです。有名な企業とは、一般消費者向けの企業と言い換えることもできます。消費者ではなく、業者の向けのサービスや商品を展開している企業は、日常生活の中で名前を知るチャンスがありません。学内説明会に参加する企業は名前を知らないところが多いかもしれませんが、財務体質や業績を見ると、知る人ぞ知る優良企業であることも。反対に、大手でも財務体質的には弱いところも少なくありません。過去には、大きな景気変動や市場動向の変化を受けて、新入社員を含む大幅な人員削減を行った大手企業もあります。
選考を受ける企業は、自分や親が知っているかどうかで選ぶのではなく、説明会で興味を持ったところに広げてみましょう。
エントリーシート(ES)は“目立つ”より“見やすさ”と“中身”で勝負
選考の初期段階で重要な役割を果たすES。多くの志望者がいる中で、どうしたら採用担当者の目にとまるESを書けるかというのは、誰もが持つ思いです。目立たせようとして、奇抜なレイアウトやカラフルなESを書く学生がいますが、そうしたESは敬遠されることもあります。
また、インターネットや就活本で見られるESの例文も、読み込みすぎるのはおすすめできません。参考程度にとどめておきましょう。むしろ、悪い例を見てどこがよくないか、自分ならどう書くか採用担当者の気持ちになって見てみるのがおすすめです。採用選考で求められるのは、以下のような点です。
簡潔さ
論理的で分かりやすいこと
悪い例を見ると、そうしたポイントをはずしているケースが多く見受けられます。よくない例と違うESにするだけで、足切りに遭う確率はぐっと減らせます。
ESは見立たせるのではなく、見やすさと中身で勝負しましょう。
企業の学歴フィルターはゆるくなってきている
就活に正解はありません。学歴フィルターが気になるのは、就活に何らかの正解を求めているからではないでしょうか。
通常の大学生活で得られる仕事の情報は少ないものです。社会人として実際に働いた後に得られる情報の方が、質も量も優れています。どうしても人気企業に入りたい人は、中途採用枠を狙うという方法もあります。社会人となって学生時代の気持ちを持ち続けられる人なら、ほかの企業で能力や実力を磨いた後に転職することも十分できるでしょう。
若手社員の不足から、採用選考の学歴フィルターはゆるくなってきています。景気の動向次第で、就活の難易度は年によっても異なりますが、今後、通年採用が本格化すること、大学生の数が年々減少していることなどを考えると学歴フィルターは軟化していくと見られます。
学歴フィルターを気にして、就職活動の時間をいたずらに過ごしたり、必要以上に自信をなくしたりしてしまっては本末転倒です。学歴フィルターに翻弄されるのではなく、自己分析を通じて、どうすればあなたの魅力が伝わる就活になるかを一番に考えてみてください。
もし、自己分析が足りていないと感じたらこの記事に目を通して見てください。