
一生懸命書き上げたエントリーシート。あとは郵送するだけなのに、「封筒のサイズって決まってるの?」「宛名の『御中』って何?」と、いざとなるを分からないことだらけで手が止まっていませんか?
たかが封筒、されど封筒。実は、この封筒の書き方一つで、採用担当者があなたに抱く第一印象は大きく変わります。小さなミスで「常識のない学生かも…」なんて思われたら、悔やんでも悔やみきれませんよね。
この記事では、そんなあなたの不安を解消するため、封筒の選び方から宛名の書き方、切手料金まで、郵送の全プロセスを完全解説します。
エントリーシートの封筒選びと準備
まずはエントリーシートを入れる封筒の準備から始めましょう。どんな封筒でも良いというわけではありません。ビジネスシーンにふさわしい、適切な封筒を選ぶことがマナーの第一歩です。
ここで間違うと、それだけで悪目立ちしてしまう可能性もあるので、しっかりと確認してください。
封筒のサイズは「角形2号(角2)」がベスト
エントリーシートの郵送には、A4サイズの書類を折らずにそのまま入れられる「角形2号(通称:角2)」サイズの封筒を使いましょう。
大切な応募書類を折り曲げて送るのは、見栄えが悪く、丁寧さに欠ける印象を与えてしまいます。角形2号は、文房具店や100円ショップ、コンビニなどで簡単に手に入ります。
封筒の色は「白」が無難
封筒の色は清潔感があり、フォーマルな印象を与える「白」を選びましょう。茶色の封筒(クラフト封筒)は主に事務的な書類のやり取りで使われることが多く、就活の応募書類にはあまりふさわしくありません。
他の学生が白い封筒で提出している中で、茶封筒は安っぽく見え、悪目立ちしてしまうリスクがあります。
準備物チェックリスト
封筒を準備したら、宛名書きに必要なものも揃えましょう。特にペンの種類には注意が必要です。にじみやすい水性ペンや、消せるボールペンは絶対に使用しないでください。
・角形2号の白い封筒
・黒色の油性ボールペンまたはサインペン(0.7mm〜1.0mm程度がおすすめ)
・宛名書き用の定規
・切手
・クリアファイル
・添え状(送付状)
【見本あり】エントリーシート封筒の書き方完全マニュアル
ここからはこの記事の核心である封筒の書き方を、見本を示しながら徹底的に解説します。
表面・裏面ともに、誰が受け取っても完璧だと思われる、美しい封筒を仕上げましょう。
表面の書き方
封筒の表面は企業の担当者が最初に目にする「顔」の部分です。丁寧な字でバランス良く書くことを心がけてください。宛名は基本的に縦書きで書くのが最も丁寧な印象を与えます。
1. 宛先の住所
住所は都道府県から省略せずに、ビル名や階数まで正確に記入します。文字の大きさは、宛名よりも少し小さめに書くとバランスが良く見えます。
漢数字(一、二、三)を使うのがよりフォーマルですが、算用数字(1、2、3)でも問題ありません。
2. 宛名(「御中」と「様」の使い分け)
宛名は封筒の中で最も大きな字で、中央に堂々と書きましょう。「御中」は会社や部署など、組織宛に送る場合に使い、「様」は個人宛に送る場合に使います。併用はできないので注意してください。
・「人事部 御中」→ OK
・「採用担当 〇〇様」→ OK
・「人事部御中 〇〇様」→ NG
3. 「エントリーシート在中」の書き方
封筒の左下に赤色のペンで「エントリーシート在中」と書き、周りを四角い枠で囲みます。
これは他の郵便物に紛れて開封が遅れるのを防ぎ、採用担当者の手元にスムーズに届けるための大切な配慮です。定規を使って、まっすぐな線を引くように心がけましょう。
裏面の書き方
裏面には差出人であるあなた自身の情報を記入します。誰から送られてきたものかを示す重要な部分ですので、こちらも省略せずに正確に書きましょう。
1. 自分の住所・氏名
封筒の中央の線(のりしろの線)を挟んで右側に住所、左側に氏名を書くとバランスが良く見えます。住所は都道府県から、大学名・学部・学科まで正確に記入しましょう。
氏名は住所よりも少し大きな字で書くと、より丁寧な印象になります。
2. 提出日
左上に郵送する日付を書きましょう。西暦・和暦どちらでも構いませんが、エントリーシート本体の表記と統一するのが望ましいです。「〇年〇月〇日」と、年月日を省略せずに記入します。
3. 封締め(「〆」マーク)
封筒をのり付けしたら、封じ目の中央に「〆」というマークを書きます。これは「確かに封をしました」という印であり、途中で誰かに開封されていないことを示すためのものです。
細かい事ですがビジネスマナーとして重要なマークなので、忘れずに記入しましょう。
エントリーシートの正しい入れ方と郵送方法
封筒が完成したら、いよいよ書類を封入し、郵送します。ここでも相手への配慮が問われるポイントがいくつかあります。
最後の最後まで気を抜かずに丁寧な作業を心がけましょう。
書類はクリアファイルに入れてから封入する
エントリーシートや添え状などの書類は、そのまま封筒に入れるのではなく、無色透明の新品のクリアファイルに挟んでから封入しましょう。
これは郵送中に書類が折れたり汚れたりするのを防ぐための、非常に重要な配慮です。この一手間が、あなたの丁寧な人柄を伝えます。
切手料金はいくら?郵便局の窓口から送るのが確実
切手料金が不足していると、書類が企業に届かなかったり、不足分を相手に支払わせてしまったりと、最悪の事態になりかねません。
角形2号封筒は定形外郵便物にあたり、重さによって料金が変わります。自分で判断せず、郵便局の窓口に直接持ち込み、重さを測ってもらってから郵送するのが、最も確実で安心な方法です。
添え状(送付状)は必要?【テンプレートあり】
はい、必ず同封しましょう。添え状とは、「誰が」「誰に」「何を」「何枚」送ったのかを一目で伝えるための、書類の表紙のようなものです。
これがあるかないかで、ビジネスマナーを知っているかどうかが判断されます。PCで作成し、エントリーシートの一番上にしてクリアファイルに挟みましょう。
「拝啓、時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。この度は、採用選考の機会をいただき、誠にありがとうございます。つきましては、下記の応募書類をお送りいたしますので、ご査収のほど、よろしくお願い申し上げます。敬具」
エントリーシート郵送時の注意点とマナー
最後に郵送手続きに関して、見落としがちですが非常に重要な注意点を2つお伝えします。
この確認を怠るとせっかくの努力が水の泡になってしまう可能性もあります。
締め切り当日必着か、当日消印有効かを確認する
締め切りの意味を正しく理解しましょう。「当日必着」は、締め切り日までに企業に書類が到着している必要があります。「当日消印有効」は、締め切り日の郵便局の受付時間内に手続きをすれば、到着が後日になっても問題ありません。
この違いを理解せず、締め切りを過ぎてしまうのは致命的なミスです。必ず募集要項を確認し、余裕を持ったスケジュールで郵送しましょう。
コピーを取っておく
郵送する前に、提出するエントリーシートや添え状のコピーを必ず取っておきましょう。万が一の郵便事故に備えるため、そして何より、後の面接で「エントリーシートに何を書いたか」を確認するために必要です。
面接では、エントリーシートの内容に基づいて質問されることがほとんどです。自分が書いた内容を忘れてしまわないよう、手元に控えを残しておくのは鉄則です。
エントリーシートの封筒に関するよくある質問
最後にエントリーシートの封筒について、多くの就活生が抱く細かな疑問についてお答えします。
ここで不安を解消し、スッキリした気持ちでポストに向かいましょう。
Q1. 三つ折りにして長封筒で送るのはNG?

A. 絶対にNGというわけではありませんが、避けるのが無難です。企業側は毎日多くの書類を受け取っており、A4サイズのままファイリングすることがほとんどです。
三つ折りの書類は、一度開いて伸ばす手間がかかり、折り目も見栄えが良くありません。特別な指示がない限りは、角形2号封筒で、折らずに送るのが最も丁寧な方法です。
Q2. 「エントリーシート在中」はスタンプでも良い?







A. はい、問題ありません。文房具店などには、専用のスタンプも売られています。スタンプを使えば、手書きよりもきれいに、かつ目立つように表示できるメリットがあります。
もちろん、赤ペンで手書きしても、どちらでも評価は変わりません。きれいに書く自信がない方は、スタンプを活用するのも良いでしょう。
Q3. 宛名や住所を書き間違えたらどうする?







A. 修正液や修正テープを使って訂正するのは、絶対にやめましょう。ビジネス書類において、修正した跡があるのは非常に失礼にあたります。
少しもったいないと感じるかもしれませんが、書き間違えてしまった場合は、必ず新しい封筒に書き直してください。封筒一枚を惜しむことで、あなたの評価が下がっては元も子もありません。
Q4. 宛名は手書きとPC作成、どちらが良いですか?







A. 採用担当者が最も重視するのは「読みやすさ」です。そのため、字に自信があり、丁寧できれいな字が書けるのであれば手書きは心が伝わります。
しかし、字に自信がない場合は、無理に手書きするよりも、PCで宛名ラベルを作成して貼り付けた方が、読みやすく、丁寧な印象を与えられます。どちらの方法でも、評価が大きく変わることはありません。
Q5. 雨の日に郵送する場合の注意点はありますか?







A. 大切な書類を濡らさないための配慮は、あなたの評価を高めるポイントになります。
書類をクリアファイルに入れるのは基本ですが、さらにそのクリアファイルを、A4サイズが入る透明なビニール袋(OPP袋など)に入れてから封筒に入れると、防水対策は万全です。こうした細やかな気配りが、あなたの丁寧な仕事ぶりを想像させます。
Q6. 手渡しする場合、封筒の準備やのり付けは必要?







A. はい、手渡しの場合でも、書類を保護し、敬意を示すために封筒は必ず用意しましょう。表面に宛先の住所・宛名を書く必要はありませんが、「エントリーシート在中」と赤字で記載し、裏面には自分の大学名・氏名を書いておきます。
そして最も重要なのが、採用担当者がその場で中身を確認しやすいように封筒のノリ付けはしないこと。フタは折るだけで、封じ目の「〆」マークも不要です。これが手渡しならではのマナーです。
封筒はあなたの人柄を映す鏡!丁寧な準備で熱意を伝えよう
エントリーシートの封筒は、採用担当者があなたの応募書類に触れる、一番最初の接点です。いわば、あなたの人柄を映す「鏡」のようなものです。
封筒が丁寧に、そしてマナーに沿って準備されてれば、それだけで「この学生は、きっと仕事も丁寧で、細やかな配慮ができる人なんだろうな」というポジティブな第一印象を与えることができます。
この記事を参考に、自信を持って封筒を準備し、あなたの熱意を企業に届けてください。