面接では、就活生に挫折経験の有無を聞くことは珍しいことではありません。事前にしっかり準備をしていれば答えられますが、なかには「挫折経験ないんだけど…」と悩んでいる人もいるでしょう。
そこで、今回は挫折経験がない就活生に向けて、面接での回答例をはじめ、答え方のポイントや就活に適した自分の挫折経験を見つける方法を紹介します。
面接で挫折経験を尋ねる企業側の意図
就活で「自分の魅力をアピールしたい」と考える学生は少なくありませんが、ES(エントリーシート)や面接ではネガティブなことを聞かれることもあります。そのなかでも「挫折経験を教えてください」という質問に対して、どのように答えればいいのか悩む学生は少なくないでしょう。
挫折経験がある人もない人も、この質問をされた時に適切な回答ができるよう、企業側の質問意図を把握しておくことが大切です。ここでは挫折経験を尋ねる意図を3つまとめているので、それぞれ詳しく見ていきましょう。
【面接官が挫折経験を尋ねる意図1】ストレス耐性を確認するため
学生のストレス耐性を確認することを目的に、企業は挫折経験について訪ねている可能性があります。
社会人になると、業務や人間関係などでストレスを感じることは珍しくありません。ストレスが積み重なることで本来の能力を業務に発揮できなかったり、早期離職につながったりするリスクがあるため、企業はストレス耐性のある人材を求めているのです。
特に企業は新卒採用に多額のコストを費やしているため、選考の時点でストレス耐性の有無を確認し、採用する人材を見極めていることを把握しておきましょう。
【面接官が挫折経験を尋ねる意図2】目標設定や努力の経験を確かめるため
学生の目標設定や努力の経験を知るために、挫折経験について聞いている場合もあります。挫折経験を深掘って考えてみると、その背景には目標に向かって努力していた事実があるものです。結果的に失敗・挫折してしまったとしても、目標を設定して努力した経験がある人は、社会人になってからも努力してくれるイメージを持つことができます。
目標達成や成功体験は素晴らしい経験ですが、新卒採用では学生のポテンシャルを評価しています。そのため、挫折経験について聞かれたときに、チャレンジ精神があることをアピールできれば高く評価してもらえるでしょう。
【面接官が挫折経験を尋ねる意図3】挫折した後の行動特性を知るため挫折から学ぶ姿勢があるか確かめるため
学生の挫折経験を通じて、企業は成長速度の速い人材なのかどうかを確かめています。というのも、挫折から学んだことや改善のためのアクションを起こせる人は、社会人になってからも失敗したことの改善点を探り、解決へと動く姿を想像できるためです。
仕事ではどれだけ準備をしていても失敗することもあり、そこから学びを得て今後の行動につなげられる人材は企業にとっても貴重な存在となります。そのため、挫折経験を主観的に捉えるのではなく、客観的に分析し次の行動につなげる人材であることをアピールすることが大切です。
本当にない?面接で伝えられる挫折経験の見つけ方
挫折経験と聞くと、大きな目標に向かって失敗した経験というイメージを持つ人もいるでしょう。しかし、挫折経験の定義は人それぞれ異なるため、何を挫折と捉えているかを説明できれば、小さなことから大きなことまで幅広いテーマで話を展開できます。
例えば、下記の内容で自分に当てはまるものがないか考えてみましょう。
努力したが、自分の力が足りず目標を達成できなかった
目標を掲げて頑張ったが、心が折れて途中で諦めた
チームで努力してきたが、目標に届かなかった
このほか、挫折経験をじっくりと考えたい方は、以下で紹介する方法を試してみてください。
【面接で伝える挫折経験の見つけ方1】自己分析
自身の挫折経験を見つけるときは、自己分析を試してみましょう。自己分析の方法はいくつかありますが、幼少期から現在までの経験を振り返る「自分史」と「モチベーショングラフ」がおすすめです。
挫折経験を考える際は、以下に当てはまるものがないか振り返ってみましょう。
一番ショックを受けたこと
困難に感じたこと
モチベーションが下がったこと
そして、「なぜそう感じたのか」「自分はどのように行動したのか」など、結果や学びまで整理できれば面接時の回答をすぐにでも考えられます。
このほか、自分が後悔していることを掘り下げてみるのも一つの手です。たとえ小さな経験だったとしても、「同様の機会があれば次は◯◯したい」と挫折経験からの学びや前向きな姿勢を示せるでしょう。
自分史やモチベーショングラフなど、自己分析のやり方は以下の記事を参考にしてみてください。
【面接で伝える挫折経験の見つけ方2】他己分析
挫折経験が見つからない場合は、家族や友人に聞いてみるのも一つの手です。自分が努力していたことや挫折したことを周りに尋ねることで、挫折経験をはじめとする自分の新たな一面に気づける場合もあります。
そして、他己分析で挫折経験を見つけたら、そこから深掘って自分の中に落とし込んでいきます。自己分析の場合と同様に当時のことを思い出し、なぜモチベーションが下がったのか、ショックを受けてからの行動や結果・学びをまとめましょう。
他己分析のやり方については以下の記事で解説しているので、詳しく知りたい方は確認しておきましょう。
【5ステップ】面接で挫折経験を聞かれたときの答え方
面接で挫折経験について質問されたときは、どのように答えれば良いのでしょうか。
おすすめは、論理的に伝えられるフレームワーク「PREP法」に沿って伝えることです。結論・理由・具体例・結論の順に述べることで、簡潔にわかりやすく伝えられます。
どのように話を展開すれば良いのか、それぞれの流れを見ていきましょう。
【挫折経験の答え方ステップ1】結論を一言で伝える
まずは「私の大学のフットボールサークルで挫折を味わいました」のように、一言で結論を述べましょう。最初に結論を伝えることで、相手はその後の話の内容を理解しやすくなります。
私の挫折経験は◯◯のときのことです。
私は◯◯のときに挫折を経験しました。
【挫折経験の答え方ステップ2】理由・エピソードを述べる
最初に結論を述べたあとは、挫折した理由・背景をエピソードとともに伝えましょう。
例えば、サッカーサークルに所属している場合は、「チームで県大会優勝を目指して練習量を2倍にしていましたがが、レギュラーメンバーである私が試合中に怪我をしてしまい、準決勝で敗退しました」のように伝えてみてください。目標に向かって努力していたことだけでなく、どういった経緯で挫折したのかをまとめましょう。
挫折経験の内容に説得力を持たせるためにも、ここではできるだけ具体的に説明することが重要です。
【挫折経験の答え方ステップ3】挫折の乗り越え方を伝える
挫折したことをどのように乗り越えたのかを伝えましょう。
例えば、先ほどの例文に続けると、「自身が怪我をしないように気をつけることはもちろん、レギュラーメンバーが抜けることでチーム力が下がったため、後輩の育成に注力するようになりました」となります。チーム競技をテーマにする場合は、自分だけでなくチーム全体に必要な工夫や改善策を含めるのがおすすめです。
ただ、なかには挫折経験があるものの、乗り越えようと行動しなかった人もいるでしょう。その場合は、「次に同様のケースがあれば、◯◯をして乗り越えたいと考えています」などの教訓として伝えてみるのもおすすめです。
【挫折経験の答え方ステップ4】結果・学びを盛り込む
ここから話をまとめていきます。挫折経験について質問されたら、挫折を味わってからどのようなアクションを起こしたのか、その結果から何を学んだのかを伝えましょう。
「後輩を育成することでチーム全体のレベルが上がり、誰が試合に出ても高確率で勝てるようになりました。この経験から、チームで取り組む際には全員が一丸となって成長することが重要だと学びました」と続ければ、挫折経験から学ぶ姿勢があることをアピールできます。
【挫折経験の答え方ステップ5】企業への活かし方で締める
最後に、挫折経験から得た学びをどのように企業活動に活かすのかを伝えましょう。「御社に入社できたら、まずは自分が貪欲に成長していきたいと考えています。そして、後輩社員が入ってきた時には私が得た経験・知識を共有して、一人ひとりの成長を促す存在になりたいです」と締めくくります。
企業への活かし方を伝えることで、採用担当者は応募者の人柄や入社後の具体的なイメージを持つことができるため、好印象を与えられるでしょう。
「ないとは言わない!」面接で伝える挫折経験の例文
ここでは、挫折経験を聞かれた場合の例文を2パターン紹介します。成果につながった場合と、成果につながらなかった場合のそれぞれを見てみましょう。
【面接で伝える挫折経験の例文】成果につながった場合
まずは挫折を経験して改善のために動いた結果、成果につながった場合の例文です。
印象深い挫折経験は、部活動でふくらはぎの靭帯を傷めてしまい、大切な大会に出られなかったことです。
大学に入って初めて出場させてもらえることになった大会でしたが、自己管理不足によるオーバーワークを続けてしまったことが原因で、残念ながら欠場することになりました。
この出来事から、私は自己管理能力を身につけることの大切さを実感しました。
やみくもに体を動かすのではなく、スポーツ科学や栄養学、体の効果的な休め方を学び、科学的根拠に基づいた練習を行うように改善しました。
その後ケガは順調に回復し、知識を部に還元したく練習指導にも関わるようになりました。
それにより部全体のオーバーワークの減少と効率的なトレーニングが行われるようになり、最後の大会では県大会で優勝を果たすことができました。
正しい努力の方法を分析し、周囲を巻き込んで最良の結果を残すために取り組める力は、チームプロジェクトが多い貴社の〇〇職で必ず活かせると考えています。
なお、学業をテーマにした例文は以下の記事で紹介しています。別の例文を見てみたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
【面接で伝える挫折経験の例文】成果につながらなかった場合
続いて、挫折経験が成果につながらなかったものの、ほかの分野で成長を実感できた場合の例文を見てみましょう。
私が経験した挫折は、大学1年生のときに所属していたサークル活動でリーダーとしての役割を十分に果たせなかったことです。
新入生歓迎イベントを企画した際、メンバーの意見をまとめることができず、イベントの方向性が途中で迷走してしまいました。
その結果、準備が遅れてしまい、予定していたプログラムの一部を実施できなくなったことがありました。
この経験を通じて、「リーダーシップとは指示を出すだけではなく、メンバー全員の意見を引き出して合意を形成することが重要」ということを痛感しました。
その後、私はコミュニケーションスキルを向上させるために、話し合いの場では積極的に質問を投げかけたり、意見を要約する役割を自ら買って出たりしました。
結果的に、この活動でのリーダーシップを完全に発揮することはできませんでしたが、この経験は、周囲と協力するための姿勢や、課題を客観的に分析する力を養う大きなきっかけになりました。この学びは、その後のチーム活動やアルバイトで活かされ、徐々に自分の役割を果たせるようになりました。
この経験を通じて得た反省と学びを、貴社の〇〇職でも活かし、チームで成果を出せるよう努力を続けていきたいと考えています。
面接や就活での挫折経験に関する質問
最後に、挫折経験に関する学生のよくある質問にお答えしていきます。
【挫折経験に関するQ&A1】避けるべき内容はある?
「パチンコで大負けしてしまった」など、明らかに就活に不向きな挫折経験は避けましょう。また、挫折しただけで終わってしまう内容や、恋愛のように個人的な内容は就活の場に相応しくありません。
ただ、志望企業の社風や業界などによっては問題ないケースもあるので、「志望企業の業務に関連があるか」などの切り口で考えてみてください。
【挫折経験に関するQ&A2】本当に見つからないときは?
自己分析や他己分析などを行っても、どうしても挫折経験を見つけられないこともあるでしょう。
そのような場合は、無理をして嘘をつくよりも正直に答えても問題ありません。ただ、伝える際は挫折経験がないことを端的に伝え、その理由やエピソードなどを具体的に述べましょう。伝え方次第では、あなたの人柄をアピールすることができます。
面接で話す挫折経験がない人はまず自己分析してみよう!
「挫折経験がない」という人は少なくありませんが、自分史やモチベーショングラフなどを使って自己分析をすれば、挫折経験が見つかることがほとんどです。また、挫折経験は人によってニュアンスが異なるため、見つからないと悩んでいる人はちょっとした挫折や後悔していることがないか振り返ってみましょう。
企業は学生の挫折経験からストレス耐性や失敗から学ぶ人材なのかどうかを確かめているため、本記事で紹介したポイント参考に効果的なアピールをしてみてください。