「学生時代に頑張ったことは何ですか?」は、面接で聞かれることの多い質問の一つです。ガクチカとも略される質問ですが、どういった回答をすれば面接官に好印象を持ってもらえるのでしょうか。
今回は、「学生時代に頑張ったこと」を面接で伝える際のポイントについて解説します。企業が見ている点や伝え方の構成例なども紹介しているので、本記事を参考に面接対策を進めましょう。
面接官が「学生時代に頑張ったこと」で見ていること
学生時代に頑張ったことの構成や回答例を見る前に、まずは面接官がチェックしているポイントについて把握しておきましょう。
【面接「ガクチカ」のチェック内容1】人柄
「学生時代に頑張ったこと」を通じて、面接官は就活生がどんな人柄なのかを見ています。例えば、「大学では野球部に所属し、地区大会優勝を目指しました」と伝えれば、チームで成果を出したり目標に向かって努力したりするのが好きな人という印象を持たれるでしょう。
回答内容によって面接官が抱く印象が異なるため、ガクチカを考える際は相手にどういう印象を持たれるのかを意識することが重要です。
【面接「ガクチカ」のチェック内容2】伝える力
ガクチカをはじめ、面接での質疑応答を通じて面接官は学生の伝える力を見ています。これは入社後にきちんとコミュニケーションが取れる人なのかどうかにも関係しているため、相手に伝わる伝え方を意識することが大切です。
「うまく話せるか不安」という人もいるかもしれませんが、面接では人柄のほうが評価されやすいため、そこまで心配する必要はありません。ただ、相手に伝えるための練習も必要なので、次に紹介する伝え方の構成もチェックしておきましょう。
面接で話す「学生時代に頑張ったこと」の構成4ステップ
面接のほか、ESや履歴書に記載する内容は、PREP法というフレームワークを活用するのがおすすめです。これは「結論・理由・具体例・結論」の順に伝えること、相手が論理的に理解しやすくなる手法です。
以下ではPREP法の順番に沿ってポイントを解説しているので、それぞれ見ていきましょう。
【面接で話すガクチカの構成1】結論
ガクチカを話す際は、はじめに「私は学生時代に◯◯を頑張りました」のように結論を述べましょう。はじめに結論を伝えることで相手は話のゴールが分かるため、その後の展開を論理的に理解しやすくなります。
なお、最初に伝える結論の表現例を以下にまとめたので、ガクチカを考える際の参考にしてみてください。
私は学生時代に◯◯を頑張りました。
私が学生時代に頑張ったことは◯◯です。
私は大学での◯◯に力を入れました。
私は大学での3年間、◯◯に取り組んできました。
【面接で話すガクチカの構成2】理由
続いては「あなたがなぜ学生時代に頑張ったのか」が分かる理由を伝えます。問題意識や興味・関心など、力を入れて取り組んだ理由は人それぞれにあるので、自己分析などを通じて思い起こしてみましょう。
人によっては、家族や友人の勧めで取り組むようになったものもあるかもしれません。ただ、頑張ろうと思うようになったきっかけがあれば、十分に魅力的なガクチカに仕上げられます。
【面接で話すガクチカの構成3】具体例
結論・理由に説得力を持たせるために、具体例を伝えましょう。実際に体験したエピソードを交えて話すことで、あなただけのガクチカを伝えることが可能です。
例えば、ボランティア活動を頑張った学生であれば、どのように考えて行動したのか、どんな工夫をしたのか、どんな結果が得られたのかを盛り込めば、あなたの人柄や価値観を面接官がイメージしやすくなります。
【面接で話すガクチカの構成4】結論
最後の結論では、冒頭に伝えた内容を含めて話をまとめます。ただ、面接官に好印象を残すためには、どのように企業に貢献するのかを伝えるのがおすすめです。
学生時代の取り組みから何を学び、それを社会人になってからどう活かすのかという視点があれば、面接官に入社意欲の高さが伝わります。
面接官に刺さる「学生時代に頑張ったこと」の例文
面接官がガクチカを尋ねる意図や伝え方の構成例を紹介してきましたが、実際にどういった回答をすれば良いのでしょうか。
「ゼミ」「アルバイト」「サークル活動」「趣味」のテーマ別に例文をまとめたので、気になる例文を中心に確認していきましょう。
【ガクチカの例文1】ゼミ
まずはゼミの活動をテーマにした例文を紹介します。
私が学生時代に力を入れたのは、政治学のゼミ活動です。父が個人店を経営しており、以前から中小企業を支援する政策に興味があったためです。ゼミでは世界の政治について書籍を読み、そこに自分の意見を加えて新しい政策や改善策を考える発表を行っていました。
私は初めての発表でゼミ生からの質疑応答に答えられず、悔しい思いをしました。自分の準備不足を痛感し、それからは図や表を用いた資料の作成、あらゆる質問を想定した回答の作成など、準備に力を入れるようになりました。
その結果、ゼミ生からは「発表を任せたら右に出るものはいない」と言ってもらえるようになりました。貴社においてもゼミ活動を通して身につけた用意周到さを活かし、先回りして中小企業の課題を解決したいです。
以下の記事では、理系の学生が参考になる例文もまとめています。また伝え方のポイントなども解説しているので、ゼミ活動をガクチカで伝えようと考えている方は参考にしてみてください。
【ガクチカの例文2】アルバイト
続いてはアルバイトの例文です。
私が学生時代に力を入れて取り組んだことは、塾講師のアルバイトです。
私は自身が高校生時代に塾講師の先生のおかげで大学に合格できたことから、塾講師のアルバイトに興味を持ちました。しかし、塾の生徒のなかにはモチベーションが上がらず、成績に伸び悩んでいる学生もおり、何から始めるべきか悩んだこともありました。
そこで私は塾長にカリキュラムの編成を提案し、それぞれの生徒に合う授業を提供することでモチベーションアップを狙いました。その結果、生徒の成績は5科目で70点ほど上がり、生徒の親御さんにも感謝の言葉をいただきました。
私は塾講師のアルバイト経験から、目標の達成には環境を整えることが重要なこと、そして自ら行動を起こすことの大切さを学びました。
このほか、居酒屋やアパレル店でのアルバイトを題材にした例文は、以下の記事で紹介しています。自分のアルバイトに近いものを探している方は、ぜひチェックしてみてください。
【ガクチカの例文3】サークル活動
サークル活動もガクチカで話しやすいテーマです。どういった内容で伝えると人柄や入社意欲の高さを伝えられるのか、以下の例文を見てみましょう。
私は、学生時代にサークル活動を頑張りました。所属していたテニス部は、入部当初は名ばかりの部活で、ほとんどの部員が練習するよりも飲み会を楽しんだり遊んだりして過ごしていました。そのため私を含め、まじめにテニスをしたいと考えていた一部の部員の不満が膨らんでいました。
そこで私は部長に掛け合い、部員の不満や気持ちを伝え、今後の方向性を3か月に渡って話し合いました。その結果、「遊びもテニスも全力で楽しむ」方向性に部員全員が納得し、今では県の大会に出場するほどの実力をもつチームになりました。
部活を頑張った経験から、私は課題に対して粘り強く対処することの大切さを学びました。貴社においても、粘り強く最良の結果を出せる商品開発をしたいと考えています。
文化系サークルやボランティアサークルの例文を知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
【ガクチカの例文4】趣味
学生のなかには、ゼミやアルバイトなどよりも趣味に注力している人も少なくありません。趣味の内容にもよりますが、エピソードや企業への活かし方をまとめれば、あなたらしいガクチカに仕上がります。
私が学生時代に力を入れたことは、趣味の料理です。
料理を始めたきっかけはダイエットでしたが、食事の重要性に気付いた後は痩せるためではなく、健康維持を意識した食事を家族にも作るようになりました。
しかし、栄養バランスのとれた食事を作るには時間がかかるため、家族に食事の時間をずらしてもらうこともありました。どうすべきか考え、作り置きおかずを活用したり、母から時短を叶えるアドバイスをもらったりしながら、手際よく作れるようになってきています。
入社後は趣味の料理を通して培った計画性を生かし、業務を遂行できるよう努力します。
なかには体を動かす趣味を持っている人もいるでしょう。以下の記事では登山をテーマにした例文も掲載しているので、ぜひ参考にしてみてください。
面接の「学生時代に頑張ったこと」に関するQ&A
最後に、学生時代に頑張ったことに関する就活生のよくある疑問にお答えしていきます。
【面接のガクチカに関するQ&A1】どうすればテーマが思い浮かぶ?
本記事で紹介したように、ゼミやサークル、アルバイトなどをテーマにする学生が多くいますが、これ以外でも問題ありません。ガクチカのテーマを考えるためにおすすめなのは、自己分析をしてみることです。
自分史やモチベーショングラフなどを通じて、過去の自分を振り返ってみましょう。また、企業が求める人物像にマッチしているかどうかも重要なポイントです。企業研究を行って「企業がどんな人材を求めているのか」を把握することも大切です。
なお、自己分析がまだ終わっていない人は、キミスカの自己分析ツールを試してみてください。簡単な質問に答えていくだけで自分の強みや弱み、適職の提案もしてくれるので、書類選考や面接対策にも役立てられます。
【面接のガクチカに関するQ&A2】話す長さはどれくらいがベスト?
面接では回答に制限時間が設けられているケースも珍しくありません。例えば「学生時代に頑張ったことを1分で話してください」と言われた場合は、300〜350字を目安にしましょう。
制限時間が設けられているのは、面接を時間通りに進めるほか、学生の要点をまとめるスキルを確かめるなどの理由が考えられます。30秒や2分といったパターンもあるので、1分をベースに時間内に伝える練習をしておきましょう。
【面接のガクチカに関するQ&A3】他に注意すべきことはある?
ガクチカをはじめ、面接では深掘りの質問をされる可能性が高いです。例えば、ガクチカでテニスサークルの話をした場合、「チームワークを高めるために大事なことは何だと思いますか?」と聞かれるかもしれません。学生の話を聞いた面接官が気になったポイントを質問してくるため、模擬面接などを通じて深掘りの対策をしておきましょう。
このほか、ガクチカで自慢話をしてしまったり、嘘をついたりするのは避けましょう。嘘は深掘りの質問や学生の挙動でバレる可能性があり、面接官は学生の成果よりも人柄や課題の乗り越え方などを見ているためです。
面接でガクチカを伝える際は自分らしさが重要!
学生時代に頑張ったことをはじめ、面接での回答は自分らしいエピソードを伝えることが肝心です。しかし、本記事で紹介した話の構成を意識することも忘れてはいけません。PREP法は論理的に伝わりやすくなるフレームワークなので、ぜひ自分らしさを魅力的に伝える準備をしましょう。
また、面接では深掘りの質問をされる可能性があるため、事前に模擬面接などを行なって練習しておくのも大切です。友人や家族、キャリアセンターに手伝ってもらい、面接の対策を万全に整えておきましょう。