新卒採用を行っている企業の中には、「ポートフォリオ」の提出を求めてくるところもあります。ただ、全ての学生にポートフォリオが必要なわけではありません。Webデザイナーやプログラマーといった特定の技術が求められる職種に応募した際に、ポートフォリオの提出が必要となることがほとんどです。
どうすれば人事に刺さるポートフォリオが作れるのでしょうか。今回は、ポートフォリオの作り方やおすすめの構成をはじめ、自己紹介の例文も紹介します。
就職活動中に求められる「ポートフォリオ」とは?
就活におけるポートフォリオは、自分の経歴や作品など企業にアピールする書類をまとめたものを指しています。デザイナーやエンジニアといった職種は、その人の持つスキルや実績を重視することが多く、選考時にポートフォリオの提出が求められるケースも少なくありません。
就活生のスキル
自社とのマッチ度合い
人柄や個性
ポートフォリオは就活生の持つスキルはもちろん、人柄や個性、自社とのマッチ度合いを判断するためにも用いられます。そのためポートフォリオを作成するときは、上記のポイントを意識してアピールすることが大切です。
就活で作るポートフォリオの構成
人事担当者や企業に刺さるポートフォリオを作成するためには、全体の構成を把握したうえで内容を詰めていく必要があります。
表紙をはじめ、目次や作品・実績などにこだわり、自分の魅力が詰まったポートフォリオを作成しましょう。
【就活用ポートフォリオの構成1】表紙・背表紙
ポートフォリオは紙もしくはデータのいずれかで企業に提出することになりますが、表紙と背表紙をつけることが大切です。
表紙・背表紙をつけることで、作品へのこだわりや丁寧さを伝えられるほか、他の就活生との差別化も図れます。クリエイティブな職種を志望している場合は、作品だけでなく表紙・背表紙のデザインも見られているため、人事担当者に「おっ」と思わせるデザインを考えましょう。
なお、人事担当者が管理しやすいよう、大学名・学部・氏名などは欠かさず記載しておくのもポイントです。
【就活用ポートフォリオの構成2】目次
どのページにどんな情報が載っているのかなど、目次があることでポートフォリオの内容が把握しやすくなるため、必ず入れておきましょう。
もちろん、ポートフォリオでは自己紹介や作品が重視されますが、見る人のことを意識して目次を入れておけば、「丁寧な仕事をしてくれる」という印象を持ってもらえる可能性もあるでしょう。
【就活用ポートフォリオの構成3】自己紹介
自己紹介の内容に悩んでいる学生は、企業が求める人物像を調べるだけでなく、自分のどんな面をアピールするのかを考えてみましょう。
これまでの経歴
持っているスキル
受賞歴などの実績
趣味・特技
履歴書とは別の自己PR
自己分析で可視化した自分らしさが参考になるため、まだ自己分析を行なっていない方はキミスカのツールを試してみてください。無料で自己分析ができ、自分にマッチした職業も把握できるため、非常におすすめです。
【就活用ポートフォリオの構成4】作品・実績
作品や実績はポートフォリオで特に注目される項目です。自分が手がけた作品の画像・写真を添付し、それぞれのタイトルやプロジェクト名などを記載しましょう。使用する写真はできるだけ高画質なものを使用するのがポイントです。
また、作品の見どころや自分が力を入れたポイント、どういった成果が得られたのかを伝えられれば、説得力のあるポートフォリオになります。エンジニアであれば、与えられた課題に対してどのようなシステムやデザインを作り上げたのかを記載しましょう。
【就活用ポートフォリオの構成5】連絡先
電話番号やメールアドレスなどの連絡先は履歴書にも記載しますが、ポートフォリオの最後にも入れておきましょう。企業によってはポートフォリオの内容で採用するかどうかを判断することもあるため、スムーズに連絡が取れるようにする狙いもあります。
掲載する連絡先は、人事担当者が混乱しないよう履歴書と同じものを記載しましょう。また、表紙から最後のページに至るまで、名称や日時、連絡先などに誤りがないか確認することも大切です。
就活用ポートフォリオ「自己紹介」の例文
ポートフォリオでは学生の個性なども見られているため、自己紹介もこだわって作る必要があります。
どういった自己紹介を書けば良いのか、以下の例文を参考誌にてみましょう。
【就活ポートフォリオ「自己紹介」の例文1】デザイナーの場合
私は小さい頃から絵を描いたり写真を撮ったりするのが好きで、大学に入ってからはグラフィックデザインを専門に学んできました。そこでIllustratorやPhotoshopなどの使い方を学び、紙・Webといった媒体を問わず数多くの作品を手がけてきました。
例えば、ゼミの活動では地元商店街の活性化を目的にイベントのフライヤーを作成しました。「チラシを見て面白そうだと思い、初めて来ました」という方も多く前年の倍近い人が訪れたため、商店街の認知度向上や売上に貢献できました。
貴社に入社後も人とのコミュニケーションを大事にし、多くの人に喜んでもらえる作品を作っていきたいと考えております。
【就活ポートフォリオ「自己紹介」の例文2】記者・ライターの場合
私は幼少期から興味の幅が広く、自分で調べたり詳しい人に話を聞きに行ったりすることも多くありました。その中で、人が知らない情報を発信できる記者に興味を抱き、現在は企業のインターンシップで取材・執筆を行なっています。
当初は社内で「てにをは」などの基礎から学んでいましたが、最近はコラム記事やインタービュー記事を任されるようになり、デスクの方から「温度感のある文章で、丁寧に書けている」という評価をいただきました。
記事やSNSなどを通じて、読む人のタメになる情報を発信している貴社の業務に魅力を感じています。自分が記者や編集者として活躍しながらも、将来的には自分が培ったライティングスキルを後進育成に役立て、質の高い情報発信と貴社にブランディングに貢献したいと考えています。
【就活ポートフォリオ「自己紹介」の例文3】エンジニアの場合
私は、大学で情報工学について学んでいます。特にプログラミングが持つ可能性の高さに惹かれ、Javaをはじめ、PythonやRubyといったプログラミング言語を使うようになりました。
現在はインターン先の企業でアプリの開発に携わっており、設計から運用までチームで行なった○○というアプリは、リリースから1ヶ月で1万ダウンロードを達成しました。
また、自ら開発に関わるだけでなく、チームリーダーとしてメンバーの意見をまとめたり開発の進捗を管理したりと、プロジェクトマネジメントも行なってきました。
こうした経験は、エンジニアとして貴社に入社した後も役立つものだと捉えており、俯瞰的な視点を持ちながらも開発の現場で活躍したいと考えております。
就活用のポートフォリオ作成のコツ
ポートフォリオは見る人のことを考えて作らなければ、ただの作品集になってしまいます。
就活で作成するポートフォリオは、以下3つのコツを押さえておきましょう。
【就活ポートフォリオ作成のコツ1】デザインはシンプルに
ポートフォリオを作成する際に意識してもらいたいのは、デザインの見やすさです。デザインを凝ることも大切ですが、凝りすぎてしまうと見づらくなってしまうため、相手が読みやすいかどうかという視点を持ちましょう。
ただ、自分で作ったものを客観的に見るのは難しいものです。友人や先輩などに見てもらい、アドバイスをもらうと良いでしょう。
【就活ポートフォリオ作成のコツ2】面接で話すことも考慮する
ポートフォリオは書類選考で見られるだけでなく、その後の面接で話題に上ることもあります。そのため、面接で話すことを前提にプレゼン資料のように作っておくのもおすすめです。
ポートフォリオで伝えられる情報には限りがあるため説明文は簡潔にし、面接ではより具体的なエピソードを話すのも効果的。以下の記事を参考に、面接での質疑応答に備えておけば、スムーズに答えられるでしょう。
【就活ポートフォリオ作成のコツ3】説明文は読みやすく
デザイン的な見やすさだけでなく、説明文の読みやすさも意識したいポイントです。実際の作品でスキルを示し、読みやすい説明文が書けていれば文章力や伝える力もアピールできるでしょう。
また、学生の中には実務経験がそれほど多くない人もいますが、説明文の読みやすさや資料のまとめ方が評価される場合もあるので、簡潔で分かりやすい文章を心がけましょう。
就活で作るポートフォリオの注意点
就活用のポートフォリオを作成する際は、いくつか注意すべきポイントもあります。
どういったことに気をつければ良いのか、それぞれ見ていきましょう。
【就活用ポートフォリオの注意点1】掲載する作品数と画質
多くの実績や作品がある場合、紹介作品の数はある程度絞るようにしましょう。あまりにも数が多いと、一番アピールしたい作品の印象が薄れる可能性があります。
逆にポートフォリオに掲載できる作品が少ない場合は、その理由を伝えるのが無難です。「長期にわたるプロジェクトだったため、掲載数が少なくなっています」などの理由を伝えましょう。
【就活用ポートフォリオの注意点2】提出方法や期限を守る
「郵送」「メール添付」「クラウド上にアップ」など、企業によってポートフォリオの提出方法が異なります。ファイルの形式やデータの容量などを指定される場合もあるため、ポートフォリオの提出前によく確認しておきましょう。
また、提出期限が設定されている場合もあり、ギリギリに出すのは避けた方が無難です。企業に届いたデータが開けなかったり、内容に誤りがあったりすると、再送するよう指示が来る可能性もあるためです。
ポートフォリオの作成は時間がかかるものですが、きちんと評価してもらうためにも時間に余裕を持って提出するようにしましょう。
就活のポートフォリオは相手のことを意識して作ろう
ポートフォリオは比較的自由度の高い資料ですが、面接官に刺さるポイントには共通点があります。特に、見る人にとって分かりやすい構成であるか、学生の個性やスキルが把握できるかといった点は、十分にこだわりたいところです。
また、「企業が求める人物像に合わせて自分の魅力を伝えられているか」という視点も欠かせません。人事担当者や面接官に刺さるポートフォリオを作成するためにも、自己分析を深めて自分の魅力を確認しておきましょう。