適性検査「性格診断」とは?検査の目的や問題例、対策のコツを解説

就活では書類選考や面接などを通過して内定を獲得できますが、選考の序盤で実施される適性検査には注意が必要です。能力検査では学力や一般常識の有無が問われるため、頻出の問題を把握して対策すれば解けない問題ではありません。

しかし、性格診断や性格検査と呼ばれる検査について、具体的な対策を講じている人は多くないでしょう。場合によっては性格診断の結果で落とされる可能性があるため、不安な人は本記事の内容をよく確認しておきましょう。

適性検査の「性格診断」とは?

適性検査にはSPIや玉手箱、CABなどの種類があり、それぞれで実施される検査内容にも違いがあります。特に多いのは、受検者である就活生の学力を確かめる「能力検査」と、価値観・行動特性などを確かめる「性格診断(検査)」の検査が行われるケースです。

適性検査で実施される性格診断の理解を深めるためにも、より詳しい内容を確認していきましょう。

企業の目的

大学受験などでは試験での点数で合否が決まりますが、なぜ就活で実施される適性検査では性格診断を行うのでしょうか。企業によって目的が異なる場合もありますが、主に以下の目的が考えられます。

適性検査で性格診断を行う理由

・自社とのマッチ度を確かめるため
・書類選考や面接ではわからない情報を得るため
・面接で質問するときの参考にするため
・配属先を考えるとき、教育を行うときの参考にするため

学生のなかには性格診断に対して深く考えていない人もいますが、企業の多くは新卒採用で応募者の性格や価値観などを重視しています。そのため、いい加減に答えたり、嘘の回答をしたことがバレたりすれば、能力検査の結果が良くても不採用になるかもしれません。

むしろ、性格診断の結果が評価されれば、内定を獲得できる可能性があることを把握しておきましょう。

種類別の特徴

性格診断といっても適性検査にはさまざまな種類があり、それぞれ異なる特徴を持っています。以下の表では適性検査のなかでも特に受検する可能性の高いものをまとめているので、それぞれ確認しておきましょう。

性格診断・検査の特徴
SPI ・問題数は約300問
・制限時間は30〜40分ほど
・仕事の進め方や配属予定の部署との相性など、職務内容に適応しやすいかどうかを測定
玉手箱 ・問題数は、本格版なら全104問
(簡易版は全53問もしくは66問)
・制限時間は、本格版なら約35分
(簡易版は時間設定なし)
・受検者の素質が社風・職種にマッチするかを判断するため、「性格」と「意欲」に分けて測定する
TAL ・問題数は全37問
・制限時間は20分ほど
・受検者の性格や資質を測定することに特化した検査で、文章形式と図形配置の問題が出される
YG性格検査 ・問題数は全120問
・制限時間は30分ほど
・気分が変わりやすいか、心配性かなど、情緒性に関する特徴を測定する
内田クレペリン検査 ・問題数は1行につき115問
・制限時間は30分
・簡単な足し算の繰り返しを通じて、業務への適性や物事への取り組み方などを測定する。平均回答数は1分間に60個ほど

測定内容・評価項目

適性検査の性格診断では、受検者の性格をはじめ職務・組織への適応性を測定しています。そして、これらの適応性を測定するために評価されるのは、行動特性や意欲、情緒、ライスケール(Lie Scale)の4項目です。

性格診断では正直に答えていけば、向上心や独自性といった受検者の内面について、精度の高い検査結果が出ます。しかし、なかには企業が求める人物像に合わせて嘘をついたり、見栄をはって嘘の回答をしたりする人もおり、ライスケールで見抜かれる可能性があります。

ライスケールとは、就活生が嘘の回答をしたかどうかを見極めるためのもの。例えば、「今まで一度も嘘をついたことがない」という設問に対して「YES」と答えてしまうと、ライスケールにひっかかる可能性があります。

受検方式

性格診断の回答は、パソコンを使うかマークシートに記入するかの2パターンがあります。ただ、受検方式は細かく分かれているため、受検時に慌てないよう主な形式と特徴を確認しておきましょう。

特徴
WEBテスティング 自宅や大学などから受検し、回答はPCを使用
テストセンター 性格検査はあらかじめ自宅や大学などで受検し、能力検査は指定の会場で受ける。回答はPCを使用
インハウスCBT 企業指定の会場で受検し、回答はPCを使用
ペーパーテスティング 指定の会場で受検し、回答はマークシートを使用

受検時期

適性検査の性格診断や能力検査は、ES(エントリーシート)の提出後や書類選考を通過したあとなど、選考の序盤で実施されることが多いです。ただ、企業によっては面接を通過したあとや最終面接のときに性格診断を行う場合もあります。

性格診断で合否が決まる場合もあるので、自己分析などの準備を整えてから受検するのがおすすめです。

【徹底解説】種類別の適性検査・性格診断を徹底解説

種類別の適性検査・性格診断をさらに詳細に深掘ります。

  • SPI
  • 玉手箱
  • TAL
  • YG性格検査
  • 内田クレペリン検査
  • MBTI

ひとつずつ詳しく解説します。

SPI

SPI(Synthetic Personality Inventory)は、日本国内で最も一般的な適性検査の一つです。この検査は約300問の問題から構成され、回答時間は30〜40分程度です。

問題内容は主に受検者の仕事に対する姿勢や行動パターンを測定し、企業はこの結果を基に職務適性や部署との相性を評価します。特に新卒採用や中途採用時に用いられることが多く、総合的な能力や適性を把握できるため、受検対策が必要です。

玉手箱

玉手箱は、企業の採用試験で広く活用される適性検査の一つです。検査には「本格版」と「簡易版」があり、本格版は全104問で制限時間は約35分、簡易版は53問または66問で時間設定がありません。

玉手箱は「性格」と「意欲」に焦点を当て、受検者の特性が企業の社風や職種に適しているかを確認します。主に大手企業の採用試験で使用され、幅広い職種の適性を測定できる点が特徴です。

TAL

TAL(Talent Assessment for Leaders)は、37問の問題で構成され、所要時間は約20分です。この検査は特に受検者の性格や資質を詳細に測定するために設計されており、文章問題と図形配置問題が出題されます。

TALはリーダーシップ適性や業務遂行能力を測る際に重宝され、企業は受検者の業務適性や役割に対する適応力を評価するために活用しています。短時間で的確な分析ができる点が魅力です。

YG性格検査

YG性格検査は、120問の質問に約30分で回答する形式の適性検査です。この検査は、受検者の情緒面に関する特性を評価することを目的としており、気分の変動、心配性、冷静さなど、多角的な情緒的特徴を測定します。

心理学的な要素に基づいており、ストレス耐性や対人関係能力など、職場環境で求められるスキルを把握する際に利用されます。

内田クレペリン検査

内田クレペリン検査は、1行115問の簡単な足し算問題を1分間に約60問のペースで解答する形式の検査です。所要時間は約30分で、業務に対する集中力や持続力、仕事に対する取り組み方を評価します。

特に精神的な安定性や作業効率に関する特性を分析するため、仕事に対する適応能力を重視する業種で多く採用されています。数字を扱う単調な作業を通じて、受検者の業務特性を浮き彫りにする点が特徴です。

MBTI

MBTI(Myers-Briggs Type Indicator)は、世界的に利用されている性格診断テストで、16種類の性格タイプに分類されます。このテストでは、外向性(E)か内向性(I)、感覚型(S)か直観型(N)、思考型(T)か感情型(F)、判断型(J)か柔軟型(P)という4つの要素の組み合わせから成り立っています。

MBTIは自己理解を深めるためだけでなく、チームビルディングやキャリア設計にも役立ちます。多くの企業が社員教育や人材配置の参考として活用しており、自己分析や相性診断を行う場面でも広く使われています。

適性検査「性格診断」の例題

適性検査の性格診断でどんな問題が出るのか気になる人もいるでしょう。ここからは、就活生が受検する可能性の高いSPIから2パターンの例題を紹介します。

Aに近い・Bに近い

【例題】
以下の質問はあなたの日常の行動や考えにどの程度あてはまりますか。最も近い選択肢を1つ選んでください。

A.一人で旅行するのが好きだ
B.皆で旅行するのが好きだ

A.買い物ではよいと思ったらすぐ買ってしまう
B.気に入っても一度店を出て考え直す

A.勝負は時の運だ
B.勝負は努力の結果だ

A.気が合うのは想像力のある人だ
B.気が合うのは実行力のある人だ

A.うそも方便である
B.うそはついてはいけない

【選択肢】
Aに近い
どちらかといえばAに近い
どちらかといえばBに近い
Bに近い

引用:リクルートマネジメントソリューションズ「SPIの性格検査とは?」

あてはまる・あてはまらない

【例題】
以下の質問はあなたの日常の行動や考えにどの程度あてはまりますか。
最も近い選択肢を1つ選んでください。

1.いろいろなところに出かけるのが好きだ

2.何ごとも継続が大切だ

3.あまり欲がないほうだ

4.立ち直りは早いほうだ

5.新しいものは何でも試してみたい

【選択肢】
あてはまる
どちらかといえばあてはまる
どちらかといえばあてはまらない
あてはまらない

引用:リクルートマネジメントソリューションズ「SPIの性格検査とは?」

適性検査の性格診断を受けるときの対策

内田クレペリン検査やYG性格検査などの適性検査は、問題の形式に慣れたり回答方法を把握しておいたりする必要があります。しかし、SPIや玉手箱といった適性検査の性格診断は、自分の考えや価値観にどれだけ合致するかを選ぶものがほとんどです。

能力検査ほど対策に時間を費やす必要はありませんが、性格診断で高評価を得るためにも以下の対策を行っておきましょう。

自己分析を済ませておく

性格診断では、受検者の価値観を問う問題が多く出されます。適性検査の本番で迷わずスムーズに回答していくためにも、事前に自己分析を済ませておきましょう。自己分析を通じて自分の強み・弱みや価値観などを把握しておけば、自分の個性に合致したものを選べるようになります。

まだ自己分析が終わっていない人や、再び自己分析を行いたい方は、キミスカの自己分析ツールを活用してみてください。簡単な質問に答えていくだけで自分の特徴や適職などがわかるため、性格診断の対策にも役立ちます。

キミスカ適性検査の受け方と結果の見方!自己分析ツールの使い方を解説

企業が求める人物像を把握する

性格診断の結果次第では、適性検査を通過できることもあります。特に性格診断の結果と企業が求める人物像がマッチしているほど、高く評価してもらえるでしょう

もちろん、性格診断では嘘をつくことはNGですが、自分の性格や特性を企業が求める人物像とすり合わせておくことで、好印象を残せる回答ができる場合もあります。

制限時間内に答える

性格診断では制限時間が設定されている場合がほとんどです。診断結果の精度を高めるためにも、できるだけ制限時間内に答えるようにしましょう。

問題数や制限時間はどの検査を受検するのかによって異なるため、検査の種類に合わせて「1問10秒」など、時間配分を決めておくのが大切です。

正直に一貫性のある回答

性格診断の設問は似たような問題が何度か出てくる場合があり、その日の気分やタイミングによっては回答に迷ってしまうことも珍しくありません。性格診断では、虚偽の回答かどうかがチェックされることもあるため、心配になる人もいるでしょう。

確かにライスケールに引っかかる可能性はありますが、その人らしさは一概には言えないため、できるだけ一貫性のある回答を心がけるだけで十分です。あまり考えすぎると正しい答えを選べなかったり、時間内に答えられなかったりするので、素早く正直に答えることを意識しましょう。

適性検査・性格診断に関するよくある質問

適性検査・性格診断に関するよくある質問をまとめました。

  • 適性検査で嘘をついてもバレますか?
  • 性格検査で落ちる確率は?
  • 適性検査はボロボロでも受かりますか?
  • 適性検査・性格診断で時間切れになるとどうなる?
  • 適性検査・性格診断で嘘をついてもバレる?
  • 問題は無料の検査もある?事前練習できる?

ひとつずつ詳しく解説します。

適性検査で嘘をついてもバレますか?

適性検査では、回答の一貫性や矛盾を確認する仕組みが導入されています。たとえば、同じ質問を言い換えて出題し、異なる答えをした場合、信用性に疑問が生じることがあります。

特に性格診断では、無理に「良い人」を装うよりも、自分らしい回答を心がける方が評価につながるケースが多いです。

性格検査で落ちる確率は?

性格検査で落ちる確率は企業の採用基準によって異なります。性格検査は能力テストとは異なり、特定の性格特性が企業の求める人材像と合致しているかを確認するものです。

そのため、企業の基準に適合しない場合に「不適」と判断されることがありますが、落ちる確率を下げるためには、自分の性格を正確に把握し、求める人物像に合った行動を示すことが重要です。

適性検査はボロボロでも受かりますか?

適性検査で良い結果が出なかった場合でも、受検者全体の成績や他の選考プロセスによって合否が判断されることがあります。特に性格診断の場合、「完璧な回答」を求められているわけではありません。

企業は受検者の特性を多面的に評価し、総合的な適性を判断するため、他の面接や業務スキルが評価されている場合は逆転のチャンスがあります。

適性検査・性格診断で時間切れになるとどうなる?

適性検査や性格診断で時間切れになった場合、未回答の問題は評価に反映されません。特に能力検査では、回答数がそのままスコアに影響するため、時間内にできるだけ多くの問題を解答することが大切です。

ただし、性格検査の場合は、限られた時間内に無理にすべて回答しようとするより、正確な回答を優先する方が好まれることもあります。

適性検査・性格診断で嘘をついてもバレる?

性格診断では、同じテーマを異なる言葉で繰り返し質問する方法を用いることが多く、回答の矛盾が生じると不自然と判断される場合があります。

そのため、正確で一貫した回答が求められます。無理に良い印象を与えようとせず、自分の特性を正直に伝える方が信頼性の高い結果を得られるでしょう。

問題は無料の検査もある?事前練習できる?

はい、適性検査や性格診断には無料の練習問題やサンプルテストを提供しているウェブサイトがあります。

SPIや玉手箱など公式の問題そのものは有料ですが、非公式の模擬問題を無料で公開しているサイトを活用することで、形式に慣れることができます。事前練習を行うことで、本番に備えた自信をつけることができます。

適性検査の性格診断は自己分析が一番重要!

適性検査は選考の序盤に実施されることが多く、企業によっては性格診断の結果で通過させるかどうかを判断するケースもあります。そして、性格診断を通過するために重要なのは、自己分析を行っておくことです。

自己分析は性格診断に役立つだけでなく、面接でアピールする内容を考える際にも役立ちます。また、企業とのミスマッチを防ぐことにもつながるため、就活生は必ず自己分析を行っておきましょう。