就活では企業側から「小論文を提出してください」と言われることがあります。新聞社や出版社などのメディア系で課される場合が多くありますが、業界に関係なく小論文の提出を求められることも少なくありません。
そこで、本記事では小論文の書き方を例文付きで解説します。また小論文の役割や評価ポイントなども紹介するので、ぜひ小論文を作成する際に役立ててください。
就活小論文が持つ重要な役割
小論文を書き始める前に、就活生は小論文がどういう役割を担っているのかを把握しておきましょう。というのも、役割を理解しておくことで企業へのアピールを効果的におこなえるためです。
ここでは、小論文が持つ役割を3つ紹介します。
【就活小論文の重要な役割1】自己アピールの場
就活における小論文を通じて、自己アピールすることが可能です。書類選考で提出する履歴書や、面接でも自己アピールできますが、小論文は違った角度から自分のことを伝えられます。
テーマによって異なる場合もありますが、小論文は自分の強みや特徴、将来のビジョンなどを文章にまとめ、企業に自己PRをおこなえる役割があります。
【就活小論文の重要な役割2】論理的思考力の証明
小論文は、就活生に論理的思考力が備わっているかどうかを証明するための役割も担っています。与えられたテーマをもとに、適切な論理展開や説得力のある内容を書けていれば、企業に対して自分の論理的思考力をアピールできるでしょう。
【就活小論文の重要な役割3】志望動機や熱意の表明
就活生にとっての小論文は、自分の志望動機や企業への熱意を表明する役割もあります。例えば、小論文でその企業を志望する理由や入社意欲が高い根拠を提示できれば、企業への熱意を的確に伝えられるでしょう。
また企業は採用活動を通して学生と自社とのマッチ度を確かめているため、小論文をはじめES(エントリーシート)や面接などの選考でも入社意欲の高さを伝えることが重要です。
企業が小論文を通じて評価するポイント
続いては、企業が就活生の小論文でどこを評価しているのかを解説します。3つの評価ポイントを意識して小論文を書き進めれば、より魅力的な内容に仕上がるでしょう。
【小論文評価ポイント1】表現力と文章の質
企業が小論文で評価しているポイントの一つに、表現力と文章の質が挙げられます。就活に相応しい文体や言葉選びができているかが評価ポイントです。また、小論文で読み手に伝わりやすい表現ができていれば、企業側に高く評価されるでしょう。
社会人になると、社内でのコミュニケーションや取引先との商談などで分かりやすく伝える力も求められます。そのため、小論文の課題を通じて簡潔に分かりやすく伝える能力の有無を確かめている可能性もあるでしょう。
【小論文評価ポイント2】社会への関心と知識
小論文では社会や企業、業界、学生自身に関するテーマが頻出ですが、どのテーマを与えられたとしても、社会への関心と知識があるかどうかがみられています。特に企業や業界に関するテーマの場合は、業界研究・企業研究を深くできているかが小論文の質を左右するポイントです。
小論文を通じて説得力のある主張をするためにも、業界・企業研究をおこなうだけでなく社会全体への関心を寄せ、高く評価される内容を目指しましょう。
【小論文評価ポイント3】自己分析とビジョン
小論文を通じて学生の内面についても見られています。応募者がどのようなビジョンを持っているのかが問われるテーマも多く、自己分析ができているかどうかが重要なポイントです。そのため、小論文を書き進める前に自己分析をおこない、自分の強みや成長意欲、将来のキャリアプランなどを明確にしておきましょう。
なお、キミスカの自己分析ツールは無料で利用でき、質問に答えていくだけで強みや弱み、適性などが可視化されます。自己分析は就活に欠かせない作業なので、まだ済ませていない人や再び自己分析をしてみたい人は、ぜひ試してみてください。
就活小論文の書き方ガイド
小論文の前提を押さえたら、具体的な書き方について確認していきましょう。就活における小論文の書き方は、大きく「序論・本論・結論」の3部構成で進めるのがおすすめです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
【就活小論文の書き方1】序論
小論文の書き出しとなる部分が序論です。序論では、与えられたテーマに対する自分の考えや主張を述べ、どういった立場で話しを展開していくのかを示します。
序論はあまり長々と書かず、テーマの導入や背景を説明する程度に留めて、結論を簡潔に分かりやすくまとめましょう。
【就活小論文の書き方2】本論
序論で主張したことの根拠を本論で書き進めていきます。本論では曖昧な表現を避け、具体的な論点や主張を展開していくのがポイントです。
なお、本論は複数の段落に分けて記載しましょう。段落ごとに1つの論点を取り上げ、「なぜそう考えているのか」主張したことの根拠となる説明を具体例とあわせて記載します。
【就活小論文の書き方3】結論
最後は結論で締めくくります。小論文の結論では、全体で述べた内容を総括し、自分の主張を改めて述べましょう。
序論で述べた主張を本論で具体的に根拠づけし、結論で全体をまとめることで論理的な主張となります。もちろん、論を展開するときは説得力のある内容を記載することが肝心ですが、序論・本論・結論の流れで書くことで、読み手の印象に残る小論文に仕上がります。
就活小論文の例文
ここからは、就活の選考で小論文を課された場合の例文を紹介します。なお、よくあるテーマとしては以下のものが挙げられますが、今回は「あなたは10年後はどのような人材になりたいですか?」を例に見ていきましょう。
あなたは10年後はどのような人材になりたいですか?
あなたの未来を教えてください
これまで一番辛かった経験は何ですか
今、特に気になるニュースについて論を述べてください
あなたが関心を持っている社会問題について自身の考えを述べてください
あなたにとって「働く」とは何ですか?
仕事をするうえで必要な心構えについて書いてください
また、今回の例文は800字程度で記載しています。実際に小論文を書く際は、企業から指定された文字数の8割以上を目安にしましょう。
テーマ:「あなたは10年後はどのような人材になりたいですか?」
「第一線で活躍し、後進育成に努める編集者」が私の理想とする10年後の姿だ。出版業界における編集者に求められる素養の一つに、企画力が挙げられる。自ら企画を出すことは前提として必要だが、同じ会社で働く編集者たちにも企画力があるほど、面白いコンテンツを生み出せると考えているからだ。
私がそう考えるきっかけとなったのは、大学で所属しているボランティアサークルでの経験である。海外でのボランティア活動をはじめ、現地の人たちと交流するためにダンスや料理などの企画も展開している。しかし、毎年のように同じような企画を出しているため、メンバーが惰性のように感じており、さらには自分達の企画は自己満足ではないのかと感じることもあった。そこで私が提案したのは、ボランティアを軸にしながらも企画を見直すことだ。そのために私は新しい企画を次々と考え、実際に「今までと違ってすごく楽しかった」と、メンバーや現地の人たちも満足のいく結果を出せた。
ただ、サークルの将来を考えたときに頭をよぎったのは、「成功した企画をまた何度も続けるのか」という疑問だ。メンバーと現地の人にとって意味のある活動や企画は重要だが、これからも自分達で新しい取り組みを考え、実践していかなければ今までと同じである。そこで、将来のサークルを担う後進を育成することが、卒業を控えた私にできることだと考えた。まだ経験の浅い後輩たちだったが、企画の考え方や逸れてはいけない軸を共有したことで、少しずつ新しい企画が出るようになった。今では私の想像以上に面白そうな企画も生まれ、常に新しい企画に取り組むことが当たり前の状態になっている。
この経験から、私は自分から生み出すことの大切さだけでなく、後進育成によってさらに可能性が広がっていくことを学んだ。社会に出てからも一緒に働く人たちと高め合い、読者にとってためになる新たな創造を生み出し続けていきたいと考えている。
就活小論文を書く際のチェックポイント
最後に小論文を書く際に気を付けておきたいポイントを4つ紹介します。
【小論文チェックポイント1】情報の深掘りと裏付け
小論文を書く際は、記載した情報を深掘りして解説し、根拠となる裏付けを述べることが大切です。社会問題や業界に関連したテーマを与えられた場合、一次情報からの引用や信憑性の高い情報を盛り込んで説得力のある論文に仕上げましょう。
【小論文チェックポイント2】オリジナリティの追求
小論文では学生の個性が見られている場合もあるため、自分ならではの見解や経験を交えてオリジナリティを出すことも欠かせないポイントです。一般的な意見を持つことも大切ですが、独自の視点やアプローチを取り入れることで論文に個性を持たせられ、読み手の興味を引くことができるでしょう。
【小論文チェックポイント3】論文全体の統一感とまとまり
小論文を書くときは、全体の統一感やまとまりも意識しましょう。序論・本論・結論の構成を意識するほか、段落内の話の流れやつながりが自然になるよう注意し、論文全体に統一感を持たせることが大切です。
このほか、文末の表現は「だ・である調」「です・ます調」どちらかに統一したり、本題から逸れたりしないよう注意して一貫性のある内容に仕上げてみてください。
【小論文チェックポイント4】校正とフィードバックの活用
小論文を書き終えたら、読み直して推敲や校正することも重要なポイントです。誤字脱字がないか、話の展開に違和感がないかをチェックし、伝えたいことが伝わる小論文に仕上げましょう。
また、提出期限までに余裕がある場合は、家族や友人に読んでもらいフィードバックをもらうのもおすすめです。客観的な意見をもらうことで、さらに魅力的な小論文にブラッシュアップできるでしょう。
まとめ
小論文と聞くと身構えるかもしれませんが、構成や書き方のポイントを押さえれば難しいものではありません。ただ、誤字脱字など基本的なことに気をつけなければ、「読み直していないのかな」「入社意欲が低いのかな」と思われる可能性があります。ぜひ本記事で解説したポイントを参考に、完成度の高いあなただけの小論文を作成してみてください。