就活うつ?主な症状や対処法・相談先を徹底解説

就活は自分が働きたい会社を探したり、将来について真剣に考えたりする絶好の機会ですが、なかには精神的に追い詰められてしまい「就活うつ」になる学生も少なくありません。

就活うつは、眠れなくなったり前向きな気持ちになれなくなったりと、うつ病のような症状があり、このままでは就活に取り組むことは難しいでしょう。

そこで、本記事では学生におすすめの就活うつの対処法を紹介します。就活うつの概要や主な原因、うつ病チェックリストも取り上げているので、就活に思い悩んでいる学生は、ぜひ気になる箇所を読んでみてください。

就活うつとは?

そもそも就活うつとはどういったものなのでしょうか。まずは就活うつの基本的なポイントを解説します。

就活うつの定義と主な症状

就活うつとは、就職活動におけるストレスやプレッシャーが原因で、強い不安や不眠、食欲不信などの症状が出る、抑うつ状態のことをいいます。

また、就活のハードスケジュールで身体的にも疲弊し抑うつ気分になる場合もあるので、精神面だけでなく身体の疲れにも目を向けてみてください。

抑うつ状態の主な症状は以下のものが挙げられます。

うつ状態の症状

体がだるい
疲れやすい
食欲不振
胃の不快感
眠れない/寝過ぎ
頭痛、肩こり
動悸
便秘・下痢 など

複数該当する症状がある場合は、就活の影響で抑うつ状態になっている可能性があります。

しかし、ネットの情報でのセルフチェックは、あくまで参考にする程度にしておきましょう。診断を受けたり治療を受けるには、専門の医師に相談してみるのがおすすめです。

就活うつに悩む学生の割合

これまでうつ病とは無縁の人であっても、就活鬱になってしまう可能性があります。NPO法人POSSEが公開したアンケート結果によると、就活生の14%以上が就活を通じてうつ病になっていたというデータもあり、決して少ない数字ではありません。

自分が就活鬱に陥っていたり、周りの友人が就活鬱で悩んでいたりする場合は、ぜひ本記事の内容を参考に対策を考えていきましょう。

就活うつかも…と思ったら

自分が就活うつかも知れないと思った時は、迷わず周囲の人や専門医を頼ってください。

真面目で責任感の強い人ほど、この抑うつ状態に陥りやすい傾向があります。「みんなが就活しているから」「自分だけ遅れてしまう」と焦る気持ちもあると思います。

しかし、辛い時は一人で抱えこまず、一度相談してみてください。

医師やカウンセラーに話をしてみる

「就活うつかもしれない」と感じたら、ためらわず医療機関を受診し医師に相談してみましょう。

話すことで気持ちが楽になることもありますし、必要に応じて薬物療法やカウンセリングなどのサポートを受けることができます。一人で悩まず、専門家の力を借りることを考えてみてください。

また、医療機関を受診することで、カウンセラーに話を聞いてもらえる場合もあります。カウンセラーはあなたの今の気持ちを受け止め、解決のためにサポートしてくれます。辛い気持ちが晴れない時は、一度カウンセラーに話してみるのもいいかもしれません。

学校の保健室に行く

体調が優れないと感じたり、気分が落ち込んだりすることが続く時は、学校の保健室を訪ねてみましょう。保健室には、看護師や保健師といった専門の先生がいます。

ちょっとした体調の相談はもちろん、心の悩みについても親身になって話を聞いてくれます。必要に応じて、適切な医療機関や相談窓口を紹介してくれることもあります。心身が辛い時は無理をせず、一度休んだり誰かに話をしてみてください。

学校のキャリアセンターや相談室を頼る

就職活動に関する悩みは、学校のキャリアセンターや相談室にいる就活のプロに相談するのがおすすめです。選考のことだけでなく、将来のことや漠然とした不安など、就活に関わる様々な悩みに耳を傾け、具体的なアドバイスをしてくれます。

また、精神的なサポート体制が整っている場合もあります。一人で抱え込まず、積極的にキャリアセンターを活用しましょう。

家族や身近な人に話してみる

一番身近な理解者である家族に、今の気持ちを打ち明けてみることも大切です。両親や兄弟姉妹など信頼できる人に話すことで、少し気持ちが楽になるかもしれません。

また、心強い精神的な支えとなってくれることもあります。遠慮せずに、自分の正直な気持ちを伝えてみてください。

身近な人相談する

同じように就活をしている友人や身近にいるパートナーなどに話を聞いてもらうだけでも心が軽くなるかもしれません。同じような悩みを共有できることで安心したり、共感してもらえることで気持ちが楽になることもあります。

しかし、かえってアドバイスを受けてしまい辛くなりそうだと感じる時は控えておくのもひとつの手です。

電話やチャットを活用する

「誰かに相談したいけれど、直接話すのは少し抵抗がある…」と感じる方もいるかもしれません。そんなあなたには、電話相談やチャット相談といった匿名で利用できる窓口があります。

顔が見えない分、安心して自分の気持ちを打ち明けやすいというメリットがあります。様々な団体や機関が、就活生向けの相談窓口を開設していますので、インターネットなどで探してみてください。

・いのちのSOS

サイトリンクはこちら「いのちのSOS」

・こころの健康相談統一ダイヤル|厚生労働省

サイトリンクはこちら「こころの健康相談統一ダイヤル」

・こころのほっとチャット

サイトリンクはこちら「こころのほっとチャット」

・あなたのいばしょ

サイトリンクはこちら「あなたのいばしょ」

・よりそいホットライン

サイトリンクはこちら「よりそいホットライン」

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就活うつのチェックリスト

自分がうつ病かどうかを判断したい方は、以下のチェックリストを活用してみてください。
これは、厚労省が公開している「簡易抑うつ症状尺度(QIDS-J)」です。下記表9項目の点数を合計し、0〜27点で評価します。

【採点結果】
0〜5点:正常
6〜10点:軽度
11〜15点:中等度
16〜20点:重度
21〜27点:きわめて重度

【1.寝つき】
0 問題ない(または寝付くのに30分以上かかったことは一度もない)
1 寝付くのに30分以上かかったこともあるが、1週間の半分以下である
2 寝付くのに30分以上かかったことが週の半分以上ある
3 寝付くのに60分以上かかったことが(1週間の)半分以上ある
【2.夜間の睡眠】
0 問題ない(夜間に目が覚めたことはない)
1 落ち着かない、浅い眠りで、何回か短く目が覚めたことがある
2 毎晩少なくとも1回は目が覚めるが、難なくまた眠ることができる
3 毎晩1回以上目が覚め、そのまま20分以上眠れないことが、(1週間の)半分以上ある
【3.早く目が覚めすぎる】
0 問題ない(または、ほとんどの場合、目が覚めるのは、起きなくてはいけない時間の、せいぜい30分前である)
1 週の半分以上、起きなくてはならない時間より30分以上早く目が覚める
2 ほとんどいつも、起きなくてはならない時間より1時間早く目が覚めてしまうが、最終的にはまた眠ることができる。
3 起きなくてはならない時間よりも1時間以上早く起きてしまい、もう一度眠ることができない
【4.眠りすぎる】
0 問題ない(夜間、眠りすぎることはなく、日中に昼寝をすることもない)
1 24時間のうち、眠っている時間は昼寝を含めて10時間ほどである
2 24時間のうち、眠っている時間は昼寝を含めて12時間ほどである
3 24時間のうち、昼寝を含めて12時間以上眠っている
【 】 ←1~4に該当する症状の中で1番大きい数字を記載

 

【5.悲しい気持ち】
0 悲しいとは思わない
1 悲しいと思うことは、半分以下の時間である
2 悲しいと思うことが半分以上の時間ある
3 ほとんどすべての時間、悲しいと感じている
【 】 ←該当する症状の点数を記載

 

【6.食欲低下】
0 普段の食欲と変わらない
1 普段よりいくぶん食べる回数が少ないか、量が少ない
2 普段よりかなり食べる量が少なく、食べるよう努めないといけない
3 まる1日(24時間)ほとんどものを食べず、食べるのは極めて強く食べようと努めたり、誰かに食べるよう説得されたときだけである
【7.食欲増進】
0 普段の食欲とかわらない、または、食欲が減った
1 普段より頻回に食べないといけないように感じる
2 普段とくらべて、常に食べる回数が多かったり、量が多かったりする
3 食事の時も、食事と食事の間も、食べ過ぎる衝動にかられている
【8.体重減少(最近2週間で)】
0 体重は変わっていない、または、体重は増えた
1 少し体重が減った気がする
2 1キロ以上やせた
3 2キロ以上やせた
【9.体重増加(最近2週間で)】
0 体重は変わっていない、または、体重は減った
1 少し体重が増えた気がする
2 1キロ以上太った
3 2キロ以上太った
【 】 ←6〜9に該当する症状の中で、一番大きい点数を記載

 

【10.集中力/決断】
0 集中力や決断力は普段とかわりない
1 ときどき決断しづらくなっているように感じたり、注意が散漫になるように感じる
2 ほとんどの時間、注意を集中したり、決断を下すのに苦労する
3 ものを読むこともじゅうぶんにできなかったり、小さなことですら決断できないほど集中力が落ちている
【 】 ←該当する症状の点数を記載

 

【11.自分についての見方】
0 自分のことを、他の人と同じくらい価値があって、援助に値する人間だと思う
1 普段よりも自分を責めがちである
2 自分が他の人に迷惑をかけているとかなり信じている
3 自分の大小の欠陥について、ほとんど常に考えている
【 】 ←該当する症状の点数を記載

 

【12.死や自殺についての考え】
0 死や自殺について考えることはない
1 人生が空っぽに感じ、生きている価値があるかどうか疑問に思う
2 自殺や死について、1週間に数回、数分間にわたって考えることがある
3 自殺や死について1日に何回か細部にわたって考える、または、具体的な自殺の計画を立てたり、実際に死のうとしたりしたことがあった
【 】 ←該当する症状の点数を記載

 

【13.一般的な興味】
0 他人のことやいろいろな活動についての興味は普段と変わらない
1 人々や活動について、普段より興味が薄れていると感じる
2 以前好んでいた活動のうち、一つか二つのことにしか興味がなくなっていると感じる
3 以前好んでいた活動に、ほとんどまったく興味がなくなっている
【 】 ←該当する症状の点数を記載

 

【14.エネルギーのレベル】
0 普段のエネルギーのレベルと変わりない
1 普段よりも疲れやすい
2 普段の日常の活動(例えば、買い物、宿題、料理、出勤など)をやり始めたり、やりとげるのに、大きな努力が必要である
3 ただエネルギーがないという理由だけで、日常の活動のほとんどが実行できない
【 】 ←該当する症状の点数を記載

 

【15.動きが遅くなった気がする】
0 普段どおりの速さで考えたり、話したり、動いたりしている
1 頭の働きが遅くなっていたり、声が単調で平坦に感じる
2 ほとんどの質問に答えるのに何秒かかかり、考えが遅くなっているのがわかる
3 最大の努力をしないと、質問に答えられないことがしばしばである
【16.落ち着かない】
0 落ち着かない気持ちはない
1 しばしばそわそわしていて、手をもんだり、座り直したりせずにはいられない
2 動き回りたい衝動があって、かなり落ち着かない
3 ときどき、座っていられなくて歩き回らずにはいられないことがある
【 】 ←15〜16に該当する症状の中で、一番大きい点数を記載

参考:厚生労働省「うつ病チェック

上記のチェックリストに回答し、点数が6点以上の場合はうつ病の可能性があります。

就活うつを引き起こしやすいストレス要因

就職活動は、成長の機会をもたらす一方で、予期せぬストレスに晒される可能性もあります。特に、真剣に取り組むほど結果が伴わない時の落胆や、周囲との比較による焦り、将来への不安など、様々な要因が心に重くのしかかることも少なくありません。特に就職活動が本格化する大学3年生は注意が必要です。

ここでは、就活中に「就活うつ」を引き起こしやすい代表的なストレス要因を解説します。

周りの人と比較して自分に引け目を感じる

SNSや友人からの情報で、周りの人が内定を獲得していくのを知ると「自分だけが出遅れているのではないか」と焦りや引け目を感じてしまうことがあります。

しかし、就職活動の進捗は人それぞれであり、内定を得る時期も異なります。他人と比較することなく、自分のペースで進めることが重要です。自分の強みや個性を理解し、自信を持って就職活動に取り組むことが、最終的に納得のいく結果に繋がるはずです。

選考で落とされて自信を失う・内定がもらえない

就職活動では、書類選考や面接など、様々な選考を受ける中で、どうしても不合格となることがあります。その結果が続くと「自分はダメなんじゃないか」と自信を失ってしまうことがあります。

しかし、選考の結果はあなたの人間性や能力の全てを否定するものではないということを忘れないでください。企業との相性や、その時の企業のニーズなど、様々な要因が考えられます。

大切なのは、結果を真摯に受け止めつつも、自己肯定感を失わないことです。不合格だった原因を分析し、次のステップに活かすように意識しましょう。

就活中の失敗が辛い

面接で上手く話せなかった、エントリーシートがなかなか通らないなど、就職活動中には様々な失敗を経験することがあります。そうした失敗体験が積み重なると、「もうダメかもしれない」と深く落ち込んでしまうことがあります。

しかし、失敗は成長の糧となるものです。なぜ失敗してしまったのかを分析し、具体的な改善策を立てることが重要です。過去の失敗から学び、次の挑戦に活かすことで、必ず道は開けます。

面接への緊張がストレスになる

学生のなかには面接に対する緊張などが原因となり、就活鬱につながることもあります。また圧迫面接で辛い思いをしたために、面接に対して拒否感を覚える学生もいるでしょう。

多忙で疲れ果てている

説明会への参加、エントリーシートの作成、筆記試験対策、面接練習など、就職活動は同時並行で進めることが多く、心身ともに疲弊してしまうことがあります。学業だけでなく、中にはサークル・部活動やアルバイトと並行して就活をしている方もいるかもしれません。

睡眠不足や不規則な生活は、精神的な不安定さを招く原因にもなります。効率的に就職活動を進めるためには、休息も重要な要素です。意識的に休息時間を取り、バランスの取れた食事、適度な運動などを心がけ、心身の健康を維持することが大切です。

就活うつになりやすい学生の特徴

続いては、どういった人が就活鬱になりやすいのかを解説します。

完璧主義

完璧主義な人は就活鬱になりやすい傾向にあります。企業研究やES(エントリーシート)・履歴書の作成、面接対策などを完璧にしようとしても終わりが見えず、就活を進めることに疲れてしまうことも珍しくありません。

また、完璧に準備をしたにもかかわらず、選考で不採用となると完璧な自分が否定されたかのように思い、就活鬱になることもあります。

自己肯定感の低さ

自己肯定感が低い人も就活鬱になることがあります。自己肯定感が低い人というのは、これまでにあまり誉められた経験がなかったり、「自分はダメな人間だ」と思い込んでいたりする人のことです。

自己肯定感が低いと、就活に対してもネガティブに捉えてしまい、就活鬱になってしまうこともあります。

挫折経験が少ない

これまで挫折した経験が少ない人も、就活でうつ病を患う可能性があります。というのも、今まで高く評価されてきた人や、大きな挫折を味わったことがない人が就活で失敗すると、深く傷ついてしまう可能性があるためです。

就活うつの対処法

原因は人によって異なりますが、就活鬱になってしまったときはここで紹介する対処法を試してみてください。

適度な運動と健康的な生活習慣

うつ病は心の病ですが、健康的な生活習慣を意識することで改善する可能性があります。例えば、昼夜逆転の生活をしている人は、夜24時までに寝るようにしたり、食事に偏りがあるひとは栄養バランスを考えて1日3回バランスの良い食事をとったりしてみましょう。

また、ストレスの発散には適度な運動も有効だと言われているので、ジョギングなど疲れすぎない程度に体を動かしてみてください。

休息や趣味の時間を設ける

就活に疲れてうつ病になった場合は、思い切って休んでみるのも一つの手です。就活をおこなう期間は人それぞれ異なりますが、長い人で1年以上かかる場合もあるため、疲れた時は休息を取りましょう。

また、就活のことばかり考えていると気持ちが落ち込んでしまうこともあるため、適度に趣味の時間を設けて頭をすっきりさせるのもおすすめです。

就活うつを相談する

就活に対して前向きな気持ちになれない場合、周りの人を頼ってみても良いでしょう。就活は自分で進めるものですが、友人や家族に相談することで気持ちが軽くなったり、重く考えていたことが大したことのないものだと感じられたりするかもしれません。

友達や家族と話す
キャリアセンターから適切なサポートを受ける
心療内科やメンタルクリニック(精神科)へ相談する

また、就活鬱の相談先を上記にまとめましたが、うつ病の症状が重たい場合は心療内科などに相談してみましょう。うつ病も病気の一つなので、専門家の力を借りて回復を目指してみてください。

自分のペースで就活を再開する

就活鬱になってしまったときは、焦って就活を進める必要はありません。周りが内定を獲得したり、就活を進めたりしていても、自分のペースで進めることが大切です。

また、どうしても疲れてしまった場合は一度就活から離れて、リフレッシュするのもおすすめです。ただ、何週間も離れると休み癖がつく可能性もあるので、「3日間は就活のことを考えない」など、期間を決めて休みをとりましょう。

目標設定と時間管理

漠然と就活を進めているために、就活に対して嫌気が差している人は、目標設定と時間管理を徹底してみましょう。自分だけの就活の目標を決め、いつまでに達成するのか期限を決めることで、前向きに取り組むことができます。

じっくり進めたい人は休みを考慮したり、短期集中したい人は選考を受ける企業の数を絞ったりと、具体的に決めていくことでストレスを感じにくくなるかもしれません。

就活のやり方を変えてみる

これまでの就活は学生から企業にエントリーするのが一般的でしたが、昨今は企業から学生にアプローチする逆求人サイトもあります。

キミスカも逆求人型のサービスを展開しており、登録した学生のなかから気になった人に対して、企業からスカウトの連絡が届きます。

今までの就活でうまくいかなった人も、きちんと自分のことを評価してくれる企業と出会えるチャンスなので、就活で悩んでいる人はぜひ活用してみてください。

就活うつが辛い時は無理せず周りに相談しよう

就活を進めていると、友人が先に内定を獲得していたり、自分は不採用ばかりになったりすることも珍しくありません。たしかに就活には正解がありませんが、だからこそ自分らしく進めることが大切です。

もし就活鬱になってしまった場合は、思い切って休んだり趣味に没頭したりしても問題ありません。就活に疲れた学生や立ち止まってしまっている学生は、ぜひ無理をせず自分のペースで後悔のない選択をしてください。