適性検査の一つ「SPI」は、多くの学生が受検するテストです。中学・高校レベルの問題が出されますが、テストセンターやWEBテスティングといったテスト形式別に対策することで、正答率と回答率を高められます。
今回はSPIの基本情報をはじめ、実際に出される問題の例やテスト通過のコツ、合格のボーダーラインについて解説します。
SPIテストって、そもそも何?
就活を進める中で初めて見聞きする学生も多いSPI。書類選考を通過してから面接を受けるまでに実施されることの多い適性検査の一つです。適性検査はSPI以外にもあり、玉手箱やTG-WEBといった種類があるほか、独自の適性検査を実施する企業もあります。
そして、SPIのテストは受検者の学力や人間性を知るために、「能力検査」と「性格検査」が実施されることも把握しておきましょう。
【SPIテストの内容1】能力検査
SPIの能力検査は、受検者の持つ知的能力を測定するためのテストです。就活生の多くは国語力を問う「言語分野」と、数学力を問う「非言語分野」の2つを受けることになるでしょう。
言語分野のテストでは、言葉の意味や話の内容を捉えて理解できるかどうかが測定され、語彙や文章読解などの問題が頻出です。一方の非言語分野のテストでは、数的な処理や論露的思考力などが測定されるため、計算問題や文章問題が出題されます。
このほかにも、能力検査では「英語」や「構造的把握力」の検査が実施されることがあるので注意が必要です。総合商社やコンサルティングファーム、広告業界、外資系企業などの業界・企業によって、英語や構造的把握力の検査が実施されるケースもあるため事前に確認しておきましょう。
【SPIテストの内容2】性格検査
300問近い設問を通じて、受検者の内面を分析するのが性格検査です。回答結果から、人との接し方や仕事に取り組む姿勢、ストレス耐性などが分かるので、企業は入社後の部署選びや自社とのマッチ度合いを判断するための参考にしています。
また、性格検査の結果を見ながら面接を行い、実際に話した印象とテスト結果に相違がないか確かめる企業も少なくありません。
性格検査はミスマッチを防いだり、自社が求める人材を採用したりするために役立つ検査です。しかし、回答で嘘をついたり考えすぎたりすると、検査結果で「虚偽の回答をしている」と判定されかねません。性格検査は自分らしく回答することが重要なので、あまり悩まず直感的に答えるよう心がけましょう。
SPIテストで出題される問題とは?
SPIのテストでは、具体的にどのような問題が出題されるのでしょうか。言語分野・非言語分野・英語・構造的把握力それぞれの例題を1問ずつピックアップしました。
テスト対策には問題集などがおすすめですが、腕試しに挑戦してみてください。
【言語分野の例題】文中の空欄に入る最も適切なものを選びなさい。
[ ]を呑んで見守る。
A. 苦虫
B. 眉唾
C. 言葉
D. 良薬
E. 固唾
<解答・解説>答え:E
固唾を呑んで(ことの成り行きが気になって、緊張して見守っていること)見守るが正解。苦虫をかみつぶしたよう(不快そうな顔つき)、眉唾もの(本当か嘘か定かでないもの)も慣用表現。
引用:【SPI 空欄補充|言語】練習問題から対策方法まで一挙公開!問題1-2(空欄補充)https://spi.careermine.jp/gengo/filling-in-blanks-ja/g_question_japanese_blanks_2
言語分野で頻出の問題は以下の通りです。
・二語関係
・語句の意味
・語句・語句の用法
・文章整序
・空欄補充
・長文読解
出題形式に慣れれば素早く回答できるものが多いため、語彙力など身につけ高得点を狙いましょう。
【非言語分野の例題】PQRSの4人チームで毎年恒例のサッカーの総当たり戦が行われた。順位に関して次のことが分かっている。なお、同じ順位のチームはない。
- Pは昨年より順位が3つ下だった。
- Qは今年と昨年で順位が変わらなかった。
- Rは今年2位であった。
今年の順位を左が上位として並べたとき、ただしいものを選べ。
- SRPQ
- SRQP
- PRSQ
- RPQS
<解答・解説>答え:B.SRQP
Ⅰ、Ⅲより、昨年P〇〇〇 今年〇R〇P
これとⅡより、昨年P〇Q〇 今年〇RQP
よって、今年はSRQP
引用:【SPI 推論|非言語(数学)】練習問題から対策方法まで一挙公開!https://spi.careermine.jp/higengo/inference
非言語分野では、以下が頻出の問題です。
・割合
・場合の数
・確率
・推論
・集合
・金額計算
・分担計算
・速度算
・表の読み取り
いずれも中学・高校レベルの問題ですが、解き方を忘れている学生も少なくありません。公式や考え方などは復習し、苦手な問題は克服しておきましょう。
【英語の例題】次の単語と最も意味が近い語を,AからEまでの中から一つ選びなさい。
formal
A. earnest
B. primary
C. official
D. equal
E. stable
<解答・解説>答え:C
formal:公式の
A. earnest:熱心な
B. primary:第一の
C. official:公式の
D. equal:等しい
E. stable:安定した
引用:【SPI 同意語|英語】練習問題から対策方法まで一挙公開!https://spi.careermine.jp/eigo/synonym
言語分野と同様に、英語でも語彙力や読解力が問われています。SPIで英語のテストを受ける場合は、以下の分野を中心に対策しておきましょう。
・同意語
・反意語
・単語の意味
・空欄補充
・整序問題
・誤文訂正
・英訳
・長文読解
【構造的把握力の例題】
つぎのア〜オを、各問題の指示に従ってP(2つ)とQ(3つ)の2グループに分けるとする。ア〜オの会話を、Xに対するYの応じ方によって、P(2つ)とQ(3つ)の2グループに分けるとする。
ア. X「私はRキャンプ場が好き。屋根付きのバーベキュー場があるから。」
Y「じゃあ、おいしいレストランがあるキャンプ場ではだめかしら。」
イ. X「私はSキャンプ場に行ってみたい。去年オープンしたばかりだから。」
Y「じゃあ、昔からあるキャンプ場ではだめかしら。」
ウ. X「私はTキャンプ場に毎年行ってるの。川遊びができる場所があるから。」
Y「じゃあ、川がないキャンプ場ではだめかしら。」
エ. X「私はUキャンプ場がいいわ。夜、カブトムシとクワガタがくる木があるから。」
Y「じゃあ、ホタルがいるキャンプ場ではだめかしら。」
オ. X「私はVキャンプ場に行きたい。富士山が見えるところにテントを張りたいから。」
Y「じゃあ、南アルプスが見えるキャンプ場ではだめかしら。」
このとき、Pに分類されるものはどれとどれか。A~Jの中からあてはまるものを1つ選びなさい。
A. アとイ
B. アとウ
C. アとエ
D. アとオ
E. イとウ
F. イとエ
G. イとオ
H. ウとエ
I. ウとオ
エとオ
<解答・解説>答え:E.イとウ
ア〜オの会話では、Xが好むキャンプ場に「似ている特徴を持つ」ものをYが提案している場合、そしてXの好みとは「正反対の特徴を持つ」ものをYが提案している場合の2通りの分類が存在しています。
前者に該当するものはア、エ、オ、と3つあるので、これらはグループQに分類されることが分かります。
後者に該当するのはイとウの2つであるため、これらが分類されるグループはPであり、正答は「E.イとウ」となります。
引用:【SPI構造的把握力検査とは?】出題パターンから対策法まで徹底解説!https://spi.careermine.jp/articles/structura-grasp
テストセンターでのみ採用されている構造的把握力検査。言語・非言語の2パターンがありますが、いずれも文章をグループ分けする問題が出されます。時間をかければ解ける問題が多くありますが、20問を20分で解くことになるため、徹底した対策が必要です。
SPIテスト形式別の対策法
SPIのテスト対策で悩んでいる方は、形式別に対策を講じてみてはいかがでしょう。一口にSPIと言っても、テストセンターやインハウスCBTなど指定された場所で受検する形式があるほか、自宅や大学のPCから受検する形式もあります。
また、ペーパーテストのようにマークシートに回答していく場合もあるので、事前に把握しておけばテスト時に慌てることもないでしょう。ここからは、テスト形式別の対策方法を紹介します。
【SPIのテスト形式1】ペーパーテスト対策
4種類あるSPI形式の中で、唯一筆記で臨むことになるのがペーパーテストです。企業から指定された会場へと出向き、テストではマークシートに回答を記載します。他のSPIテストとは異なり、ペーパーテストは問題の全体を確認できるのが特徴的です。能力検査の制限時間は約70分ありますが、問題数が多いのでテスト開始後に全体をチェックして時間配分を設定しましょう。
苦手な問題や回答に時間のかかりそうな問題は後回しにし、解ける問題から取り掛かるのがおすすめです。また、WEB形式のテストよりも結果が出るまでに時間がかかることも把握しておきましょう。
- マークシートでの回答に慣れておく
- 電卓NGなので、非言語の計算は素早く正確に
- 持ち物(受検票、鉛筆、消しゴムなど)
- 制限時間(能力検査は約70分、性格検査は約35分)
【SPIのテスト形式2】テストセンター対策
リクルート社の提供会場へ出向き、会場に用意されたPCを使って受検するのがテストセンター形式です。他のテスト形式に比べて受検者の数が多いため、特に対策の必要があるテスト形式と言えるでしょう。
能力検査を受検するには、事前に自宅や大学などのPCから性格検査を受ける必要があります。性格検査を終えてから、能力検査の日程や会場の予約が可能となります。テストセンターでは1問ごとに制限時間が設けられているほか、正答率が高くなるほどに問題が難しくなっていくので苦手分野の克服が肝心です。また、企業によっては英語や構造的把握力の検査を実施する場合もあるため、志望企業の適性検査についてはテスト内容を十分に確認しておきましょう。
- 事前に性格検査を受検しておく
- 1問あたりの時間配分を意識して回答する
- 持ち物(受検票、身分証など)
- 制限時間(能力検査は約35分、性格検査は約30分)
【SPIのテスト形式3】インハウスCBT対策
企業が指定する会場へ向かい、用意されているPCを使って回答していく形式がインハウスCBTです。インハウスCBTは会場や機器などの用意に手間と時間がかかるため、実施する企業はそれほど多くありません。テスト内容は次に紹介するWEBテスティング形式と同じですが、インハウスCBTではSPIのテストが終わってからそのまま面接を行う場合もあります。SPIばかりに意識を取られ、面接対策がおろそかにならないよう注意しましょう。
なお、インハウスCBTは選択式よりも入力式での回答が必要な場合も多くあります。電卓の使用が認められているので、計算時には積極的に活用して時間短縮を図りましょう。
- 電卓を使った計算を練習しておく
- 入力での回答に慣れておく
- 1問あたりの時間配分を意識して回答する
- 持ち物(電卓、身分証など)
- 制限時間(能力検査は約35分、性格検査は約30分)
【SPIのテスト形式4】WEBテスティング対策
他のテスト形式よりも受検しやすいのがWEBテスティングです。指定された期間内であれば、受検者は自宅や学校のPCからいつでも受検できます。受験の予約を行ったり会場まで足を運んだりする必要もないため、受検者と企業の双方にとって負担の小さいテスト形式と言えるでしょう。
就活生の中には「替え玉受検ができるのでは?」と考える人もいますが、絶対にしてはいけません。仮に適性検査を通過したとしても、不正が発覚してしまうと企業からの信頼を失ってしまいます。就活は自分の魅力を企業に伝えることが大切です。性格検査だけでなく、面接でも自分らしい返答を意識してください。
- 電卓を使った計算を練習しておく
- 入力での回答に慣れておく
- 1問あたりの時間配分を意識して回答する
- 制限時間(能力検査は約35分、性格検査は約30分)
SPIテストのボーダーラインは?
学生の中には「SPIのテストって、何点取ればいいの?」と疑問に思う方もいるでしょう。SPIのテストは正答率7割がボーダーラインと言われていますが、これは正確ではありません。企業ごとにテスト通過の合格ラインを定めており、回答率・正答率で判断したり全体の偏差値で判断したりとさまざまです。また、SPIテストのボーダーラインを公表していないため、先輩や口コミサイトの内容などは参考程度に留めておきましょう。
ペーパーテスティングの場合は出題範囲が広く問題数が多いため、7〜8割ほどは正解しておく必要があります。また、日本銀行や外資系戦略コンサルといった大手企業では、足切りのためにボーダーラインを高く設定している可能性があることも把握しておきましょう。
SPIテストは勉強しておけば難しくない
SPIテストは、対策しているかどうかが正答率・回答率に関わってきます。問題数が多かったり設問ごとに時間制限があったりしますが、素早く解凍できるよう十分に対策を講じておきましょう。
また、性格検査への回答は自分のことを客観的に見ることが大切です。自己分析を通じて自分への理解を深めておくと良いでしょう。キミスカの自己分析ツール「適性検査」は完全無料で利用できます。まだ自己分析が済んでいない方や、分析結果に納得できていない方は、ぜひ試してみてください。