適性検査の内容を種類別に解説!試験内容・特徴・対策法とは?

就活の選考を進める中で、多くの学生が悩むこととなる適性検査。これは、選考を受ける学生が持っている能力や特性を把握するための試験です。ただ、問題はそれほど難解なものではなく、中学・高校レベルの問題も多いため、「勉強しなくてもいけるのでは?」と思う方もいるでしょう。

しかし、適性検査の内容はSPIや玉手箱などの種類ごとに難易度や出題傾向が異なるので、十分に対策しておく必要があります。今回は、適性検査の内容を種類別に解説し、試験内容や対策方法をご紹介します。

適性検査とは?検査の主な内容は2つに分けられる

適性検査とは、受検者の基本的な能力や個性などを知るために実施される試験のことです。具体的な試験内容は、言語力や計算力などの基礎学力・社会常識などを測る「能力検査」と、受検者の価値観や考え方を測る「性格検査」に分かれます。能力検査と性格検査の両方を実施するケースがほとんどですが、企業が採用している適性検査の種類によっては、どちらかの一方のみ検査を行う場合があることも把握しておきましょう。

また、企業が適性検査を行っている理由としては、以下のポイントが挙げられます。

・就活生の客観的な評価を行うため
・就活生が持つ能力や性格を把握するため
・企業と就活生のミスマッチを防ぐため
・配属部署を決める際の参考にするため

選考の中で同様の試験を課すことで、企業側は自社が求める人物像に近い学生を見つけ出せます。応募者の多い大手企業などでは、足切りのために適性検査を実施することもあるため、受検前には十分な対策が必要なのです。

【適性検査の内容1】能力検査とは

適性検査で行われる能力検査では、受検者の学力を測るための問題が出されます。主な試験科目は3つあり、国語系の「言語分野」数学系の「非言語分野」、そして「英語」です。英語に関しては能力検査で必ず試験されるわけではなく、総合商社のように国内外で事業展開しているグローバル企業などで実施される傾向にあります。

また、適性検査は「SPI」や「玉手箱」などさまざまな種類があり、それぞれで難易度や出題傾向が異なるため事前の対策が選考通過の鍵となるでしょう。

【適性検査の内容2】性格検査

受検者の学力を測定する能力検査に対し、個人のパーソナリティを把握するために実施されるのが性格検査です。パーソナリティというのは人の個性や人柄を意味しており、性格検査では以下に挙げたものが分析できると言われています。

・組織や業務への適性
・仕事や物事に取り組む姿勢
・物事の捉え方や価値観
・受検者の目標設定の仕方

このように、どういった資質があるのか、価値観やストレス耐性など、内面の特徴や行動特性を測定できます。性格検査の設問は「はい・いいえ」の2択で答えるものや、「Aに近い・どちらかといえばAに近い・どちらかといえばBに近い・Bに近い」のように、自身の価値観に合致するものを選択するものなどが中心です。性格検査には正解がありませんが、企業とのミスマッチを防ぐためにも正直に回答することをおすすめします。

適性検査の試験内容は検査の種類ごとに異なる!

適性検査と聞くと「SPI」を一番に思い浮かべるかもしれませんが、このほかにも20種類以上あることをご存知でしょうか。SPIをはじめ、玉手箱やTG-WEBといった検査ツールは、それぞれ問題の傾向や出題形式、難易度が異なるため注意が必要です。

ここでは、数ある検査ツールの中でも特に実施される可能性が高い適性検査を5つご紹介します。限られた時間の中で適性検査対策を効果的に行うためにも、志望企業で導入されている検査の種類を確認しておきましょう。

【適性検査の種類・内容1】SPIの場合

「Synthetic Personality Inventory」の略称であるSPIは幅広い業界で採用されており、能力検査と性格検査が実施される適性検査です。問題の難易度は中学・高校レベルと言われており、それほど難しいものではありません。しかし、SPIの問題に慣れていないと、時間内に全て回答できなかったり、正答率が低くなったりする可能性があります。

なお、能力検査では英語が実施されることもあるので、志望企業の情報は詳しくチェックしておきましょう。SPI対策のやり方については、こちらの記事を参考にしてみてください。

SPIとは?テスト内容や対策すべきポイントを例題つきで徹底解説

【適性検査の種類・内容2】玉手箱の場合

SPIよりも難易度が高いと言われているのが玉手箱です。こちらも能力検査と性格検査が行われますが、設問ごとに制限時間が設けられているので、受検者は素早く回答していく必要があります。

回答数と正答率が見られていますが、問題数が多いので全て解くことはほぼ不可能です。同じような問題が出題される傾向にあるため、問題集などを使って対策しておきましょう。

【適性検査の種類・内容3】CABの場合

受検生の論理的思考力を検査するために実施されるのが、「Computer Aptitude Battery」を略したCAB(キャブ)です。

以前はIT系の企業で多く導入されていましたが、近年は幅広い業種で実施されるようになりました。CABでは、コンピューター関連の仕事に求められる基礎能力をはじめ、プログラマーとしての素養やシステムデザインへの適性などが見られています。

【適性検査の種類・内容4】GABの場合

新卒採用の中でも総合職向けに開発されたのが「Graduate Aptitude Battery」、通称GAB(ギャブ)です。CABと同じ会社が開発に携わっており、こちらも論理的思考力を問う問題が多く出る傾向にあります。

知的能力をはじめ、パーソナリティやチームワーク、バイタリティなど、社会人に求められる特性を測定することが可能です。比較的簡単な問題が出るSPIや玉手箱とは違い、長文読解などが多いために出題形式や解き方に慣れておく必要があります。

【適性検査の種類・内容5】TG-WEBの場合

実施企業はそれほど多くありませんが、数ある適性検査の中でも特に難しいと言われているのがTG-WEBです。設問の数が多いい方で制限時間が短く、ほかの検査では出ないような問題が出題されるため、対策をせずに選考を通過するのは難しいでしょう。

また、問題形式が「従来(旧)型」「新型」に分かれているため、志望企業でどちらが実施されるのかを事前に把握しておくことも肝心です。性格検査の内容も特徴的で、企業は自社が求める人物像に合わせて出題内容を変えられますが、受検する際は自分らしい回答を心がけましょう。

適性検査で気をつけたい受検方式の内容とは

適性検査の種類ごとに対策を講じる必要がありますが、意外と見落としがちな受検方式についても確認しておきましょう。検査を受ける場所や回答の内容について、以下の表にまとめました。

受験方式 内容
WEBテスティング 自宅または学校などからPCを使って受検できる。指定された期間内であれば、受検者は都合の良い時に受けられる。
ペーパーテスト 企業が指定した場所で受検する。マークシート形式が多いが、作文など筆記試験を行う企業もある。
テストセンター 事前に受検日時を予約し、企業指定の場所で受検する。出題・回答は会場のPCを使用する。
インハウス 企業から指定された場所で受検する。出題・回答は会場のPCで行うが、検査が終わってから面接を実施する企業もある。

例えば、適性検査の種類がSPIであっても、パソコンとマークシートのどちらで回答するのかで、正答率や回答数に違いが出ることも少なくありません。そのため、自分が受ける検査の種類が分かったら、受検方式についても確認し、事前に慣れておくことが大切です。

適性検査の試験内容で良い結果を残すコツ

適性検査の種類は数多くありますが、実際に試験対策を進めるうえで何をすれば良いのでしょうか。ここでは、試験の結果で良い成績を残すためのコツをご紹介します。

【適性検査で良い結果を残すコツ1】対策の優先順位をつける

適性検査の種類によって必要な対策が異なるので、就活中の限られた時間を有効活用するためにも、まずは優先順位をつけましょう。例えば、以下のような観点から優先順位をつけていくのがおすすめです。

・志望度の高い企業の適性検査から対策していく
・選考を受ける企業の中で多く採用されている適性検査から対策する 等

いざ適性検査を受ける時に焦ることがないよう、事前によく対策しておきましょう。

【適性検査で良い結果を残すコツ2】過去問で慣れておく

適性検査の問題集は本屋さんで販売されているので、自分の就活に必要なものを選び、何度も繰り返し解いて対策しておきましょう。また、正答率を上げるために消去法を活用するのもおすすめです。適性検査の過去問はこちらの記事で詳しく解説しています。問題集を購入する際の参考にしてみてください。

SPI問題集おすすめ6選!書籍の選び方やおすすめアプリも紹介

【適性検査で良い結果を残すコツ3】時間配分を決めておく

適性検査の種類や受検方式などによって違いがありますが、適性検査には制限時間が設けられていると考えておきましょう。問題全体を通して一律40分と定められている場合があるほか、1問ずつ制限時間があるケースも珍しくありません。過去問で対策する際は、「1問1分で回答していく」など、設問ごとの時間配分を決めて練習してみてください。

【適性検査で良い結果を残すコツ4】性格検査は正直に回答する

事前の対策が可能な能力検査に対して、性格検査には正解がないため対策する方法がありません。ただ、企業ごとに求める人物像が異なるので、自分に偽らずに回答することが大切です。

というのも、本音を隠したまま適性検査に答えていくと、企業側に嘘がバレたりするほか、もし入社できたとしてもミスマッチに気づいて早期退職につながったりするかもしれないためです。自分の個性や価値観を知りたい方は、キミスカの「タイプ別適職検査」を試してみてください。無料で利用でき、自己分析を行う際にも役立てられます。

キミスカ適性検査の受け方と結果の見方!自己分析ツールの使い方を解説

適性検査の試験内容「言語分野」の対策方法

適性検査の能力検査で実施されることの多い言語分野。問題の傾向に慣れるには問題集がおすすめですが、基本的なポイントを押さえておくことで効率良く勉強することができます。

【適性検査「言語分野」の対策内容1】語彙力を鍛える

国語力が問われる言語分野では、語彙力があるかどうかで回答の速さと正答率が大きく変わります。語彙力を鍛えるには、本や新聞、雑誌といった文字情報に多く触れることが大切です。分からない言葉・語句があればその都度調べ、少しずつ語彙力を高めていきましょう。

言語分野では、語句の用法や二語の関係を問う問題がよく出るため、語彙力を鍛えることで基本的な問題は難なく回答できます。

【適性検査「言語分野」の対策内容2】文法を覚える

日本語の文法を普段から気にしている人は多くないかもしれません。しかし、言語分野では、助詞や助動詞に関する設問も多く出るため、時間のあるうちに覚えておきましょう。

文法
助詞 が・の・を・に・へ・で・から・より・ば・ので・けれど・が・て・も・こそ・さえ
助動詞 れる・られる・せる・させる・たい・たがる・ぬ・う・よう・ます・らしい・ようだ

例えば、助詞は「私は大学生です」の文中にある「は」を指しており、語句と語句の関係を示したり、述べていることに一定の意味を持たせたりするために使われます。

また、助動詞は「よく見えない」の文中にある「ない」のように、動詞などの語句に付属して打ち消しや過去といった意味を添えるために使われます。助詞は文中、助動詞は文末で使われることが多いため、それぞれの違いを覚えておきましょう。

【適性検査「言語分野」の対策内容3】読解力をつける

読解力とは、「文章を読んで理解する能力」のこと。言語分野で長文読解の問題が出されることもあり、文章から登場人物の心情や筆者の考えを読み取って回答しなければなりません。

読解力を養うには新聞のコラムや社説などを読み、何が書いてあるかを考えましょう。その際に、書いてあることを要約する訓練をすれば、さらに読解力を鍛えられるでしょう。

適性検査の試験内容「非言語分野」の対策方法

続いて、数学的な力を測る非言語分野の対策方法を見ていきましょう。

【適性検査「非言語分野」の対策内容1】計算式を復習しておく

非言語分野で必要となる計算式は以下の通りです。

計算式 内容
四則演算 足し算、引き算、掛け算、割り算
累乗計算 同じ数を何度もかけ合わせる計算
比率や割合などを求める計算
一次方程式 「x=3」のように解が1つの方程式
二次方程式 「𝑥=0,4」のように解が2つの方程式
連立方程式 複数の式を使い複数の値を求める方程式
分数 「1/4」のように整数を0でない整数で割った形で表した数
不等式 左辺と右辺の値の大小関係を示す不等号「>」「<」などを使った式
グラフ 関係する二つ以上の数量を図に描いたものを読み解く

なんとなく覚えているものの、実際の問題を目にすると解き方を忘れている計算式もあるでしょう。いずれも中学・高校で勉強したものですが、油断せずに復習しておくことが非言語分野の突破に必要です。

【適性検査「非言語分野」の対策内容2】計算の速さ・正確さを意識

非言語分野の問題は、計算ミスが致命的なものとなります。また1問あたりにかけられる時間も限られているため、素早く正確に回答していくようにしましょう。回答の素早さを上げるためには、計算式を覚えたうえで非言語の問題に慣れておくことが近道です。

また、効率良く勉強するためにも、問題集で得意分野と苦手な分野を把握し、苦手分野の克服を重点的に行いましょう。

【適性検査「非言語分野」の対策内容3】頻出問題を中心に対策

適性検査の種類ごとに出題頻度の高い問題が異なります。例えば、SPIなら順列や組み合わせ、料金問題、推論などがよく出題される傾向にあります。初見では解くことが難しい問題も、事前に解き方を知っているだけで回答時間を短縮できるため、非言語分野の勉強を行う際は、受検する適性検査の種類を確認してから対策していきましょう。

適性検査の内容を把握して本番に備えよう!

適性検査はさまざまな種類があるため、周りに流されて勉強していては、内定獲得が遠のいてしまうかもしれません。自分の夢や目標に近づくためにも、適性検査の対策はしっかり行っておきましょう。

志望企業でどの適性検査が実施されるかは、OB・OG訪問や企業説明会、新卒採用の応募概要、口コミサイトなどから確認できます。また、業界や業種によって導入される適性検査の傾向に偏りがあるため、自分のやりたい仕事を考えておくことも効率的な勉強に関わることもあるでしょう。ぜひここで紹介した内容を参考に、適性検査の対策を進めてみてください。