面接対策のために頻出の質問に対する回答を準備しておく学生は少なくないでしょう。また、学生の中には面接後に「あの質問って、どう答えればよかったんだろう」と悩む方も少なくありません。
今回は面接でよく質問される「長所・短所」について解説します。それぞれの一覧表をはじめ、回答例や伝え方、注意点、自分で見つける方法も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
面接で使える「長所・短所」の一覧と言い換え例
面接で答える「長所・短所」の例文を読む前に、具体的にどういったものが長所・短所なのかを見てみましょう。
長所と短所は表裏一体なので、以下の表に記載した「我が強い(短所)・リーダーシップ(長所)」ように、それぞれ言い換えることができます。
【よくある長所・短所の言い換え】
長所 | 短所 |
忍耐力がある | 諦めが悪い |
好奇心旺盛 | 飽きっぽい |
責任感 | 抱え込みやすい |
リーダーシップがある 信念を持っている |
我が強い |
常に周到に準備する 物事に慎重に取り組む |
緊張しやすい |
調整力がある | 仕切りたがり |
集中力がある 探究心が強い |
視野が狭い |
几帳面 | 神経質 |
計画性がある 責任感が強い 物事を慎重に進める |
心配性 |
行動力がある 物事への対応が早い |
せっかち |
コミュニケーション力がある | 世話焼き |
協調性がある | 流されやすい |
観察力がある | 人見知り |
努力家 | 没頭しやすい |
人の意見に流されない 落ち着いて行動できる |
マイペース |
危機管理能力がある | マイナス思考 |
向上心が強い 目標に向かって努力できる |
負けず嫌い |
常に効率を考えて行動できる 無駄を省くことが得意 |
面倒くさがり |
柔軟性がある 周囲に配慮ができる |
優柔不断 |
論理的 | 理屈っぽい |
長所・短所の見つけ方は後半で紹介しますが、長所・短所のいずれかが分かっていれば、言い換えることで一貫性のある回答が可能です。
面接で長所と短所を聞かれた時の回答【例文付き】
面接官からの質問で「あなたの長所と短所を教えてください」と言われる場合もあれば、「長所を教えてください」「短所を教えてください」のように、いずれか一方を聞かれる可能性もあります。
それぞれのパターンでどのように答えれば良いのか、例文を見ていきましょう。
【面接「長所」の回答例】リーダーシップがある
私の長所は、的確な目標設定ができるリーダーシップがあることです。私が所属しているハンドボール部は試合での勝率が低く、大会ではいつも予選で敗退していました。そこで、私は監督と協力してチームメイト一人一人の強みと弱みを洗い出し、個別の練習メニューを作成しました。その結果、練習試合での勝率が高まり、大会でも初の予選通過を達成しました。このように、私にはチームに必要なものを俯瞰的に把握し、目標達成へと導く能力があります。御社でもこの長所を活かして、個人の成績だけでなくチームでの結果を残せるように尽力していきたいと考えています。
【面接「短所」の回答例】優柔不断
私の短所は優柔不断なところです。買い物に行った時は商品選びに時間がかかることも多く、大学のゼミの活動で決断を迫られた際もなかなか意思決定ができませんでした。この性格を直すためには、事前の情報収集が肝心だと考えています。買い物では欲しい商品の情報をまとめ、決断を迫られる状況でも全体の意見や先のことを考慮することで、以前よりも早く決められるようになりました。私は物事に対して慎重に考えて行動しますが、御社に入社した際はこの性格を生かしながらも丁寧かつスピード感を持って仕事に臨む自信があります。
【面接「長所と短所」の回答例】計画性がある・心配性
私の長所は、計画性があることです。明確なゴールを設定したうえで、必要なことを洗い出して順序立てて物事に取り組むことができます。現在、塾講師のアルバイトをしているのですが、「志望校合格」「苦手科目の克服」など生徒の目標をヒアリングし、生徒ごとに指導方法を変えました。そして、勉強の習熟度や進捗率を確認しながら進めることで、担当している全生徒10名の目標を達成することができました。御社でも目標に向けた戦略を立て、確実に業績を上げられると考えています。
短所については、心配性なことが挙げられます。アルバイトでは様々な選択肢やリスクを考慮してから、行動に移す傾向がありました。しかし、「勉強方法の変更」や「目標の再設定」など、より早い対応が必要だった場面もあったと反省しています。現在は状況に応じて素早く行動すること、リスクへの対策を整えることのバランスを取るように心がけています。
面接官が長所と短所で確認していること
面接官の印象に残る長所と短所を伝えるためにも、企業側がどういったポイントを確認しているのかを把握しておきましょう。
また、ES(エントリーシート)や面接で尋ねられることの多い「強み」や「自己PR」は、企業側に採用メリットがあるかどうか、再現性のある強みを持っているかなどが見られています。強みとの違いについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
【面接の長所・短所で見ていること1】客観視できているか
企業が長所・短所を聞く理由の一つに、「自分のことを客観的に見ているのかどうかを知りたい」という意図があります。自分の長所と短所を客観的に理解できている人は、長所を伸ばしながらも弱点を克服する努力ができる人材と判断できます。そのため、面接時の質疑応答では長所だけでなく、課題点も把握していることをアピールしましょう。新卒採用は学生の将来性も見られているため、長所・短所の回答では入社後も努力を怠らない人間であることを伝えてみてください。
【面接の長所・短所で見ていること2】自社にマッチする人材か
どれだけ優秀な学生であったとしても、「自社の社風と合わない」と判断されれば、採用されない可能性があります。入社後にミスマッチだと気づいて早期退職するような結果を考えると、自社にマッチする人材かどうかは重要な視点です。
企業は面接での質問を通じて自社とのマッチ度合いを見極めています。長所・短所を聞かれた際は、企業が求める人物像を明確に捉え、自分の持つ長所・短所と近いものを伝えると効果的なアピールが可能です。
面接で長所と短所を伝える際のポイント
面接で長所と短所を尋ねられたら、結論から話し始めたり具体的なエピソードを盛り込んだりしましょう。このほか、短所を話す場合は改善点もセットで伝えるなど、就活生におすすめの伝え方を紹介します。
【面接「長所・短所」のポイント1】結論から伝える
長所・短所の回答をはじめ、ES(エントリーシート)や面接では結論から伝えるようにしましょう。特に、結論・理由・具体例・結論の順に話す「PREP法」は、説得力のある話し方が簡単にできるテクニックです。この記事で紹介した例文も、全てPREP法で紹介しているので、照らし合わせながら確認してみてください。また、PREP法は報連相やプレゼンなど社会人になってからも使えるので、今のうちに身につけておくと良いでしょう。
【面接「長所・短所」のポイント2】具体的なエピソードを話す
長所・短所を伝える際は、具体的なエピソードを盛り込むこともおすすめです。長所となる強みを養えたきっかけや、短所に気づけたエピソードなどを伝えれば、面接官はイメージしながら話を聞くことができます。
具体的なエピソードを盛り込むことで、あなただけの長所・短所を話すことができ、より説得力のある内容に仕上げられるでしょう。また、「大会で優勝」や「前年比20%増を達成した」など、具体的な数値と一緒にエピソードを話すのも効果的です。
【面接「長所・短所」のポイント3】短所は改善策も伝える
例文で紹介したように、長所は自分が会社に貢献できる強みを伝えられるため、話す内容のイメージがしやすいでしょう。一方、短所ついて話す時は「恥ずかしい」「あまり言いたくない」と思う学生もいるかもしれません。
しかし、面接官はあなたのことを知るために短所を聞いているため、短所だけでなく改善するために努力していることもアピールすることが大切です。短所と改善策を伝えることで、「自分を客観視できている」「改善しようと行動できる」といった印象を与えられるでしょう。
【面接「長所・短所」のポイント4】回答は1つに絞る
長所・短所の質問に対する回答は、話のポイントを絞ることが大切です。「自分の魅力をたくさんアピールしよう」と、長所・短所をいくつも挙げる学生もいますが、それでは情報量が多くなりすぎ、一番伝えたいことも上手く伝わりません。
面接官から「要点をまとめる力がないのでは?」「自分のことを客観的に見られていないのでは?」とネガティブな印象を持たれる可能性もあるでしょう。
長所や短所を伝える際は、それぞれ1つに絞ってあなたらしさを伝えてみてください。
面接で長所と短所を伝える時の注意点【NG例付き】
長所と短所は、自身の性格や能力について話せば問題ありません。しかし、選考においては学生のポテンシャルや考え方なども見られているため、避けた方がよい内容もあります。このほか、社会人として不適切な印象を与える話は避けた方が良いなど、長所・短所を話す際の注意点を確認しておきましょう。
【面接「長所・短所」の注意点1】仕事に関連しない話は避ける
面接官は学生の内面を見たいと考えていますが、志望企業の仕事や業務につながらない話は避けた方が良いでしょう。例えば、短所の話で「友人がほとんどいない」「家事ができない」といったプライベートな内容では、学生の人柄や個性を知ることはできません。
あくまでも選考であることを意識したうえで、ビジネスにつながる長所・短所を話すことが大切です。
【面接「長所・短所」の注意点2】イメージしやすい表現を心がける
「あなたの長所・短所を教えてください」と聞かれた際の返答は、できるだけイメージしやすい表現を心がけましょう。
例えば、「私の長所は、明るくて友達が多いことです」と話すだけでは働く姿が想像できず、自社に貢献してくれるかどうかを判断できません。上記例の場合、自分の明るさが周りに与えた影響や、どんな成果が得られたのかを伝えることが肝心です。
【面接「長所・短所」の注意点3】致命的な短所は避ける
長所と短所の回答の中でも、短所を伝える場合は特に注意が必要です。仮に「熱くなってしまうこと」を短所で伝えた場合、エピソードで「パチンコで10万円も浪費した」などを伝えてしまうと、相手にネガティブな印象を持たれてしまうとでしょう。
このほか、営業職を志望している一方で、短所で「人と話すことが苦手」など、ミスマッチにつながる話しは避けた方が無難です。
【面接「長所・短所」の注意点4】テンプレに頼りすぎるな!
長所・短所の例文や、効果的に伝える方法について解説しましたが、あまりにもテンプレートのような内容を話すのは危険です。
企業の採用担当者は、これまでに数多くの就活生を見ています。多くの学生はテンプレートの回答を用意していますが、当たり障りのない内容を伝えてしまい「上手くいかなかった」という方も少なくありません。たとえ、よくある長所・短所を取り上げたとしても、エピソードは自分だけの成果を話すなど、個性あふれる内容を伝えましょう。
面接で伝える「長所・短所」の見つけ方!
ある程度は自覚していても、「面接に適した長所・短所が見つからない」という学生は少なくありません。ここでは、ESや面接で使える長所・短所の見つけ方を紹介します。
【面接「長所・短所」の見つけ方1】自己分析
長所・短所が見つからずに悩んでいる方は、自己分析を行ってみましょう。自己分析は、人生の目的と手段を知るために行う作業のことで、モチベーショングラフや自分史の作成などで行うことができます。これまでのことを思い出して成功・失敗の経験を書き出し、成功あるいは失敗した理由を深掘りすることで、自分の強みや弱みを可視化できます。
キミスカでは完全無料の自己分析ツール「適性検査」を提供しています。以下の記事で自己分析のやり方やツールについても紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
【面接「長所・短所」の見つけ方2】家族・友人に聞いてみる
自己分析は自分で行うものですが、あなたの長所と短所を周りの人に聞いてみるのもおすすめです。自分では気づけない一面を知れるほか、面接で長所・短所を話す際に「周りからの評価」としてエピソードに盛り込んでも良いでしょう。
面接の「長所・短所」で自分らしさを伝えよう!
面接での質疑応答は、企業側にあなたの魅力を伝えられるチャンスです。ただ、自分が話す内容に関して不安になる学生もいるでしょう。そのような場合は、この記事で紹介した例文や伝え方、注意点を参考に自分らしい長所・短所を考えてみてください。
企業の社風にマッチした話ができれば、きっと内定獲得に一歩近づけるでしょう。