就活の書類選考で、ほぼ必須の提出物がES(エントリーシート)です。ESの内容で書類選考を通過するかどうかが決まるほか、面接で質問する際に使われることもあるため、企業に刺さる書き方のポイントを押さえておく必要があります。
今回はESの書き方を中心に、履歴書との違いや気をつけるべきポイントを紹介します。あなたらしさが詰まったESを作成するためにも、ぜひ参考にしてみてください。
就活のESとは?
ES(エントリーシート)は、新卒採用の選考に使われる書類の一つです。志望動機をはじめ、自己PRや学生時代に頑張ったこと(ガクチカ)など、企業が知りたい項目が設問に挙げられています。
また、企業によっては「あなたらしさを絵で表現してください」「自由に書いてください」など、独自の設問を用意していることもあります。
就活「ES」「履歴書」の違いとは
ESは就活生の考え方や価値観などを確認するために使われていますが、履歴書は氏名や生年月日、学歴といった人事データとしても使われる書類です。無事に入社できた場合は、従業員データとして保管されます。
履歴書は公的な書類なので、嘘の学歴や生年月日などを記載すると「私文書偽造罪」に抵触する恐れがあります。選考時であれば不採用、入社後であれば解雇につながる可能性もあるため、正直に書くことが大切です
企業によっては、JIS規格の履歴書提出を指定することもあれば、会社が独自に作成したフォーマットに記入して提出するよう指示されることもあります。
就活ESの基本情報の書き方とは
履歴書と同様に、ESでは氏名や生年月日、連絡先などの基本情報を書く必要があります。誤った書き方をしないよう、それぞれのポイントを確認しておきましょう。
氏名は必ずフルネームで書きましょう。また氏名の上が「ふりがな」なら平仮名で、「フリガナ」は片仮名で記載してください。
ESの書式によって書き方が異なる場合もありますが、特に指定がない場合は西暦・和暦どちらを記載しても問題ありません。ただ、同じ書類に西暦と和暦が混在しないよう、どちらかに統一することが肝心です。
連絡先は、電話番号とメールアドレスの2つを書くことがほとんどです。書式によっては、固定電話の番号と携帯電話の番号をそれぞれ記載することもあります。ただ、自宅に固定電話がない場合は、携帯電話の番号のみを記載しても問題ありません。
住所は都道府県や番地などを省略せず、「○○県○○市○○町1丁目1番1号 」のように正式名称で記載してください。また、アパートやマンションに住んでいる人は、建物名と部屋番号も記載しましょう。
学歴は、古い順に「中学校卒業」から「大学卒業見込み」まで年度と一緒に記載します。学校名も必ず正式名称で書き、留学や休学などをしている場合も記載しましょう。
細かい注意点は以下の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
【例文付き】就活ESの設問で見られているポイントとは
ESで頻出の設問として挙げられるのが、志望動機、自己PR、ガクチカです。ここからは、ES設問ごとに見られているポイントを紹介します。
なお、人事に好印象を残す回答を書くためにも、あらかじめ自己分析を済ませておくことが肝心です。無料でできる自己分析ツールもあるので、まだ終わっていない方や改めて自己分析したい方はぜひ試してみてください。
【就活ESで見られているポイント1】志望動機
志望動機では学生の入社意欲を確かめるだけでなく、学生の就活の軸が企業の社風や将来のビジョンとマッチしているかどうかが見られています。
業界研究・企業研究をおこない、企業が求める人物像に合致した自分の魅力を伝えることが重要です。
私が貴社を希望した理由は、人の記憶と心に残る広告を作りたいと考えたからです。 私は幼い頃に見た貴社の○○の広告に感銘を受け、大学でデザイン学科を専攻することに決めました。 デザインは想像以上に奥が深く、誰かの真似をしたり、インパクトを残すことだけを意識したりするだけでは、人の記憶と心に残る広告は作れません。そこで私はコピーライティングを学び、広告にメッセージ性を付け加えることにしました。その結果、○○の表紙デザインコンテストで最優秀賞を受賞できました。 貴社に入社できましたら、大学で学んだ色彩の技術とコピーライティングを活かし、メッセージ性のある広告を生み出したいと考えております。
志望動機の書き方は、以下の記事を参考してみてください。
【就活ESで見られているポイント2】自己PR
企業は自己PRを通じて、学生の人柄や性格、企業への熱意、将来性を見ています。
以下の例文を参考に、あなたが持っている強みのなかで企業が魅力的だと感じるものをアピールしましょう。
私は目標に向けて自ら試行錯誤を繰り返し、挑戦し続けられる向上心の高い人間です。
これは中学高校の6年間、ソフトテニス部で京都府1位の強豪校にて、常に自分より実力の高い人達に囲まれた競争社会に身を置いてきたことが原点だと考えます。
弱肉強食の中、自ら目標を立て周囲に追い付くために努力し続ける事が必要でした。実際に高校入学時は部内30人中1番下の実力でしたが、近畿大会出場を目標に設定し、自分に足りない技術を習得するために毎朝自己練習を続けました。その結果、高校2年目から部内で個人戦は常にトップの戦績を残し続け、最終的に京都府ベスト8、近畿大会出場を達成しました。大学入学後はアパレルのアルバイトで毎月個人の売上目標を設定し、関西圏売上トップを目標に働き続け、最高月220万円を売り上げ実際に達成しました。
また日本で三年間蓄えてきたビジネスの知識を基に現在は、アイルランドのダブリンシティ大学に交換留学で半年滞在し、欧米で成功してきた企業戦略について見解を深め私の研究テーマの一環である日本企業とのマーケティング手法の比較に重点を当てて勉学に勤しんでいます。私は会社で働く中でも自ら目標を立て達成するために努力を継続し、着実に成長しながら貢献していきたいです。
以下の記事では、学生の長所別に自己PRの例文を紹介しているので、自分に合ったものをチェックしてみましょう。
【就活ESで見られているポイント3】ガクチカ
企業が学生時代に頑張ったこと「ガクチカ」を尋ねるのは、学生の物事に向き合う姿勢や課題に直面した時の乗り越え方を確認するためです。
そのうえで自社とのマッチ度合いを判断するため、できるだけ具体的に分かりやすく書くことが重要です。
私は学生時代、中学生から続けていた吹奏楽のサークル活動に力を入れました。
吹奏楽を5年続けていたため自分の演奏には自信がありましたが、大学のサークルメンバーのレベルが非常に高く、入ってから1年は演奏会に参加するメンバーに選ばれませんでした。
このままではこれ以上演奏力が成長しないと思い、2年生になってからは「どうしてできないのか」「自分に足りないものは何か」を徹底的に探求しはじめました。毎日2時間の練習の記録と反省をノートにまとめ、その内容を先輩に見せて指導を積極的にお願いしました。
その結果、今では演奏会のメンバーに選んでもらえるようになりました。サークル活動で私は、課題を乗り越えるためには「正確に原因を把握」して「改善策を探求」することが大切だと学びました。この学びは、トライアンドエラーが重要な貴社のITエンジニア職でも必ず役立つと考えています。
自分だけのガクチカを見つける方法や構成については、以下の記事で紹介しています。
【就活のES】書き方のコツとは
ESにはさまざまな設問が用意されていますが、好印象を与える書き方には共通するコツがあります。
どういったポイントを意識すれば良いのか、詳しく見ていきましょう。
【就活のES書き方のコツ1】アピールポイントを絞る
アピールポイントの多さは学生によって異なりますが、ESを書くときはできるだけ絞ることが重要です。学業やアルバイト、サークルなどたくさんの情報を盛り込んでしまうと、あなたの魅力が伝わりにくくなってしまいます。
アピールポイントを絞る際は、企業が求める人物像に合致するものや、具体的なエピソードがあるもの、自分の中で印象に残っているものを中心に考えてみましょう。
【就活のES書き方のコツ2】結論から書く
ESを書くときは、結論・理由・具体例・結論の順に伝える「PREP法」を使うのがおすすめです。結論から書くことで、どういった内容なのかが論理的に伝わりやすくなります。
理由や具体例、結論と続けることで話の内容をイメージしやすくなり、人事担当者の印象に残るESに仕上げられます。
【就活のES書き方のコツ3】企業への貢献の仕方を盛り込む
PREP法では最後に結論をもう一度記載しますが、ここで企業への貢献の仕方を盛り込むのもおすすめです。例えば、ガクチカであれば課題を乗り越えて得た学びを記載し、その学びを企業に活かす方法を伝えます。
企業への貢献を記載することで、人事担当者は自社とマッチする人材かどうかを判断しやすくなるため、事業内容や社風などはよく調べておきましょう。
就活のESを作る時の注意点とは
ESでは自分らしさを伝えることも大切ですが、注意しなければならない点もあります。
人事担当者に刺さるESを作成するためにも、以下のポイントには注意しましょう。
【就活のES作成時の注意点1】長々と書かない
PREP法を使った文章であれば、アピールしたいことを論理的に伝えられますが、長々と書かないように注意しましょう。例えば、ガクチカで自分が頑張ってきたことをアピールしようとすると、ついつい細かく書いてしまいがちです。
しかし、ESに記載した内容は面接で深掘りされるケースも多いため、できるだけ簡潔で分かりやすい文章を心がけましょう。
【就活のES作成時の注意点2】誤字脱字・話し言葉に気をつける
ESが書き終わったら、誤字脱字がないかチェックしましょう。誤字や脱字のあるESを提出してしまうと、人事担当者から「チェックしなかったのかな」「雑な仕事をしそう」などマイナスのイメージを持たれる可能性があります。
また、「話し言葉」や「ら抜き言葉」を使うのも避けてください。社会人としてのマナーも見られているため、心配な方は以下の記事にも目を通しておきましょう。
【就活のES作成時の注意点3】記入欄の8割以上を目安に書く
ESに長々と書くのは避けた方が良いですが、記入欄の空白にも注意しましょう。記載済みのESに余白が多いと、「入社意欲が低い」と判断されたりあなたの魅力が伝わらなかったりするかもしれません。
設問ごとに用意された記入欄の8割以上は埋めるように意識し、自身の魅力や企業にアピールしたいポイントなどを丁寧にまとめましょう。
就活のESで高評価を得る秘訣とは
ESなどの書類選考は自分の魅力を企業にアピールする最初の場です。ここを通過できれば面接へと進めますが、人事担当者に効果的なアピールができなければ、書類選考で落とされるかもしれません。
また、ESで高評価を得る書き方には共通するコツがありますが、「これを書けば必ず通る」という正解はありません。まずは自己分析や企業研究をおこない、あなたらしさが伝わるESを書いてみましょう。