素材メーカー 《続編》

以前素材メーカー(鉄鋼 / 石油 / 非鉄金属)について紹介した記事の続編です。
素材メーカーと他のメーカーの差別化、および、その魅力を少しずつ紹介しています。

素材の魅力~その2~

素材メーカーの最大の特徴は
他社に技術やノウハウを横取りされにくいということです。
たとえば、大手機器メーカーのパソコンは
素材メーカーから部品を取り寄せた部品メーカーが
パソコンを構成する部品を提供し
それを独自の技術で組み立てて販売しています。
しかしこのパソコンを海外に持ち出し解体されてしまえば、
パソコンの技術は簡単に盗めてしまいます。
作り方は分かっても高性能な部品は簡単には作れませんから、
入手するのが非常に困難なのが「素材」というわけです。
(つまり、ウィキペディアで核兵器の作り方はわかってしまいますが、
その生成に必要な機器、技術、ウランは入手できないのと同じです。)
素材メーカーはその意味でも普遍的に需要が存在し、
他社が簡単に真似や増産ができないという点が魅力なのです。
ちなみにこの点はすでに示したように部品メーカーにも同じことがいえます。
独自の素材入手ルートを持っていたり
事業を多岐にわたって行う部品メーカーは
これからも業績を維持していけると考えられます。
反対に部品製造まで手掛ける素材メーカーもあります。
一つの強みに特化した企業が向いている方もいるかもしれませんが
国内市場の飽和という観点からみても
事業を多角化できる企業のほうがこれからは生き残っていけるのかもしれません。
いずれにせよ、素材、部品メーカーがどれだけ強いものかは
お分かりいただけたのではないでしょうか。

素材の業種

前回もお伝えした通り、
部品メーカーと同様に素材メーカーにも数えきれないほどの業種が存在します。
そのなかでも前回は、鉄鋼、非金属、石油
を見ていきましたので、
今回は

  • 繊維
  • ガラス

について見て行きましょう。
【 紙 】
これまで紙の消費は「文化の指標」とされてきましたが、
ITの加速に伴うペーパーレス化と同時に
中国の洋紙・板紙生産が世界一となったことで
紙の国内需要は年々低下しています。
紙の輸入超過が続く一方、
古紙などの原料は輸出超過というのが現状です。
こちらもいかに海外市場をみつけ
中国との国際分業をはかっていくかが
成長のカギとなっています。
【 繊維 】
自動車や航空で注目される炭素繊維は世界シェア70%。
および水に溶ける合成高分子ポバールはクラレが世界一です。
アクリル、合成繊維も競争力があります。
しかし、繊維の国内生産は減少の一途を辿っており、
その生産縮小で生まれた土地を不動産として活用したり
太陽光発電事業を行う企業も増えています。
途上国をはじめ海外市場において
高品質製品のブランディング、
商品の優位性、安全性を強みとして
新たなビジネスモデルを構築していく必要があります。
【 ガラス 】
太陽光パネルの需要はもどりつつありますが、
国内需要の低下は著しいです。
東京オリンピックに際して建築業とともに
顧客を獲得できるか、
環境ビジネスへ適応していけるかどうかが試されています。
南米やアジア諸国におけるグローバル化
新規顧客の獲得、海外生産の拡大が急務であるといえます。

その他・まとめ

いかがでしたか?
人気、インテリのイメージがある素材業界ですが、
どの業種も海外市場に目を向けなくてはならない状況です。
語学力、コミュニケーション能力の高い就活生にも
充分にチャンスのある業界といえるのではないでしょうか。
「素材」という、人類にとってある意味不可欠なモノを提供する企業でさえ、
国内消費の限界という点から
グローバルな視点を持つ人材を求めはじめています。