新卒採用の面接でほぼ確実に話すこととなる「自己紹介」。大学のゼミやサークル、アルバイトなどで経験済みの学生も多いかもしれませんが、就活における自己紹介では注意すべきこともあります。また「自己紹介を1分でお願いします」と時間制限がある場合もあるため、話す内容を事前に考えておくことが大切です。
本記事では、新卒面接の自己紹介と自己PRの違いをはじめ、面接官が見ているポイントや自己紹介で話す内容について詳しく解説します。
新卒の面接「自己紹介」と「自己PR」の違いとは?
面接ではさまざまな質問を投げかけられますが、その中でも「自己紹介」と「自己PR」は特によく聞かれる質問です。しかし、学生の中には緊張や準備不足などから、自己紹介の時に自己PRを話してしまう方も少なくありません。
面接官からの質問に対して適切な回答ができるよう、まずは自己紹介と自己PRの違いについて確認しておきましょう。
【新卒の面接「自己紹介」とは?】
自己紹介は、初対面の相手に自分のことを簡単に説明するためのものです。そして、就活では面接の最初に話す場合が多く、面接官と新卒の就活生がコミュニケーションを取るきっかけとなります。自己紹介で話す内容としては、以下のものが代表的です。
- 大学・学部名
- 氏名
- 趣味、ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)
- 志望企業への意気込み
上記の中でも、趣味やガクチカといった話題は深掘りの質問をされやすいため、必ず盛り込んでおきましょう。ただ、自己紹介はあくまでも会話のきっかけなので、詳しく話しすぎないことも大切です。深掘りしてもらいたい話題については、自己紹介の後で追加の質問をされることが多いので、返答内容を事前に考えておくとスムーズに話せるでしょう。
【新卒の面接「自己PR」とは?】
就活における自己PRとは、自分のことを企業にアピールすることです。自己紹介と混同する学生もいますが、自己PRでは面接官に対して自分の強みや長所、入社意欲などを伝えます。また、自分を採用することで企業がどういったメリットを得られるのかを説明することも重要です。自己PRについては以下の記事で紹介しているので、面接対策のためにも目を通しておきましょう。
新卒が面接で話す自己紹介の例文
大学名や氏名といった基本的なことは分かるものの、「具体的にどういったことを話せばいいの?」と疑問に思う学生もいるでしょう。自己紹介で話す内容と流れについては後述しますが、まずは例文を見て自己紹介のイメージを持ってみてください。
【面接で話す自己紹介の例文】ゼミ・勉強の場合
○○大学○○学部4年の○○○○と申します。
大学では社会学を専攻しており、地方での持続可能な街づくりをテーマに研究しています。
研究の一環として日本各地の限界集落を訪ね、自治体の方や移住された方へのインタビューと実務のサポートを行ってきました。これまでの経験を通じて、コミュニケーション能力や柔軟な対応力を養うことができ、大学内だけでなく地方の方とも広く繋がりを持てたと実感しています。
この度は、御社が取り組んでいる地方での雇用創出や中小企業支援といった事業に魅力を感じ、選考に応募いたしました。今まで学んできたことや経験を最大限アピールできればと考えております。
本日はどうぞよろしくお願いいたします。
【面接で話す自己紹介の例文】サークル活動の場合
○○大学○○学部から参りました○○○○と申します。
大学では国際ボランティアサークルに所属しており、東南アジアの居住問題解決に向けて活動してきました。
昨年の夏休みにはチームで現地へ向かい、3軒の家を建てることができました。また、誰も怪我や病気をすることなく活動を終えられたのは、自分だけでなくメンバーに協力してもらったおかげだと感じています。
この経験から、家を建てることだけでなく全員が納得のいく活動をするためには、一人ひとりが協力し合っていくことが欠かせないのだと感じました。
そして、御社が理念に掲げている「全員で作る」に強く共感し、選考に応募いたしました。
本日はどうぞよろしくお願いいたします。
【面接で話す自己紹介の例文】趣味の場合
○○大学○○学部4年の○○○○です。
大学で国際コミュニケーションを学んでいることもあり、趣味と勉強を兼ねて英語字幕で観ることが多いです。昨年は300本ほど映画を観ましたが、中でも『イエスマン』からは大きな影響を受け、これまで以上に自分の人生を楽しめるようになりました。いろんな物事に対して「イエス」と答えることが増え、以前の自分にはなかった価値観や交流が持てるようになったと実感しています。
映画をきっかけに見つけた「挑戦することの面白さ」は、新しいビジネスを次々と生み出していく御社で叶うものだと考え、選考に応募いたしました。
本日はどうぞよろしくお願いいたします。
新卒の面接「自己紹介」で話す要素と主な流れ
新卒の面接で話す自己紹介では、主に3つの要素を面接官に伝えます。話の流れは、「挨拶・大学と学部名・氏名」「ガクチカや趣味など」「企業への熱意」といった順に伝えるのがスマートです。それぞれ、どういった内容を伝えれば良いのか、詳しく見ていきましょう。
【面接の自己紹介で新卒が話すこと1】挨拶・大学名・氏名
自己紹介は「はじめまして、○○大学○○学部から参りました○○○○です」のように、挨拶・大学と学部名・氏名から話し始めます。大学名などは省略せずに、正式名称を伝えましょう。
最初は基本的な情報を伝えるだけですが、相手にしっかりと聞いてもらえるようにハッキリと伝えることが大切です。また、緊張しているかもしれませんが、口角を上げるなど表情も意識できれば、明るい印象を与えられるでしょう。
【面接の自己紹介で新卒が話すこと2】ガクチカ・趣味など
続いて、自分のことを知ってもらうための情報を伝えましょう。パーソナルな情報として、以下の内容が主です。
- ガクチカ
- 趣味
- 特技 など
ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)は、よく話されるテーマです。しかし、あなたらしさを伝える内容であれば、趣味や特技、性質などを伝えても問題ありません。
自己紹介の後で深掘りの質問をされる可能性が高いため、あまりにも薄い内容や嘘をつくのは避けましょう。
【面接の自己紹介で新卒が話すこと3】企業への熱意
自己紹介の最後は、企業への熱意や意気込みで締めくくります。企業によっては「当社を志望した理由は?」と聞かれることがあるので、自己紹介の時点では1〜2文程度で伝えるのがベストです。「御社が力を入れている○○○事業に興味があり、志望いたしました。本日はよろしくお願いいたします」のように、簡潔に伝えましょう。
面接官が新卒の自己紹介で見ていること
新卒の面接では自己紹介から始まることがほとんどですが、メインの質疑応答ではないからといって、油断してはいけません。面接は会場に入った時点から始まっており、学生の一つ一つの所作や言動が見られています。そして、自己紹介でも面接官が見ているポイントがあるので、注意が必要です。面接対策を行う際はここで紹介する3つのポイントを意識し、万全の状態で本番に臨みましょう。
【面接官が自己紹介で見ていること1】第一印象
「自社の社風に合った人材なのか」「一緒に働く姿が想像できるか」など、企業は面接を通じてさまざまなことを確認しています。
「話を聞いてもらえば分かる」と考えている学生もいるかもしれませんが、第一印象で好印象を残せるかどうかが重要です。第一印象でマイナスの印象を持たれると覆すことは難しくなるため、自己紹介の内容だけでなく入室時や会話中の仕草・表情などに注意する必要があります。また、服装や髪型なども第一印象を左右する要因なので、面接前に身だしなみを整えておきましょう。
第一印象で好印象を残すポイントについては、以下の記事で解説しています。ぜひ面接対策に役立ててみてください。
【面接官が自己紹介で見ていること2】マナーがなっているか
企業は自社の一員として働く姿を想像しているため、面接時に社会人としてのマナーが身についているかどうかも見られています。
面接の最初に話す自己紹介では、言葉遣いや話し方が評価されるので、事前に何度も練習しておくことが大切です。緊張で早口になったり声が小さくなったりすることがあるほか、間違った言葉遣いは「社会人としてのマナーがなっていない」と判断されかねません。
面接時の言葉遣いやマナーについては以下の記事で解説していますが、自然に話せるよう普段から意識しておきましょう。
【面接官が自己紹介で見ていること3】制限時間内での対応力
面接では「自己紹介を1分でお願いします」と制限時間が設けられる場合があります。これは、時間内に話の内容をまとめる対応力が見られており、長々と話し続けてしまうと「コミュニケーション能力が低い」「対応力がない」と思われるかもしれません。面接の自己紹介は1分で話すことがほとんどですが、30秒や2分の場合もあります。1分あたり300文字を目安に、いろんなパターンで練習しておきましょう。また、制限時間がない場合は1分を目安に話せば問題ありません。
このほか、「大学名・氏名・趣味を教えてください」など、自己紹介の内容を指定される場合もあるので、面接官の話をきちんと聞いて柔軟に対応しましょう。
面接の自己紹介に関する新卒のQ&A
最後に、新卒の学生が面接の自己紹介でよく疑問に感じることを、Q&A形式で紹介します。自己紹介で話すネタの探し方や緊張してしまう方へのアドバイスなど、面接の前に確認して対策を講じておきましょう。
【自己紹介に関する新卒のQ&A-1】話しのネタの見つけ方は?
自己紹介で伝えるパーソナルな内容で悩んでいる方は、自己分析を行ってみましょう。就活における準備の中でも最も重要な自己分析は、人生と目的や手段を知るために必要な作業です。ES(エントリーシート)や履歴書といった書類選考で役立つほか、面接で話すネタを考えることにも役立ちます。
過去の出来事を書き記す「自分史」の作成や、今までのモチベーションをグラフに記入する「モチベーショングラフ」など、さまざまな方法があるので、自分に合ったやり方を試してみましょう。キミスカの自己分析ツール「適性検査」は、完全無料で利用できるおすすめのサービスです。まだ自己分析ができていない方や、納得のいかない方はぜひ活用してみてください。
【自己紹介に関する新卒のQ&A-2】制限時間が気になる
自己紹介をはじめ、面接で話す内容は要点をまとめて伝えることで、面接官に好印象を与えられます。ただ、制限時間が気になってしまい、上手く話せるか不安に感じる学生もいるでしょう。制限時間の悩み解決には、反復練習が一番の近道です。1分で話せる内容はおよそ300文字なので、まずは話す内容を書き出して読み上げてみてください。
また、面接の練習はキャリアセンターが手伝ってくれる場合があるほか、自宅で連取する場合はスマホで録画して話している様子や時間を確認するのもおすすめです。
【自己紹介に関する新卒のQ&A-3】緊張してうまく話せるか不安
面接の場では、多くの学生が緊張するものです。もちろん自信を持って話せた方が好印象を残せますが、たとえ緊張していても自分らしさを伝えることを心がけましょう。また、事前の練習が自信につながることもあるので、何度かシミュレーションしておくことも大切です。
不安だからといって、面接で見栄を張ったり嘘をついたりするのはNGです。仮に内定をもらってもミスマッチから早期退職につながる可能性もあるので、自分らしく面接に臨むようにしましょう。
新卒面接の自己紹介は自分らしさを伝えるチャンス!
ほぼ全ての面接で話すことになる自己紹介。新卒だからと言っていい加減な内容を伝えてしまうと、その後の質疑応答で好印象を残すことはできません。面接では第一印象で好印象を残せるかどうかが重要なので、ぜひ本記事を参考にあなたらしい自己紹介を作成してみてください。
自己紹介で最高のスタートを切れば、その後の会話もきっとスムーズに進められるでしょう。