志望動機「やりがい」の伝え方|自分本位に聞こえない例文4選

「あなたが仕事に求めるものは何ですか?」──そう聞かれた時、「やりがいのある仕事がしたいです」と答えたいと考えている就活生は多いのではないでしょうか。しかし、その「やりがい」という言葉、いざ志望動機として伝えようとすると、とても漠然としていて、どう話せば良いか分からなくなってしまいますよね。

「『やりがいが欲しい』なんて言ったら、自分本位でワガママだと思われないかな…」そんな不安を感じているあなたへ。この記事ではあなたのその素敵な価値観を、企業に響く強力な志望動機に変えるための、具体的な伝え方と例文を解説します。

「やりがい」を志望動機にするのが危険な2つの理由

「やりがい」は働く上で非常に大切な要素です。しかし、それをそのまま志望動機として話すことには、実は2つの大きなリスクが伴います。

まずはなぜ「やりがい」という言葉が、就活の場では慎重に扱うべきなのか、その理由を知っておきましょう。

1. 自分本位な印象を与える可能性がある

「やりがいを感じたい」という言葉は、裏を返せば「やりがいを感じさせてほしい」という、会社に対する受け身な要求のように聞こえてしまう危険性があります。

企業はあなたに「やりがいを与える」場所ではなく、あなたが「価値を与えてくれる」場所です。自分の感情(やりがい)を主語にしてしまうと、「会社に何をしてくれるか」ではなく「自分がどうなりたいか」ばかりを話す、自分本位な学生だという印象を与えかねません。

2. 漠然としていて、熱意が伝わりにくい

「やりがい」という言葉は、人によって意味合いが大きく異なる、非常に漠然とした言葉です。

「どんなことにやりがいを感じるのか」を具体的に語らなければ、あなたがどんな人間でどんなことに情熱を燃やすのか、その輪郭がぼやけてしまいます。結果として、あなたの熱意や本気度が採用担当者に伝わらない、という事態に陥りがちです。

「もらう」から「与える」へ!「やりがい」の視点を変える方法

では、どうすれば「やりがい」を効果的な志望動機に変えることができるのでしょうか。

答えは視点を180度変えることにあります。「やりがい」を会社に「もらう」ものだという考え方をやめるのです。

 

「やりがい」は、企業に貢献した「結果」として感じるもの

ここが最も重要なポイントです。仕事における「やりがい」とは、あなたが主体的に行動し、お客様や会社に価値を提供(=貢献)した結果として、後からついてくる「ご褒美」のようなものです。

つまり志望動機で語るべきは「やりがいが欲しい」というあなたの感情ではなく、「〇〇という行動で貴社に貢献したい。その結果として、やりがいを感じられると信じている」という、貢献への意欲なのです。

あなたの「やりがい」タイプ診断&言語化3ステップ

それではあなたの「やりがい」を、企業への「貢献意欲」に変換していくための具体的な3ステップを見ていきましょう。

このステップに沿って考えることで、あなただけの説得力のある志望動機が完成します。

ステップ1:過去の経験から、自分の「やりがい」の源泉を見つける

まずはあなたが過去の経験(アルバイト、サークル、ボランティアなど)で、「やりがいを感じた瞬間」を思い出せるだけ書き出してみましょう。

そしてそれぞれの瞬間に対して「なぜ、自分はやりがいを感じたのだろう?」と問いかけます。その問いの答えこそがあなたのモチベーションの源泉であり、アピールすべきあなたの強みになります。

ステップ2:企業の「事業内容」とやりがいを結びつける

次に見つけ出した「やりがいの源泉」と、志望する企業の事業内容や理念との共通点を探します。例えば「人の相談に乗って感謝されること」にやりがいを感じるなら、金融業界や人材業界の仕事と結びつけられます。

「目標達成」にやりがいを感じるなら、営業職などの目標が明確な仕事と相性が良いでしょう。あなたの価値観がその企業で発揮できることを示します。

ステップ3:「やりがい」を「貢献」の言葉に変換する

最あなたの「やりがい」を「貢献」の言葉に変換して、志望動機を完成させます。

「感謝されると嬉しい(やりがい)」→「私の強みである傾聴力を活かし、お客様に寄り添うことで、顧客満足度の向上に貢献したい(貢献)」のように、自分の感情を、企業の利益に繋がる具体的な行動として語るのです。

これで自分本位ではない、プロフェッショナルな志望動機になります。

【やりがいの種類別】志望動機の例文4選とポイント解説

「やりがい」の源泉は人それぞれです。ここでは代表的な4つの「やりがいタイプ」別に、貢献意欲へと変換した志望動機の例文を紹介します。

1.「感謝」されることにやりがいを感じる(顧客志向)

例文1

私のやりがいはお客様から直接「ありがとう」という言葉をいただく瞬間にあります。

カフェのアルバイトでお客様一人ひとりの表情や会話から好みを察し、メニューにはない特別な一杯を提案した際、心からの感謝の言葉を頂き、この仕事の喜びを知りました。

私の強みである「相手の期待を超えるおもてなし」を、常にお客様視点を追求する貴社で発揮し、多くのロイヤルカスタマーを創造することで、事業に貢献したいです。

採用担当採用担当

【ポイント】
「感謝されると嬉しい」という自分の感情を、「相手の期待を超えるおもてなし」という具体的な強みに変換。

さらに、それを「ロイヤルカスタマーの創造」という企業の利益に繋げて語ることで、自分本位ではない、顧客志向の高い人材であることをアピールしています。

2.「目標達成」にやりがいを感じる(目標達成意欲)

例文2

私は困難な目標を掲げ、それを達成するプロセスに最もやりがいを感じます。

所属していた〇〇部で、当初は誰もが無理だと諦めていた「県大会ベスト4」という目標を掲げ、自ら練習メニューを考案・実行し、チームを牽引しました。目標達成の瞬間の喜びは、今でも忘れられません。

常に高い目標を掲げ、業界をリードし続ける貴社で、この目標達成意欲を活かし、営業職として誰よりも高い成果を上げることで、会社の成長に貢献したいです。

採用担当採用担当

【ポイント】
「目標達成がやりがい」という主体的な姿勢を、部活動という具体的なエピソードで裏付けています。

「貴社の目標」と「自分の目標」を重ね合わせ、個人のやりがいが、そのまま会社の成長に直結することを力強く示せている点が評価されます。

3.「自己成長」にやりがいを感じる(成長意欲)

例文3

私が仕事に求めるやりがいは、昨日できなかったことができるようになる「自己成長」の実感です。

プログラミングの学習において、エラーが解決できず徹夜したこともありましたが、粘り強く試行錯誤を重ね、自分の力でサービスを完成させた時の達成感は、何物にも代えがたいものでした。

若手のうちから挑戦的な仕事を任せ、社員の成長を後押しする貴社の環境でなら、誰よりも早く成長し、その成長を新たな価値創造に繋げることで、事業に貢献できると確信しております。

採用担当採用担当

【ポイント】
「成長したい」という言葉を、ただの受け身な要求で終わらせていません。

「成長を、新たな価値創造に繋げる」と宣言することで、自分の成長が、会社の利益になるという「投資」の視点を示せているのが素晴らしい点です。

4.「チームでの貢献」にやりがいを感じる(協調性)

例文4

私は個人として輝くこと以上に、チームの一員として目標達成に貢献することに、大きなやりがいを感じます。

大学のグループワークで意見が対立した際、私はそれぞれの意見の良い点を引き出し、一つの結論にまとめる調整役を担いました。

最終的に全員で最高評価を得られた時、一人では味わえない喜びを感じました。

多様な専門性を持つ人材が協力し合う貴社の社風の中で、この協調性を活かし、チームの潤滑油となることで組織全体のパフォーマンス向上に貢献したいです。

採用担当採用担当

【ポイント】
自分の役割を「調整役」「潤滑油」と具体的に定義し、チームの中でどう貢献したいのかを明確に示しています。

個人の成果だけでなく、組織全体の成功を喜べるという視点は、多くの企業で高く評価される資質です。

「やりがい」を志望動機にする際のよくある質問

最後に「やりがい」をテーマに志望動機を語る上で、多くの就活生が抱く疑問にお答えします。

ここで不安を解消し、自信を持ってあなたの想いを語れるようになりましょう。

Q1. どんな業界・職種で「やりがい」をアピールしやすい?

企業企業

A. お客様と直接関わるBtoCの業界(小売、ホテル、金融など)や、成果が数字で現れやすい営業職などは、やりがいを語りやすいでしょう。しかし、どんな業界・職種でも、必ずその仕事ならではの「やりがい」は存在します。

大切なのは、あなたがその企業の「誰に」「何をして」貢献したいのかを明確にすることです。それができれば、どんな仕事でもやりがいと結びつけることができます。

Q2. 複数の「やりがい」がある場合、どれを話すべき?

企業企業

A. 素晴らしいことですね。その場合は、応募する企業の社風や、職務内容に最も合致する「やりがい」を選んでアピールしましょう。

例えば、チームワークを重視する企業なら「チームでの貢献」のやりがいを、実力主義の企業なら「目標達成」のやりがいを、というように、相手に合わせてアピールするポイントを変えることで、よりマッチ度の高さを印象付けられます。

Q3.「やりがいを感じられなかったら辞めそう」と思われない?

企業企業

A. これが、視点の転換が重要である最大の理由です。「やりがいを『もらいに』来ました」という姿勢だと、そう思われてしまう危険性があります。

しかし、「私は〇〇という行動で貴社に貢献することに、やりがいを感じる人間です」と語れば、むしろ「困難な状況でも、自分でやりがいを見つけ出し、主体的に働いてくれそう」という、粘り強く、自律した人材であるという印象を与えることができます。

「やりがい」と「貢献」を結びつけ、説得力のある志望動機を

「やりがいのある仕事がしたい」というあなたの想いは、何よりも尊い、働く上での原動力です。大切なのはその内なる情熱を独りよがりの言葉で終わらせないこと。あなたの感じる「やりがい」と、企業が求める「貢献」を、あなただけが語れるエピソードで結びつけること。

それができれば、あなたの志望動機は誰よりも説得力のある、強力なメッセージになります。自信を持ってあなたの価値観を伝えてください。