面接の志望動機は何分がベスト?1分で話す構成と例文を解説

「では、志望動機を1分でお願いします」──。面接で突然そう言われたら、頭が真っ白になってしまいそうですよね。「1分って、どれくらいの長さ?」「どこを話して、どこを削ればいいの?」と、多くの就活生が面接での志望動機の「時間」について悩んでいます。長く話しすぎても、短すぎても評価を下げてしまいそうで怖いですよね。

この記事ではそんなあなたの不安を解消するため、志望動機を話すのに最適な時間とその時間内で熱意を最大限に伝えるための構成、そして具体的な例文まで徹底解説します。

面接の志望動機は「1分」が基本!その理由とは?

面接官から特に時間指定がない場合でも、志望動機を話す長さは「1分」を目安に準備しておくのがベストです。

なぜなら、この「1分」という時間には、採用担当者側の明確な意図が隠されているからです。その理由を理解しておきましょう。

1. 面接官が集中して聞ける最適な長さだから

人が集中して話を聞ける時間はそれほど長くありません。面接官は一日に多くの学生と面接をします。その中で長々と話してしまうと、本当に伝えたいことが相手の記憶に残りません。

1分という時間は話す側にとっては要点を簡潔に伝えられ、聞く側にとっては集中力を保てる、双方にとって最適な長さなのです。

2. 要点をまとめる能力(要約力)が試されるから

限られた時間の中で自分の考えを分かりやすくまとめて伝える「要約力」は、ビジネスにおける必須スキルです。

面接官は「この学生は、自分の考えを論理的に整理し、相手に簡潔に伝えることができるか」を見ています。志望動機を1分で話すことは、あなたのプレゼンテーション能力をアピールする最初の機会でもあるのです。

1分で話す志望動機の文字数は「約300字」が目安

「1分」と言われても、具体的にどれくらいの文章量なのかイメージが湧きにくいですよね。アナウンサーがニュースを読む際の速度が1分間に300字程度と言われています。

そのため私たちが面接で落ち着いて、かつハキハキと話す場合も、300字前後の原稿を準備しておくのが最適な文字数の目安となります。まずは300字の原稿作成をゴールに設定しましょう。

PREP法で組み立てる!1分間の構成案

PREP法とは、Point(結論)→ Reason(理由)→ Example(具体例)→ Point(結論)の頭文字を取ったもので、説得力のある話をするための基本の型です。

この順番で話すだけで、驚くほど内容が伝わりやすくなります。

1. Point(結論):「私の志望動機は〇〇です」と、まず最初に結論を述べます。
2. Reason(理由):「なぜなら、〇〇という考えを持っているからです」と、結論に至った理由を説明します。
3. Example(具体例):「実際に、〇〇という経験から〜」と、理由を裏付ける具体的なエピソードを話します。
4. Point(結論):「この経験を活かし、貴社で〇〇として貢献したいです」と、最後にもう一度結論と入社後の意欲を伝えます。

【どんな長さにも対応】志望動機を3パターン準備する最強の対策

面接では、「1分」だけでなく、「30秒で」「3分で」と、突然違う長さを指定されることもあります。そんな時でも決して慌てないための最強の対策が、「3つの長さの志望動機をあらかじめ準備しておく」ことです。これさえあれば、どんな状況にもスマートに対応できます。

1.「30秒(150字)」の要約バージョンを作る

30秒バージョンは、PREP法の「P(結論)」と「R(理由)」だけを抜き出した、いわば「予告編」です。

具体的なエピソードは大胆にカットし、「何を(P)」「なぜ(R)」したいのか、という要点中の要点だけを伝えられるように準備しておきましょう。グループディスカッションの冒頭での自己紹介などでも役立ちます。

30秒₍150字₎の例文

貴社の製品を通じて、お客様自身もまだ気づいていない潜在的なニーズを解決したいと考え、志望いたします。

飲食店のアルバイトでお客様の行動観察から新メニューを提案し、人気商品にした経験を通じて、課題を発見し解決する力を培いました。

この強みを活かし、貴社の営業職としてお客様に新たな価値を提供し、事業の拡大に貢献したいです。

【ポイント】
30秒版はPREP法の「結論」と、ごく短い「理由・具体例」だけで構成します。詳細なエピソードは全てカットし、「何がしたいか」「どんな強みがあるか」「どう貢献したいか」という要点中の要点だけを、インパクト重視で伝えるのが目的です。

 

2.「1分(300字)」の基本バージョンを作る

これが、あなたの志望動機の基本形(スタンダード)になります。PREP法に沿って、「P(結論)」「R(理由)」「E(具体例)」「P(結論)」の全てをバランス良く盛り込んだ、最も汎用性の高いバージョンです。

時間指定がない場合や、迷った時は、まずはこの1分バージョンを話すようにしましょう。

1分₍300文字₎の例文

貴社の「モノづくりを通じて人々の生活を豊かにする」という理念に共感し、志望いたしました。

私は人々のまだ気づいていないニーズを発見し、解決策を提案することにやりがいを感じます。

飲食店のアルバイトで、お客様の何気ない会話から「こんなメニューがあれば喜ぶのでは」と仮説を立て、新メニューを提案し、店の人気商品にした経験があります。この経験から、課題を発見し、解決に導く喜びを知りました。

この強みを活かして貴社の営業職としてお客様の潜在的な課題を発見し、卓越した技術力を持つ貴社の製品でそれを解決することで、人々の生活をより豊かにしていきたいです。

【ポイント】
理念への共感(結論)」→「やりがいを感じる(理由)」→「アルバイトでの経験(具体例)」→「入社後の貢献(結論)」というPREP法に沿って、完璧に構成されています。具体的なエピソードがあるため、説得力のある志望動機になっています。

3.「3分(900字)」の詳細バージョンを作る

3分バージョンは、基本バージョンを元に、PREP法の「E(具体例)」の部分を、より詳しく、そして情熱的に語るための「詳細版」です。

エピソードの背景や、その時のあなたの感情、困難をどう乗り越えたか、といった具体的な描写を付け加えることで、約900字の豊かなストーリーになります。「もっと詳しく聞かせてください」と言われた時のために準備しておきましょう。

3分₍900文字₎の例文

貴社の「モノづくりを通じて人々の生活を豊かにする」という理念に共感し、志望いたしました。私は、人々のまだ気づいていないニーズを発見し、それを解決する提案を行うことに、強いやりがいを感じます。

この想いの原点は、大学3年間続けてきた飲食店のアルバイト経験にございます。私が勤務していた店舗は、メインの食事メニューは人気だったものの、お客様から「お酒ともう一品、軽いつまみが欲しい」というお声をいただくことが課題でした。そこで私は、お客様の行動や会話を注意深く観察し、「お客様は揚げ物のような重いものではなく、野菜を使ったヘルシーで、かつ写真映えするような一品を求めているのではないか」という仮説を立てました。

そして、店長に「彩り野菜のバーニャカウダ」という新メニューを提案いたしました。その際、ただお願いするのではなく、原価計算や想定売上、オペレーションの簡略化まで含めた企画書を作成し、プレゼンを行いました。当初、店長はメニューを増やすことに消極的でしたが、私の企画書の具体性と熱意を評価してくださり、試験的な導入が決定しました。

結果として、そのメニューは特に女性のお客様から絶大な支持を受け、SNSでの投稿も増え、店の看板メニューの一つとなりました。お客様が料理の写真を撮りながら「これ、すごく良いね」と笑顔で話しているのを見た時、人の隠れたニーズを発見し、解決することの喜びを全身で感じました。

この経験から、本当の価値提案とは、お客様の要望に応えるだけでなく、その期待を超える選択肢を提示することだと学びました。貴社は、常に業界の常識を覆すような、革新的な製品を世に送り出しています。私もこの課題発見力と提案力を活かし、貴社の営業職として、お客様自身も気づいていないような課題を発見し、卓越した技術力を持つ貴社の製品でそれを解決することで、人々の生活、ひいては社会全体をより豊かにしていきたいと、強く考えております。

【ポイント】
3分版は1分版の「具体例」の部分を大幅に拡張した形です。当時の課題」「自分の思考プロセス」「行動」「結果」「そこから得た学びを情景が目に浮かぶように詳しく描写することで、あなたの思考力や人柄、熱意をより深く伝えることができます。

本番で焦らない!志望動機を時間内に収める練習方法

3つの長さの原稿が準備できたら、あとは本番でスムーズに話せるように練習あるのみです。効果的な練習方法を3つ紹介します。

1. まずは声に出して時間を計ってみる

原稿が完成したらまずはストップウォッチを使い、実際に声に出して読んでみましょう。思っていたよりも長かったり短かったりするはずです。

まずは自分の話すスピードを把握し、それぞれの原稿が指定の時間内に収まるように、文章を微調整する作業から始めましょう。

2. スマホで録音して客観的に聞く

次に、自分のスピーチをスマートフォンの録音機能で録ってみましょう。そして、それを客観的に聞き返してみてください。

早口になっていないか」「声のトーンは暗くないか」「『えーっと』などの口癖が多くないか」など、自分では気づきにくい多くの改善点が見つかるはずです。これは非常に効果的なので、絶対にやってみてください。

3. 第三者に聞いてもらいフィードバックをもらう

最後の仕上げとして、友人や家族、大学のキャリアセンターの職員など、第三者に聞いてもらい、フィードバックをもらうのがおすすめです。

話は分かりやすいか」「熱意は伝わるか」「もっとこうした方が良い」といった、自分では気づけない客観的なアドバイスをもらうことで、あなたの1分間スピーチはさらに磨かれます。

面接で志望動機を話す際のよくある質問

最後に面接で志望動機を話す際の、細かな疑問についてお答えします。

ここで不安を解消し、万全の状態で本番に臨んでください。

Q1. 丸暗記はバレる?

企業企業

A. はい、バレます。原稿を一言一句、完璧に丸暗記して話すと、感情がこもらない棒読みになり、「自分の言葉で話していないな」と面接官にすぐに見抜かれてしまいます。覚えるのは、PREP法に沿った話の「骨格」と「キーワード」だけにして、本番では自分の言葉で肉付けしていく、という意識で臨むのが理想的です。

Q2. 少し時間をオーバーしても大丈夫?

企業企業

A. 避けるべきです。「1分で」と言われているのに、1分30秒も話してしまうと、「時間管理ができない」「人の話を聞けない」というマイナスの評価に繋がりかねません。指定された時間を守ることは、社会人としての基本です。むしろ、55秒程度で少し早めに終えるくらいの意識でいる方が、スマートな印象を与えられます。

Q3. 早口になっても大丈夫?

企業企業

A. 絶対にNGです。緊張すると、つい早口になってしまいがちですが、早口で話すと、聞き取りにくいだけでなく、自信がなさそうに見えてしまいます。熱意を伝えたいあまりに、たくさんの情報を詰め込もうとするのはやめましょう。伝えたいことを絞り込み、落ち着いて、聞き取りやすいスピードで話すことを何よりも優先してください。

1分の準備が合否を分ける!自信を持って面接に臨もう

面接で志望動機を話す時間は、たったの1分かもしれません。しかしその1分間に、あなたのこれまでの経験、企業への熱意、そして未来への可能性の全てが凝縮されています。

今回紹介した「1分300字」の基本ルールと、「3パターンの準備」という最強の対策を実践すれば、あなたはもう何も恐れることはありません。万全の準備が、あなたの自信に繋がります。練習を重ね、最高の1分間を面接官に届けてください。