
「志望動機、何を書けばいいか分からない…」「そもそも、どうして必要なの?」 就職活動やアルバイトの面接で必ずと言っていいほど聞かれる「志望動機」。実はこれは、あなたがその会社で働きたいという熱意や、あなたの個性を伝えるための、とても大切なメッセージです。でも、いざ書こうとすると、手が止まってしまう人も多いのではないでしょうか?
この記事では、「志望動機って何?」という基本のキホンから、採用担当者に「おっ!」と思ってもらえるような魅力的な志望動機の考え方、具体的な書き方、そして面接で自信を持って話すコツまで、ステップごとに分かりやすく解説していきます。これを読めば、あなたもきっと自信を持って志望動機を伝えられるようになるでしょう。
志望動機ってそもそも何?
就職活動やアルバイト探しをしていると、必ずと言っていいほど「志望動機」について聞かれますよね。「志望動機」という言葉はよく聞くけれど、「一体何を書けばいいんだろう?」「そもそもどうして必要なの?」と疑問に思っている人もいるかもしれません。
ここでは、そんな「志望動機」の基本的な意味や、企業がなぜそれを知りたがるのか、そして似たような質問である「自己PR」などとの違いについて、分かりやすく解説していきます。
志望動機の意味とは?簡単に言うと?
志望動機とは、とてもシンプルに言うと「あなたが、なぜその会社で働きたいと思ったのか、その理由」のことです。もう少し詳しく見てみましょう。「志望」は「強くそうなることを願うこと」、「動機(どうき)」は「人が何かをしようと決意する原因やきっかけ」を意味します。つまり、世の中にたくさんの会社がある中で、「なぜ、他の会社ではなく『この会社』を選んだのですか?」という問いに対する、あなたなりの答えが「志望動機」です。
ただ単に「働きたいから」という理由だけではなく、「この会社のこういうところに魅力を感じたから」「この会社で自分のこんな力を活かしてみたいから」といった、その会社を選んだ特別な理由や、そこで実現したいことを伝えるのがポイントになります。これは新卒の就職活動だけでなく、アルバイトに応募するときなどにも共通する基本的な考え方です。
なぜ会社は志望動機を知りたがるの?
では、なぜ企業は面接やエントリーシートであなたの志望動機を知りたがるのでしょうか? それには主に次のような理由があります。
あなたの本気度を知りたいから
会社は、あなたがどれくらい真剣に「この会社で働きたい!」と思ってくれているのかを知りたいと考えています。
志望動機を聞くことで、会社への志望度や仕事への意欲がどれくらい高いのかを確認しようとしています。熱意のある人は、入社後もきっと前向きに仕事に取り組んでくれるだろうと期待するためです。
会社とあなたが合っているかを見たいから
あなたが会社の考え方や仕事内容をきちんと理解してくれているか、そして、あなたのやりたいことや個性が、その会社で活かせそうか、お互いに合っているかを見ています。
もし入社してから「思っていたのと違った…」となってしまうと、あなたにとっても会社にとっても残念なことです。そうしたミスマッチを防ぐためにも、志望動機は重要な判断材料になります。
あなたが将来活躍してくれそうかを知りたいから
あなたがこの会社に入って、どんなことを成し遂げたいのか、どんな風に成長していきたいのか、といった未来への考えを聞くことで、会社で活躍してくれるイメージが湧くかを見ています。あなたの能力や経験が、会社の事業にどう貢献してくれそうか、長く一緒に頑張っていける人材か、といった可能性を知ろうとしています。
このように、会社は志望動機を通して、あなたの熱意、会社との相性、そして将来性を確認したいと考えているのです。
「自己PR」や「ガクチカ」とはどう違うの?
就職活動では、「自己PR」や「ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)」についてもよく聞かれますよね。これらと「志望動機」はどう違うのでしょうか? ポイントは「誰(何)に焦点を当てているか」です。
「私はこんなことができます!」「私にはこんな良いところがあります!」と、あなた自身の能力、強み、人柄などをアピールするものです。焦点は”あなた自身”にあります。
例:「リーダーシップを発揮できます」「粘り強く努力できます」
「学生のときに、こんな経験をして、こんなことを学びました!」と、あなたの過去の経験と、そこから得た学びや成長を具体的に伝えるものです。焦点は**「あなたの過去の経験」**にあります。自己PRの根拠として話すことも多いです。
例:「部活動で目標達成に向けて努力し、チームワークを学びました」
「なぜ『この会社』で働きたいのか」「入社したら『この会社』で、自分の力を活かして何をしたいのか」を伝えるものです。焦点は「あなたと『応募先の会社』とのつながりや未来」にあります。
例:「貴社の〇〇という理念に共感し、私の強みである△△を活かして、□□の分野で貢献したいと考えています。」
つまり、自己PRやガクチカで伝えた「あなたの強みや経験」を、「なぜ、この会社で活かしたいのか?」という理由や未来への思いにつなげるのが「志望動機」、と考えると分かりやすいかもしれません。それぞれ目的が違うので、質問の意図に合わせて内容を整理して伝えることが大切です。
志望動機を作る前にやるべきこと【準備編】
「この会社で働きたい!」という熱意を込めた魅力的な志望動機を作るには、実はしっかりとした「準備」が欠かせません。いきなり書き始めようとしても、なかなか言葉が出てこなかったり、ありきたりな内容になってしまったりすることがあります。では、どんな準備が必要なのでしょうか? 大切なのは、大きく分けて次の二つです。
・自分自身を深く知ること(自己分析)
・相手(応募する会社)をよく知ること(企業研究)
この二つの準備を丁寧に行うことで、あなただけの、説得力のある志望動機が見えてくるはずです。ここでは、それぞれの準備の進め方について、具体的に見ていきましょう。
まずは自己分析で自分を知ることから始めよう
「なぜこの会社で働きたいのか?」という問いに答えるためには、まず「自分はどんな人間で、何を求めているのか」を理解しておく必要があります。これが「自己分析」です。難しく考える必要はありません。まずは、これまでの自分を振り返ってみることから始めましょう。
・今までで一番頑張ったことは何ですか? なぜ頑張れたのでしょう?
・楽しかったこと、夢中になったことは何ですか? どんなところに面白さを感じましたか?
・逆に、悔しかったこと、大変だったことは何ですか? それをどう乗り越えましたか?
・これらの経験から、何を学びましたか? (例:部活動、文化祭、アルバイト、勉強、趣味など、どんな経験でも構いません)
・どんな作業をしているときが楽しいですか?
・人からよく褒められること、頼られることは何ですか?
・自分では当たり前だと思っているけれど、実は他の人よりもうまくできることはありますか? これがあなたの「強み」かもしれません。
・仕事を通して、どんなことを実現したいですか?
・働く上で、どんなことを大切にしたいと思いますか? (例:「人の役に立ちたい」「新しいことに挑戦したい」「安定した環境で働きたい」「仲間と協力したい」「専門性を高めたい」など)
これらの問いに答えていく中で、「自分はこういうことに興味があるんだな」「こういう働き方がしたいんだな」「こんな強みがあるんだな」といった「自分の軸」が見えてきます。この軸が、会社を選んだり、志望動機を考えたりするときの土台になります。 ノートやスマートフォンなどに、思いつくまま書き出してみるのがおすすめです。
応募したい会社について調べてみよう(企業研究)
自己分析で自分のことが分かってきたら、次は「相手」、つまり応募したい会社について詳しく調べる「企業研究」に進みましょう。「なぜ『この会社』でなければならないのか」という、志望動機の核心部分を語るためには、その会社を深く理解することが不可欠です。
企業研究が足りないと、
・どの会社にも当てはまるような、ありきたりな志望動機になってしまう
・面接で会社の事業内容などについて質問されたときに、うまく答えられない
・入社してから「イメージと違った…」というミスマッチが起きてしまう
といったことになりかねません。では、具体的にどのように企業研究を進めれば良いのでしょうか? いくつかの方法を見ていきましょう。
会社のホームページやパンフレットをチェック
企業研究の基本中の基本は、会社の公式情報を確認することです。まずは会社のホームページをじっくりと読んでみましょう。特に以下のページは要チェックです。
- 会社概要: どんな会社なのか、基本的な情報を確認します。(設立年月日、事業内容、所在地、代表者名など)
- 企業理念・ビジョン: 会社がどんな考え方を大切にし、何を目指しているのかを知る上で非常に重要です。
- 事業内容・商品/サービス: 具体的に何を作ったり、どんなサービスを提供したりしている会社なのかを理解します。
- ニュースリリース・お知らせ: 会社の最近の活動や動向を知ることができます。
- 採用情報: 新卒向けのページには、求める人物像や先輩社員のインタビュー、仕事内容の紹介など、志望動機を考える上で役立つ情報がたくさん載っています。
これらの情報をただ読むだけでなく、「なぜこの会社はこの理念を掲げているのだろう?」「この事業は社会にどんな影響を与えているのだろう?」といった視点で考えてみると、より理解が深まります。 また、会社説明会などで配布されるパンフレットも、要点がまとまっていて分かりやすいことが多いので、しっかりと目を通しましょう。
会社説明会やインターンシップに参加する
ホームページやパンフレットだけでは分からない、会社の「生の情報」に触れることができるのが、会社説明会やインターンシップです。
会社の担当者から、事業内容や社風、仕事内容などについて直接話を聞くことができます。資料だけでは伝わりにくい、会社の雰囲気や働く人の様子を感じ取れる良い機会です。質疑応答の時間があれば、疑問に思ったことを積極的に質問してみましょう。最近はオンラインでの説明会も多いですが、気軽に参加できるメリットがあります。
実際に仕事を体験できるのがインターンシップの最大の魅力です。仕事内容が自分に合っているか、職場の雰囲気はどうかなどを肌で感じることができます。社員の方々と直接話す機会も多く、働くことへの具体的なイメージを持つことができるでしょう。また、自分自身の仕事への向き不向きを知る良い機会にもなります。
これらの機会では、ただ受け身で参加するだけでなく、積極的に情報を得ようという姿勢が大切です。
OB・OG訪問をしてみる
もし可能であれば、実際にその会社で働いている先輩(同じ大学や高校の出身者など)に話を聞く「OB・OG訪問」も非常に有効な企業研究の方法です。OB・OG訪問では、説明会などではなかなか聞けないような、よりリアルな話を聞ける可能性があります。
・具体的な仕事内容、やりがい、大変なこと
・職場の人間関係や雰囲気
・会社の良いところだけでなく、課題だと感じていること
・就職活動のアドバイス など
ホームページや説明会だけでは得られない貴重な情報を得られるかもしれません。 OB・OGを探すには、大学のキャリアセンターに相談したり、所属しているゼミや研究室、部活動などの先輩のつながりを頼ったりする方法があります。最近では、OB・OG訪問専用のマッチングサービスなどもあります。
訪問する際は、事前に聞きたいことをまとめ、失礼のないようにマナーを守って臨みましょう。忙しい中時間を作ってくれた先輩への感謝の気持ちを忘れないことも大切です。
魅力的な志望動機の作り方【基本の3ステップ】
自己分析で自分のことを知り、企業研究で会社のことを理解したら、いよいよ志望動機を具体的に組み立てていきましょう。「何を伝えればいいか分からない…」と難しく考えてしまうかもしれませんが、大丈夫です。魅力的な志望動機には、実は分かりやすく、相手に伝わりやすい「基本の型」があります。
ここでは、その基本となる「3つのステップ」を紹介します。この流れを意識することで、あなたの考えが整理され、採用担当者にも「なるほど、この会社で働きたいんだな」と納得してもらいやすくなります。
ステップ1:結論「なぜこの会社で働きたいのか」を伝える
まず最初に伝えるべきなのは、あなたの「結論」です。つまり、「私が貴社を志望する一番の理由はこれです!」という、志望動機の核心部分を最初に伝えましょう。
例えば、「貴社の〇〇という理念に共感し、私もその価値を広める一員として貢献したいと考えたからです」や、「貴社の革新的な△△という事業に将来性を感じ、ぜひ挑戦してみたいと思ったからです」といった形です。
なぜ最初に結論を言うのが良いのでしょうか? それは、話のゴールが最初に分かることで、聞いている人が「これから何についての話が始まるのか」をすぐに理解でき、その後の話に集中しやすくなるからです。自己分析で見つけた「自分のやりたいこと」と、企業研究で見つけた「会社の魅力」を結びつけて、あなたがその会社を志望する最も強い理由を、まずは短い一文で表現してみましょう。
ステップ2:理由「そう思うようになったキッカケや経験」を具体的に話す
ステップ1で「なぜこの会社で働きたいのか」という結論を述べたら、次はその「理由」を具体的に説明していきます。「なぜそう思うようになったのか?」という背景を、あなた自身の経験やエピソードを交えながら語ることで、結論に説得力を持たせることが目的です。
例えば、「貴社の理念に共感した」という結論なら、「〇〇のボランティア活動を通して、人の役に立つことの喜びを知り、同じ価値観を持つ貴社に魅力を感じました」のように、具体的な体験談を話します。また、「貴社の事業に挑戦したい」なら、「学生時代の△△の経験で培った□□のスキルが、貴社の事業で活かせると考えました」といった形で、ガクチカや自己PRと結びつけることも有効です。
ここでのポイントは、あなたの「個性」が伝わるような具体的なエピソードを選ぶことです。その経験を通して何を感じ、何を考えたのかを正直に伝えることで、志望動機に深みが増し、採用担当者の印象にも残りやすくなります。
ステップ3:貢献「入社したら、どのように活躍・貢献したいか」を語る
最後のステップでは、「この会社に入社したら、自分はどのように活躍し、貢献していきたいか」という未来への意欲を伝えます。ステップ1と2で語った「志望理由」を踏まえ、あなたが持つ強みや経験を、その会社でどのように活かしていきたいのかを具体的に示しましょう。
会社は、入社後に自社で活躍し、成長してくれる人材を求めています。「教えてください」「学ばせてください」という受け身の姿勢だけでなく、「自分の〇〇という強みを活かして、貴社の△△の分野で貢献したいです」や、「将来的には□□のような仕事に挑戦し、チームの一員として会社の発展に貢献できる人材になりたいです」のように、主体的に貢献していく意思を示すことが大切です。
企業研究で理解した会社の事業内容や求める人物像と、自己分析で見つけた自分の強みや価値観を結びつけて、入社後の具体的な活躍イメージを語りましょう。熱意を込めて伝えることで、あなたの本気度が伝わり、採用担当者に「一緒に働きたい」と思ってもらえる可能性が高まります。
【要注意!】こんな志望動機はマイナス評価かも?
魅力的な志望動機を作ることも大切ですが、同時に「これは避けた方が良い」というポイントを知っておくことも重要です。自分では一生懸命考えたつもりでも、面接担当者から見ると「ちょっと残念だな…」と思われてしまう志望動機も存在します。ここでは、うっかり書いてしまいがちな、注意したい志望動機の例をいくつか紹介します。自分の志望動機がこれらに当てはまっていないか、一度チェックしてみてください。
どの会社にも言えそうな内容になっていないか?
「社会の役に立ちたい」「コミュニケーション能力を活かしたい」「成長できる環境で働きたい」…これらは立派な考えですが、これだけだと「それって、うちの会社じゃなくてもできるのでは?」と思われてしまう可能性があります。採用担当者は「たくさんある会社の中から、なぜうちを選んでくれたのか」を知りたいのです。
その会社ならではの事業内容や商品、大切にしている考え方、社風、あるいは将来性などに具体的に触れ、「だからこの会社で働きたい」という、あなただけの理由を明確に伝えることが大切です。企業研究で調べた情報をしっかり盛り込み、他の会社ではなく「この会社」を選んだ理由をはっきりさせましょう。
給料や休みなど、条件面ばかりを話していないか?
お給料が良い、お休みが多い、福利厚生が充実している、家から近い…など、こうした「働く条件」は、会社を選ぶ上で気になるポイントですが、志望動機としてこれらの条件面ばかりをアピールするのはあまりおすすめできません。
なぜなら、会社は「仕事そのものに意欲を持って取り組んでくれる人」を採用したいと考えているからです。「条件が良いから」という理由だけでは、「仕事内容には興味がないのかな?」「条件が悪くなったら辞めてしまうかも?」と、仕事への熱意を疑われてしまう可能性があります。待遇面への関心を示すこと自体は悪くありませんが、志望動機では仕事への意欲や貢献意欲を中心に伝えるようにしましょう。
会社の考え方とズレたことを言っていないか?
企業研究が浅いと、気づかないうちに会社の考え方や方針と、あなたのやりたいことがズレてしまうことがあります。例えば、チームで協力することを何よりも大切にしている会社に対して、「一人で集中して成果を出したい」とアピールしたり、安定を重視する社風の会社に「常に変化を求めてリスクを取りたい」と伝えたりすると、採用担当者は「うちの会社とは合わないかもしれないな」と感じるでしょう。
これは「会社のことをちゃんと調べていない」という印象にもつながります。会社のホームページや説明会などで、企業が何を大切にし、どんな方向を目指しているのかをしっかり理解することが重要です。その上で、自分の考えや強みと会社の方向性がどのように合っているのかを伝えるようにしましょう。
「学ばせてほしい」という受け身な姿勢だけになっていないか?
特に新卒の場合、「仕事を通して学びたい」「成長したい」という気持ちを持つことは自然ですし、大切なことです。しかし、志望動機で「学ばせてほしい」「成長させてもらいたい」といった受け身の言葉ばかりを強調するのは注意が必要です。会社は学校ではありません。もちろん教育はしてくれますが、最終的には会社に貢献してくれることを期待しています。
「学びたい」という意欲を示すだけでなく、「学んだことを活かして、このように会社に貢献したい」「自分の〇〇という強みを活かして、△△の分野で活躍したい」といった、自分から会社のために行動していく、という前向きで主体的な姿勢を示すことが大切です。「貢献」という視点を忘れずに、あなたの熱意を伝えましょう。
志望動機を魅力的に伝えるためのポイント
これまで、志望動機の基本的な作り方や注意点について見てきました。ここではさらに一歩進んで、あなたの志望動機をより魅力的にし、採用担当者に「この人と一緒に働きたい!」と思ってもらうためのポイントを紹介します。
ちょっとした工夫や意識の違いで、志望動機の伝わり方は大きく変わる可能性があります。これから挙げるポイントを参考に、あなたの志望動機をさらに磨き上げてみましょう。
自分の言葉で正直に話す
インターネットの例文サイトや就活マニュアルには、たくさんの志望動機の例が載っています。しかし、それらの言葉をそのまま使うのはあまりおすすめできません。借り物の言葉は、どうしても表面的な印象になりがちで、あなたの本当の熱意や個性が伝わりにくくなってしまう可能性があるでしょう。
たとえ少し言葉遣いが上手でなくても、あなた自身の経験や考えに基づいた正直な言葉で語ることの方が大切です。その方が、誠実さが伝わり、採用担当者の心に響くことが多いでしょう。自己分析で見つけた想いや、企業研究を通して感じた魅力を、ぜひあなた自身の言葉で表現してみてください。それが共感を得る第一歩になるはずです。
具体的なエピソードを盛り込む
「頑張ります」「貢献したいです」といった言葉だけでは、残念ながら相手には具体的に何も伝わりません。なぜそう思うのか、その根拠となるあなた自身の具体的な経験やエピソードを交えて話すことで、志望動機にぐっと説得力が増します。
例えば、「貴社の〇〇事業に貢献したい」という思いがあるなら、「学生時代の△△の経験で、〇〇の重要性を実感し、その経験で培った□□の力を活かして貢献したいです」のように話すと、より具体的になります。どんな状況で、何を考え、どう行動したのかを簡潔に伝えることで、あなたの人柄や能力も相手に伝わりやすくなるでしょう。自己分析で掘り下げたエピソードがここで活きてきます。
熱意や「ここで働きたい!」という気持ちを伝える
志望動機では、論理的に分かりやすく説明することも大切ですが、それと同じくらい「この会社でどうしても働きたい!」という熱い気持ちを伝えることも重要です。どんなに優秀な人でも、入社意欲が低いと感じられてしまうと、採用担当者は採用をためらってしまうかもしれません。
「貴社の〇〇な点に、心から魅力を感じています」「この仕事を通して、△△を実現したいと強く願っています」など、時にはストレートな言葉であなたの情熱を表現することも大切です。特に面接では、自信を持った表情や、ハキハキとした話し方からも熱意は伝わるものです。あなたの本気度を採用担当者にしっかりと伝えることを意識してみましょう。
会社の求める人物像を少し意識してみる
会社は、自社の事業内容や社風に合い、入社後に活躍してくれそうな人材を探しています。そのため、多くの会社がホームページや採用情報ページで「求める人物像」を示しています。企業研究を通して、応募する会社がどんな人に来てほしいと考えているのかを理解しておきましょう。
そして、自己分析で見つけた自分の強みや経験の中から、その「求める人物像」に合っている部分を意識してアピールすることも、好印象につなげるための有効な方法です。ただし、無理に自分を偽る必要はありません。あくまで、あなた自身の良さの中で、会社が求めている要素と重なる部分を強調する、という意識が良いでしょう。
志望動機の例文 (パターン別)
ここまで志望動機の考え方や作り方のポイントを見てきましたが、具体的な例文を読むことで、さらにイメージが湧きやすくなるでしょう。ここでは「新卒」「中途(転職)」「アルバイト」という、応募する状況に合わせた志望動機の例文をそれぞれ紹介します。
ただし、これらの例文はあくまでも参考例です。そのまま使うのではなく、あなた自身の経験や考え、そして言葉で表現することが何よりも大切です。自分の状況に近い例文をヒントにして、あなただけのオリジナルの志望動機を作成してみましょう。
【新卒】志望動機の例文
私が貴社を志望する理由は、企業理念である「技術革新を通じて、人々の暮らしを豊かにする」という想いに強く共感したからです。
大学のゼミで〇〇技術を用いた地域活性化の研究に取り組む中で、技術が持つ可能性と社会への影響力の大きさを実感しました。
特に貴社が開発された△△は、私の研究テーマとも関連が深く、その先進性と社会貢献性の高さに大変魅力を感じています。
学生時代に培った分析力と、目標達成に向けて粘り強く努力する姿勢を活かし、一日も早く貴社の技術開発に貢献できる人材になりたいです。
この例文は、まず結論として「企業理念への共感」という志望理由を明確に示しています。次に、その理由の根拠として「大学での具体的な研究経験(ガクチカ)」を挙げ、企業の事業内容(技術開発)と自分の関心を結びつけています。最後に、自分の強み(分析力、粘り強さ)をどのように活かして貢献したいか、という入社後の意欲を語っています。
新卒の場合、具体的な職務経験はなくても、学生時代の経験から得た学びや強み、そして将来へのポテンシャルや熱意を伝えることが重要になるでしょう。
【中途(転職)】志望動機の例文
現職では〇〇業界の営業職として3年間、新規顧客開拓を中心に担当し、□□のスキルと実績を積んでまいりました。
その経験を通して、より顧客の課題解決に深く関わりたいという想いが強くなり、△△分野において顧客第一主義を徹底されている貴社に魅力を感じ、志望いたしました。
特に貴社の◇◇というサービスは、私のこれまでの経験で得た知識や提案力が直接活かせると考えております。
即戦力として売上向上に貢献するとともに、将来的にはチームマネジメントにも挑戦し、貴社の更なる発展に貢献したいです。
中途採用の例文です。新卒と違い、具体的な「職務経験」と「スキル」を明確に示すことが求められます。この例文では、まず現職での経験と実績を簡潔に述べ、それが「なぜ転職したいのか」という前向きな理由に繋がっていることを示しています。
そして、「なぜこの会社なのか」を、会社の強みと自身の経験・スキルを結びつけて説明しています。最後に、即戦力としての貢献意欲と、将来的なキャリアへの意欲を示している点もポイントでしょう。
【アルバイト】志望動機の例文
以前より貴店(※お店の名前など)の商品が好きでよく利用しており、いつも丁寧で明るいスタッフの方々の接客に好感を持っていました。
私も貴店の一員として、お客様に喜んでいただけるようなサービスを提供したいと思い、今回アルバイトに応募いたしました。
飲食店での勤務経験はありませんが、高校時代の部活動で培ったチームワークを大切にする姿勢と、何事にも真面目に取り組む性格には自信があります。
平日は〇時以降、土日は終日勤務可能です。一日も早く仕事を覚え、お店に貢献できるよう精一杯頑張ります。
アルバイトの志望動機では、まず「ここで働きたい」という意欲を素直に示すことが大切です。この例文ではお店への具体的な好感度を理由として挙げています。次に、未経験であっても、部活動の経験や自分の長所など、仕事に活かせそうな点をアピールしています。
また、「勤務可能な曜日・時間」を具体的に伝えることで、採用する側がシフトを考える上で助かる情報を提供しています。最後に、仕事を早く覚えて貢献したいという前向きな姿勢で締めくくっている点も好印象でしょう。
面接で志望動機を伝えるときのコツ
エントリーシートや履歴書で書いた志望動機。書類選考を通過したら、次は面接で自分の口から直接伝える番です。文章で伝えるのとはまた違い、話し方や態度もあなたの印象を左右します。
ここでは、面接で志望動機をより効果的に、そして熱意を込めて伝えるための3つのコツを紹介します。これらのポイントを意識して、自信を持って面接に臨みましょう。
自信を持ってハキハキと話す
面接では、話す内容はもちろん大切ですが、それと同じくらい「どのように話すか」という態度や話し方も見られています。小さな声でボソボソと話したり、下を向いてしまったりすると、どんなに良い内容でも熱意が伝わりにくくなってしまうでしょう。
面接官の目を見て、少しだけ背筋を伸ばし、聞き取りやすい声の大きさでハキハキと話すことを心がけましょう。自信があるように見える話し方は、あなたの言葉に説得力を持たせ、入社したいという強い気持ちを伝える助けになるはずです。
自分の言葉で伝える
事前に準備した志望動機を完璧に伝えたいと思うあまり、文章を丸暗記してしまうと、かえって不自然な話し方になりがちです。棒読みになったり、感情がこもっていないように聞こえたりする可能性があるでしょう。また、途中で言葉に詰まると、続きが出てこなくなるリスクもあります。
大切なのは、話したい内容の「要点」や「キーワード」をしっかり頭に入れておくことです。そして、それらを繋げながら、自分の言葉で話す練習をしましょう。その方が、より自然で気持ちが伝わる話し方になるはずです。
面接官からの質問を予想して答えを準備しておく
面接では、あなたが話した志望動機に対して、面接官がさらに詳しく聞きたいと思い、質問をしてくることがよくあります。「なぜ特にその点に興味を持ったのですか?」「〇〇の経験について、もう少し詳しく教えてください」といった「深掘り質問」です。
こうした質問をいくつか事前に予想し、自分なりの答えを用意しておきましょう。例えば、「なぜそう考えたのか?」「入社後、具体的にどう貢献したいか?」など、自分の志望動機を客観的に見て、聞かれそうなことを考えてみるのです。準備をしておくことで、本番でも落ち着いて対応できるでしょう。
志望動機についてよくある質問(Q&A)
最後に、志望動機について多くの就活生やアルバイト希望の方が疑問に思うこと、悩みがちな点について、Q&A形式でお答えします。もちろん、ここで取り上げる質問以外にも、人それぞれ様々な疑問があるでしょう。もし分からないことがあれば、一人で抱え込まずに、学校の先生やキャリアセンター、信頼できる先輩などに相談してみるのも良い方法です。
Q1. 志望動機って、どれくらいの長さで書けばいいの?
志望動機の適切な長さは、提出する書類の種類や、面接での状況によって異なります。
エントリーシートや履歴書などの書類に書く場合は、まず指定された文字数や記入欄の大きさに合わせるのが基本です。特に指定がない場合、一般的には200字から400字程度が目安となることが多いでしょう。欄の8割以上は埋めるように心がけ、簡潔に、かつ具体的にまとめることが大切です。
Q2. うまく志望動機が思いつかないときは、どうすればいい?
志望動機がうまく思いつかずに悩む人は少なくありません。まずは焦らず、原因を探ってみましょう。もしかしたら、自己分析や企業研究がまだ足りていないのかもしれません。
もう一度、「自分は仕事を通して何をしたいのか」「どんなことに興味ややりがいを感じるのか」といった自己分析を深めてみましょう。過去の経験を丁寧に振り返ることも有効です。
また、応募したい会社の事業内容や企業理念、社風などを、ホームページや説明会などを通して、さらに詳しく調べてみましょう。その会社のどこに魅力を感じるのか、具体的に言葉にしてみるのです。友人や家族、先生などに相談してみるのも良いでしょう。
Q3. 複数の会社を受けるとき、志望動機は使い回してもいい?
結論から言うと、作成した志望動機を全く同じ内容で複数の会社に使い回すのは避けるべきです。なぜなら、志望動機は「なぜ、他の会社ではなく**『この会社』**で働きたいのか」を伝えるものだからです。それぞれの会社には、異なる魅力や特徴があるはずです。
完全に同じ内容を使い回すと、企業研究が不足していると思われたり、入社への熱意が低いと判断されたりする可能性が高いでしょう。ただし、自己分析で見つけた「仕事選びの軸」や「自分の強み」など、共通する部分はあって当然です。その共通の軸を土台にしつつ、応募する会社ごとに、その会社ならではの魅力と結びつけて内容を調整し、会社ごとにカスタマイズすることが重要です。
自信を持って志望動機を伝えよう
この記事では、「志望動機とは何か?」という基本から、その準備となる自己分析や企業研究の方法、魅力的な志望動機を作るための3ステップ構成、注意すべきNG例、そして面接での伝え方のコツやよくある質問まで、詳しく解説してきました。
志望動機を考えるプロセスは、少し大変に感じるかもしれませんが、自分自身が将来何をしたいのか、どんなことに価値を感じるのかを深く見つめ直す、とても良い機会になるでしょう。また、世の中にはどんな会社があり、社会にどう貢献しているのかを知るきっかけにもなります。
完璧なものを目指しすぎず、この記事で紹介したポイントを参考にしながら、まずはあなた自身の言葉で、正直な気持ちを表現してみましょう。しっかりと準備をして、自信を持って、あなたの熱意を志望動機に乗せて伝えてください。