新卒の就活では、ES(エントリーシート)と履歴書を提出する「書類選考」や、一次から最終まで複数回にわたる「面接」が実施されます。そのなかで志望動機は必ず聞かれる質問の一つです。
今回は、就活における志望動機について解説します。具体的な例文をはじめ、企業の質問意図や魅力的な伝え方のポイント、ES・面接での注意点などもまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。
就活の「志望動機」とは?
志望動機は、履歴書やES(エントリーシート)に記載したり、面接で回答を求められたりすることが多い項目の一つです。学生のなかには「待遇がいいから」「特に理由はないけど良さそうだから」と企業選びをする人もいますが、いい加減に答えてしまうと書類選考や面接を通過することは難しいでしょう。
そこで、まずは企業が志望動機を尋ねる理由について解説します。選考通過だけでなく、企業への熱意を伝えるためにもそれぞれ把握しておきましょう。
【就活生の志望動機を尋ねる理由1】志望した理由を知るため
企業はどういった理由から就活生が自社を志望したのか、理由を聞いてみたいと考えています。仮に、どこの企業にも使えそうな志望動機を伝えてしまうと、「準備していないのかな」「ほかの会社でもいいのでは?」と思われるかもしれません。
そこで、競合他社や数ある企業のなかで、なぜその会社を選んだのかを伝えることが大切です。その企業の特徴や他社との比較を盛り込んで、説得力のある志望動機を伝えましょう。
【就活生の志望動機を尋ねる理由2】入社意欲の高さを確かめるため
応募者の入社意欲が高いかどうかを判断するために、志望動機を尋ねる可能性も高いです。入社意欲の高さといっても、重視されるのは自社で長く貢献してくれそうな人材かどうか。そのため、志望動機を伝える際は、将来のキャリアビジョンや入社後の展望を盛り込み、その企業だからこその熱意を伝えることが大切です。
【就活生の志望動機を尋ねる理由3】求める人物像に合致しているか知るため
企業側は面接全体を通じて、応募者が求める人物像と合致しているかどうかを確かめています。特に志望動機に関する質問は自社とのマッチ度を確かめやすい質問なので、「自社と合わない」と判断されると落とされてしまうかもしれません。
そこで、志望動機には「企業がどんな人材を求めているのか」を意識してアピール内容を調整するのが重要です。これには自分と企業への理解を深める必要があるため、時間に余裕を持って準備を進めましょう。
就活の志望動機を作る前に必要な準備
志望動機を通じて、企業は入社意欲の高さや自社とのマッチ度を確かめていますが、効果的なアピールをするためには入念な準備が必要です。できるだけスムーズに志望動機を作り上げるためにも、ここで紹介する自己分析と業界・企業研究は必ず行っておきましょう。
【志望動機を作る前の準備1】自己分析
自分の価値観や強み・弱みなどを知るために自己分析は欠かせない作業です。また、自分が目指すキャリアや就活の軸を明らかにすることにも役立つので、就活を始めるときや選考対策を行うときなどにも役立ちます。
就活の軸が明確になれば企業選びでのミスマッチを未然に防ぐことができ、自己分析で明らかになった自分の強みや長所は、ESや面接でのアピールポイントになります。
自己分析の方法はモチベーショングラフや自分史、SWOT分析などがありますが、おすすめはキミスカの自己分析ツールです。簡単な質問に答えていくだけで自分がどんな人間なのか、強み・弱みやタイプ別の適職グラフを出力してくれるので、効率よく就活を進められます。
学生は無料で利用できるので、これを機に自己分析ツールを試してみてください。
【志望動機を作る前の準備2】業界・企業研究
企業の求める人物像を明確にしておいたほうが、面接官に刺さる志望動機を作成できます。また、業界研究と企業研究を行って志望動機を考える際は、以下のポイントを具体的にまとめておきましょう。
なぜその業界を選んだのか
なぜその企業を選んだのか
入社後に何を実現したいのか
志望動機の内容としてよく選ばれるテーマとして、以下が挙げられます。
就活の軸
業界・業種
サービス内容
企業理念・社風
経営者・人材
当たり障りのない志望動機だと、面接官の印象に残らないかもしれないので、ぜひ説得力のある志望理由を考えてみてください。
就活の志望動機を魅力的に伝えるコツ
魅力的な志望動機に仕上げるためには、内容だけでなく伝え方のコツを押さえておく必要があります。というのも、その企業ならではの魅力や熱意を盛り込んでも、内容が支離滅裂だったり話が長くなったりすると、相手に伝わらない可能性があるためです。
志望動機をはじめ、ESや面接で企業側にアピールする場合はPREP法を活用しましょう。これは、結論・理由・具体例・結論の順に話を展開するフレームワークで、相手は話の内容を論理的に理解しやすくなります。
各ステップの詳細については、以下を確認していきましょう。
【志望動機の伝え方のコツ1】結論
あなただけの魅力的な志望動機を伝えるためにも、まずは「私が御社を志望した理由は◯◯だからです」と、結論から伝えましょう。最初に結論から述べることで、伝えたいことが相手に分かりやすくなり、その後の話に関する興味を引くことができます。
【志望動機の伝え方のコツ2】理由
続いて、志望した理由について詳しく説明していきます。理由について述べる際は、同業他社ではなく「その企業だからこそ」の理由をアピールすることで、入社意欲の高さを評価してもらえるでしょう。
【志望動機の伝え方のコツ3】具体例
結論と理由を伝えた後は、説得力を持たせるために例として具体的なエピソードを伝えましょう。志望しようと思ったきっかけとなる体験や、自分のスキルについてなど、具体例に制限はありませんが、できるだけ具体的にまとめることが大切です。
【志望動機の伝え方のコツ4】結論
最後に再び結論を伝えますが、表現を変えて「その企業でないといけない理由」を述べましょう。他の企業にも言えることだと説得力に欠けるため、志望している企業に特化した理由を伝えることが重要です。
【志望動機の伝え方のコツ5】「入社後の展望」で締める
PREP法では結論・理由・具体例・結論までですが、入社意欲の高さをよりアピールするために「入社後の展望」で締めるのもおすすめです。入社後の具体的なビジョンをアピールすることで、企業や業務への熱意をはじめ、あなたを採用した場合のメリットが企業側に伝わります。
就活「志望動機」の良い例・悪い例
志望動機のポイントについて解説してきましたが、どういった内容に仕上げれば良いのでしょうか。ここからは、志望動機の良い例・悪い例をそれぞれ紹介します。
【就活「志望動機」の例文】良い例
まずは良い例から見ていきましょう。以下の例文では、話の展開をPREP法でまとめ、その企業ならではの特徴や入社後の展望を盛り込んでいます。
私が貴社を志望したのは、貴社が「お客様とともに成長する」という企業理念を持っているためです。業界トップでありながらお客様のニーズを汲み取り、より高品質なサービスを提供する貴社の姿勢は、私がアルバイトを通して学んだ「お客様のニーズを先周りして満たす」という信念と共通していると考えています。
実際に貴社のサービスを利用して「いかに利用者の利益を追求しているか」について身を以て実感し、私もお客様の生活をサポートしたいと考えるようになりました。貴社ではアルバイトで身につけた潜在ニーズへ先回りできる提案力を活かし、一人ひとりに合った提案ができる営業マンになります。
【就活「志望動機」の例文】悪い例
続いては悪い例です。あなたが面接官になったつもりで読み、採用したい人材かどうか考えてみましょう。
私が貴社を志望したのは、「お客様とともに成長する」という企業理念に共感したためです。また、貴社のサービスは非常に使い勝手がよく、実際に自分も提供してみたいと思いました。入社後は先輩社員についてしっかりと勉強し、営業について学びたいと考えています。将来は独立を目指しているため、資格取得支援をしている点にも魅力を感じました。
【選考別】就活「志望動機」の注意点
最後に、ESや履歴書に志望動機を書くとき、面接で志望動機を伝えるときの注意点を紹介します。
【就活「志望動機」の注意点1】ES・履歴書に書く場合
ESや履歴書には、志望動機に関する設問が設けられている可能性が高いです。その際の注意点として、以下のポイントを押さえておきましょう。
記入欄の8割以上を目安にまとめる
誤字脱字に気をつける
文章のねじれに気をつける
履歴書とESで書き分ける
なお、ESと履歴書のどちらにも志望動機の記入欄が設けられている場合があります。履歴書の記入欄はESよりも小さいことが多いため、履歴書にはESで書いた志望動機の要約を記載しましょう。
【就活「志望動機」の注意点2】面接で伝える場合
続いて、面接で志望動機を伝える際の注意点を見ていきましょう。
深掘りの質問に備えておく
ESと面接で話の内容に一貫性を持たせる
面接ならではの注意点として、深掘りの質問があります。学生の志望動機を聞いた面接官が、「当社を志望した理由の◯◯について、具体的にどういったことをされましたか?」と追加の質問をする可能性があるため、模擬面接などで慣れておきましょう。
また、ESや履歴書に記載した志望動機とかけ離れたことを伝えてしまうと、「嘘をついているのでは?」と思われかねないため、一貫性を意識することも大切です。
就活生は志望動機で自分らしさをアピールをしよう!
志望動機は企業への入社意欲の高さをストレートに伝えられる絶好の機会です。しかし、何の対策もなしに選考に臨んでしまうと、あなたの熱意が企業側に届かない可能性もあります。ぜひ本記事で紹介したポイントを参考に、魅力あふれるあなただけの志望動機を作成してみてください。