ES(エントリーシート)や履歴書、面接などの選考対策をおこなう就活生は多くいますが、意外とつまずくこともあるのがグループディスカッションです。もちろん企業によってはグループディスカッションをおこなわないところもありますが、選考に含まれている場合はきちんと対策をしておきましょう。
そこで、本記事ではグループディスカッションの基本的なことから、よくあるテーマや評価ポイントまで詳しく解説していいます。ぜひ対策に役立ててみてください。
就活のグループディスカッションとは?
「GD」や「グルディス」と略されることもあるグループディスカッションは、与えられたテーマについてグループごとに議論し結論を出させる選考方法の一つです。ES(エントリーシート)や面接では確認できない学生の一面を見られるため、グループディスカッションを選考に取り入れている企業は少なくありません。
なお、就活生が混同しがちな「グループワーク」は、議論をする点は共通していますが、その後で成果物の提出や発表を行うのが特徴的です。本記事ではグループディスカッションを「GD」と略して解説していきます。
【就活のGDとは?1】形式
GDの形式は主に4つあり、それぞれの特徴は以下のようになります。
形式 | 特徴 |
討論/ディベート型 | 賛成・反対のように対立するグループに分かれ、それぞれの立場に立って議論を進める |
課題解決型 | 企業に関連する課題や時事問題などの課題が出され、グループで解決策を議論する |
選択型 | 複数ある選択肢のなかから、答えあるいは優先順位を選ぶ議論をおこなう |
自由討論型 | 「100万円持っていたらどうするか」など抽象的なテーマをもとに自由に議論をおこなう |
【就活のGDとは?2】所要時間
就活におけるGDの所要時間は、30分前後であることがほとんどです。ただ、企業によっては1時間近くGDをおこなう場合もあるため、選考前の案内あるいは選考時の説明をよく聞いておきましょう。
【就活のGDとは?3】1グループの人数
GDでは、1グループあたり5名以内になることが多いです。ただ、企業規模などによって異なる場合もあり、10名ほどのグループで議論を進める場合もあります。
【就活のGDとは?4】オンラインGD
近年はオンラインでGDをおこなう企業も増えてきました。学生自身でパソコンやネット環境などを整えておく必要があるほか、発言が他の就活生と被りやすくなるので、話すタイミングにも気をつけましょう。
また、GDをおこなうソフトやアプリによっては、自分の名前を設定できるものもあります。その場合は氏名と読み仮名を記載しておきましょう。
就活のグループディスカッションでの役割分担
続いて、GDでの主な役割分担を5つ紹介します。
【就活のGD役割1】司会
司会はグループ内のメンバーに話を振って、議論を円滑に進める役割を担っています。全員の意見が出るように全体を見ながら進め、話題が逸れないようコントロールするのが特徴的です。
【就活のGD役割2】書記
書記はグループで話し合った内容をメモし、主張や意見をまとめていく役割を担います。ただメモすれば良いわけではなく、話の要点をまとめる力や共通点などを見つける力が必要です。
【就活のGD役割3】タイムキーパー
ディスカッションの時間を計りながら、話し合いの進行やペースをコントロールするのがタイムキーパーです。議論を始める前に、結論を出すまでのタイムスケジュールをメンバーと相談しながら決めるほか、状況に応じて時間を変更するなど柔軟な対応力が必要です。
【就活のGD役割4】アイデアマン
アイデアマンは、GDを進めていくうえで欠かせない存在です。しかし、アイデアマンだけが話をしている状況はディスカッションとは言えません。ディスカッションのゴールはグループで結論を出すことなので、周囲を気にかけながらアイデアを出しましょう。
【就活のGD役割5】発表者
GDでは話し合いが終わってから結論や意見を発表することがあり、そこで登場するのが発表者です。GDだけでなく発表の時も制限時間が設けられているため、ディスカッションの内容を簡潔に分かりやすく伝えるスキルが欠かせません。
就活でのグループディスカッションの進み方
ここからは、どのようにGDが進んでいくのかを紹介します。
【就活でのGDの進み方1】企業からテーマなどを共有される
GDでは、まずグループ分けが行われます。そして、GDのテーマや制限時間、最後の発表方法などを伝えられます。
ディスカッション中の様子だけでなく、最後の発表も評価対象となっている可能性があるため、よく聞いておきましょう。
【就活でのGDの進み方2】グループ内で自己紹介
GDではすぐにディスカッションを始めるのではなく、分けられたグループ内で自己紹介をします。初対面で緊張するかもしれませんが、それぞれに意見が出やすくなるよう、アイスブレイクしておきましょう。
【就活でのGDの進み方3】役割を決める
グループ内でのあいさつが終わったら、それぞれの役割を決めていきます。司会、書記、タイムキーパー、アイデアマン、発表者など、自分に合った役割も大事ですが、他の就活生の適性なども考慮して決めるのがおすすめです。
【就活でのGDの進み方4】意見を出し合いグループで議論する
GDが始まったら、グループ内で意見を出し合って議論を進めます。いきなり意見を出すのが難しいテーマの場合は、最初に考える時間を設けてから議論をおこないましょう。
【就活でのGDの進み方5】意見をまとめる、制作物の作成
全員が意見を出したら、討論の内容をまとめて結論を導き出していきます。企業によってはGDの結論を発表するだけでなく、制作物の作成と発表をおこなう場合があるので、全員で協力して進めましょう。
【就活でのGDの進み方6】グループごとに発表する
グループ内の討論内容をまとめ、場合によっては制作物を用意できたら、いよいよ発表です。企業から与えられた課題に対し、どういった結論が出たのか、ディスカッションで出た意見などをおり混ぜながら発表しましょう。
就活でよくあるグループディスカッションのテーマ
就活でGDがおこなわれる場合、以下のようなテーマが頻出です。
テーマ | 概要/例 |
ビジネス型 | 実際のビジネス課題をテーマに、解決策を考える 例:年々売り上げが落ちているケーキ屋さんの売り上げを改善する方法 |
課題解決型 | 時事など幅広いテーマがあり、課題に対する解決策を考える 例:生成AIの普及による社会の変化と人間に必要な対応 |
選択型 | テーマに関する選択肢が複数あり、回答や優先順位を導き出す 例:企業はリモートワークを導入するべきか |
作業型 | 与えられた課題に合わせて作業をおこなう 例:用意された材料を使って近未来の港区を描いてください |
就活のグループディスカッションでの評価ポイント
企業はGDを通じて就活生が自社に合った人材かどうかをチェックしています。そのため、発言するのが苦手な人だったとしても、ディスカッションに話し合いに参加する姿勢を見せれば評価されるかもしれません。また、GDは役割に分かれて進められるため、自分が活躍できるポイントを見つけて積極的に参加しましょう。
ここでは、GDで特に評価されやすいポイントを4つ紹介します。
【就活のGDでの評価ポイント1】コミュニケーション能力
GDではコミュニケーション能力が見られていることもあります。ここで言うコミュニケーション能力は、グループ内のメンバーにも気を配りながら発言できているか、相手の話を聞いて議論を進められているかなどです。
【就活のGDでの評価ポイント2】思考力
企業は学生の思考力をGDで見ているかもしれません。一般的な意見ではなく自分らしい意見を述べられれば、高評価を得られるでしょう。
【就活のGDでの評価ポイント3】論理性
GDでは学生のアイデア力を見ているほか、論理性が見られている可能性もあります。アイデアマンのように多数の意見を述べることも大事ですが、主張の理由や結論を論理的に述べられれば、企業に好印象を残せるでしょう。
【就活のGDでの評価ポイント4】積極性
GDに積極的に参加しているかどうかが評価ポイントになっている場合もあります。というのも、企業によってはGDを通じて入社意欲を確かめたいと考えているケースもあり、積極的に参加している学生であれば、入社後も積極的に貢献してくれると期待できるからです。
グループディスカッションのトラブルや対処方法
GDが得意な学生よりも、どちらかと言えば苦手と考えている学生は少なくないでしょう。そこで最後にGDを乗り越えるコツを紹介します。
【就活GDの対処方法1】何が苦手か事前に把握しておく
GDに対して苦手意識を持っている人は、具体的に何が苦手なのかを把握しておきましょう。アイデアを出すのが苦手な人は、書記やタイムキーパーなど自分の得意な役割で活躍できるよう工夫するのがおすすめです。
【就活GDの対処方法2】苦手なことを共有する
GDが始まる前の自己紹介などの時間を使って、自分の苦手なことをメンバーに共有するのも一つの手です。例えば「普段は発言するのが苦手なタイプですが、今日は積極的に参加できるように頑張ります」などと伝えれば、グループ内でフォローしてもらえるかもしれません。
ただし、どれだけ苦手なことであっても積極性は大事なので、苦手なことを避ける目的で伝えないように注意してください。
【就活GDの対処方法3】ノートにメモする
GDが始まったら、書記でなくても気になったポイントや話の要点をメモしておきましょう。あわせて、思いついたアイデアも記載しておくと論理的に話しやすくなり、意見を述べ忘れることも防げます。
【就活GDの対処方法4】クラッシャー行為に注意する
GDで注意したいのは「クラッシャー行為」です。これは、他者の意見を批判する行為をはじめ、自分の主張ばかりで他の人の話を聞かない行為を指しています。もちろん積極的に意見を出すことは大切ですが、GDでは他のメンバーとも協力して結論を出すことが重要です。
自分がクラッシャーにならないよう気をつけるほか、グループ内にクラッシャーがいたときは放置せずに冷静に対処しましょう。
【就活GDの対処方法5】オンラインで電波が悪い人には配慮をする
オンラインでGDをおこなう場合、まれに電波や接続状況が悪い人もいます。そのような場合はチャット機能を使って意見を拾ったり共有したりと、適切な配慮を心がけましょう。
就活のグループディスカッションのポイントをおさえよう
ディスカッションと聞くと身構えてしまう学生も少なくありませんが、自分の得意・不得意を把握して臨めば悪い評価を下されることはありません。むしろ積極的に参加する姿勢を見せることで、GDの選考を通過する可能性が高まるでしょう。
これからGDに臨む就活生は、ぜひ本記事で紹介したポイントを参考に自分らしい主張や活躍をしてみてください。