
「OB訪問」という言葉、サークルや大学のガイダンスで最近よく耳にするけど、今さら「それって何?」とは聞きづらい…。そんな風に感じていませんか?就職活動を始めたばかりの皆さんにとって、OB訪問は聞き慣れない言葉かもしれません。難しそう、面倒くさそう、と感じるかもしれませんが、実はあなたにとって、最高の味方になってくれる活動なのです。
この記事では、就活のプロがOB訪問のメリットからやり方まで、1から丁寧に解説していきます。この記事を読めばOB訪問への不安が自信に変わるはずです。
OB訪問とは?一言でいうと「社会人の先輩へのインタビュー」活動
難しく考える必要はありません。OB訪問とはとてもシンプルに言うと「あなたが興味のある会社で働いている、大学の先輩に個別に話を聞かせてもらう活動」のことです。
会社説明会のように大勢で話を聞くのではなく、カフェや会社の会議室などで、一対一、もしくは少人数でじっくりと話せるのが大きな特徴です。あなたがインタビュアーになって、社会人の先輩に仕事や会社について質問できる、と考えると分かりやすいでしょう。
誰に訪問するの?OB・OGとは
OB・OGという言葉は、それぞれ「Old Boy」「Old Girl」の略で、自分と同じ大学を卒業した男性・女性の先輩を指します。つまり、あなたにとっては大学の先輩にあたる社会人ということです。
同じ大学出身という共通点があるため、全く知らない社会人に話を聞きに行くよりも、親近感が湧きやすく、話も弾みやすい傾向にあります。近年は性別を問わず「OB/OG」とまとめて表記したり、「社員訪問」と呼んだりすることも増えています。
なぜOB訪問をするの?就活でやるべき3つの目的
「OB訪問がどんな活動かは分かったけど、なぜわざわざそんなことをする必要があるの?」と思いますよね。OB訪問はただ何となく話を聞きに行くだけでは、その価値を十分に引き出せません。
しっかりとした目的意識を持つことで、あなたの就職活動を大きく前進させる力になります。ここでは代表的な3つの目的を見ていきましょう。
目的1:リアルな情報を手に入れ、企業理解を深める
OB訪問の最大の目的は、インターネットや会社説明会では得られない「リアルな情報」を手に入れることです。実際にその会社で働く先輩から仕事のやりがいや面白さはもちろん、大変なことや厳しい現実についても聞くことができます。
企業の「生の声」に触れることで、表面的な情報だけでは分からない企業の本当の姿を深く理解することができるのです。
目的2:社会人と話すことに慣れ、面接の練習にする
多くの学生にとって、社会人と一対一で長時間話す機会はほとんどありません。OB訪問は、目上の方とのコミュニケーションに慣れる絶好の機会です。
きちんとした敬語の使い方や、相手の話を真剣に聞く姿勢、的確な質問をする力など、ここで経験することは全て、本番の面接に活きてきます。OB訪問は、本番さながらの最高の面接シミュレーションになるのです。
目的3:自分のキャリアを見つめ直し、自己分析に役立てる
様々な業界で働く先輩たちの話を聞くことは、「自分は将来どうなりたいのか」「どんな働き方がしたいのか」を考える大きなきっかけになります。
先輩のキャリアプランや仕事への価値観に触れることで、漠然としていたあなた自身の将来像が、より具体的になっていきます。OB訪問は、社会という鏡を通して、自分自身を見つめ直す自己分析の機会でもあるのです。
OB訪問で得られる5つの大きなメリット
目的を理解したところで、次はOB訪問をすることであなたにどんな良いことがあるのか、具体的なメリットを5つ紹介します。
「面倒くさい」という気持ちが、「ぜひやってみたい!」に変わるかもしれませんよ。
メリット1:Webサイトにはない「生の情報」が聞ける
企業のウェブサイトに書かれているのは、あくまで企業の「公式な顔」です。しかしOB訪問では、職場のリアルな雰囲気や、社員だけが知っている社内の文化、具体的な1日の仕事の流れなど、働き手の目線でしか語れない「本音」を聞くことができます。この「生の情報」こそが、OB訪問で得られる最大の価値と言えるでしょう。
メリット2:入社後のミスマッチを防げる
「こんなはずじゃなかった…」と入社後に後悔する最も大きな原因は、企業とのミスマッチです。OB訪問で仕事の良い面だけでなく、大変な面や自分に合わなそうな部分についても事前に知っておくことで、こうしたミスマッチを未然に防ぐことができます。自分に本当に合った会社かを見極めるための、重要な判断材料になるのです。
メリット3:就活へのモチベーションが上がる
就職活動は時に孤独で、先の見えない不安な気持ちになることもあります。そんな時、楽しそうに、そして誇りを持って仕事について語る先輩の姿を見ることは大きな刺激になります。
「自分もあんな風に働きたい!」という憧れが、就職活動を乗り切るための強いモチベーションに繋がるはずです。
メリット4:社会人の人脈ができる
OB訪問を通じて築いた先輩との繋がりは、あなたにとって貴重な財産になります。就職活動で悩んだ時に相談に乗ってもらえたり、時には他の社員の方を紹介してもらえたりすることもあるかもしれません。
社会に信頼できる知り合いがいる、ということは、これからのあなたの人生において大きな心の支えになります。
メリット5:選考で有利になることも?
OB訪問は、原則として選考活動とは関係ありません。しかし、あなたが訪問で素晴らしい質問をしたり、熱意ある態度を示したりすれば、OBの方がそのことを人事部に伝えてくれる可能性はゼロではありません。
直接的ではないにせよ、「今年、〇〇大学にすごく優秀な学生がいたよ」というポジティブな情報が、間接的にあなたの評価を後押ししてくれることもあるのです。
OB訪問はいつから始めるべき?
「OB訪問の価値は分かったけど、じゃあ、いつ頃から始めればいいの?」という疑問も湧いてきますよね。
就職活動のスケジュールに合わせて、最適なタイミングで行動することが、OB訪問を成功させる鍵の一つです。
大学3年生の夏~冬がおすすめ
OB訪問を始めるのにおすすめの時期は、大学3年生の夏休みから企業の採用情報が公開される直前の2月頃までです。この時期は企業の採用活動が本格化する前なので、OB・OGの先輩たちも比較的スケジュールに余裕があります。
あなた自身も焦らずにじっくりと自己分析や企業研究に取り組めるため、有意義な訪問になる可能性が高いでしょう。
簡単4ステップ!OB訪問の基本的な流れ
「でも、やり方が難しそう…」と心配する必要はありません。OB訪問の基本的な流れは実はとてもシンプルです。
この簡単な4つのステップさえ覚えておけば、誰でもOB訪問をすることができます。
ステップ1:会いたいOB・OGを探す
まずはあなたが話を聞きたいと思う企業のOB・OGを探すことから始めます。探し方は大学のキャリアセンター(就職課)に相談するのが最も王道です。
その他にもゼミの教授やサークルの先輩に紹介してもらったり、最近ではOB訪問専用のアプリを使ったりする方法もあります。
ステップ2:メールで訪問を依頼する
会いたい先輩が見つかったら、メールで丁寧に訪問を依頼します。「〇〇大学の〇〇と申します。〇〇様のお仕事に興味があり、ぜひお話をお伺いしたくご連絡いたしました」といったように、自己紹介と目的を明確に伝えることが大切です。
失礼のないように言葉遣いには細心の注意を払いましょう。
ステップ3:準備をして訪問・質問する
無事にアポイントが取れたら、当日に向けて準備をします。訪問する企業のことを事前に調べ、聞きたいことを質問リストとしてまとめておきましょう。
当日はマナーを守り、感謝の気持ちを忘れずに、準備した質問をぶつけてみましょう。あなたの熱意が伝わるはずです。
ステップ4:訪問後にお礼のメールを送る
OB訪問は話を聞いて終わりではありません。あなたのために貴重な時間を割いてくれた先輩に対して、訪問後にできるだけ早く感謝の気持ちを伝えるお礼のメールを送りましょう。
これが社会人としての基本的なマナーであり、良い関係を築くための最後の仕上げです。
OB訪問に関するよくあるギモン
最後に就活を始めたばかりの皆さんが抱きがちな、OB訪問に関する素朴な疑問について、Q&A形式でお答えします。ここでスッキリ解消しておきましょう。
Q1. 「OG訪問」とは違うの?
Q2. OB訪問をやらないと不利になりますか?
Q3. 会社説明会とは何が違うの?
OB訪問は怖くない!社会を知るための一歩を踏み出そう
ここまで読んで、OB訪問の正体や、その価値について、お分かりいただけたでしょうか。OB訪問は、決して難しいものでも、怖いものでもありません。むしろ、就職活動という先の見えない旅の始まりに、社会という世界の地図を手に入れるための、最高の冒険のようなものです。
仕事について真剣に、そして楽しそうに語る先輩たちの姿は、きっとあなたに勇気と希望を与えてくれます。まずは、ほんの少し興味がある、くらいの気持ちで大丈夫。あなたの大学の先輩を探すことから、新しい一歩を踏み出してみませんか。