志望動機を難しく考えすぎ?すごい経験は不要!シンプルな伝え方と例文

就活の対策本を読み込み、ネットで完璧な例文を探すほど、かえって「何を書けば良いか分からなくなった…」と、パソコンの前で固まっていませんか?真面目に就活と向き合っている人ほど、志望動機を難しく考えすぎてしまい、自分の言葉を見失ってしまうことがあります。

この記事はそんな「考えすぎの沼」にハマってしまったあなたのための救出ガイドです。すごい経験も難しい言葉も必要ありません。あなたの想いが伝わる、シンプルで力強い志望動機の作り方を見ていきましょう。

あなただけじゃない!真面目な人ほど「志望動機を考えすぎる」罠

まず安心してください。志望動機を考えすぎてしまうのは、あなたが真剣に就職活動に取り組んでいる証拠です。しかしその真面目さが、かえってあなたの魅力を消してしまっているとしたら、非常にもったいないことです。

まずは、なぜ考えすぎた志望動機が評価されにくいのか、その理由を知ることから始めましょう。

難しく考えすぎる志望動機が評価されない3つの理由

背伸びをして難しい言葉や複雑なロジックで固めた志望動機は、実は採用担当者には響きません。

なぜなら、①あなた自身の「人柄」が見えず、②本当に伝えたい「熱意」が伝わりにくく、③結果として「共感」しづらい文章になってしまうからです。採用担当者は、完璧な作文を読みたいのではなく、不器用でもあなた自身の言葉で語られる素直な想いを知りたいのです。

志望動機の「核心」は3つだけ

もしあなたが考えすぎの沼にハマっているなら、一度全ての情報をリセットして思考をシンプルにしてみましょう。

企業が志望動機で本当に知りたい「核心」は、突き詰めればたったの3つだけです。

1. なぜ、この会社なのか?(企業への接続)

数ある企業の中で、なぜうちの会社に興味を持ってくれたのか。企業はあなたが自社の何を魅力に感じているのかを知りたいと思っています。

これはあなたと企業の価値観が合っているか、というマッチ度を確認する質問です。

2. なぜ、あなたなのか?(自分との接続)

あなたがどんな人間でどんな強みや経験を持っているのか。企業はあなたという人材のポテンシャルを知りたがっています。

これはあなたが入社後に活躍してくれるかどうかを判断するための質問です。

3. 入社して、何をしたいのか?(未来への接続)

あなたと会社が結びついた時、どんな未来が描けるのか。企業はあなたが入社後にどんな目標を持ち、どう貢献してくれるのかを知りたいと思っています。

これはあなたの入社意欲や将来性を確認するための質問です。

難しい言葉もすごい経験も不要!シンプルな志望動機の作り方

志望動機の核心が分かれば、あとは難しく考える必要はありません。

海外留学や起業といった「すごい経験」は不要です。あなたの日常の中にある、素直な感情や経験からシンプルな志望動機を作っていきましょう。

ステップ1:「好き」「楽しい」「悔しい」から始める

まずは、理屈で考えるのをやめて、あなたの素直な感情を書き出してみましょう。

この会社の商品が好き」「アルバイトでお客様と話すのが楽しい」「サークル活動であの時もっとこうすれば良かったと悔しい

そんなシンプルな感情こそが、あなたの志望動機の原石になります。

ステップ2:「なぜ?」を問いかけ、自分の言葉に変換する

次に出てきた感情に対して、「なぜそう感じたんだろう?」と問いかけてみましょう。

なぜ好きなんだろう?」→「細部までこだわったデザインだから

なぜ楽しいんだろう?」→「自分の工夫で人が喜んでくれるから

「なぜ?」を繰り返すことで、ぼんやりとした感情があなただけの具体的な価値観に変わっていきます。

ステップ3:背伸びせず、等身大のエピソードと結びつける

最後に見えてきた価値観をあなたの「等身大のエピソード」と結びつけます。アルバイトやサークル、大学の授業など、どんなに些細な経験でも構いません。「すごい経験」を語る必要は全くありません。

大切なのはその経験から何を学び、感じたのか。その学びと企業の魅力、そして入社後の貢献を結びつけることであなただけの志望動機が完成します。

【例文5選】シンプルだけど、しっかり伝わる志望動機

ここからは難しい言葉や特別な経験を使わなくても、想いが伝わるシンプルな志望動機の例文を5つ紹介します。

あなた自身の経験と重ね合わせながら、参考にしてみてください。

1. アルバイト経験を素直に語る例文

例文1

お客様一人ひとりと真摯に向き合い、長期的な信頼関係を築く貴社の姿勢に惹かれ、志望いたしました。

私はカフェのアルバイトで常連のお客様の好みを覚え、会話を交わすことを大切にしてきました。

その結果、「あなたに会いに来たよ」という言葉を頂けた時、マニュアルを超えた個人の信頼関係にこそ、仕事の喜びがあると感じました。

この経験を活かし、貴社でもお客様一人ひとりのパートナーとして、末永く貢献したいです。

採用担当採用担当

【ポイント】
特別な成果ではなく、「お客様との会話」という日常の一コマを切り取り、そこから得た「仕事の喜び」という価値観を素直に語っています。企業の姿勢と自分の価値観が一致していることを示す、シンプルで誠実な例文です。

2. 自分の「好き」という気持ちを起点にした例文

例文2

私は文房具が持つ「人の創造性を刺激する力」が大好きで、それを多くの人に届けたいと考え、貴社を志望します。

子供の頃から貴社のノートを使うと、何か新しいアイデアが浮かぶようなワクワク感を感じていました。

それは細部にまでこだわったデザインや、書き心地の良さから来るものだと今なら分かります。

私も使う人の心を動かすような「モノづくり」に携わり、誰かの日常に小さなワクワクを届けたいです。

採用担当採用担当

【ポイント】
「好き」という素直な感情を起点に、なぜ好きなのか(=企業の強み)を自分なりに分析し、入社後に自分がしたいこと(=貢献)に繋げています。消費者目線から、作り手側への視点の転換が見事な例文です。

3. 大学での「学び」をきっかけにした例文

例文3

大学の経済学の授業で物流が社会を根底から支える「インフラ」であることを学び、人々の当たり前の生活に貢献する仕事に魅力を感じました。

特に貴社は最新のIT技術を駆使して、業界全体の非効率を解消しようと挑戦されています。

私も現状維持に満足せず、常に改善点を探し、より良い仕組みを考える人間です。

貴社の一員として、社会の血液とも言える物流の未来を創る一助となりたいです。

採用担当採用担当

【ポイント】
授業で得た「気づき」という、学生ならではの経験をきっかけにしています。企業の具体的な取り組み(IT技術の活用)に触れることで、企業研究の深さも示せており、知的な誠実さが伝わる例文です。

4. サークル活動での「役割」を元にした例文

例文4

私は、チームの縁の下の力持ちとして、仲間を支えることにやりがいを感じます。所属していた吹奏楽部では、楽器の運搬や練習場所の確保といった、演奏以外の全ての雑務を担当する「マネージャー」という役割を担っていました。仲間が安心して練習に打ち込める環境を作ることに、一番の喜びを感じていました。貴社の営業事務職として、最前線で活躍する営業の方々を全力でサポートし、組織全体の成果に貢献したいです。

採用担当採用担当

【ポイント】
部長やエースといった華やかな役職ではなく、「マネージャー」というサポート役の経験に焦点を当てています。自分の特性と志望する職種(営業事務)の役割を的確に結びつけた、自己分析の深さが光る例文です。

5. 日常の「課題意識」から考えた例文

例文5

祖母がスマートフォンへの機種変更で苦労している姿を見て、誰もが情報化社会の恩恵を受けられるサービスを創りたいと考えるようになりました。

貴社はシニア向けのスマホ教室を積極的に開催するなど、デジタルデバイドという社会課題に真摯に向き合われています。

私も相手の立場に立って、根気強く丁寧に説明する「寄り添う力」を活かし、情報格差のない、誰もが暮らしやすい社会の実現に貢献したいです。

採用担当採用担当

【ポイント】
身近な人の「困りごと」という日常の課題意識を、企業の具体的な取り組みと結びつけています。社会課題への関心の高さと、温かい人柄が伝わる、共感を呼びやすい例文です。

「考えすぎの沼」から抜け出すための3つの心の持ち方

最後にテクニック以上に大切な、考えすぎのスパイラルから抜け出すための「心の持ち方」を3つ紹介します。

志望動機だけでなく、就職活動全体を通して、きっとあなたの助けになるはずです。

1. 100点ではなく、60点の完成度を目指す

最初から100点満点の完璧な志望動機を書こうとするから、筆が止まってしまいます。まずは60点でいい、と自分に許可を出しましょう。誤字脱字があっても、構成が少し変でも構いません。

とにかく一度、最後まで書き上げてみることが何よりも大切です。完璧な文章は、60点の土台を何度も修正していくことでしか生まれません。

2. 他人と比べない、自分の言葉を信じる

ネットで見かける「内定者の完璧な志望動機」と比べて、自分の経験がちっぽけに感じてしまうかもしれません。しかし、企業はあなたという人間に興味があるのであって、他の誰かと比べているわけではありません。

あなた自身の経験から生まれた、あなた自身の言葉にこそ、魂は宿ります。他人と比べるのをやめて、自分の言葉を信じてあげてください。

3. 一旦寝かせて、客観的な視点で見直す

書けない時、悩んだ時は一度パソコンを閉じて、その日はもう志望動機のことを考えるのをやめてしまいましょう。そして一日か二日、全く関係ないことをして過ごしてみてください。

時間をおいて、新鮮な気持ちで自分の文章を読み返すと、「なんでこんなことで悩んでたんだろう」と、驚くほど客観的に見え、修正点がスラスラと浮かんでくることがあります。

志望動機を考えすぎな人のよくある質問

最後に志望動機を考えすぎてしまう人が抱きがちな、細かな疑問についてお答えします。

ここで不安を解消し、シンプルな思考を取り戻しましょう。

Q1. ありきたりな経験しかなくても大丈夫ですか?

企業企業

A. 全く問題ありません。企業は、経験の珍しさではなく、その経験から何を学び、どう成長したのかを知りたいのです。

アルバイトやサークルといった「ありきたりな経験」でも、そこから得た学びがあなた独自のものであれば、それは立派なアピール材料になります。経験の大小ではなく、学びの深さで勝負しましょう。

Q2. カッコいい言葉を使わないと幼稚に見えませんか?

企業企業

A. むしろ逆です。身の丈に合わない、借り物のカッコいい言葉(ビジネス用語の多用など)は、かえってあなたの話を薄っぺらく、不誠実に見せてしまいます。

多少拙くても、高校生でも理解できるような、シンプルで分かりやすい言葉で語る人の方が、よほど聡明で、誠実な印象を与えます。

Q3. 書いた後に「これで良いのか」と不安になったら?

企業企業

A. 一人で抱え込まず、誰かに読んでもらいましょう。大学のキャリアセンターの職員や、信頼できる友人、社会人の先輩など、第三者に客観的な意見をもらうことで、自分では気づけなかった魅力や、分かりにくい点を指摘してもらえます。

「伝わる文章になっているか」を確認してもらうことで、大きな安心感が得られます。

志望動機は作文じゃない。あなたの素直な言葉で語ろう

志望動機は美しい文章を書くための「作文」のテストではありません。あなたという人間がどんなことに心を動かされ、何を大切にし、これからどうなりたいのかを伝えるための、企業との「対話」の第一歩です。

難しく考えすぎる必要はもうありません。あなたの心の中にある、素直な言葉や感情を、自信を持って差し出してみてください。その想いは必ず相手の心に届くはずです。