“学生時代に力を入れたこと”の略称である「ガクチカ」。よくあるテーマとしては、ゼミの活動や資格取得、アルバイトなどが挙げられますが、留学経験をガクチカで伝える学生も多くいます。
しかし、どれだけ素晴らしい活動を行ったとしても、就活の場で効果的なアピールができなければ、あなたの魅力は十分に伝わらない可能性もあります。
今回は、ガクチカで留学経験を伝える場合の書き方を例文付きで紹介するほか、面接で話す時のポイントを解説します。
【書類選考】ガクチカで留学経験を書く場合の例文
ガクチカは、ES(エントリーシート)や履歴書に頻出の設問です。ただ、記入欄に余白が多い状態で提出すると、入社意欲が低いと判断されかねないため、8割以上を目安にできるだけ余白を残さないようにしましょう。
今回は200字・400字を目安に例文を紹介します。
【ガクチカで留学経験を書く】200字の例文
200字では伝えられる情報量に限りがあるため、アピールしたい要素を端的にまとめる必要があります。ESや履歴書に記載された内容をもとに面接を進めるケースも多いため、伝えきれない内容は面接で伝えるようにしましょう。
私はアメリカ留学中のプレゼンに力を入れました。現地の大学生と協力し、学生ができる脱炭素をテーマに進めていました。
最初はネイティブ発音に慣れず、ついていくのがやっとでした。そこで普段から英語で話すだけでなく、身振り手振りで相手に伝えることを意識しました。そして、プレゼンではメイン発表者に選ばれるほど語学力も高められました。
このコミュニケーション能力を活かし、御社の営業部門で活躍したいと考えています。
この例文では、留学経験で培ったコミュニケーション能力をアピールポイントにしており、どういった流れで力を身につけたのかがまとめられています。
【ガクチカで留学経験を書く】400字の例文
続いて、400字でまとめたガクチカの例文を紹介します。
私は3ヶ月間のカナダ留学で、生徒同士のディスカッションに力を入れました。留学を決意したのは、視野を広げて実践的な語学力を身につけたいと強く思っていたからです。
カナダには先住民や移民の方も多く、留学先では自分と異なる背景を持つ人たちと関われました。クラスではチームでディスカッションを行う機会も多くありましたが、それぞれに文化や考え方が異なるため、まとまりのない意見が飛び交っていました。
そこで私は、ディスカッション前に互いが理解し合うための時間を設けることにしました。互いに分からないことがあれば質問し、相手のことを少しずつ理解できるようになったのです。
結果的に先生から最高評価をいただき、同じチームメンバーとは今も交友関係が続いています。私はこの経験を通じて、チームで共通認識を持って結果を出すことの面白さを実感しました。この学びは国内外に展開し多くの人と関わる貴社でこそ活かせると考えています。
留学の期間は人それぞれですが、この例文では自身が打ち込んだことや課題点、改善のための行動や結果などが端的にまとめられています。また、得られた経験を仕事に活かすことまで考えているので、入社意欲の高さをアピールできています。
留学経験をガクチカに書く時のポイント
ガクチカの文章を構成するためにおすすめの手法が「PREP法」です。これは、文章を「結論・理由・具体例・結論」の順で構成すれば、自分の主張を効果的に相手に伝えられます。ガクチカの場合、どのように記載すれば良いのか詳しく見ていきましょう。
【留学経験をガクチカに書くポイント1】結論から書く
文章の書き始めは、結論を記載しましょう。
・「私が学生時代に力を入れたことは○○です。」
・「私はアメリカ留学中の○○に力を入れました。」
このように結論から書くことで、自分が何を伝えたいのかがストレートに伝わります。
【留学経験をガクチカに書くポイント2】動機・理由を書く
どういった背景があったのか、理由を記載します。
・「留学を決意したのは、実践的な英語力を身につけたいと思ったからです。」
・「アメリカに留学した理由は、シリコンバレーで生まれるスタートアップを自分の目で見てみたいと思ったからです。」
ESや履歴書は記載できる文字数に限りがあるため、理由については1〜2文ほどに留めましょう。
【留学経験をガクチカに書くポイント3】出来事を書く
続いて、実際に留学をして直面した問題点や課題点、トラブルなどを記載します。留学先で英語力に自信をなくしたり、授業で他の学生と衝突したりと、留学中の経験を思い起こしてみましょう。
そして、課題を解決するために何をしたのかを伝えます。困難なことに対してどう行動したのかを具体的に書き、あなたの課題解決能力をアピールしましょう。
企業は課題に直面した時の学生の考え方や行動を重視しているため、アピールポイントを意識して記載してください。
【留学経験をガクチカに書くポイント4】結果・学びを書く
最後は、行動の結果として得た学びを記載します。自分が携わった活動がどのような影響をもたらしたのか、課題解決のための行動で得た成果などを書くことで、説得力のあるガクチカに仕上がります。
また、ガクチカでの学びを仕事に活かすことをアピールすれば、あなたが働く姿を人事にイメージしてもらいやすくなります。なお、ガクチカに記載するアピールポイントの例として、以下のものが挙げられます。
・行動力
・コミュニケーション能力
・対応力、適応力
・目標設定能力
・自己管理能力
企業が求める人物像や、自分が実際に得た学びなどを考慮しながら、自分だけのガクチカを作ってみましょう。
【留学もOK】ガクチカで企業が見ていること
書類選考や面接で企業がガクチカを尋ねるのは、学生の人柄や仕事への姿勢を確認しようと考えているからです。そのため、ガクチカでアルバイトやサークル活動などを伝えても問題なく、留学経験なら短期・長期といった期間を気にする必要はありません。
もちろん、大会で優勝したり大きな結果を残したりすることは素晴らしいことですが、それよりもどういった動機で行動し、直面した課題に対してどのように取り組むのか、結果から何が得られたのかを評価しています。
【面接】ガクチカで留学経験を魅力的に話すコツ
面接でガクチカを聞かれたときは、ESや履歴書に記載した内容を伝えれば問題ありません。ただ、記入欄が小さいために書類選考では内容を省略して記載することもあるでしょう。
ここからは、面接でガクチカを魅力的に伝えるためのコツを紹介します。
【ガクチカで留学経験を話すコツ1】何のために留学したのかを伝える
文字数制限などで留学を決意した理由を書ききれなかった時は、何のために留学したのか、留学に向けて準備したことなどを面接で伝えましょう。
ガクチカといえば具体的な活動に目が向きがちですが、留学前の動機や行動などからでもあなたの魅力をアピールできます。
【ガクチカで留学経験を話すコツ2】人間的な成長・学びをアピールする
語学力を高めることを目的に留学する学生は少なくありませんが、ガクチカでは「留学したこと」や「語学力」だけ伝えるのは避けましょう。というのも、面接官はあなたの知識やスキルよりも、あなたの人となりを見ているからです。
そのため、留学を通じて人間としてどのように成長できたのか、どんな学びが得られたのかをアピールしましょう。
【ガクチカで留学経験を話すコツ3】表情・ジェスチャー・声量を意識
面接ならではの伝え方も意識しましょう。特に話している時の表情をはじめ、身振り手振りといったジェスチャーを交えたり、話の内容に合わせて声に抑揚をつけたりするのもおすすめです。
ただ、面接では回答に制限時間が設けられていることもあるため、たくさん伝えようと話しすぎないように気を付けてください。
【ガクチカで留学経験を話すコツ4】深掘りの質問に備えておく
面接では、学生が話したガクチカに対して深掘りの質問をしてくる可能性があります。
・困難だったことや、工夫したことは?
・どれくらいの期間、取り組んだのですか?
・さらに良い結果を出すための改善策は何かありますか?
・あなたの経験が企業にもたらすメリットは何ですか?
学生のことをもっと知るために、こうした深掘りの質問をしてくる面接官もいます。答え方次第でさらに好印象を残せるため、以下の記事を参考にガクチカの深掘り対策をしておきましょう。
ガクチカの「留学経験」が就活に活かしやすい理由とは
あなたらしさが伝わるものであれば、ガクチカのテーマに何を選んでも構いませんが、留学経験だからこそガクチカに以下しやすい理由もあります。
【ガクチカ「留学」が就活に使える理由1】一貫性を出しやすい
就活の面接では、ガクチカ以外にも志望動機や強みなどに関する質問を投げかけられます。留学経験をガクチカにすれば、それぞれの回答に一貫性を持たせやすくなるのもポイントです。例えば、志望動機であれば「留学経験から、海外にもサービスを展開している御社で働きたい気持ちが強くなりました」などと伝えられます。
また、留学経験によって海外で働きたい意欲が強まったことを伝えれば、より面接官の印象に残るアピールができるでしょう。
【ガクチカ「留学」が就活に使える理由2】説得力のあるアピールが可能
就活生の中には、コミュニケーション能力や行動力を面接でアピールする人も少なくありません。ガクチカで留学経験をアピールすれば、より説得力のある内容を話すことができます。
ただ、一口に「コミュニケーション能力」と言っても、人の考えを汲み取る能力や自分の意見を伝える能力などさまざまです。企業での活かし方を伝えるのであれば、「全体の意見を拾って調整する能力」や「相手の立場から物事を考えられる能力」など、具体的にアピールするのもおすすめです。
留学経験をガクチカで伝えて自分らしさをアピールしよう!
海外留学は日本では得られない体験にあふれています。留学先での勉強をはじめ、現地の大学生との交流などを思い起こし、自分だけのガクチカを考えてみましょう。
留学経験でアピールポイントが見つからない場合は、アルバイトやゼミ活動などを検討してみても良いかもしれません。ただ、ガクチカのテーマや企業に合ったエピソードが見つからない時は、キミスカの自己分析を試してみてください。就活の軸など、自分では気付けなかった新しい一面に出会えるかもしれません。